ドンとマインド

バンド THIS IS JAPANの歌と運動、杉森ジャックのブログ。

vol.25 "バス男" 【カルト&オルタナティブ第5回】

2016-11-25 18:00:42 | 映画
こんばんは。THIS IS JAPANの杉森です。
このコーナーも5回目!!万人には薦められないけど好きな人は絶対スキ!!をコンセプトに好きな映画のレビューを書いてます。
カルト&オルタナティブ第5回は"バス男"。

邦題やりたい放題!!元々は"ナポレオン・ダイナマイト"っていう最高にクールなタイトルなのに、電車男ブームに乗っかろうとして最悪の邦題に…なんだよバス男って…!その後、ちゃんと訂正されたようです。嬉しい。
というわけでバス男改めてナポレオン・ダイナマイト!アメリカのナードの結晶体のような主人公=ナポレオン・ダイナマイトと仲間達、ヒロインが織りなす最高に笑えてグッとくる青春学園コメディです。
こういう作品は、キャラクターの魅力で面白さが決まると思っているのですが、満点のキャラクターしか出てきません。
主人公
友達①友達②他にもまだまだいますが、どのキャラもほぼ同じくらいの戦闘力です。脇役まで抜かりない。
冒頭からすさまじくオフビートな空気が続きます…ゆるすぎる…!ローファイを超えたスーパーローファイなやり取りが淡々となされますが、個性的すぎるやつらは会話してるだけで面白いものです。また、笑いのツボが非常に日本人向けだと思います。
そんなシュール芸のマシンガンが乱射される前半。ぶっちゃけこれを90分やってもらっても面白い映画だと思うのですが、この映画は後半からしっかりエンタメ作品としてのギアが入り始めます。ヲタク仲間vsリア充軍の生徒会総選挙とい一大イベントを軸にして展開される後半。
海外でも学校内ヒエラルキーがあるんだなぁ…ということがわかるのですが、それがこの映画に大きなカタルシスをもたらします。抑圧される側の輝きがそこに!!
ただのゆるくて笑えるB級映画と思いきやファンが多いのは、実はA級並みのしっかりしたテーマと見せ場があるからだと思います。仲間になりたい!と思ってしまうのは名作の証。ローファイの殻を被った本物の名作!映画界のPAVEMENT的金字塔。好きな人は絶対に好きな愛すべきナード&カルトな映画です。
850点ダイナマイト!!!!

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THIS IS JAPAN ワンマンやります。

■12/28(水) @新宿Motion

THIS IS JAPAN ONEMAN LIVE 2016
“NOT FORMAL vol.3”

開場/開演:19:00/19:30

前売/当日 ¥1,500/¥2,000(+1drink)

チケット:e+、バンド予約、手売りチケット(ライブ会場にて販売)

vol.24"オール・ザット・ジャズ"【カルト&オルタナティブ第4回】

2016-11-18 18:00:20 | 映画
毎週金曜18時更新。フライデーナイトのお供にどうぞ。THIS IS JAPANの杉森です。
カルト&オルタナティブ第4回
"オール・ザット・ジャズ"です。

SF、ラブコメ、青春ときて今回はミュージカルです。実はミュージカル苦手ですが、カルト&オルタナティブを標榜する以上、避けて通れないジャンルである…

ざっくりあらすじ→
ブロードウェイの演出家として成功している主人公が、その不規則な暮らし、ショービジネスのプレッシャー、薬物への依存で段々と破滅していく。ショービズ界の光と闇。
って感じのお話。

特筆すべきはまさしくカルトで前衛的なシーンの数々。
中でも見所のダンスシーンはいわゆるミュージカルのポジティブさとは真逆のダークでセクシャルなステージ。カッコイイ。
子供はみちゃダメ!どうでもよいけど劇中主人公のタバコ吸う本数が半端ないです。ほぼずっと吸ってます。咳き込んでも吸い続けます。なんならそれを診察する医者も吸ってます。何かに依存しないと自分を保てない、キワドイ主人公の精神状態を表してるのかもしれませんね?嫌煙家さん憤死しそう!主人公が夢で見るミュージカルも他にない妖艶で耽美な世界観だし、ほのぼのした親子のシーンですら何か含みを感じる。主人公はもちろん出てくる人も大体ぶっ壊れてます。中盤以降はミュージカルっていう形式も相まっていよいよカオスに。
そんな彼の決めゼリフは"さぁショータイムだ!"そんなショービズ界のエキセントリックな側面と対極に、後半は主人公の苦難が描かれます。子供のような純粋さの代償は、体をだまし心を騙す屈折した生活。しかも好きでやってる仕事なのでどんなにブラックでも誰にも止められません。
華やかな舞台の裏にはいつだって孤独と忍耐。あんた死んじまうよ!


主人公もトんでるし、出てくる人もトんでるし、空気もトんでるのでつかみどころがない映画だなぁ〜とも思いますが、根底にあるのは自分の生涯をショービズに捧げた男の物語。
ありったけを仕事にぶつけ続けるのって大変だけど、その人にしか見えない世界が確かにあるんだなーって思える作品。ミュージカルなんかださい…って思ってる人は観たら考え変わりそう。

700点イッツショータイム!!


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next THIS IS JAPAN

■ 11/21(月)@新宿LOFT

“ekoms presents OUT OF STEP”

w/ Maison book girl / BILLIE IDLE® / 羊文学
開演19:00
前売¥3,000

(THIS IS JAPANは20:50〜)

ご予約→http://thisisjapan.net

vol.23 "レポマン" 【カルト&オルタナティブ 第三回】

2016-11-11 18:00:23 | 映画
こんばんは。
カルト&オルタナティブ、楽しんでもらえてるか!今回はウシジマ君よろしく、借金のカタに車を持ってく男の話。『レポマン』です。パンク青年の主人公がひょんなことから借金のカタに車を差し押える"レポマン"という仕事につきます。仕事をこなしていく中、高額の懸賞金がかけられた車が!しかし中には宇宙人の死体が積まれていた…!

あらすじからしてハチャメチャです。こういうのって好きな人はめっちゃ好きなんじゃないでしょうか。

映画に流れる雰囲気としてはパンクがブイブイ言わせつつもオフビートでゆるい感じ。
冒頭のスーパーマーケットでのバイトの場面からなんとも言えない空気感が流れます。名作"バス男"でも似たようなシーンがあったのでオマージュかもしれません。前半は青年が"レポマン"業を通して大人になっていくお話。いろんな人のところに車を差し押さえにいくのは感情移入しやすく楽しいです。競合他社や頼れる上司、パンク仲間(強盗)…と脇を固めるやつらもイカれてます。ピストル打ちまくり!主人公の家族も変。というか普通の人が1人も出てきません。後半からは宇宙人話も絡んできていよいよカオスになります。ストリートな世界に突然出現する宇宙人関係者。中でも博士っぽい人のビジュアルが最高です。車をとったりとられたり、すぐ死んだりと適当展開の乱れ打ち!我々が信じられるのは主人公のみです。レポマン密着ドキュメンタリーからのSF(すこし不思議、の方かも)で、ダラダラしながらも退屈はしないで楽しめます。
大筋はよくあるハードボイルドものですが、ゆるいやつらの独特の時代感=アフターパンク感のおかげでクセになる匂い…。キタナシュラン的な良さがあります。そして後半SF色を出し始めてからのぶっ飛び方がザ・カルト映画!
ヘンテコカッコいいシーンの羅列を、個性的なキャラクター達でなんとか1つにまとめ上げてると思いました。店内銃撃戦とラストは最高です。
パンク青年が大人社会と宇宙人の間で成長していくSF青春モノ!タランティーノ好き、ジャームッシュ好きにはオススメです。
750点ハードボイルド!

ちなみに監督アレックス・コックスはこの後、"シド&ナンシー"を発表。やっぱりパンクが好きなんだなこの人。

また来週。

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next THIS IS JAPAN…

■ 11/21(月)@新宿LOFT
“ekoms presents OUT OF STEP”

w/ Maison book girl / BILLIE IDLE® / 羊文学
開演19:00
前売¥3,000

ご予約→http://thisisjapan.net

vol.22 "ハイ・フィディリティ" 【カルト&オルタナティブ 第2回】

2016-11-04 18:00:18 | 映画
今週もこんばんは。
万人には薦めないけど絶対好きな人は好き!がテーマ。『カルト&オルタナティブ』第2回はまさかのラブストーリーです。その名も"ハイ・フィディリティ"。バンドマンおよびレコ屋音楽好きの人にはグサっとくる映画です。ジョン・キューザック演じるロックオタクの中古レコード店主"ロブ"が、過去のうまくいかなかった恋愛をベスト5形式にして振り返る…という映画です。このいかにもな男性目線は女子の反感を買いそうだ!この映画の魅力はなんといっても出てくる登場人物たち!こじらせっぱなしの店主も最高ですが、スクールオブロックでも有名なジャック・ブラック演じるバリーも最高です。常駐するめんどくさいロックオタク客として登場。趣味の合わない客を勝手に追い返すぞ!
そして暗いけど優しく知的なオルタナ小僧も。ジャック・ブラックにガンガンイジめられます。どいつもこいつもいるいる〜感があってグッとくること請け合い。ヒロインも透明感があって絶妙にサブカル野郎のツボな感じです。主人公を振り回したり振り回されたり。 こんな感じで魅力的なキャラがたくさんですが、ストーリーもイケます。
王道のラブコメディに、こじらせ男子(というかおっさん)特有の悶々とした悩みがトッピングされ、みてるこっちとしてはもうこっ恥ずかしいのですが…それがたまらない。元カノを順番に訪問していくスタイルで話が進んでいくので、自分の経験にあてはまったら興味深いと思います。誰にでもあるであろう、過去のイタイ恋愛の数々が胸に刺さるぜ…!
ストーリーを彩る音楽達も良い感じ。さすがレコ屋ですね。主人公の部屋にはPAVEMENTが飾られ、ジャックブラックはジーザス&メリーチェインを客にレコメンドします。ディランも。憎らしいけど愛らしいキャラクター達と、女々しいけどなんだか憎めない主人公達の生活。「センスの悪い奴はクソだぜ!」って言っちゃうジャックブラックに若かりし頃の自分を重ねてしまうかもね。
過去と現在の自分を音楽と恋愛で振り返る、ありそうでなかったロマンスコメディ!
こじらせナードな貴方にぜひみてもらいたい映画。800点ナード!!!!
http://youtu.be/7EgB__YratE←「これを持ってないなんて異常だぜ!」(劇中のバリーより)



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THIS IS JAPAN next live…

"YOIMACHI2016"取り置きhttp://thisisjapan.netからどうぞ。
http://youtu.be/6jU-GSHDwhI