居酒屋黙示録 新章 暖簾を繋ぐ刻

旧き善き銭湯を訪れ、立ち飲みを巡り、居酒屋で思う。

岡山市 有楽温泉

2015-11-23 18:08:27 | 銭湯
岡山での生活も大分経ったが、横浜でのご乱行が響いての緊縮財政から漸く脱却できたのでちょっとお出掛け。
仕事終わって着替えてそのまま岡山市街へ向かう。
目当ては先ず酒屋、そして銭湯。
市街に近付くまでは順調に流れてた道も帰宅ラッシュで流石に渋滞し、原付二種とは云えそうそう速くは走れない。
時間的に先に銭湯を考えていたが、酒屋に寄ってから風呂としよう。
要は風呂上がりから帰る迄の時間を短くしようという魂胆である。

岡山市青江にあるワインショップ武田は岡山に来たときは大体寄っている。
ワインショップとあるが、日本酒、焼酎も多く岡山の地酒に強いのも特筆すべき点の一つだ。
また個性ある蔵の日本酒も多く、ソガペールエフィスヌフや新政亜麻猫、紀土、山和などはこの店で初めて買いその旨さを知った。
さあて今日はなに買うかと日本酒の棚をじっくりと検分する。
小遣い貰ったとは言え、調子に乗って高いの買ったらまた大変な事になるのは目に見えてるので、リーズナブルな所で4合瓶2本位かな。
岡山酒は大体飲んだことのある物なので、今日は他の所にするか。
新政あるけど3000オーバーは厳しいな。
30分近くも店内をうろうろして、紀土の純米吟醸と来福の純米吟醸を選んだ。
あとは嫁と娘への土産としてマシュマロを買う。
中にチョコレートとコーヒークリームの入った2種類、6個入りで300円はマシュマロとしては高級だろうな。
他に珍味系のつまみも欲しかったが、今日は抑えておこう。

さて、銭湯だが岡山の南側は情報として四軒。
その内岡山の浴場組合のHPに出てるのは桜湯、有楽温泉、福島温泉の三軒だ。
そしてネットにほぼ情報なしの清輝湯。
西大寺に柳湯が残っていれば問答無用の突撃コースだが、無い袖は振れん。
福島温泉は青江から少し離れるので今回は外し、桜湯は改装してスーパー銭湯系になっているらしいので今日は表を見るだけに止める。
清輝湯があったという場所は前にこの近くにラーメンを食いに来た覚えがあるが、銭湯があったとは全く気付かなかった。
ネットで見る限り、暖簾もなく煙突も目立たないし、桶持った人がドアを開けて中に入る所を目撃しなければ銭湯と判らないらしいので仕方ない事ではあるが。
地図を頼りに来てみたがそれらしい建物も無い。
どうやらこの新しそうなマンションがそれっぽいな。
ここまで綺麗に無くなっていると、感慨もそれほど湧いてこない。
玉野市玉にあった松の湯もその跡形すら無くなっていたが、ナカムラさんの風呂屋の煙突にその在りし日の事が記されているので、当時の事を知ることが出来る分惜しむ気持ちが湧くのだが、情報も少なく痕跡すら無いと気分の揚げ様が無い。
そんな訳で今日は有楽温泉に決定したので、清輝湯跡を後にして有楽温泉へと向かう。

然程迷うこともなく、幹線道路から裏に入った所で湯の文字の入った電光看板を発見、その下に有楽の文字
バイクを止めて早速中にはいる。
番台に誰もいません。
上がって着替えていた先客に「誰もいないんですか?」と聞くと、今奥入ってるだろうから風呂入ってから払えば大丈夫だよと言われたので、それに従うことにした。
脱衣場は幅二間で床は板張り、ロッカーは木製漢数字入りだが最近見慣れてきたな。
服を脱ぎロッカーに押し込んで、何時ものように浴室へ。
他に客は居らず女湯からも声は聞こえない。
うはっ、マジ貸切状態ですか。
とりあえず身体を流すか。
浴室奥にある小さな木戸から鉄パイプが2本、奥壁から外壁側に組まれており湯水のカランが取り付けられている。
中普請で直したんだろうな。
床のタイルも古びてはいるが、湯桶台のタイルより新しく見える。
カランは奥壁に3、外壁に5個。
低い椅子にあうように低い湯桶台と鏡、浴室内は少し暗いが髭を剃るところまでやりきった。

さて浴槽、岡山浴場協同組合のHPで小さな写真を見たときから、気になってたんですよ。
三間程の奥行の浴室の仕切り壁沿いの真ん中に鎮座する小判型の浴槽。
入口側三分の一は深さ30センチ程、底は玉砂利の用なタイル貼り、これは良いねえ。
奥側は深湯で周りに腰掛段がある。
こちらは水色のタイルで浴槽淵は濃い色のタイルが貼られている。
浅湯と深湯の境は長方形の小さな水色タイルだ。
浴槽は仕切壁にぴったりとは付いておらず自然石が飾られ岩風呂の趣。
そして仕切り壁の真ん中と奥壁にタイル絵が2枚、奥壁は水車小屋のある風景、仕切り壁は瀬戸内の風景だろうか。
タイル絵の下にサインと日付があり1959年とある。
昭和34年になるのか?
天井は入母屋のように中央に向かって僅かだが高くなり、女湯と合わせて湯気抜きが横長に切られている。
いや、良いわ、この風呂。

お客さんが一人入ってくるまで、貸切状態を堪能し上がり湯を使って身体を拭く。
脱衣場に戻ったがまだ番台に誰もいない。
とりあえず着替えて番台に近づくと女湯の方からマッサージ椅子の動く音が聞こえるが、大仰に覗き込むわけにもいかないので、脱衣場の椅子に座り簡単なメモを取った。
マッサージ椅子の音が止まるとはたして、番台におかあさんが戻ってこられた。
銭湯代を払いおかあさんと話をしていると、番台に置かれたガラスケースの向こうに見えた灰色の塊が動いたので思わず見ると大きな猫だった。
おかあさんが言うには、ぶーちゃんと言うらしい。
耳が両方潰れてるのはスコティッシュフォールドと言うわけではなく、単に喧嘩で噛まれたりしたからだと思う。
おかあさんが撫でて見ろと近付けてくれたが、ぶーちゃんはおっさんには撫でられたく無いらしくおかあさんにべったりだ。
他にも猫がいるとか色々話を聞かせて貰って、7時のニュースが始まった頃に暇した。
いやいや浴室の造詣は見事なものでした。
後は風邪引かないように帰るだけだな。

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