居酒屋黙示録 新章 暖簾を繋ぐ刻

旧き善き銭湯を訪れ、立ち飲みを巡り、居酒屋で思う。

清水湯連湯 そしてありがとう矢部の湯

2017-09-20 13:42:09 | 銭湯
広島ではルーティンワークが続きあまりブログのネタになることが多くない。
銭湯も同じ所に通いつめると常連化してしまい、却って書ける事が無くなってしまう。

そんな訳で初夏以来の関東は久々のネタ拾いには絶好のシチュエーションである。
前回の出張で一緒に飲んだ後輩に早めにメールを入れ、ちょっと鶴見で飲ろうぜと計画は万全だった。
弁天橋で待ち合わせ鶴見でもレトロ系の最右翼、清水湯で一風呂浴びて飲みに行くぜ。

ところが当日になって後輩と連絡が付かない。
この歳となると急に連絡がつかなくなる時は、「急な病気で実は・・・」等も考えられなくもないので少し心配ではある。
まあ、以前から計画は通してあったので、弁天橋で5時とメールを入れたが、存外に仕事が早く終わってしまい少し時間ができた。
弁天橋待ち合わせなら当然JRの方が乗り換えも楽だが、少し歩いて京急で北上開始。
金沢文庫止まりの各駅停車だったので、非常に判りにくい角打ちスペースがあると云う酒屋をチェックしに途中下車。
日本酒の品揃えと角打ちスペースを確認。
ここの角打ちは5時頃かららしく飲んでいく訳にいかないのが残念。
能見堂赤井温泉なき今、文庫周辺には風呂もなく今後どうやってツアーに組み込むか考えなくてはならない。

金沢文庫から更に各停で北上。
車内での時間潰しは図書館で借りてきた本を一冊持ってきた。
今日は小野不由美の十二国記シリーズの「図南の翼」
最初は異世界ファンタジーみたいな始まり方だったので、そういう話かと思ったら進むにつれ全然違ってきた。
こりゃ面白いと今回、後半部分をごっそり借りて、移動中の時間潰しに読んでいる。
以前どこかで書いたかも知れないが、水滸伝好きなら嵌まる話だね。

お蔭で退屈せずに京急鶴見に到着。
JRに乗換えだがその前に立ち飲み系の店を何軒かチェックしておく。
ふーむ、鶴見区は未訪の銭湯も沢山残ってるし当分楽しめそうだな。

鶴見線に乗換え、鶴見を出たら5分程で弁天橋だ。
本を開く間もなく降りた所はJMUの真ん前で、駅の前にファミマが一軒あるだけの鶴見線らしい駅前。
安善だと駅の前はほてい屋だけだしな。
友人に5時15分までファミマで待つわとメールを入れ、ファミマでビールの新製品があったので一本いっておく。
パラパラと降ってきた雨を避けるために建物の陰でビールを干し、手が空いたところで本の続き。
結局連絡は付かず、今日は一人ツアーということで弁天橋を出発だ。

産業道路を渡れば目の前は汐入公園。
グーグルマップで案内させると公園を回り込んで行けと指示されるが目の前に出入口が有るのにそんな事は勿論しない。
後は潮田神社の方へ真っ直ぐ進む。
住宅街からぽつぽつと商店が増え始め、行く手に鳥居が見えて来たらもう清水湯はすぐそこだ。

二重の千鳥破風で既にテンション上がり気味。
入口には木目も鮮やかな下足箱と傘入れ、そして入浴券の自販機が2台もあるが両方壊れてるのが愛嬌である、
フロント式に改装されているのでおかみさんに入浴料金をはらい脱衣場へ。
少し小さめのロッカー、下段に貸しロッカーがあり真ん中に縁台。
折り上げ格天井は高く見事。
間口は七間、奥行は脱衣場浴室共に四間で堂々たる銭湯だ。
窓は広く坪庭に面し、塀の向こうに先程前を通った焼鳥店が見える。

浴室に一歩踏み入れると意外にもモダンな印象を受ける色使い。
壁や床は明るい色だがカラン周りや浴槽壁はテラコッタのような色のタイル。
浴槽縁は赤茶の御影石のようである。
奥壁のタイル絵はヨーロッパかどこかの湖水の風景、仕切り壁のモザイクタイルは富士山だ。
浴槽は大きく2つに別れ外壁側が長方形で外壁に格子があって中に岩が設えてある。
奥壁側には水枕。
仕切り壁側の浴槽は丸いバイブラだ。
島カランは2つあるが、外壁側の島は片面のみカランが設えられているのでカラン数は外壁から7、6、6、6、6+立シャワーとかなり多い。
外壁側のカランで身体を流し、円形浴槽のバイブラでゆったりとタイル絵を眺める。
銭湯物語で見たが女湯のタイル絵はヴェニスかどっかでモザイクタイルは薔薇と孔雀らしい。
もう1つの浴槽にも浸かり、水枕も堪能。
大分涼しくなったとはいえ、脱衣場で暫く扇風機を浴びないと汗が引かない位に温まった。

フロントのおかみさんに礼を言って暇し、さて、ぶらぶらと行きますか。
最近暇になれば、グーグルマップに銭湯や立ち飲みの場所をチェックしてるので京急鶴見までの道のりにも何軒かの立ち飲みポイントが印されている。
先ずは手近にということで、潮田神社すぐの中村酒店の方へ。
駄菓子屋の隣に程なく見つけ、小さな角打ちスペースにお邪魔する。
ここはビールだな。
場所からいって当然キリン。
まだ滲んで来る汗を扇子で散らしながら、瓶ビールを堪能した。
夜はまだ長い。

潮田から鶴見郵便局に向かう大きな道を歩き、橋を渡ってから左手に進むのに少し苦労して京急鶴見の方へ。
目指すは「立ち飲み・うどん・風」
うどんや串揚げもある店らしいが情報少ないので気になってチェックした所だ。
国道15号線の地下通路を抜けてすぐの角、赤いテントに風の草書?
この時点でテンション爆上げである。
良く判らない人は、立原あゆみ先生の「本気」全50巻を是非読んで戴きたい。

立ち飲みと謳っているが、酒の通函に座って飲めるようで、殆ど歩道で飲んでる様なものだ。
流石にビールはもう良いか、ハイボールにしよう。
品書きを眺めると、鳥もつのワイン煮とかあるので早速注文した。
この鳥もつワイン煮が旨くできてるわ。
柔らかものは柔らかいく、良く煮込んで旨いものは良く煮込まれて、このレベルのもつ煮は中々出会えないですよ。
ハイボールをお代わりして半分程進み、串揚げを3本追加。
さらに梅酒ロックを一杯干して暇した。
ここは再訪必至。

あっさりと暇した理由は水位上昇警報が点灯しそうであったため、微妙な早歩きで京急鶴見に到着。
ジプシーキングスのJOVI-JOVAが頭の中に流れるままに排水作業完了して落ちついた所で、実家に遅くなるが帰ると電話しておく。

遅くなるとは言ったものの、無尽蔵に資金が有るわけでもないので今日は後一軒位かな。
流石にこれ以上新規開拓するのも憚られるので、横浜まで戻ってどっか行こう。
京急鶴見から丁度やって来た各停に乗り、寝過ごす事もなく横浜に降り立つ。
結構歩くのもだるくなってたので、味珍にするかと狸小路へ。
覗いて見ると本店一階は満員だが、支店のカウンターが空いてたので早速入店。
「やかん、烏龍茶、頭と辣白菜」と流れるように注文、まるで常連みたいだ。
小皿に辛子、辣油、酢でたれを作り、注がれた焼酎を啜り烏龍茶をチェイサーにして待つこと数分。
先ずは辣白菜(らっぱさい)の登場。
少し辛めの白菜の漬物だがこれが、つまみに良し箸休めに良しコスパ良しの言うことなし。
焼酎の減りが加速する頃、頭(豚の頭肉)が出て来る。
他に舌、胃、足、尾、耳等がメニューにあるが、外せないのは肉、皮、脂身の旨さが三位一体となった頭だと思う。
やかんをお代わりして、隣の人が注文した腐乳に心動かされつつも、何とか2せんべろをキープして暇した。

宣言したほど遅くならずに家に帰ると、後輩からメール来てた。
急な出張で先程帰って来たと。
まあ無事で何より。
明日休めるって事でリベンジする?とメールすると是非と来たので急遽鎌倉追加公演を敢行することになりました。

さて翌日。
飲み過ぎで朝飯はパス。
昼飯食って暫くしてから家を出ると、バス行ったばかり。
一停留所歩くとか色々したが、少し遅れて鎌倉到着。
シァルの前でメール入れるとすぐに後輩到着。

目指すは材木座の清水湯。
神奈川県でも名うての観光地鎌倉だがあまり来たことがない。
理由は観光客と観光客目当ての店が多いから。
あまり人混みは好きでは無いので。
まあ材木座の方まで歩くと覿面に人通りが減るので、静かなものである。

昨日は涼しかったが、蒸し暑さがぶり返したようで清水湯前に着いた頃にはシャツの背はじっとりと湿っていた。
千鳥破風の下に広い両引戸の入口。
両方で間口は五間。
入口正面は傘入れで中央が膨らんだ弧を描いている。

番台で料金を払い島ロッカーに服を放りこみながら、脱衣場を見聞。
天井は板天井なのだが、四方に梁を切った様な木材が張り出している。
明かり採りの窓はサッシになっているようなので、ひょっとしたら中普請で格天井だったのを改装したのかも。
先客は5人程、我々も開店間もない時間に来ているが常連さんは流石に早い。

浴室は明るく、奥の壁は水色ペンキで塗られていて、かつてはペンキ絵があったのかなと思わせる。
床と壁は白タイルがメインで明るさが強調される。
入口付近の小タイルを除いて、床のメインは正六角形の白タイル。
こいつは渋いぜ。
神奈川では珍しい中央に舟形浴槽を設え、その手前に鎌倉清水湯の顔ともいえる六角島カランが存在感ありまくり。
京急の馬堀海岸駅近くにあった松の湯には2つ口という超ミニ島カランがあったらしいが、使うには少し勇気のいる島カランだと思う。
外壁と仕切り壁のカランは7、9でシャワーがあるのは仕切り壁側だけだ。
仕切り壁側は常連さんで混んでいたので、後輩と外壁側で身体を流す。

湯温計が43度を示す風呂に浸かり、章仙のタイル絵を眺める。
モチーフは鯉と金魚で両脇にも6枚程の小さなタイル絵がある。
程よく冷たいカランの水を上がりに浴びたが中々汗が引かない。
脱衣場でパンイチで団扇を使いつつダベっていたが蚊が寄って来たので程々にして退散。

一軒目は鎌倉で角打ちと言えば高崎屋だろうと、まあ俺も最近その存在を知ったんですが。
西口の商店街を勇んで目指すも、何と臨時休業。
しょうがねえ、一旦東口にもどるか。

早い時間からやってるはずの高崎屋が休みで、清水湯に口開けから行ったのが災いしてチェックした飲み屋がほとんど営業時間前である。
と、道路の反対側に焼鳥屋があり、生ビール等と貼り紙も見える。
これ幸いと一軒目は焼鳥の秀吉に決定。
生ビール2つと皮、ハツ、秀吉卵を2本づつで、しめて1720円。
店先の歩道に置かれためっちゃ傾いたテーブルで一杯目をスタート。
焼鳥も普通に旨かったけど、横須賀の相模屋フーズならあと500円は安いな。
生ビールのコップも小さめなので少しマイナス。
コスパに関しては評価厳しいよ。

後輩が「一日外出録ハンチョウ」の新刊を買うというので駅前の本屋にいくと、コミックコーナーが無いという我々に一生縁のない本屋だったのでさっさと退散。
通りを渡って大きな本屋で無事ゲット。
野毛の飲み屋本や石原裕次郎のムックをパラパラと眺めて外に出れば漸く、普通の飲みも開き始める時間になってきた。

まだ人通りの多い小町通りから一本離れ、飲み屋だらけの小さな雑居ビルに3軒の立ち飲みが集まっている。
ル・シャカ、テンスケ、ヒグラシ文庫の3軒だが行ってみると開いていたのはヒグラシ文庫だけ。
後の2軒はこれまた臨時休業?
鎌倉って今遅い夏休みか何か?
必然的にヒグラシ文庫に突入。
俺はレモンハイ、後輩はまかないハイボールとやらを注文。
一緒に頼んだやみつきココア豆が確かに旨い。
時折当たるカイエンペッパーの辛さが良い刺激である。
二人して追加したコーヒー酎を干したところで暇。
先客一人だったカウンターはみっしりと埋まっていた。

次は何か食いながら飲むかなと良さげな店を探して再び西口を歩いて見たが今一つ。
しゃあねえ、河岸代えんべと一駅移動し逗子に降り立った。
取り敢えず飲みながら考えるべと駅前の寄り道屋という立ち飲みに入ってしまう辺り相当度しがたい。
ハイボールと茗荷酢漬け、出汁巻卵を片付けながらこの店が昼は八百屋で夜は立ち飲み、しかも途中で店の経営が入れ替わってるらしいと後輩から聞く。
なんじゃそら?
まるで草上仁の小説にあった時間貸しのオフィスみてえだな。

後輩が普段うろついているエリアの逗子駅前をぐるりと一回り、そそる所が今一つないねえ。
後輩がトイレいってる間に思い出した。
何か大盛で有名な中華食堂があったような気がして色々検索していたら大善という店があるようだ。
戻ってきた後輩に聞くと知らないらしく、じゃあ行ってみんべと新逗子前を超えて5分程歩くと赤い看板が見えて来た。

大して腹に溜まるような物は食ってないのでがっつり行きやしょう。
生ビール2つと餃子と肉野菜炒め。
餃子は大振りな6個、肉野菜炒めも大きな皿にたっぷり。
定食にするとこれまた大盛のご飯がつくようだが、これは単品攻めでしょう。
焼売とトンカツを追加、ジョッキも大きいので一旦冷酒に変更。
後輩がこんなのがあったんですと見せてくれたのが崎陽軒のメガシウマイ弁当の写真。
見慣れたシウマイ弁当だがご飯の俵も、シウマイも確かに1・5倍の数がある。
やるな崎陽軒。

トンカツは厚みも面積もかなりあり、焼売と共に腹に消えた頃には大分満足してたのだが、勢いの付いた後輩、止まるところを知らず。
最後に追加した瓶ビール一本と餡掛けのかた焼きそばの前に息も絶え絶えである。
今真っ二つにされたら餡掛けがでる。
いや腹一杯。
その日はそれでおしまい。

暫く普通に忙しく、こちらの関東出張も間もなく終わろうと云うところに一つの情報が流れた。
戸塚矢部の湯、9月30日をもって閉業とのこと。
明日は関東を離れる日に早めに終わった仕事。
行くだろ、当然。

生憎の雨だがまだ傘は要らないレベル。
戸塚の駅に降り立ったのは何年振りだろうか。
前回は旧ブログのフレンドがホームグラウンドにしていたバーを訪れた時だったな。
東口は酒屋に行くのに出たことはあったが、大分前の話なので、すっかり土地勘が無くなっているがデパート一つ通り抜けた所で煙突が見えて、すぐ矢部の湯についた。

矢部の湯の開店は14時であと数分あったが、既に暖簾は下がっている。
その姿をしっかりと目に焼き付け、携帯で写真も撮って暖簾を潜る。
番台のおかみさんに入浴料を払い、貸しタオルを借りた。
ロッカーの鍵を渡してくれるので指定されたロッカーを使う。
着替えと一緒にタオル一枚は必ず持ち歩いているが、後輩の仕事明けの時間によっては、もう一軒連湯が有るかも知れないので温存の策である。

矢部の湯は間口男女合わせて七間、脱衣場奥行三間で浴室奥行が四間。
玄関部分を除けばほぼ真四角。
外壁側三列五段のロッカーと島ロッカーが七列二段両面が一つ。
俺が貰ったのは島ロッカーの鍵だった。
常連さん用の貸しロッカーがかなり沢山ある。
お客さんは他に5人程、脱いでる間にまた二人ほど入ってきた。
折上格天井をぐるりと眺めて、早速浴室へ。

流石は間口七間、島カランが2つもあってもかなり広い。
天板部分の茶色のタイルの並びが美しく、鏡もなにもない島カランが潔い。
髭を剃るつもりがなかったので、外壁側島カランの真ん中に居座り先ずは身体を流す。
排水溝のステンレスまで綺麗に掃除されているのが素晴らしい。
先に入っていたお客さんが湯船熱いとか言っている会話が聞こえてくる。
何か湯温計54度とか言ってらっしゃるんですが。
マジデスカ。

身体を流し終えて、湯船に正対する。
取り敢えず中島師の富士山を堪能し、さて湯温計を確認するが、先達達が出してくれていた水も然程効果なくまだ52度辺りを差している。
片足を浸けるも、もう片方の足は浴室床から離れることなく、敢えなく壊走。
熱っちぃー、口開けの風呂が熱い所はあちこち入ったがこれはレベルが違う。
一旦島カランに飛んで帰り、水を掛けて冷やす。
3つに分かれている浴槽の内、仕切り壁の2つは繋がっているので、後は外壁側の薬湯。
手を入れてみると入れなくもなさそうな温度だが、結構熱め。
おい、その湯温計の34度って絶対嘘だろ。
肩まで浸かった感じでは43~44度位の感じだ。

5人程いたお客さんの中に2人、やたら饒舌な人達がいる。
何となくわかる、これはアレだ。
良く言えば同好の士、悪く言えば銭湯マニア。
矢部の湯閉業の情報を得て、馳せ参じたに違いない。
薬湯に入って来たその内の一人が話しかけてくれる。
熱い湯の話だったので、口開けでこんなに熱い所は浦賀の銭湯以来ですねと振ると、直ぐに銀泉浴場ですねと帰ってくる、いよいよもって間違い無さそうだ。

同好の士のお一方は塾講師をされている人で既に25年位の前から銭湯巡りをされているそうだ。
伯父が昔銭湯やっていたんですという話をすると、「○○湯ですか?」と近隣にあった銭湯の名前を出されたので少し詳しく説明すると、「あ、そこ入れなかったんですけど写真は撮りました」と今度はこちらが驚愕する番だ。
何せ相当昔に廃業した銭湯の事、昔のアルバムを引っ張り出しても殆ど銭湯部分が写った写真等見つからず、お袋や兄貴に色々聞いて自分の記憶を補正していた所に写真持ってる人が現れるなんて、どんな僥倖だよ。
ご迷惑も省みず「是非写真を送って戴きたいんですが」と不躾なお願いにも快くご了承下さいました。
ありがとうございます期待してお待ちしています。

大分温まった所で一旦上がり冷水を浴びる。
仕切り壁のタイル絵を一つ一つ見聞する。
奥側から不老山、兼六園、義経の八艘飛び、下田とどれも見事なタイル絵だ。
さてと、ではもう一度あの熱い湯に挑戦だ。
何がそこまでさせるのかって?
そりゃ、自分の身で感じなければ薄っぺらい事しか言えないでしょ。
湯温計は未だ52度辺りだが、手を入れてみた感じ、さっきよりはまし。
意を決して肩まで浸かる。
上半身は何とか行けそうだったが、バイブラで湯が動く度に足が、足が。
都合15秒程も浸かりましたかね。
こりゃ当分汗引かないよ。

かなり水を浴びて上がったが全然汗引かない。
鞄に入れたはずの扇子が見つからずに、島ロッカーの上にあった団扇を借りてあおぎまくる。
余計汗出そう。
ここで先程の人とまた話し、連絡先も交換して戴いた。
そこでまたびっくり、講師さんの職場は伯父の銭湯があった町の隣だし、住んでるのは俺の実家の隣町だった。
いやー、縁って面白いものだね。

もう一人の同好の士は新潟の銭湯巡りをして来た時の写真をタブレットで見せてくれた。
ユーチューブで新潟の銭湯を紹介した「あっちぇ湯」という番組にも出た銭湯を巡り、佐渡にも行ってきたそうだ、すげえな。
俺も携帯に入っていた尾道寿湯の写真などを見せたり、番台のおかみさんも交えて銭湯談義をしたり。
非常に良い思い出となった。
講師さんはかなり古い横浜の銭湯マップを持っていて、閉業してしまった銭湯は赤く×印を入れていたが、印の無いところの方が少なくなってしまっている。
寂しいもんだよな。

先に暇して、戸塚駅前のデパートの100均ショップで扇子を買う。
まだ汗出るんですが。
ついでに有隣堂を覗くと、横浜ウォーカーのスパ銭温泉特集号ありますが、割引クーポンついてるからってどうしろと?
有隣堂の一角で、読書用のルーペを色々集めたコーナーがあり、板状のやつが800円と中々安い。
ハンズで似たようなもの見たときは2000円位してた気がするが、最近細かい文字を読むのが辛くなってきてねえ、歳ですねえ。
悩んだ挙げ句、横浜の有隣堂にもあるかなと取り敢えずスルー。
この時点でまだ銀行行ってなかったから、抑えたんだよね。

横浜まで移動して後輩にメール。
この時点で翌日朝から忙しくなると決定してしまったので、横浜で後輩待ち伏せの、すぐ飲みと連絡入れた。
さてそれでもまだ後輩来るまで時間がある。
中央郵便局で小遣いも下ろしたし、先ずはそごう地下で酒でも見るか。
横浜そごうには、倉敷平翠軒が出店してるので見ていて飽きないが、生物買うわけにもいかないし。
酒売場で球磨焼酎と日本酒を試飲させてもらい、ついでに反対側で蜂蜜まで試食させてもらった。
米焼酎も27年も寝かすと大分旨いな。
家にあるやつも開けるときが楽しみだわ。

デパ地下巡りも飽きたので西口に戻り先ずハンズ。
目的は麻辣ピーナッツだが売場改変してて見つからず。
有隣堂に移動して、野毛銘酒場100というムックを買い、ブックルーペ探すがコーナー無さそう。
ダイヤキッチンのポンパドールで、パンを買ったあとは疲れてしまい、ウェストゲート近くで壁にもたれて携帯いじって時間潰しました。

鶴見出ましたとメールを受け取り、見計らって中央改札前で合流。
肉と魚の二択で店を決めていたが、後輩から肉の方で決めていた店を提示されたのでそのまま向かう。
今関東遠征2回目の豚の味珍である。
本店一階が空いていたので入店。
瓶ビールと頭、胃、辣白菜と相変わらず淀みなく注文し、先ずはビールで乾杯。
この後輩と初めてハマで飲んだのもここだったっけ。
本当味珍は何食っても旨いよな。
あっという間にビールは空き、二杯目を決める前に後輩に2軒目のチョイスを提示し、二人共にやかんにする。
今日は烏龍茶無しの梅割り、後輩は梅に更に水を足す。
尻尾と腐乳を追加して、メートルを上げていく。
俺がやかんのお代わりを干したところで、皿も空き、逗子で立て替えて貰ってた分、今日は多く出して味珍を暇した。

二軒目に誘ったのは横浜日本酒センター。
岡野町にあるとの事で少し歩くが、この二人当然まともなルートは歩かない。
五番街のエロ本屋の現状を確認し、ダイエーのドムドムバーガーが無くなっているのを嘆き、紆余曲折して漸く日本酒センターを発見した。

細い階段を上がると細長い造りの立ち飲み空間。
道路側にリーチイン冷蔵庫があり飲みたい酒を選び、カウンターに持っていって注いで貰う。
店主はブライアンといい、横浜風に言えば異人さんである。
一生懸命に酒を説明してくれているが、中々難しそうだ。
多分解り易い英語で説明しようとしてくれてるんだろうと思う。
いつもなら酒の銘柄位は覚えながら飲むんだが、大分まわってたし飲むのが楽しくてそれどころではなかったな。
つまみに頼んだいぶりがっこが旨かったり、後から来たお客さんと仲良くなったり。
結論から言えば凄く良い店だ。
後から財布の中計算したら5杯位は飲んでるはずだが、何か途中ブライアンがこれも飲めって金も取らずに注いでくれた様な気もする。
非常に楽しかったよ、ブライアン。
後から考えても佐世保の酒品館いしまると並ぶ位楽しかった様な気もする。
必ずまた行くよ。

店を出たところで後輩と別れて、一路実家へ寝に帰る。
相変わらず親不孝だねえ。
翌日朝から忙しくなければ、ちったあゆっくりするはずだったんですがね。
それではこれにて超長編となりました神奈川レトロ三湯とバカ飲みの綴り、ひとまず幕と致します。
お付き合いありがとうございました。