十二月一日、オバマ米大統領は、ニューヨーク州ウエストポイント陸軍士官学校講堂で、「アフガニスタンが第2のベトナムだという主張は誤っている。いまアフガンから去れば、米本土および同盟国は更なる攻撃にさらされる」(12月3日付『讀賣新聞』第3面)と力説(演説の写真は、同新聞から転写)し、米軍撤収時期を含んだ戦争終結への新戦略を提示した。
米国が短期間に三万人の大規模兵力投入することで反政府武装勢力タリバンを壊滅し、アフガン国際支援部隊参加国からの一万人規模の兵力増派によりアフガン国軍と警察を自力治安維持組織として育成するという新戦略は、米国内でも国際的にもすんなりと受け入れられる状況にはない。 しかし、欧米各国は、国際的テロ組織及びテロ支援国家(現在の指定国は、キューバ・イラン・スーダン・シリア)に対して断固とした措置を講じる姿勢を共有しており、アフガンをテロリストの手に委ねるのを避けるため、オバマ大統領の協力要請に「約25か国が2010年中に増派に応じる意志を表明」(12月5日付、同新聞・第7面)し、増派数(現在の駐留兵力を示す円グラフは3日付同新聞、増派方針図は5日付同新聞から転写)は、各国とも苦渋の応諾ながら七千人を超えた。慎重姿勢の仏独も要請に応えざるを得ないだろう。
オバマ大統領は「新戦略の発表直前、アフガンの国際治安支援部隊(ISAF)に参加している英仏独のほか、インドやロシアなどの首脳にも電話で連絡した」(3日付同新聞)のに、鳩山首相が蚊帳の外だったことは、バラクとユキオの信頼関係の崩壊を如実に示している。そもそも始めから、信頼関係など存在しなかったのではないのか。
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