タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 南極大陸領有権 ≫

Photo_4 南極大陸(ロス海東岸のハレット岬から望むハーシェル山の写真は、『ウィキペディア』から転載)は、昭和三十四年に米国の主導で日本を含む十二か国で採択され、二年後に発効した南極条約(現在の締約国は四十七か国)によって領有権が凍結され、現在、どの国にも帰属していない。
 しかし、領有権の主張には何の制約もないため、現在、オーストラリア・ニュージーランド・イギリス・フランス・ノルウェー・チリ・アルゼンチンの七か国が領有権を主張(七か国の主張を示す南極大陸の地図は、1月7日付『讀賣新聞』第6面〈国際〉から転写)している。
P1010072 オーストラリアが、「南極点から豪州に向けて広がる扇形の2領域を『豪南極領』と主張」(同新聞)するのは南極条約違反である。この豪南極領を根拠として、豪南極領沖を排他的経済水域やクジラ保護区に指定するオーストラリア国内法は、国際的効力を有しない。
 元は犯罪人流刑地で先住民族のアボリジニーを迫害する白人国家が何様のつもりだ。南極大陸はどの国にも帰属しないのだから、その沖合は公海である。日本の調査捕鯨船を国際法廷に訴えるというなら、やってみるがよい。
 しかし、南極条約採択を主導した米国の影響力が弱まるにつれて、条約が見直される可能性を予想し、各国は、「南極の資源開発を禁じたマドリード議定書の効力が切れる2048年以降をにらんで」(同新聞)着々と手を打っているのが現実である。
 将来の資源探査を目的に、各国の観測競争も激しくなっている。中華人民共和国は二十七日、「南極の『ドームA』と呼ばれる氷床最高点(四〇九三㍍)近くに新たな観測拠点『崑崙基地』を完成」(1月29日付『北海道新聞』第6面〈国際〉)し、胡錦濤国家主席は平和利用を強調したが、本音が別にあることは隠しようがない。

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