タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪富良野岳頂上付近でリシリヒナゲシが生育≫

P1110853 富良野岳(上富良野岳に向かう尾根上から眺めた三峰山と富良野岳=写真上段は、伊藤健次『新・分県登山ガイド0 北海道の山』〈山と渓谷社〉から転写)は、十勝岳から南西に延びる稜線の最南端(地図=写真下段<左>は同書から転写)にある山で、十勝岳温泉登山口から上富良野岳に登り、上ホロカメットク山を背にして三峰山を経て1912㍍の頂上に至る。今も火山活動が盛んで森林限界の低い十勝岳と比べると、頂上まで高山植物の植生が豊かな山である。
 七月初旬、十勝地区国設鳥獣保護区管理員が「富良野岳を巡回中、頂上付近で3~4株のリシリヒナゲシに似た花を確認し、上川総合振興局などに届け出た」(7月8日付『北海道新聞』夕刊・第1面)ため、環境省の東川自然保護官事務所(株の確認=写真下段<中>は前掲新聞から転写)が「確認できた8株を除去した」(同新聞)という。
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 リシリヒナゲシは利尻山の固有種だが、近年、固有種が減少している上に、同名の園芸品種が登山者によって持ち込まれ、交雑が危惧されている。我が家の庭で生育している園芸種(写真下段<右>)は、繁殖力旺盛で、開花後、多くの種子を周囲に飛散させ、毎年、自然実生で株が増えている。
 富良野岳で発見された株は、登山者の衣服あるいは装備に付着していた種子がこぼれた可能性もあるが、確認された株数から判断して、常識的には誰かが意図的に種子を持ち込んだと見るのが妥当だろう。高山植物は厳しい自然環境の中で生育しているので、環境の変化に対しては極めて脆弱で、もともと存在しない園芸種が持ち込まれると生存が脅かされ易い。登山者は細心の注意を払うべきだ。

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