サンマ漁は、「7月上旬に解禁され、8月半ばまでは北方領土周辺での漁となり、水温が下がってくるに従って、北海道沖から三陸沖へと漁場はだんだん南下」(8月12日付『讀賣新聞』第29面)するのが例年のパターンである。
しかし、今季は、北方領土の国後島付近の海面水温がサンマ漁場の適温より2℃も高いため、解禁後の序盤一か月は極端な不漁で、これまでの流し網漁・小型棒受け網漁・中型棒受け網漁による水揚げ量は、道東四港(根室・釧路・厚岸・浜中)で「今月14日現在、1314㌧と、前年同期(1万1262㌧)の約10分の1」(8月16日付『北海道新聞』第2面)しかなく、不振を極めている。 当然、スーパーの店頭に出る量も激減、魚体が小型で脂の乗りが悪いのに価格は高い。十二日に女房が購入したパックには、わざわざ「釧路産」のシールが貼ってあった。釧路産=ブランド化のつもりだろうが、漁場は同じなのだから、根室産とどこが違うのか。ぱさぱさした食味の悪いサンマは食べる気がしない。
不漁の原因は、海水面温度の上昇だけでなく、サンマの資源量そのものの減少にあると見るべきだ。捕れれば捕れるだけ捕る漁業はいずれ立ちゆかなくなる。漁業者も加工業者も目先だけよければ、では自滅を免れない。 八月十五日、主力の大型棒受網漁が解禁となり、十六日付の新聞で大型船の出漁(花咲港が19隻、釧路港が31隻、厚岸港が8隻)の記事(釧路港から漁場に向かう大型船=写真上段は、同日付『釧路新聞』第1面から転写)を読んだ翌日、思いがけず、女房が大型スーパーから根室産ニシンを購入してきた。
一方で、サンマを求めて片道一日以上の千島列島沖に大型船が出漁し、他方で、スーパーの店頭に出回るほどニシンが沿岸で漁獲されることに、何か違和感を感じる。来春産卵するニシンを今漁獲すれば資源の減少に繋がるのではないか・・・杞憂であればよいが。
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