4月27日付『釧路新聞』第8面に、坂岡洋子さんの「やってみよう老前整理」シリーズ第1回が掲載された。既に出版されている著書の『老前整理』(徳間書店)は買って読んでいて、生前整理・老前整理・遺品整理という三つの型のうち、老前整理には共感を覚えていたが、いざ実行となると踏ん切りがつかなかった。私の場合は、庭木・蔵書・各種道具類の処理が眼前に大きく立ちふさがっている。 昭和六十三年に同居を始めた際に両親が移植した多数の庭木のうち、十五本のオンコの剪定が最も難儀で、九十歳で亡くなった母が八十五歳(平成十四年)まで十五年間、脚立に登って作業を続けてきたが、平成十五年以降は一切を私が引き受け、母と同じ八十五歳までは剪定作業を行うつもりでいた。しかし、その後に私の剪定技術を継承する者がいない。
オンコは三年間剪定を怠ると枝が暴れて手の施しようがなくなる。「片付けには気力・体力・判断力がいる」(同書・第一章)という坂岡さんの言葉に従って、今春は、十数年後の庭の形を想定し、体力のあるうちにオンコの大物を数本ずつ片付ける決意をした。
剪定作業のために番号を付した、オンコ⑤(写真上段<右>、直径22㌢・樹齢70年)とオンコ⑥(写真上段<左>、直径24㌢・樹齢80年)を鋸で伐採したのは四月二十日だった。葉の付いた枝は資源ゴミとして釧路市の高山ゴミ処理場で無料で引き受けるので、軽トラックで運び込んだ。太幹は有料の可燃ゴミとなる。
二十数年間、我が家の庭の中枢に君臨した大物オンコがなくなり、ぽっかりと空間ができたが、いずれ時の経過とともに喪失感は薄れるだろう。切り株を放置するのは見栄えが悪いので、しばらくは抜根作業で精力を削がれることになる。体力と気力がなければできない肉体労働だ。大型連休も何もない。
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