タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪土俵の上と外の朝青龍≫

Photo 初場所六日目の翌日、一月十六日未明に泥酔して暴行事件を起こした朝青龍に対して、日本相撲協会理事会は、場所終了後の二十五日、個人マネジャーとの「身内の問題」とする朝青龍及び高砂親方の報告に基づき、「武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)が師弟を呼んで厳重注意」(1月29日付『讀賣新聞』第30面)する寛大な処分を科した(記者会見の写真は、<MSN産経ニュース 10.1.28.22:40>〈千村安雄氏撮影〉から転載)が、その後、被害者が別人と判明。二十八日の理事会で、高砂親方の「被害者は知人で示談の交渉中」(前掲『讀賣新聞』)という説明があやふやなため、事実関係の徹底調査が再度求められた。高砂親方の無能は夙に知られるところで、協会が直接調査を行わないことに疑問が残る。
P1080150_2 朝青龍の相撲は、勝負所を逃さない瞬発力に伴う力強い投げ技を真骨頂とする。決め技も豊富で、名人と称された第44代横綱・栃錦(技能賞九回)を彷彿させるが、優勝回数を除いて、人間性も横綱としての品格もはるかに劣る。
 写真下段(1月23日付、同新聞・第21面から転写)は、十三日目に琴欧洲を「腕捻り(かいなひねり)」で横転させた一番、「幕内では現役最多となる41手目の決まり手」(同新聞)だが、横綱はただ勝てばいいという存在ではない。厳重注意を五回も受けて、なお反省のない横綱は要らない。
 そもそも格闘技のプロの腕や脚は凶器とみなされ、一般人に暴力を振るえば命に関わる重大事故になる。被害届や示談の有無にかかわらず、日本相撲協会は厳罰を科すべきである。横綱審議委員会の鶴田卓彦委員長の「事実であれば簡単には済まない。出場停止で済むか、どうか。横綱として社会に対する責任がある」(1月30日付、同新聞・第36面)という見解を協会はどう受け止めるか。

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