タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪中国経済4期連続減速(12年)≫

P1220835 中国国家統計局が一月十七日に発表した2011年10~12月期の実質GDP(速報値。写真上段のグラフは、3月6日付『讀賣新聞』第3面から転写)は、7~9月期の9.1%増を下回り、4四半期連続で減速し、通年の経済成長率は9.2%と一桁台に鈍化した。欧州債務危機に伴う輸出鈍化や金融引き締めが要因で、市場では、12年通年の成長率が一段と下がり、8%台にまで減速すると予測され、12年1~3月期の成長率は7%台に陥るのではないかと懸念される。
 GDPの減速は、中国の高度成長期が終焉を迎えたことを示している。今回の成長減速にあたり、中国政府は、格差拡大などによる社会不安を招く国内のインフレ抑制という最優先課題を抱え、重大な試練に直面したと言える。
P1220833 三月五日に始まった第11期全国人民代表大会第五回会議(初日に政府活動報告を終えた胡錦濤国家主席と温家宝首相=写真下段は、同新聞から転写)では、七年間掲げ続けた年8%の経済成長目標を、2012年は7.5%に引き下げた。高度成長の終わりの始まりは、やはり最大の輸出先である欧州の金融危機と米国の景気減速が原因であり、新車や家電販売などの消費も減速傾向にある。欧州混迷の影響が本格化するのはこれからであり、中国経済に失速リスクが潜在することは無視できない。
 さらに、リーマンショック後の景気刺激策では、中央政府の財政出動と歩調を合わせて、地方政府で巨額の公共投資が進められたが、その財源となった地方債務は10兆7000億元に及ぶという。胡錦濤以後の指導者は、地方の赤字の海での舵取りの腕も試されることになるだろう。中央も地方も、中国全体を覆う「赤い星」、五星紅旗ならぬ赤字の山に埋もれて、経済成長どころではなくなる可能性をなしとしない。

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