準児童ポルノについて

　日本ユニセフ協会が「なくそう！子どもポルノ」と言うキャンペーンを張って、１８歳以下の子どもが出るアニメや漫画、ゲーム等を違法化することを訴えた。あわせて、１８歳以上が出演するアダルトビデオでもその役に１８歳以下のものが含まれていれば、同様に違法とするというものである。なお日本ユニセフ協会はこれらのものを「準児童ポルノ」と言う名称で呼ぶ。

　先に行っておくが私はこの規制には反対だ。

　この提案には見事に賛否が分かれている。賛成派の意見には「こういった準児童ポルノがあるせいで(漫画やアニメ等の行為を実現する欲求がふくらんで)児童が性犯罪に遭う」、「近年報道されたの性犯罪者はだいたいこういうものを持っていた」などというものがある。反対派の意見は「表現の自由」、「逆に準児童ポルノがあるから性的欲求が解消される」などだ。

　児童ポルノの規制という面においては、児童虐待の禁止という観点から大いに賛成できる。ことのよく分からない児童をつかって、性的な行為をすると言うのは問題だろう。また、児童ポルノの背後には人身売買などもある場合がある。こういった行為は当然罰せられるべきだし、それを助長するような児童ポルノは禁止してしかるべしだろう。
　が、準児童ポルノの規制となるとどうなのだろうか？アニメや漫画、ゲーム、１８歳以上が出演するアダルトビデオなどは当然ながらそこに本物の児童の介在はない。反対意見の２つめでも述べたようにそれが性的欲求の解消に使われ、現実の児童に魔の手が伸びないのならば、悪いことでない。

　賛成意見が多いのは昨今のマスコミ報道の仕方だと思う。少年の性犯罪があれば「自宅には児童(や児童に扮した１８歳以上の人間)が出演するアニメや漫画、ゲーム、アダルトビデオ」があったと、たいてい報じられている。少年の殺人事件や殺傷事件なども同様であり、残虐な殺人を描いた漫画等が見つかったなどと報じられる。マスコミは準児童ポルノを単純に“悪しきもの”とし、原因が準児童ポルノで結果が性犯罪、と言う図式で報じたがる。殺人の時も同様だ。順番は犯罪者は最初はまともだった＞原因となる漫画やアニメ等に触れた＞犯罪を起こしたというもの。
　原因がないが結果はある、と言うことはほとんど無いと思うが、主たる原因が特定しづらいときに安易に主たる原因として、多くの視聴者・聴取者・読者が納得するものであればそれでいいと言う考えが昨今のマスコミにはあると思う。誰が言ったか忘れたが、「今の日本は若い頃に試験がいっぱいある。いろんな試験があるがその回答は一つしかないものがほとんど。回答がないと何ともしっくりこず、また、その原因が不明だとまた同様。」と言った人がいた。この意見には私も賛成する。何せ自信がそうであると思うからだ。

　最近、犯罪は増えていると思う人が多い。確かに過去数年分のグラフを見ると増えてはいるのだ。だが、これを過去５０年、１００年というグラフを見るとどうだろうか。今より何倍も過去に犯罪が多く、しかも内訳が殺人や強姦と言った凶悪殺人であるものは本当か？と疑いたくなるほどの数だ。これがピンポイントの年でなく、２０数年にわたってそんなときがあった。これはこのサイトこのサイト（反社会学講座 第２回 キレやすいのは誰だ）で確認。

　今や技術の進歩で瞬時に情報が伝わるようになった。良いことも悪いことも、そして正しいことも間違ったこともだ。自身で調べると言うことを一切せず、マスコミの報ずるものを鵜呑みにすると言うことがどれだけ危険か、今一度考えるときなのではないだろうか？