タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

<知ったかぶりで赤っ恥 = 拒絶の精神としての隠喩>

    < 11 11 日付『釧路新聞』第3面「巷論」>

     ※ 揶揄の精神としての隠喩=「巷論」掲載枠の横長変形

 オーストリアの小説家、トーマス・ベルンハルトの隠喩をもっともらしく引いて、偉そうなことを書いているが、今どき「普天間基地の強引な建設」だなんて事実誤認もいいところだよ。

 沖縄県宜野湾市中心部にある在日米軍海兵隊の軍用飛行場、いわゆる普天間基地は、1945 年の沖縄戦の最中に、 民有地を強制的に接収して建設され、 沖縄戦終了後も日本本土決戦に備えて拡張工事が進めらた。さらに、1950 年の朝鮮戦争勃発に伴い、 沖縄の戦略的価値が見直され、基地全体の恒久化が図られ、その影響下で普天間基地も整備・拡充が行われてきたのである。
 基地の運用開始当時は、周囲はサトウキビやサツマイモを栽培する畑が広がる丘陵地帯で、集落は疎らだったが、現在は、那覇都市圏を構成する沖縄県で最も人口過密な地帯の一部に変じ、基地の周囲に住宅地が密集する危険な状況下にある。
 危険を除去するための普天間基地の返還あるいは移設に関して、これまで長年にわたって紆余曲折が続いた後に、ようやく名護市辺野古沿岸部への移設が国と県の間で決定に至ったが、本格工事の着手直前に県知事の交代があり、計画は目下頓挫している。こういう現状認識はだれもが共有できると思う。「安倍政権による普天間基地の強引な建設」だなんて、どこでどう間違えたのか。

 最後に釈迦に説法。「この日本の『倒錯した平和』は『未知の新種の不治のレプラ』に襲われているかのようだ」という表現は隠喩ではない。ベルンハルトなら、決してこのように書かないね。先生、「直喩」と「隠喩」の違い、分かってないんだよ。

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