奇数行で二つの主題(「教会の鐘」と「ツグミのさえずり」)を提示し、偶数行で「神の存在とその御許に広がる自然」を鮮烈な言葉で讃える。
奇数行に Iambic と Trochaic を交える変則的韻律を用いたのは、二つの主題を際立たせるためである。
押韻は、各 stanza いずれも abab。頭韻 (第1stanza 2行目の fresh/fair と第3 stanza 2行目の praise/prayer) は、ロマン派の詩人、S. T. Coleridge の "The Rime of the Ancient Mariner" を連想させる。
<作者紹介> 英文学史上、James Thomson を名のる詩人は二人存在する。ひとりは、18世紀の詩人で、長詩 "Seasons" の作者 (1700-48) 。もうひとりは、私がここで取り上げた "In May" の作者 (1834-82) 。この詩人は、前者と混同されるのを避けるため、自ら James Thomson, B. V. と称した。B. V. とは、敬愛する二人の詩人、Percy Bysshe Shelley と Novalis から1文字ずつ取ったもの。
James Thomson, B. V. は、長詩 "The City of Dreadful Night" から分かるとおり、人生への絶望を顕わに示す暗澹たる詩風で知られているが、ここに紹介した "In May" のような揺るぎない信仰に基づく目もくらむ清新な作品があることに驚きを禁じ得ない。
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