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蛙の掘立小屋~カエルノホッタテゴヤ~

蛙のレトロ探求と、本との虫と、落語と、日々の雑事。

『この胸いっぱいの愛を』~あなたは何をやり直しますか?

2005-10-20 13:49:56 | お話大好き・映画編
それでは。最後は『この胸いっぱいの愛を』で。

★あらすじ★
2006年1月5日、同じ飛行機に偶々乗り合わせたのは、豪快に弁当を食べる男・鈴谷比呂志、チンピラで仕事を失敗し門司へ行くように指示された若者・布川輝良、どこか小心な落ち着かない男・臼井光男、そして何かを大切そうに握り締める老婦人・角田朋恵だった。
幼い頃門司にいたことがある比呂志は、かつて厳しくも優しかった祖母と暮らした旅館の方へ足を向ける。既に人手に渡ったが、全く変わらない姿だった。しかし、玄関から飛び出してきた少年が幼い頃の自分だと気がついて、比呂志は激しく動揺する。同じ飛行機に乗っていた布川と再会し、どうやら自分たちがタイムトラベラーであることが飲み込めてきた。
今自分がいるのは、1986年1月5日の門司。20年前、祖母の誕生日にケーキを焼こうとして小火騒ぎを起こしたことを思い出した比呂志は、慌てて旅館にとって帰す。なんとか大事にならないうちに消し止めた彼は、20年前にも通用する紙幣を持っていないこともあり、住み込みで働きながら10歳の自分と同居することになる。そこには難病で死んだ自分の初恋の人・和美姉ちゃんもまだ生きていた。
難産で死んだ母の姿を垣間見ることができた布川と近況を連絡しあううち、同じく飛行機に乗っていた臼井に出会う。臼井の話によると、途中まで同行していた目の不自由な老婦人・角田は、長年連れ添った盲導犬の終の棲家でパートナーだったアンバーと再会し喜びのうちに姿を「消した」という。どうやら、自分の未練を精算することにより元の世界に戻れるようなのだが……。

う~ん、何と言うか。「未来からの黄泉がえり」というキャッチが、全てを表しているというか……。彼らのタイムスリップのきっかけになったのは、実は飛行機事故で、彼らは既に「死んでいる」から時間を越えることが許されたという設定のようです。詳しい理屈は分かりません。(恋愛ファンタジーに理屈を求めるほうが野暮!)
だから、ずっと心に残っていた未練を精算するということは、死を意味するんです。ここらへん、是枝監督の『ワンダフルライフ』に似てるかなぁ。(『ワンダフルライフ』は個人的にA+級です。機会があったら、是非どうぞ!)
比呂の場合は、和美姉ちゃんを助けること。布川くんの場合は、「お母さん」と呼びかけること。臼井さんの場合は、花を滅茶苦茶にしてしまった近所の人に謝ること。クドカン演じる臼井さんの最期に一番泣いた蛙は、ヒネクレ者?(笑)ラストで臼井さんの驚愕の経歴が分かるのですが(更に笑)。

泣きはしなかったけど良いシーンだなぁと思ったのは、30歳の比呂が10歳の比呂の家出を止めようとするシーンです。和美が難病であることを受け止めろという大人比呂に、絶対嫌だとタックルするチビ比呂。直ぐに抱き合って仲直りにならない辺りが、良かったです。

時々、脚本に甘さを感じたのがマイナス要因でした。例えば、布川くんの生い立ち。強姦により出来た子で、両親に反対されながらも産もうと決心したお母さん。布川くんの祖父にあたる人は、堕胎させようと階段から突き落としたこともあるとか。でも、その祖父という人が娘の身体を危険に晒してまで赤ん坊を望まなかった背景が分からないので、まるで「不幸」を表す記号のようで、感動が薄くなる。勿論、映画に盛り込む余地が無かったというのはあるでしょうが。(その点、臼井さんの過去の方が、説明臭いところはあっても「本当だ」と思わせるところがあった)

それにしても、布川くんが全然怖くないんだ、これが。本人は精一杯スゴんでるつもりが、可愛くてお人よしだから、比呂も臼井さんもあんまり引いてない。まぁそういう役だから、いいんだけど。あんた、きっと体質的にヤクザ向いてなかったんだよ。
キャストと言えば、コンサートの指揮者が本職・金聖響先生だったことにビックリ。先生が指揮台に上がったコンサート、見たことあるよ。そのときは後姿だったから、スクリーンで観ても全っ然気がつかなかったけど(爆)。

結論。伊藤英明氏の弁当をパクつく横顔は、男くさい可愛げに溢れている。(今回最後の大発破)

蛙的映画ランク:D-

『8月のクリスマス』~墨絵色の恋

2005-10-19 10:06:23 | お話大好き・映画編
最初は観る気はサラサラ無かったけど、ロケ地が近隣だと知って、途端に気が変わった作品(笑)。『8月のクリスマス』です。原作の韓国映画は観ていませんが、地元民的アテにならないコメントですが、それでも良かったら読んでいってやってください。

★あらすじ★
ある地方都市で小さな写真館を営む寿俊は周囲に隠していることがあった。病気で余命が幾許も無いこと。家族にも友人にもその事実は告げず、只静かに死んでいこうと心に決めていた。
そんなある日、突然死んだ友人の葬儀があると知らされる。死の現実に重くなった心を抱えて店に戻ると、そこに待っていたのは生き生きとした若い女性・小学校の臨時教員をしている由紀子だった。彼女の溌剌とした輝きに触れて、寿俊の心に静かな小波が立ち始める……。

やっぱり地元民の性なのか、画面を見ていて超ローカルな反応をしてしまいます。
「あ、黒○仏壇店!」とか。
「あ、イカの○作り!」とか。
「あ、清酒立○!」とか。
「あ、この階段は○坂ね」とか。
(北陸人ではない人で、○が全部うめられる人は凄い?)

寿俊の通っている病院が「富陸市民病院」だか何だか、「富山」の地名をいじったような名前だったので、てっきり架空の富陸県(かどこか)の話として観ていたんですが。病状が悪化して駆けつけた救急車は、バッチリ「富山ナンバー」!あ、じゃあ富山なんだと思ってみていると、由紀ちゃんの新しい赴任先が「能登の外れ」??地元民であるが故に、一体ここは何処なんだ状態になっていました。スクリーンを見る限りでは、新しい学校に向かう道中は高岡から氷見に向かう方面かそこらだったような気がしたんですが。氷見なら……能登の外れと言って言えない…ことも…ない…こともない…ことも(以下暫く続く)ない?

こんな、アホな突っ込みばかりしていましたが。こー見えても、泣くところでは泣いてます。
予告編でみてグッときた、喜寿のお祝いの日に自分の遺影を撮りに来たお婆ちゃんにホロリ。お祝いの家族写真をとったその日に来るんだから。これも遺言と同じ、家族に遺す愛だなぁと思って、ホロリ。「眼鏡とってみましょうか。うん、その方がずっといい(台詞うろ覚え)」と言う寿俊に、またもやホロリ。
他にも、一人でDVDが使えないお父さんに当たってしまいながらも、使い方を分かり易いようにメモを残す寿俊にホロリ。
周囲の人々も、彼の変化を感じ取りつつ、彼が死んだときの心の準備を始めます。一緒に立ち小便をした壁に向かって、ふと彼がいた方向を向く親友。メモを見ながら、一生懸命DVDを動かそうとするお父さん。一緒にスイカを食べて種を飛ばした縁側で、一人葡萄の種を飛ばす妹。愛だなぁ~と思って、ボロボロでした。
そんな中、由紀ちゃんだけが何もしらされていないのが、また切ない。

こうして振り返ると、北陸の空のような。墨絵の色のような。静かに、間をとりながら描いた。いかにもワビサビニッポンな(笑&台無し?)。恋愛というよりも、広い意味での愛の遺し方を描いた映画でした。

今回由紀ちゃんを演じた、関めぐみさんですが。普段は上がり目の切れ長が、いかにも典型的日本型美人の整った顔をしているのですが。笑ったときやなんかに、ちょっと不細工に崩れるのが可愛いです(断然、褒めてます)。是非とも、上野樹里ちゃんや平愛梨ちゃんとともに、『笑う大天使』頑張ってください!

結論。ハッキリ富山が舞台なら、「~せられぇ」とか「~やにかぁ」とか、言って欲しかった。(再度、大発破)

蛙的映画ランク:D+

『マイ・リトル・ブライド』~韓流少女漫画恋物語

2005-10-18 07:51:57 | お話大好き・映画編
一週間おいて恋愛ものを3連発。
『マイ・リトル・ブライド』
『8月のクリスマス』
『この胸いっぱいの愛を』
どれも気楽に楽しめて、そこそこホロリときて、カタルシスになるという点では、良い娯楽だったんですが。如何せん、スクリーンで観る意義があるか無いかといわれると、微妙。でも面白かった分、Eランクよりは色つけてます。
先ずは、『マイ・リトル・ブライド』いってみよう。

★あらすじ★
留学に行っていた大学生・サンミンは両親に呼び戻されソウルに戻ってくる。空港で良い女をみつけてはナンパしようとするが、わざと携帯を落として気を引こうとした相手は迎えに来ていた幼馴染・ボウン。懐かしい下町の写真屋ボウンの家に戻ってくるが、出迎えた両家両親の様子がドコカ妙。何と、ボウンのお祖父ちゃんが二人に結婚するようにいってきたのだ!
二人がきっぱり嫌だと言うのだが。青春時代サンミンの祖父と親友だったお祖父ちゃん。その奥さんに密かに恋をしていたお祖父ちゃん。そして、朝鮮戦争に振り回された青春。お祖父ちゃんの執念は、そんな程度じゃ収まらない。病院の心電図を細工して瀕死のフリをし、とうとう二人を婚約させてしまう。
結婚早々花嫁は新婚旅行をエスケープ、花婿は教育実習で花嫁の学校へ、それに花嫁には憧れの先輩がいて……。この夫婦、どうなるの?!

いやぁ、少女漫画全開でした!(笑)『僕の彼女を紹介します』のときもそうだったけど。ここまで少女漫画な展開の作品を堂々と作る韓国の純情が、世の女性の心を掴んだのか。劇場内は老若女々!客席のカラーが一色で、なおかつ結構埋まってるって、その集団に帰属する意識があっても居心地悪いですぅ…。

さて、この作品。ラブコメであると同時に、ホームコメディでもあるのですが。家庭の描き方に違和感を感じること夥しい!中国映画なら「そんなモンかなぁ」でスルーなんだけどなぁ……。
お祖父ちゃんが絶対的権力を持っているというのは、理解できます。日本でもちょっと前まではそうだったんだから。でも、母子(子供の性別問わず)のベタベタっぷりが知識で知ってはいても、理解できない。父母の気持ちがコロコロ変わるところが、理解できない。夫婦そろって卓袱台の前に胡坐をかいて、ビールを飲んでいる姿が何か変。劇中重要な役割をになっている家族の雰囲気に違和感を感じ通しで、最初は物語の波に乗れませんでした。
物語の中盤以降は若夫婦がメインになってくるので、違和感はなくなりましたが(爆)。
根っこは同じくせに妙なところで断層が出来ている両国の文化が、お互いの微妙な関係を作っている要因の一つでもあるんだろうなぁ。歴史問題だけじゃなくて。

同じ韓国ならではの事情でも、サンミンが予備軍の訓練に出かけたシーンは違和感がありませんでした。事情が違いすぎるから、却って客観的に見られる?
ボウンがお弁当を持ってきた姿が目に付いたのか、サンミンが海兵隊の先輩に絡まれる。二人の友人はそんなモンだからと傍観。一方、ドタマにきたボウンが「ウチの亭主に何するのさ!」と啖呵切る。あぁ、韓国女性の啖呵って、あんな感じかなぁと妙に納得してみていました。その後の憂さ晴らしに、若夫婦&友人二人でカラオケに行くシーンも可愛かったです。
でも、予備軍の訓練で、奥さんが愛妻弁当届けに来るってOKなのかな?
ついでに、韓国で敬礼と言えば一般的に「忠誠」、海兵隊は「必勝」という、どーでもいい知識も仕入れる(苦笑)。

高校生ボウンの人間関係は基本的に少女漫画の世界。同じく野球部のジョンウ先輩に憧れる、親友のヘウォン。そこそこ美人なのに、アクが強い性格が災いして独身のキム先生。ジョンウ先輩に手を出すなと迫ってくるスケバン三人組(うち二人はお笑い担当)。二人が夫婦であることをよく思わない人が多数派です。
一方、大学生サンミンの人間関係は校内のマドンナ、院生のジス先輩。二人のナンパ仲間。人数と出てくる回数は少ないですが、二人を見守ろうというのが多数派。
これが、人間の成長の証?
成長と言えば、最後にボウンがしっかり韓国流肝っ玉母さんになっているのが、笑える。

結論。韓国海苔巻きって、美味いよね。(大発破)

蛙的映画ランク:D-

『NANA』~擬似姉妹の正統派な青春

2005-10-13 07:47:43 | お話大好き・映画編
何かとハードルが高いのが、コミック作品映画化。原作ファンと映画ファン両方納得させるのが、小説以上に難しいです。しかし、この『NANA』が続編製作決定となったのは、勿論なによりファンの力がありますが、この物語が案外正統派かつ伝統的青春モノのお約束を踏んでいるからだと感じました。
原作を読んでいないので、原作ファンの方には納得がいかない評価になるかもしれません。(最近同じことを言った覚えがあるぞ<苦笑>)
映画版公式サイトは、こちら

★あらすじ★
東京にいる彼氏のところへ向かっていた小松奈々は、新幹線の自由席で隣にギターを乗せて座っていた大崎ナナに声をかける。可愛らしい恋する乙女と、クールな雰囲気をまとうロッカーは、自分たちが同じ名前「ナナ」で、同い年「二十歳」だと知り、意気投合する。東京駅で彼氏と出会い、専門学校時代の友人に会った奈々は有耶無耶のうちにナナと別れてしまうのだが。彼女たちはエレベーターの無い激安物件~7階の「707」号室で再会することになる…。

青春もののお約束を踏んでいるからこそ、『NANA』ファン以外の映画ファンの心も掴んだんだろうなぁと思います。そこはやはり、外せない要素を抑えつつも現代の感覚・価値観で換骨奪胎した原作者・矢沢さんの力量があってこそなんでしょうけど。

青春もののお約束と言えば、一般的に『挫折』と『成長』と言われています。勿論テーマ、あるいは物語の展開としてはそうなんですが。人間関係で言えば、『正反対同士の出会い』が重要なんじゃないかなぁ……と思っています。それまで比較的均質だった人間関係から、まったく異なる価値観の中に足を踏み入れていく思春期後期から青年期。それを端的に現すのに擬人化(?)されるのが『正反対の個性を持つ親友どうしの二人』だと思うんです。ナナとの出会いによって、「彼氏」だけが夢と信じて疑わなかった奈々(ハチ)に自分の力で生きるという目標ができる。一方、奈々(ハチ)との出会いによって、孤高の人として振舞うことで自分の感受性を守ってきたナナが柔らかい女性としての成熟を表に見せるようになる。
もう一つ、親友同士が『擬似きょうだい』的であることも、お約束の一つかと。男同士の親友が『擬似兄弟』的であるのに対し、彼女たちの友情も、とても『擬似姉妹』的。奈々の失恋を慰める為にナナが添い寝をするシーンや、トラネスのライブがあった次の日二人で化粧をしながらナナがレンと撚りを戻したのか尋ねるシーンなんか、「可愛いのぉ~」と思いながら見ていました。肉親や家族には遠慮する部分を、親友になら言える。それでも他人は他人。そんな伸縮自在(?)の距離感が、心地よくもあり、寂しくもある。

さて。個々の細かい点ですが。
1.NANAファッションはセンスはいいけど、実際に着るとやっぱ浮く(爆)。
わ~、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさ~いっ!でも、ブラストメンバーの中にちょこんと奈々がいると、マスコットガールのようで可愛いと思ってしまう(笑)。
2.ヤスさ~ん、弁護士じゃなくて○ヤの人と間違われない?
再度。わ~、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさ~いっ!でも、今回出てきた人たちの中で、一番好きなのはヤスさんです。
3.成宮くん、いい味出してる役にめぐり合えてよかったね。
成宮くんが出た作品は、あまり見たことがないですが。蛙が見る作品は何故か、どこまで行っても「可愛い成宮くん」だから……。またまた。わ~、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさ~いっ!でも、今回はノブくんの役で、可愛いだけでない魅力が出たことは良かったと思います。

章司と別れてからの奈々が、「可愛いだけの女」から「本当に可愛い女」に少しずつ変わって来て、こちらもノッてまいりました。映画評価は今回抑え気味ですが、続編が出たら見るかもです。

蛙的映画ランク:C+

『運命じゃない人』~純情バカは日本を救う?

2005-10-11 22:26:44 | お話大好き・映画編
個人的には、前回『サマータイムマシン・ブルース』でイマイチ趣味に合わず笑えなかったことで、「しまったな…」と思っていたのですが。今回は笑えました。『サマタイ』は、舞台向けの笑いを映画にアレンジしきれなかったところが、マイナスだったんだろうなぁ……。
公式サイトはこちら

★あらすじ★
超ド級のお人よし男・宮田は、出て行った恋人・あゆみのことがまだ忘れられず、仕事用PCでぼんやり彼女の写真を眺める有様。親友で探偵をやっている神田に突然呼び出されやってきたレストランには、婚約破棄され重すぎる荷物と軽すぎる財布を抱え寂しさに途方にくれる桑田真紀がいた。
一人ぼっちの真紀に神田が声をかけ、宮田といい雰囲気になるようにお膳立てするが、何故か神田自身はドロン。真紀の身の上を聞き、家に泊まるようにすすめる宮田には、下心ゼロ。マンションで失恋話をし、どことなくいい雰囲気になったのだが、何故か元カノ・あゆみが突如現れる。
「ちょっと勝手すぎるんじゃないですか?」
精一杯の啖呵を切って飛び出す真紀を追いかける宮田。真紀が乗ったタクシーを強引に止めて、ついに純情男は次なる恋の鍵・真紀の電話番号をゲットした……のだが。
実はその裏には、親友と、ヤクザの組長と、元カノのハードな一夜があったことを彼は知らない…。

それにしても、これでもかっていうくらい「平凡」且つ「超お人よし」を演じられる、空気の希薄さと個性を両立させられる人材がいたもんだ!そもそも、よく見つけたもんだ!……と、宮田君役の中村靖日さんとスタッフさんに感心しきりでした。
さて、ここから先はネタバレナシでは語れませんので。スペースを空けさせていただきます。
















こんなもんでいいかな?
この映画のキャラクター設定では、「宮田くん=日本一いい人」となっていますが。どうしてどうして。神田さんと言い、組長と言い、あゆみさんと言い。どいつもこいつも、お人よしです(笑)。あゆみさんが詐欺師であることを調べ上げた神田さん。しかし、宮田くんが傷つくからという理由で暴露することができない。彼女の為にマンション購入した宮田くんの浮かれるサマを撮った写真も渡せず仕舞い。同じく宮田くんを傷つけない為という理由で、あゆみさんの逃亡に手を貸します。(100万の謝礼は要求するけど)
一方組長さん。子分たちをひきつけるために用意した、表裏二枚だけが本物の札束(見た目2000万相当)をあゆみさんに持ち逃げされますが。子分たちにばれないように回収できさえすればOKで、それ程手荒なことをする気はサラサラありません。組長曰く、死体の処理には金かかるしね(爆)。神田さんの「あゆみ調査ファイル」をもとに宮田君のマンションに侵入したときも、ベッドの下に隠れながら彼の失恋話を同情と呆れと、ちょっとばかしの共感をもって聞いている。真紀ちゃんが偽札束を見つけて荷物に詰め込むところを見ても、苦笑するだけで見逃します。
そして、あゆみさん。神田さんも組長も散々振り回す強かお姉さまですが。悪運つきて組長の車に乗せられ、詐欺のマネージメント契約の話を持ち出されたときに車窓から見えたのは、真紀ちゃんの電話番号を聞きだしてガッツポーズをする宮田君の姿。その姿をニヤリと笑って見送る彼女。「好き」ではないけど、「かわいい」と思う男に向けた悪女微笑みだったんでしょうね。真紀ちゃんに非難されたときも、少しは本気でムっときたんじゃないのかなぁ、と思います。
結局、一番しっかりしているのは、冒頭ボロボロだった真紀ちゃんらしい(笑)。
同じ時間軸がパズルになっている映画で、『サマタイ』と『運命じゃない~』では、完全にこちらに軍配を上げます。私は。時間軸構成の緻密さという点では『サマタイ』の方が上ですが。心情の描写や人間関係の絡み方では、こちらのほうが断然上なので。

蛙的映画ランク:B+

ついでの映画予告ワクワク度判定’05秋編

2005-09-14 08:56:45 | お話大好き・映画編
時々、映画の予告編って本編よりも面白いんじゃないかと思うことがあります。
それに、映画のポスターやチラシも昔から好きで。絵葉書屋に言っては映ポスター葉書を買っていました。デザインが綺麗ですから。
それでは、一部既に上映が始まった作品も含めて。勝手に2005年10月14日現在での映画予告判定。
蛙的映画予告ランクは、こちら。

『タッチ』…C+
動く予告が出るようになって、マウンド上達也と和也の二人が投げるシーンなんかはいいなぁと思うんですが……。ごめん。やっぱりアニメ&原作の印象が強い。でも蛙の中では、Dランクから競りあがっていきました。

『チャーリーとチョコレート工場の秘密』…B-
原作は面白いかと言われると、面白い。でも、個人的に後半のただいい子にしているだけで何もしないうちに勝ち残ったチャーリーが気に食わない(爆)。
映画なので、もうちょっと積極的な子になっているみたいですが(笑)。

『頭文字D』…C
吹き替えっぷりが香港映画といえばジャッキーだった頃を思い出させて、笑える。
それがなかったら、Nだった(爆)。
(車オンチなので原作にはついていけなかった模様)

『忍 SHINOBI』…B
仲間ちゃんも、オダギリくんも、時代劇口調で口が廻っていないシーンばっかり出ているような(笑)。山田風太郎色が強そうなら、見るかも。日本版『英雄 HERO』なノリ?
公式サイトは、結構工夫されている方だと思う。

『ルパン』…B-
レトロ探偵小説ファンとしては見たいが、ルパンにおけるホームズの扱いにブチ切れた典型的ホームズファンの蛙(笑)。果たして、観にいくかどうか……。

『がんばれ!ベアーズ』…C
ヘンテコで面白いけど、磨けば伸びる子供たちと、今はやる気が無いけどかつては凄い奴だったという大人の話は、趣味です(笑)。
だ・け・ど。予告編からは子供たちの個性がイマイチ伝わってこないので。

『8月のクリスマス』…A-
本来N(選外)ですが。ロケ地近隣のよしみで(爆発)。
でも、お婆ちゃんが自分の遺影用の写真を撮りに来るシーンは、ぐっときました。

『蝉しぐれ』…A
ドラマでははまりました。映画も面白いといいなぁ。
きっと観にいきます。

『運命じゃない人』…A-
キャラクター設定はイマイチ好みではない。それでも話の構造が面白そうなので、結構ひかれています。
『サマータイムマシン・ブルース』といい、パズル的なストーリー展開に弱いかも。

『ALWAYS 三丁目の夕日』…A
すんません。予告編見て、うるうるきてます(爆)。
H○K朝ドラ『てるてる家族』がお好きな方には、お勧めできると思います。多分。

現在様子見中作品
『鳶がクルリと』『メゾン・ド・ヒミコ』『まだまだあぶない刑事』『春の雪』『Mr.& Mrs.スミス』『あらしのよるに』『SAYURI MEMOIRS OF A GEISHA』

『サマータイムマシン・ブルース』~夏の映画リレーその5

2005-09-12 22:18:02 | お話大好き・映画編
蛙の縄張りの映画館では、映画のリモコンを持っていくと割引で鑑賞料1000円フェアをやっていました。あなたの街では、如何ですか?
蛙の夏映画アンカー(?)、『サマータイムマシン・ブルース』です。

★あらすじ★
ある地方大学のゆるゆるサークル・SF研究会は、部室同居中(?)の写真部の被写体になるため、3対2+1匹のヘボ野球をプレイ中。タルい汗を流す為、SF研一同は銭湯へ。写真部女史は暗室へ。
風呂に入っている間、愛用の「ヴィダルサスーン」が無くなり、部員・新美は大暴れ。
妙なもの収集家の石松は、薬局のマスコット・ギンギンを失敬。
甲本は密かに想いを寄せている写真部・柴田をデートに誘う為、SFオタクの館主が経営する映画館で超B級映画チケットを購入。
番台のオバサンからは妙なことを言われ、管理人のおじさんとかみ合わない会話を交わしつつ部室に戻るメンバーたち。
遅れて戻った甲本だが、何故かサークル仲間から裸踊りを要求される。ワケが分からないままでいると、「こうやればいいじゃないですか~」と手を振った勢いで曽我のアイスが飛び出し石松の眼鏡にヒット、その連鎖反応で新美が持っていたコーラがこぼれ、クーラーのリモコン昇天。
次の日。リモコンは直らず、ゴミ捨て場の扇風機を漁ってみるが、ボツ。部室に戻ると、怪しい男と奇天烈な機械がそこにあった……。

地方大学のやる気ナシナシサークルって、こんな感じだよなぁ~。懐かしいノリです。
これが、「昨日」と「今日」を行き来する話だと知っていれば、冒頭一日目のカメラワーク等で何処に伏線がはられているか、場合によってはどういうオチかも見えてきます。いうなれば、パズルのピースと大まかな全体図は与えられた状態になります。二日目以降、自分が見たピースがどこにはまっていくかを楽しむ、先を読むことを楽しむジグソーパズル型映画でした。
実は一番期待していた映画ですが、正直、期待が大きすぎたかな、と。良くも悪くも、小粒な作品です。タルくて軽いノリが好きな方どうぞ。見る人を選ぶ、ミニシアター系。
上野樹里ちゃんが可愛かったから、許す(爆)。目立たなかったけど。
真木よう子ちゃんも、一見クールで実は面白い女の先輩(?)で可愛かったです。

蛙的映画ランク:D+

『妖怪大戦争』~夏の映画リレーその4

2005-09-11 22:43:26 | お話大好き・映画編
この映画を見に行ったときは、『マダガスカル』にしようか、こちらにしようか迷ったのですが。Маняさんの影響を受けて、なんとなくこっちに。影響受けやすいねぇ(笑)。

★あらすじ★
両親の離婚でタダシは母の実家がある鳥取にきていた。母は忙しく家を空け勝ち、東京の父は口では気にかけてくれているというが実際には会いに来てくれる様子もなく、地元の子供たちとも馴染めない。姉との電話だけが、タダシの心を慰める時間だった。
明後日からは夏休みという日、神社のお祭りでタダシは「麒麟送子」なるものに選ばれる。世界に平和をもたらす子供だということだが、タダシは半信半疑。クラスのいじめっ子たちから大天狗の山に聖剣をとりに行かなくてはならないと聞かされたタダシは、勇気を振り絞って山に向かうが……。

Маняさんのお勧めということもあったのですが、プロデュース「怪」のメンバーに興味を持ったというのが大きかったです。宮部さん、京極さん、ありゃまたさん(笑)。これだけなら「面白そうな面子だな」で終わったと思うんですが、そこに水木しげる御大が加わったもんだから、かなり気持ちが見たい方面に傾きました。
映画冒頭部分は、それぞれの作家の持ち味が混ざりきっていない状態で出てきたというか。加藤登場シーンはそのままありゃまたさん(まだ言うか)で、麒麟送子の嘘くさく本当っぽいところは京極さん臭さを感じ、タダシくん&おねえちゃん、又は&おじいちゃんの健気さは宮部っちの少年ものを感じさせ……。(実際の担当は違ってたりして<笑>)
でも、バラバラに感じたのは最初の方だけで、ストーリーが進むにしたがって、段々雰囲気が一つにまとまっていきました。全体的に見て、パッとしないが心根だけは健気な子が、一風変わった仲間に支えられ、聖なる武器を手に入れて、成長していき……という少年もの王道ストーリーです。表現も岩に押しつぶされて紙ペラのようになる等、コミック的手法が使われています。ですがコミカルなシーンと、ホロリとくるシーン、シリアスなシーンの切り替えテンポがよく、売れっ子作家たちが参加しただけあるなと思いました。大人の為の童話……とまではいきませんが、大人も楽しめる作品です。

もう一つ、この作品に締まりがでている要因として、大人の存在があると思います。妖怪雑誌記者の佐田さん、そしてタダシのじいちゃん。彼らはあくまでサブキャストなのですが、その立場いながらも子供と妖怪たちを知らず知らず手助けしていく。あくまで子供が主役という姿勢を守りながらも、子供たちだけで世界が救われたなんていうような寧ろ子供を馬鹿にしたような安直さが無い点が好感が持てます。映画全体に、大人が子供の為に全力で作ったという空気があります。子供はどう感じるか分かりませんが。

そういえば、加藤にトドメを刺すのが、ある意味佐田さんと、じいちゃんと、それまでひたすらついてくるだけだった小豆洗いなんだよなぁ。圧倒的な実力で邪魔者を排除しながら、読みの甘さor詰めの甘さorイタコがノストラダムス呼ぼうが、卑弥呼呼ぼうが、ムハンマド呼ぼうが分からないような間抜けなオチで失敗する辺りが、やっぱり加藤♪
お約束と言えば、加藤助手のセクシーねーちゃん。栗山千明嬢扮する鳥刺しのアギが蛙のお気に入りキャラです。『バトロワ』や『キルビル』等で経験を積んでいるせいか、アクションは綺麗でした。二番目は阿部サダヲさんの川太郎。

ところで、このプロデュースメンバーで気になったのですが、宮部さん、京極さんとくれば「大極宮」トリオの大沢さんはいないの?いました。ちゃんと。ゴジラのパニックシーンを思わせる某役で(笑)。
他の「怪」メンバーもなんらかの役で出てくるのですが。男性陣はみんな妖怪役。何故か宮部女史のみ、人間・宮部先生として登場。いじめっ子の頭を躊躇いなく紙バサミで叩くシーンが印象的でした。
妖怪の大群の中に「うぶめ」もばっちりいる辺り、笑っちゃいます。うぶめと京極さんと水木さんは、今年の夏、2本も映画に関わったのか……。忙しいなぁ。
妖怪大翁として出てくる水木さんの台詞は二言三言なんですが、経験者だけあって、抜群の説得力でした。「戦争は絶対いけません。腹が減るだけです」

蛙的映画ランク:C

『ヒトラー~最期の12日間~』~夏の映画リレーその3

2005-09-10 21:28:36 | お話大好き・映画編
見ていて、肚が重くなってくる映画でした。しかし、見てよかったと思います。機会があって劇場で観ないと、TVやDVD、ビデオでは逃げていたでしょうから。
『ヒトラー~最期の12日間~』です。

★あらすじ★
ナチスの総統秘書官募集に応募した若いタイピスト・ユンゲは総統ヒトラーの面接に望んでいた。カリスマ的指導者は、きっちりと髪を撫で付けた小柄な男で、愛犬家、緊張する彼女にユーモアをもって応える人物だった。
合格から2年の月日がたった。戦況は明らかに劣勢、首都のすぐ近くまで連合軍が迫っている。側近と幹部たちは浮き足立ち、ヒトラーの出す指示も、次第に非現実的でヒステリックになっていく。ユンゲは瓦解の予感を感じつつも、最後までヒトラーに従うことを決心する。

タイトルは『ヒトラー…』となっていますが、むしろベルリン陥落直前に首都に残った人々の記録と言うべきだと思います。ヒトラーは残った一人にすぎない。現に、ヒトラーが死んでからの話が長かったです。
敗戦濃厚になった社会というのは、どこも変わらないようです。保身に走り始める幹部たち、国民を守ることよりも敗戦の屈辱を思う軍人、一見現実主義に見える者も破れかぶれの乱痴気騒ぎに溺れ、真面目で純真な者ほど権力者の御託を妄信する。首都まで敵軍が迫れば負けだという、簡単な事実を受け入れられなくなっている大多数の人々。

人間としてのヒトラーを描くというのが、この映画の題目ですが。ヒトラーという一個人よりも、むしろ権力のメッキをはがされていく人間の過程といった方が正しいと思います。彼の無茶な大逆転作戦は、彼自身そんなことが可能だとは考えていなかったからこそ軍部に激しく責任を転嫁し、自分自身を騙そうとするからこそヒステリックになっていく。一方で、自分の死に支度は着々と準備を進め、自分と愛人エバの遺骸が骨の一片たりとも連合軍側にわたらないように手配する。ユンゲをはじめとする、ごくごく身近な者には安全なうちに逃げるよう配慮を示すが、国民全体に対しては負ける者に用は無いとばかりに切り捨てる。

幹部たちの最期も壮絶でした。保身の為、さっさと逃げた奴らはまだいいのですが。首都を離れることを願い出て許されず、夕食のときに何も知らない家族を道連れに爆破心中するもの。首都を離れると言いながら自暴自棄で女と一緒にいたところを捕まって、反逆の疑いで銃殺されるもの。
一番悲惨でグロテスクだったのは、ヒトラーに忠誠を誓った宣伝大臣とその一家で。ヒトラーの死後も彼の思想を疑わず、彼を賛美する内容の遺書を残し、一家心中をします。何も知らない子供たちに毒を飲ませる為睡眠薬を飲ませようとしますが、一人だけ大人たちの異様な雰囲気に気づき嫌がります。子供たちが眠っている間に毒のアンプルを噛ませたのは夫人で、自分の子供を手にかけていきます。夫である大臣は、このことに関しては全て夫人にやらせる弱さ、卑怯さを見せます。最期はヒトラーの遺体を焼いた要塞出口近くで、銃により自殺。

ユングは彼らの死後要塞を後にするのですが、そこで自分が見た惨状も結局は守られた者のそれだったことを思い知らされるのです。
一人でも多くの連合軍兵を倒すと言っていた少女は、もうどうにもならないとなると、まだ若い兵士に自分を銃殺させ、また彼自身も自殺します。先の大戦で負傷し戦争に反対する父をもつ少年兵は、恥としていた父のもとに帰ります。
民兵などに少しでも非協力的な態度を見せれば、たちまちつるし上げにあい、私刑を加えられた死体が街頭に転がる。

誰もが正気を失ったような世界で、ごくごく一握りの人間だけが、理性と自らの職務に対する信念を保ち続けました。畑違いであろうが医者であるかぎり出来る限りの医療を施そうとする軍医、無駄な戦闘を回避しようとする司令官、少なくとも首都脱出までは公共施設の破壊命令を無視し続けた大臣。しかし、市民を守るには、あまりに少なすぎる一握りです。その少なすぎるということを、隠さずに描いている点が、恐ろしい。

これは、決してドイツのみの過ちではない。また戦前・戦中のみの過ちでも、敗戦国のみの過ちではない。人と国家なら、どこが犯してもおかしくない罪なのだということを学ばない限り、同じ失敗を繰り返すおそれがあります。
ラストには、役者ではない実際のユンゲ女史がメッセージを残します。ユダヤ人虐殺については自分は知らなかったから罪が無いと思っていた。しかし、自分と同じ年に生まれ、秘書官をしていた頃に死んだ人の名前を見て、それが間違いであることに気づいた。

蛙的映画ランク:A-

『ロボッツ<吹き替え版>』~夏の映画リレーその2

2005-09-09 22:49:58 | お話大好き・映画編
二つ目は、『ロボッツ』です。

★あらすじ★
ロボットたちの小さな町に住むコッパーボトム夫妻は、赤ん坊をこしらえようとしていた。何とか手に入れたベビーキットと、自分たちの両親形見のパーツ。二人は力を合わせ、元気で聡明な男の子・ロドニーが生まれた。
全てのロボットたちにとって憧れの的は、ロボット・シティのビッグウェルド博士。彼の「誰にでも輝くチャンスはある」という言葉は、多くのロボットたちに勇気を与えていた。ロドニーも彼の影響を受け、両親を助けるために発明を始める。しかし、父親の老いの姿を目の当たりにし、また馬鹿にされるのを見て、ロボット・シティへと旅立ち、名を挙げる決心をする。

画面の動きが面白いです。台所用品や子供のおもちゃを観察しながらロボットの動きや機能を考えたんだろうなぁというのが伝わってきました。ユニークな動きをする物体を作ることに関しては、アメリカアニメは本当に上手いなぁと思います。

動きは面白いんですが、ストーリーがあまりに説明不足。いえ、話の筋は繋がるんです。でも、背景が見えてこない。例えば、ラチェットは何故母親の言いなりなのか。単なるマザコンエリート男?そのラチェットの母、マダム・ガスケットは何故中古ロボット解体に燃える?自分が何より中古で錆っぽく見えるのに。ビッグウェルド博士は何故唯々諾々と幽閉された?ロドニーの相棒・フェンダーの妹、パイパーは最初彼に思いを寄せていたのに、何時ごろからキャピィーを認めるようになった?こういったところをつめていけば、大人の鑑賞にも堪える作品になっただろうにと思うと、残念です。
あと、細かいシーンでも、「違うだろ~」と思うことが何度か。例えば、コッパーボトム夫妻のロドニー子育て。夜泣きを止ませる方法というのが、赤ん坊ロドニーの耳の横のツマミを廻すこと。いや、そりゃ、親の本音としては、そうであったら楽だなぁとは思うかもしれないけど。人間の育児書にあたる、抱っこしてあやしてあげましょうとか、ビニール袋をこすって音を出してあげましょう、に当たるかもしれないけど……。子育てって、そんなモンじゃないでしょ?経験無いけど。と、思いました。

もっとも、映画ファンサービス的要素は一杯あって。「雨に唄えば」のパロがあったり、「オズの魔法使い」のブリキ君が出てきたり、「スターウォーズ」のダース・ベイダーのとっさまが出てきたり……。他にもあったかな?親子で見て、「あれ分かる?」と子供に聞くのも、面白いかと思います。

ところで、アメリカン・ドリームの象徴とでも言うべきビッグウェルド博士が、大量生産大量消費主義の象徴でもあるラチェットに幽閉されていたという構図は、現在のアメリカの悩みなのでしょうか?日本人が、最近やたらと藤沢周平作品に「日本人の心」なるものを見出そうとするように。

蛙的映画ランク:D