蛙の掘立小屋~カエルノホッタテゴヤ~

蛙のレトロ探求と、本との虫と、落語と、日々の雑事。

落語地方公演の贅沢~ふるさと名人寄席

2005-10-22 08:53:20 | 落語ちっく・ライフ
石川県芸術文化協会(略して芸文協)のビエンナーレいしかわなるものの一環として行われるふるさと名人寄席に行って来ました。要は、県内の文化・芸術に関する施設や団体が合同で開く、2年に一度の文化祭みたいなモンなんですけど。
果たしてこれが、主催者の言う「寄席と地域文化の融合」になったかどうかは、無視して(笑)。バラエティー豊かな寄席でした。

金沢以外でも、小松、七尾で公演が行われます。七尾は今月30日ですので。周辺地域の方、能登空港まで飛んでorJR七尾線に乗って観にいくガッツがある方、是非どうぞ。
それまでは、単純にいつでも寄席にいける東京・大阪・名古屋の人が羨ましいなぁと思っていたのですが。先日圓歌師匠のCD『中沢家の人々』 完全版の「1時間以上に及ぶフルバージョンで収録」「 完全版『中沢家の人々』はここでしか聞けません!」という売り文句を見て。こちらの公演のときを思い出し、時計は見なかった(というか、時間を忘れた)ので分かりませんが、40分は話していかれたような気がしました。そうか……地方の公演だからゆっくり喋ってくれるのかと思い直し、地方人は地方人の落語を楽しもうと思った次第です。

さて。今回の公演も、中々バラエティーに富んでいました。鈴々舎馬風師匠、柳家三語楼師匠、鈴々舎馬るこさんといった馬風一門が中心になっていますが、そこに地元出身の柳家一九師匠、変わったところで橘右楽さんの寄席文字実演が加わります。

・先ずは、「開口一番」鈴々舎馬るこさん
この方の「寿限無」は、何と「韓流寿限無」。お寺の和尚さんに相談に行ったお父さんが、最初は日本古来(?)の「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ~」の名前を貰うのですが、もうちょっと今風の名前が無いかと聞かれて出してくるのが韓国語で言った寿限無。
最初の「じゅげむ」が「スハンム」になるのは、まだ信じても良い気がしますが、その後の何を言っているかわからないハングルもどきと、合間合間にはさむ「ペ・ヨンジュン」「ケ・ウンスク」「チャン・ドンゴン」に爆笑。しかも「冬のソナタのDVD」と、バッチリ日本語が混じっていて、締めは「ヤキニクハガスノヒヨリスミダ(焼肉はガスの火より炭だ)」ときたもんだ。冬ソナDVDは、良く売れるから縁起が良いとか。
もう一つお得意のギター都都逸(?)も披露。開口一番らしくない豪華さでした。

・「寄席文字実演」橘右楽さん
是非一度、寄席文字(『笑点』の大喜利でかかっている大きな額を思い浮かべてください)を書くところを見たかった。こういうリクエストを聞いてやってもらう実演って、ツラがなめし皮のような……失礼、経験豊かな多少のことでは動じない御婦人が強い。「蛙」という字をリクエストしたかったんですが、さりげなく(?)画数が多すぎず少なすぎずが良いとか言われると、小心者は引っ込むしかありません。
お仲入りで、お足をだして、噺家の「噺」を書いてもらいました。(って、もっと画数多いじゃん!)
それにしても、あめの俵屋の「飴」の字が、師匠・橘右近さん(←本当に『笑点』の字を書いた方)とは知らなかった。俵屋の店員さんも知らないらしい(笑)。

・「天狗裁き」柳家一九師匠
ネバーエンディング落語の代表、『天狗裁き』を聞かせていただきました。良くも悪くも渋めで落ち着いた語り口でした。爆笑ではないのですが、クスリ、ニヤリと笑わせて、何となく北国人らしさを感じさせました。亭主の寝顔を「昔は可愛げもあったのに、今じゃ締まりが無い」と言ってブツくさいうおかみさんの仕草やなんかも抑え気味で、嫌味がありません。
ところで、落語協会のプロフィールでは「金沢出身」となっていますが、「宇ノ気(現、かほく市)」出身であることを公表していた一九師匠。何故、いつのまに金沢になったんだろう?会場には、師匠の同級生が見に来るという嬉しいハプニングもありました。これも、地元ならではの楽しみ。

・「茶の湯」柳家三語楼師匠
金沢はお茶が盛んということで選ばれたのでしょうか。お茶を知っていようがいまいが、明らかにおかしいご隠居と定ちゃんのお茶は、誰でも笑えるお話です。だって、お茶はおを使うから、「お茶」なのに。青きなこ入れてどうすんの?しかもあわ立たないからって、石鹸の代用品・椋の皮を入れるってどうよ?……多分、青きなこまでなら飲めたと思うんですが…。実験してみる?(爆)
枕のもっていきかたがお上手でしたので、今思い返すと小さん師匠との地方公演思い出話から何時の間に「茶の湯」になったのか、思い出せません。

・お仲入り
ここで、蛙は特設コーナーで寄席文字を注文してくる。注文を受けていたのが、若い可愛らしい女性のお弟子さんであることに驚きました。

・「馬風歌謡ショー」鈴々舎馬風師匠
この師匠は二つ目のとき「かゑる」さんだった(笑)。親近感、親近感。
先ずは時事ネタや、落語界へ愛ある毒舌で笑わせた後、カラオケメドレーへ。毒舌ネタには、やっぱり愛が無いと笑えない。愛の無い毒舌は、笑えたとしても、聞いてる方の心もドス黒く染めてしまう。
落語家さんは芸を磨くために、様々な芸事やスポーツを嗜まれる方が多いのですが。歌がお上手な方も多いですね~。馬風師匠の場合、それで一つのネタを組み立ててしまうんだから。本当に、芸にしてしまっています。
歌謡ショー突入で、鈴々舎馬るこさんバック(?)ダンサーとして、再び登場。師匠は歌で笑わせ、弟子は踊りと仕草で笑わせる。二人の息がぴったりあった高座(ちゃんと高座で踊るんです)で、見ていて気持ちが良かったです。邪道と言えば邪道かもしれないけど、こういうトリも偶にはありかな?と思いました。

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2 コメント

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地方らしい寄席もいいなぁ (天和斎)
2005-10-26 06:01:21
うわー、なにげに豪華な内容の寄席でしたね。

寄席文字の実演販売(?)なんて、地方だからこそできるのんびりした企画だと思います。わたしだったら「北大通り工房」をオーダーして、サイトのタイトルにしますね。

金沢行ってみたいなあ…。仕事で金沢の話を担当したり、雑誌で読んだりしてすごく気になってます。
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寄席文字の相場はいくら? (フロッグ)
2005-10-26 22:37:04
はい。あくまで「何気」に豪華です。地味にひっそり、豪華です。(言い方変)

ちなみに、今回の寄席文字実演は、色紙一枚に一文字ときまっていまして。一枚の揮毫料(というのかな?)が1000円でした。ご参考までに。……ちなみに、飴の俵屋はいくら払ったのかなぁ?



金沢ですが、もし蟹がお好きなら、ズワイ解禁日をお勧めします。その辺りが、一番安いです。お勧め金沢グッズは化粧用清酒(笑)「すっぴん」と。化粧直し専用に使うといい感じ♪の「箔打ちあぶら取り紙」です。食べ物はお勧めがありすぎて、追いつきません。
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