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蛙の掘立小屋~カエルノホッタテゴヤ~

蛙のレトロ探求と、本との虫と、落語と、日々の雑事。

THE ブックトラック漁り

2005-08-25 22:24:49 | お話大好き・小説編
一旦返却した本が、どのように本棚まで返されるか。
他所の図書館では分かりませんが、私の町の図書館では、先ずブックトラックに載せます。ブックトラックとは、横1メートル20ぐらい(?)三段の本棚にカートの車輪がついたようなもので、大量の本を本棚に入れたのに近い状態で運ぶことが出来ます。本はある程度カウンター内に貯めておき、お客様の出入りの様子を見て、少しずつフロアに出していきます。そうして、書架整理の時間になったら、それを押し転がして配架に行きます。
来館者は配架されるまで、自由にブックトラック上の本を閲覧・貸し出しできます。

運びやすく、本を傷めないというのが、図書館側の利点ですが。
利用者の側から見たブックトラックの利点は、「他人」の借りた本が、「雑然と」置かれていることです。
意識的に新しいジャンルや作家を開拓していく活発な読書家は別として、飽きが来ない限り自分に馴染みのあるジャンルと作家ばかり選ぶという傾向がよく見られるようです。読書好き同士の会話で、「あ~、その作家読んだことない」「そのテのやつ苦手だし」といった言葉を、よく聞きませんか?斯く言う蛙もそんな奴です。
科学だとか、行政、健康、家政、建築学、スポーツ、エッセイなど等……自分が普段読まないジャンルの棚へ足を運びはするのですが、いまひとつ面白そうに見えない。慣れないジャンルだと、沢山ある本の中から自分の感性に合う本を探し出すアンテナが鈍ってしまう結局疲れて、新分野開拓の野望は費えてしまいます。
人間の意識・認知というものを考えれば、当然の結果ですが。

一方、ブックトラックは、他人の視点で選ばれた本のオン・パレード。自分の目から抜け落ちた本が一杯です。大雑把な分類だけされた状態の本が、多すぎない程度に並んでいるので、見ていて疲れるということもありません。
図書館勤めの友人は、
「お客様に色んな本があることを教えてもらっている」
と言っていました。一見外れが多そうですが、掘り出し物の山でもあるのです。(但し、早い者勝ち)

そんなこんなで、今日蛙があさってきたのは、和服の文様の本でした。探しているときに限って貸し出し中だった本です。かといって、無理に予約かける程でもなかったり(苦笑)。
とりあえず、ぱらぱらと捲って、参考になりそうな文様を調べようかな。

おいらの番が来た!BOOK BATON

2005-07-27 22:01:39 | お話大好き・小説編
……まさか、自分に廻ってくるとは思わなかった……(大汗)。ローズマリーさんからバトンを頂いてしまったので、一応頑張ってみます。

今読んでいる本

アガサ・クリスティ 深町眞理子訳
『さあ、あなたの暮らしぶりを話して』Come,Tell Me How You Live
早川書房 クリスティー文庫85
ハネムーンはオリエントで発掘を。他世界に対する理解と無理解の自覚と寛容。今、世界に必要な本の一冊だと思う。

小栗虫太郎 
『日本探偵小説全集6 小栗虫太郎集』
東京創元社 創元推理文庫
同時進行で少しずつ読んでいます。『黒死館~』を(苦笑)。
↑を読み直そうと思ったいきさつは、こちら

最後に買った本
なんだっけ?(汗)
ティー・エム・システムズ
『できる式 パソコン検定試験3級問題集2005年度版』
インプレス
……だと思います。いや、がんばってみよっかなということで。

よく読む作家、または思い入れのある作家 5人まで
コナン・ドイル
横溝正史
江戸川乱歩
アガサ・クリスティ
内田康夫

……あ。埋まっちまった(苦笑)。しかも、探偵小説ばっか。
思いついた順です。他にもいっぱいいます。

よく読む、または思い入れのある本 5冊まで
イザベラ・バード 高梨健吉訳
『日本奥地紀行』Unbaeten Tracks in Japan
平凡社 東洋文庫240
国際交流の何たるかを教えてくれる本。
必要なのは、盲目的愛着でも、まして盲目的反発でもない。先ず自らの確固たる判断基準を持つこと。その基準に忠実に、ありのままに異世界を見ること。

江戸川乱歩
『押し絵と旅する男』
私のベスト・オブ・乱歩。

横溝正史
『獄門島』
私のベスト・オブ・横溝。

中井英夫
『虚無への供物』
名作です。未読な方は是非。

川原泉
『笑う大天使1・2』
白泉社 白泉社文庫
毛色の変わった子羊たちの、どたばたのほほんで純な青春。
親友と三羽烏状態。なつかしい。
それぞれの道をしっかり歩む、彼女たちのエンディングに拍手!

バトンは……えーっと。
マーニャさん、お願いします!

使ってみたさ、書店くじ

2005-06-29 20:55:17 | お話大好き・小説編
何とか思い出したので、使ってみました書店くじ。当たったのは4等、100円引きです。
くじを貰ったお店へ、るんたった♪短編ミステリーな気分だったので、文庫本を一冊選びレジへ。

レジねーちゃん:「いらっしゃいませ」
蛙:(先ず本を渡す。それから)「すいませーん。これ使いたいんですけど」(と、書店くじを差し出す)
レジねーちゃん:(一瞬動きが止まる。無声の「え?」が聞こえた)「…………」
蛙:(「あれ?期限過ぎたっけ?」と段々不安になってくる)「…………」
レジねーちゃん:(我に返る)「少々お待ちください」(そうして、あちこちひっくり返す)
蛙:(「あ、あのー。当選番号のポスター、レジのカウンターに貼ってあるんだけど……」と思ったが、どう言ってよいか分からず)「……」
レジねーちゃん:(安堵の笑顔で)「こちら4等100円引きですね」
蛙:「はい」
レジねーちゃん:(バーコードを読み込んだ後、電卓で計算して)「それではこちら○△◇円になります」
蛙:「はい。○△◇円ですね、ちょっと待ってください」
レジねーちゃん:「あ、恐れ入りますお客様」
蛙:「はい?」
レジねーちゃん:(ボールペンを差し出して)「裏面をご記入いただけますか?」(書店くじには、氏名・年齢・住所等書く欄があった)
蛙:「……全部書かなきゃいけませんか?」
レジねーちゃん:「はい。申し訳御座いません」(ねーちゃん機嫌よくレジを打つ)

うん。記入欄があるのは知っていた。でも、わざと書かなかったんです。だって、一等のスペイン旅行ならまだしも、100円と個人情報、等価交換する?しないよなー。
でも、「なら使いません」と言ったら、ねーちゃんをイジめているようなので、おとなしく書きました。嗚呼、何て善蛙(おひとよし)なんでしょう!

でも、来年からは使わないようにしようかな。日本書店商業組合連合会さん、むやみに個人情報を記入しなくともよい方法を、ご一考ください。

敗者の言い分『日の名残り』カズオ・イシグロ

2005-06-23 20:53:33 | お話大好き・小説編
今朝、沖縄戦慰霊祭のニュースを見ながら、今日の話題はこれにしようと決めました。カズオ・イシグロの『日の名残り』です。

★あらすじ★
昔ながらの英国領主館・ダーリントン・ホールでアメリカ人の主人・ファラディを相手に執事を勤めるスティーブンス。先代の頃にいたような、訓練された女中や使用人もなく、新しい主人がどのような奉仕を求めているのかも今ひとつつかめない。
ある日、ファラディは自分が留守の間、スティーブンスにも旅行に出かけるように奨める。そのとき彼の脳裏に浮かんだのは、かつて女中頭として自分と共に先代に仕えたケントンだった。彼女となら、もう一度、執事として素晴らしい仕事が出来るかもしれない……。
彼女に再びダーリントン・ホールで働く気があるか確かめる為、スティーブンスは6日間の旅に出る。

アンソニー・ホプキンスが出た映画は見ていません。大昔、ビデオに撮ったけど(え?)。そのビデオは我が家の何処かで発掘される日をまっています。ネットで調べたところ、原作と「見せる」順番を変えて、ストーリーのニュアンスも違っているようですが。見ていないものは仕方が無いので、原作のみの視点から書かせていただきます。
この作品を読んで感じたのが、「敗者の言い分」というものです。スティーブンスの先の主人・ダーリントン卿はナチスに協力的な態度をとります。何故か。彼はナチス云々よりも、第一次大戦後のドイツの窮状に同情していたのです。敗戦国として背負いきれない債務を要求された国家と国民。ダーリントン卿は、それが公平、或いは実際的でないと見るだけの良心があったのです。それは勝者の驕りであったかもしれません、ですが酷薄と復讐よりは理性的であった筈です。卿は屋敷で重要な外交会議を幾度も開きます。……しかし、彼は、貴族といえども一アマチュアでしかない自分の外交能力の限界と、「ドイツの味方」として国民の為よりも全体主義の為に利用されつつある自分に気がつくことが出来ませんでした。第二次大戦後、彼を待っていたのは「ナチの協力者」としての非難の嵐でした。ダーリントン卿は、世間にまかり通っている「常識人」以上の知性があったが為に(だが、それは歴史を乗り切る人として充分ではなかった知性)、戦勝国の中の敗者となったのです。
この敗北の影は、卿が亡くなるまで使えたスティーブンスにも覆いかぶさっています。ダーリントン卿の死後、彼の執事だった男の弁護。しかし、それは旅日記の中という、何と執事らしく控えめで、また弱々しい弁護なのでしょう。しかも、スティーブンスは自らの執事哲学という言語を使ってしか、それを表すことが出来ないのです。
全てを執事哲学で語るスティーブンス。しかし、ケントンとの再会の後、彼が一人の人間として語る言葉が胸に迫ります。(そして、この時になってやっと、彼女の言葉も、一人の男性として受け止めるのです)
私にとって、これは「歴史小説」であり、「マイノリティー小説」であり、「英国小説」であり、勿論「恋愛小説」でもあります。抑制された物語ですから、テンポの良いものがお好みの方には辛いかもしれません。
敗者の言い分という点では『浮世の画家』を読んだことがあります。ですが、『日の~』の方が断然お勧めです。カズオ・イシグロの他の作品は、残念ながら未見です。

『日の名残り』について、Amazonではこう紹介しています。
映画についてはこちらと、こちらが詳しいです。
カズオ・イシグロの他の作品についてはこちらのブログをどうぞ。

私ぁやっぱりオチが好き・黒崎緑『しゃべくり探偵』シリーズ

2005-06-20 20:56:43 | お話大好き・小説編
蛙が好きなもののうちの二つ、「探偵小説」と「落語(お笑い)」。これらの共通点が見えてきました。それは、「キレイなオチ」です。しゃべくり探偵文庫第二巻のあとがきを読んで、はっとしました。

★とりあえず、しゃべ探ご紹介★
東淀川大学の保住くんは、黙っていればいい男(?)、しゃべりだすと止まらない。ボケてボケて、ボケたおす。そんな彼の相方は、同じく東淀川大学の和戸くん。ミステリーオタクネタや、年代を選ぶマニアネタも漏らさず突っ込む律義者。
しかし、この漫才コンビ、実はキレ者。和戸くんが観察眼を駆使してその状況を語れば、保住くんが洞察力でピタリと犯人を言い当てる。二人は人呼んで(?)、「しゃべくり探偵」!関西が産んだ、安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)の大活躍。

面白いですよ~。基本的に文章が会話のみで成り立っている。しかも、それが漫才のボケとツッコミ。ミステリーボケも満載で、探偵小説ファンはクスリと笑わずにはいられません。(ex.『奇妙なロック歌手』では、保住くんが結成したロック・バンドは「スペックルド・バンド(=ホームズの名作『まだらの紐』)」、「X」と聞けば「~の悲劇」と続け、「クイーンのメンバーをあげろといわれたら、フレデリック・ダネイとマンフレッド・リーのふたりしか、うかばない~♪」<エラリー・クイーンかいな…>という歌を歌うらしい)
勿論、推理の方も面白いです。

さて、シリーズ第二作の『しゃべくり探偵の四季』佳多山大地さんのあとがきですが。「意外なことに、ボケとツッコミから成立する漫才という話芸は、謎とその解明を骨子とする本格物のスタイルと似通っているのです。ボケというのはいわば<謎>にあたります。庶民的な日常の世界のなかに、唐突に飛び込んでくる非日常的な<ボケ>。ここで相方は<ボケ>を日常の理論に回収すべく<ツッコミ>を入れてやらねばなりません。」と指摘した後に、次のように述べています。
「保住君の推理した事件の真相というのも、二人の会話の中ではつじつまが合っているというだけであって、実際正しいかどうかは確認されない。(中略)肝心なことは、真偽ではなく、うまいかへたか。無味乾燥な真相に観客は拍手をくれません。少しくらい荒唐無稽であっても、ボケ役の最後の解答がうまければ、ツッコッミ役の茶々を凌駕した逆転勝利になるのです」
確かに、蛙は探偵が謎を解いていくカタストロフィは好きでしたが、平凡な生活を送っていた主人公が突如謎めいた状況に置かれるサスペンスは中々好きになれませんでした。だって、謎がスッキリ解けないもん。
探偵小説やミステリーコミックの謎本、ツッコミ本も、「ふーん、そう」という感じで読んでしまう。トリックがどれくらい厳密に出来ているか、あまり重きを置いていないタイプのファンです。
お笑いもそうです。オチのないギャグや、オチをつけないという点に笑いを見出そうとしている噺やユニットよりも、綺麗にオチた方が好きです。(別に←なタイプの笑いが嫌いなわけじゃありません)
昔、大技が多いポワロの方が、マープルより好きだったのも、ここら辺に理由があるのかもしれません。

昔、ゲームブックというものがあった

2005-06-12 22:13:23 | お話大好き・小説編
ゲームブックを手に取った方って、どれくらいいるんでしょう?
蛙の家は、家庭用ゲーム機が無い家でしたので、ファミコンなるものをしませんでした。(若い人に、「うひゃ、ファミコンだってよー」と言われそう?)
だから、友達の家に行って、後ろから見ているだけ。ま、見てるのもそれなりに面白いんだけど。

そんな蛙がよく買ってもらっていたのが、ゲームブックです。昔、書店のティーンズ向け文庫の近くにあったなぁ。青い背表紙で、ファミコンで出ているゲームをゲームブックにしたやつ。最初は推理系から入ったような気がする。『後ろに立つ少女』とか、『プロ野球殺人事件』とか。『オホーツクに……』とか。小学生時代の読書が推理小説から入ったことが、こんなところにも影響(笑)。
その後に、RPGに入った。RPGは長時間プレイしなければならないので、ゲーセンにある筈もなく、友達に見せてもらってもストーリー飛び飛び。その分、RPGに飢えていました。『イース』『ドラクエ』『FF』のゲームブックがあったんですよ。今から思えば、信じられない気もします。
ゲームブックには、それなりの面白さがあったんです。ゲームの脚本そのままでは選択肢に無理が出てくるので、ライターさんが脚色しなおさなければなりません。原作では村人Aでしかない人が、主人公をちょっと助けてくれたり、逆に困らせる人になったり。イベントアイテムをその前に使ってみる選択肢があったり。(ゲームブック版『イース2』でロダの実を食べてしまう選択肢があった。結果、リリアの薬が作れずゲームオーバー<笑>一回しか取れないなんて、聞いてないぞ!<爆>)
しかし、当然原作の需要に敵う筈もなく。所謂、「サウンドノベル」登場と共にその姿を消していったような気がします。まさに、「サンノベ」のシナリオ面でのご先祖様でした。

そんな昔のものをどうして思い出したかというと、シャーロック・ホームズを題材にした、大人向け(?)ゲームブックを発掘したからです。ベイカー街遊撃隊のリーダーだったウィギンスが若者になり、遊撃隊の後輩と力を合わせながらホームズの手助けをしていくシナリオです。……こう書くと、ジュブナイル全開なノリだな。ホームズ、ワトスンをはじめ、原作でちらりと聞いた名前がお助けキャラになっていたり、事件の鍵を探す為、アイテムに地図や新聞紙『タイムズ』が入っていたり。工夫満載です。
久しぶりに、未解決事件に挑戦してみようかな……。

書店にて、ものすごぉ~く矛盾を感じるとき

2005-05-30 21:03:23 | お話大好き・小説編
言うまでも無く、犯罪を奨励しているワケではありません。が。ちょっと変だなと思うことがあります。

音楽・映像データ無料コピー、裏コピーの雑誌を売っている書店が、
万引きは犯罪ですって、
言~えるかなっ、言っえっるっかな♪

別にマニア向けの書店にひっそり置いているなら文句は言わないんですけどねぇ。一般の書店で堂々と売りすぎじゃない?
文化という特定の形が無い産業を守るためには、消費者が自分の認めるだけの対価を払わなきゃいけないのに。同じブンカ屋で、金を払わずに済ませる=生産者の首を絞める方法を売るんだからサ。自分の店でやらせない代わりに、隣の店で合法的に(?)万引きする方法教えてるよーなモンだよなぁ。

……と思ってしまう。

名探偵二つの終幕~クリスティ『スリーピング・マーダー』

2005-05-24 23:50:38 | お話大好き・小説編
名探偵には二種類のフィナーレがあります。その死、或いは犯罪者側への転向を明示し、読者に続編は書かないと事実上宣言するもの。そしてもうひとつは、いつも通り事件を解決し、永遠に読者を待たせたままにしておくもの。その両方を体験した数奇な運命のヒーローは、ご存知、シャーロック・ホームズです。そして、彼に限って言えば、前者は失敗し、後者が成功したことも広く知られた事実。
一方、自分が生み出した二人の名探偵にそれぞれの終幕を与えた、稀代の作家がいました。それがアガサ・クリスティ。今回ご紹介するのは、ミス・マープル最後の事件『スリーピング・マーダー』です。

★あらすじ★
「ここがわたしの家」それはグエンダが思い描いたとおりの家だった。夫を迎える為、自分たちの好みどおりに買い取った家を改装していく彼女だったが、家に対して抱いた懐かしさは、やがて恐ろしさに変わっていった。イギリスに来たのは初めてなのに、この家を見たのは初めてなのに、どうして自分は埋められた階段の位置がわかったのだろう。塗りつぶされたドアを見つけ、戸棚の裏には使いたいと思ったとおりの壁紙が残されていた……。
家から逃げ出すようにロンドンの知人を訪ねたグエンダだが、観劇の最中、不意に殺人の光景を思い出す。「自分」は「あの家」の「階段」から「彼女」が殺されるところを目撃したのだ……。しかし、その「彼女」とは誰なのか?
ミス・マープルは「眠れる殺人」はそのままにしておけと警告するが……。

実を言うと、ドラマ等映像作品を別にすれば、ミス・マープルを読んだのは小学生のときの「火曜クラブ」のみでして。その後一気に最後の事件まで飛んだので、なんとも極端な読書です。しかし、ミス・マープルならそれもOKでしょう。この最終作も、事件後セント・メアリ・ミード村に帰っていく後姿が見えるような、そして医者に注意を受けながらも庭弄りをし、村の噂話に耳を傾ける姿が浮かぶような幕切れでした。彼女の故郷は、セント・メアリ・ミードという名の永遠だったのでしょう。
一方ポワロは。間違っても『カーテン』から読みたくは無いです。彼の場合、最期の事件となるのですから。(そして、まだ読んでいません)読み始めるのに勇気がいる作品です。ポワロものを全て読んでから手をつけたい気もしますが、一方で彼と永遠の別れになってしまうので他の作品を後に残しておきたい気もします。
二人の名探偵に、全く異なる幕切れを用意したクリスティの、冷徹ともいえる愛情に身震いする思いです。名探偵との付き合いにウンザリした雰囲気を隠せないドイルに比べれば、それは確かに愛情ある最後です。

スイッチ・リーダーは可能か?速読遅読両刀使い

2005-05-15 21:45:02 | お話大好き・小説編
可能かもクソも、速読自体習ったことが無いですし独習しようとしたことも無いくせに、速読について書こうとする無謀な気分です。……というか、蛙が何故、速く沢山の本を読みたいのに、速読を習うことに躊躇いを感じるかを書きましょう。

一旦速読を覚えた場合、意識して元の遅読(?)をすることは可能なのですか?
読む本に応じて切り替えられたらいいのになぁ。

仕事関係の書類だとか、勉強の参考書、小説でも面白くないけど買ったor借りた手前読み通さないと決まりが悪い本やなんかを読むときは、速読でいきたいです。
だけど、言葉のリズムや行間をゆっくり味わいたいとき。遅読でいきたい。

そもそも、速読でそれが楽しめるのかなぁ?
という速読不信があります。(特に大人の為の音読ドリルなんかが出ている昨今は。音読って、速読とは正反対ですよ)

端的に言えば、速読をして泉鏡花は面白いか?ということです。
速読でも、あの絢爛豪華な言葉に酔えますか?
是ばっかりは、速読をマスターして、かつ、初めて鏡花を読んだ方に聞かないと分からない。

速読をすればお昼休みの間に小説が読めると宣伝している人は、読書のデジタルな楽しみ方にのみ目を向けている。本に書かれた文字情報は、同じ版である限りいつだって同じ。これがデジタルな楽しみ。
しかし、こちらの体調やそれまでの経験や、現在の人間関係で、同じ本でも全く違ったような側面が見えてくるのが、アナログな楽しみ。
アナログな楽しみは保証されていますか?読書好きとして、それが知りたいです。
この不安が解消されない限り、速読には手を出せません。

あ、追伸。
スイッチ・リーダーなんて用語有りませんよ。きっと。

本は天下の回り物?

2005-05-12 19:56:01 | お話大好き・小説編
Book ○ff(伏字になっていない<笑>)に売却する本を選定しました。
先日お話したアルスラーンも売ることにしました。『マヴァール年代記』はとって置くことにします。
田中作品では、他にも『風よ、万里を翔けよ』を手放すことにしました。花木蘭伝説を教えてくれたという点では愛着があるのですが、どうにも田中さんの筆が題材を料理しきれていないようで、読んでいる間中、波に乗り切れませんでした。キャラクターの描き方も、歴史の描き方も、中途半端になった感じで。
売却リストをみていると、中学・高校時代に読んだものが多いようです。
アラジンやライオンキングのカードブック、ノベライズもあります。『アラジン』と『美女と野獣』は今でも大好きなのですが、CDだけ残しておけば十分かな……と。ただ、『美女と野獣』だけはカードブックを残しました。
さくらももこさんのエッセイ。大笑いしたり、じーんときたりしながら読みましたが、結局、手元に残そうとは思わなかった。
かわぐちかいじ氏にハマっていた時に買ったコミック。原作が別の方だったせいか、1,2巻だけで止めてしまいました。どちらも人気のある作家さんですが、シナリオと漫画のタッグが相乗効果よりむしろ相殺効果になったのか、あまり楽しめなかった。絵のお手本の意味で残していたのですが、売ることにしました。

ハマっていたという点では、大学時代好きだった某中国電影明星が主演をしていた作品のノベライズも売却。話は甘々でカルかったけれども、原作が戦前中華民国の映画だということを紹介しており、また才子佳人小説の流れが現代の中国ロマンス小説にも見えることが伺えて、興味深い本でした。

最近買った本の中では、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの本を3冊。好きな作家だからと言って、全てが性に合うとは限らない。
コミック文庫からも、読みきりシリーズもので、大して好きでもないエピソードのものは、手放すことにしました。




そして、本日(5月13日)、売却してまいりました。
Bo○k off(だから伏字になってないって)に限らず、古本屋で売却した経験がおありの方はご存知でしょうが、一部買い取ってもらえない書籍があります。店によってターゲットが違うワケですから、当然、買いたい本も違うワケです。それにしても謎なのが、『ジュラシック・パーク』や『ホーム・アローン』のノベライズが売れたのに(原作じゃないんですよ!)、高河ゆんの画集が買い取り対象にならなかったことです。渋好みマニア路線の『赤毛のレドメイン』よりも、多分こっちの方が需要あると思うんだけどなぁ(笑)。
多分、ネットオークション等に出せば、嘘でも値がついたのでしょうが、面倒くさいので引き取ってもらうことにしました。
古本屋やリサイクルショップの買取マニュアルって、どうなってるのか、興味が湧いてきました。