昨年の豪雨災害時以来の関東出張である。
一日だがデイオフを得たのでとりあえずは実家に帰る前にやりたいことはやっておこう。
先ずは本を買いに行くことにしよう。
昨今どんな本も通販で買うのが手っ取り早いのだが、矢張書店で手に取って買うのが良い。
入手した本を開くまでの高揚感とでも言おうか、手元に在るのにまだ読めないという待ち遠しさが何とも言えない。
今回買う予定なのが「我が日常茶飯」。
鎌倉の立飲み、ヒグラシ文庫の店主が書いた酒肴本である。
ヒグラシ文庫は当ブログの以前の記事、清水湯連湯にも登場するハイクオリティな立飲みである。
出版は横浜市民酒場の探訪でお馴染みの星羊社、そりゃ期待もできますわ。
取り敢えず鎌倉で途中下車。
横浜有隣堂本店でも買えるそうなのだがこの時点で今日の銭湯が未確定であり、伊勢佐木町まで出てしまうと選択の幅がかなり狭まる為に先に買って置くことにした。
東口改札を出て少し右手に、以前のブログで漫画が無いのであまり用の無い書店と書いてしまった書店がある。
まさかこんなに早く再訪する事になるとは思わなんだが、まあ拙ブログの読者数なぞたかが知れているし、そういう記事を書きましたと喧伝しながら店に入る訳でもなし。
さっくり入手して次の上り電車に間に合う様に駅に戻る。
さて今日の風呂はどうするかなと模索。
第一条件は新規開拓、そしてレトロ系、近隣に立飲みなどあれば尚良し。
大船だと近過ぎ、鶴見までだと少し遠くなる。
いつもよりかなりエリアを限定しているのは、最後に横浜の名酒センターに寄る積もりだからである。
という訳で松島館に決定したが、最寄り駅は何処だ?
グーグルマップで見ると戸部か新高島か桜木町になりそうだが、横須賀線に乗っている現状からだと横浜まで行って乗り換えるのが早い。
早いと解っているのだが身体が一度横浜まで出ることを拒否するので戸塚で下車。
料金が中々高額なことで知られる横浜市営地下鉄に乗り換え上大岡へ。
そして京急の普通に乗り換えて戸部に降り立つ。
記念湯の前を通り街中を散策がてら松島館へ。
角打ちをしているような酒屋は見つからなかったが良さげな蕎麦屋などもあり、風呂上がりに一杯やるのも悪く無さそうだ。
ランドマークタワーが一際大きく見える辺りに松島館はある。
横浜でも最先端の町MM21に近い所にこんな渋い銭湯がある時点でテンション上がりまくり。
早速楽しむ事にしよう。
相変わらず全国一位タイの銭湯料金470円を払い、貸タオルをお願いする。
何と貸タオル無料ですかそうですか。
自前タオルはあるのだが、今日のデイパックの中には買ったばかりの本があるので、濡れタオルを一緒に仕舞いたくなかった為である。
バイクではないのでいつもよりかなり軽装備であり、下着と防寒用のアンダーの上にはLLビーンのコットンシャツとジャンパーなので余裕でロッカーに収まる。
さあ行くぜ!
早速の西伊豆からの富士山がお出迎え、何せ昨日その西伊豆からの富士山(本物)を見て来たばかりだからな。
固定シャワーのある仕切り壁側のカランで身体を流す。
カラン数は外壁から4、5ー5の島、仕切り壁の6と少な目。
外壁側の浴槽に近い所に立ちシャワーのある珍しい構造だ。
髭まで当たって浴槽へ、先ずは富士山と対面して浅湯に。
久々のペンキ絵を堪能した後、浴室を見聞。
浴室幅は三間半、奥行きが四間。
床の風車紋様のタイルと仕切り壁の上部のタイルがハイカラな感じだ。
湯気抜きはこれぞ関東の銭湯と言わんばかりの中央四間四方ぶち抜き、良いねえ、この開放空間。
空の色が薄暮から夕闇へと移る様を浴槽から楽しんで、シャワーで上がり湯を浴びて身体を拭う。
防寒アンダーの性能が良過ぎるので確りと汗が引くまで涼み、服を着る。
タオルを返す際にお礼と良いお湯だった事を伝えるとおかみさんが、「薪で焚いてるから温まったでしょ」と声をかけてくれた。
言うまでもないが最高レベルの銭湯だ。
松島館を暇して、戸部へと戻る道を進んで行く。
行き掛けに見つけた蕎麦屋で一杯引っ掛けようかと思っていたが、台湾料理店の立看板の文字にレーダーが著しく反応する。
横浜羽沢野菜のサラダ、だと?
人生の半分以上を既に広島で過ごしたが根っこは横浜、横浜市歌だって未だ歌えるんだぜ。
そこにそんな文字並べられたらそりゃ入りますよ、もう。
台湾料理の金葉は開店したばかりのようで、他に客はいなかった。
取り敢えずはハイボール、そして横浜野菜のサラダ。
ハーフができるそうなのでハーフにしておこう。
先に届いたハイボールを嘗めながら、テレビのニュースを眺めていると程無くして横浜野菜のサラダ、満を持しての登場である。
見た目は7、8種類の野菜が盛られたミックスサラダだが、明らかに名前が判る野菜はキャベツと人参くらいなものだ。
後はラディッシュなのかサラダリーフなのが法蓮草なのか全く判らない。
考えても仕方がないので箸をつける。
大きめにカットしてあるのでキャベツと人参をつまみ口に運ぶ。
甘!
控えめにドレッシングが掛けてあるが野菜の味が物凄く甘く感じられる。
これは美味い。
外壁が緑色で中身が赤地に白い水玉模様の大根の一種やラディッシュのような野菜は歯応え良く、さっぱりとした味が特徴だ。
むしゃむしゃと食い進み、ハイボールを流し込むともう少しここで飲んで行こうと心が決まる。
メニューを眺めつすがめつしていると、干し大根の卵焼きと言うメニューがある。
フラッシュバックの様に脳裏に、呉にあった台湾料理の店「香到里」が思い出される。
独身の頃は週に一度は必ず顔を出していた店の一つで、台湾の家庭料理の大皿がカウンターに並び、何を食べても旨かった。
マスターが身体を壊し急に店を閉められ、それ以来台湾料理の店に行った事はない。
近くに無かったのもあるだろうし、敢えて探そうともしなかったその理由が今なら、何となく判る。
多分、俺は香到里と言う店を自分の中から無くしたくなかったんだろうなと思う。
あれから何年経ったのかも最早忘れてしまったが、香到里はちゃんと俺の中にあった。
干し大根の卵焼きと紹興酒のハイボールを追加して、二杯目は少ししんみりと。
確かにあの頃と同じ味がした。
心引かれるメニュー達を振り切って金葉を二杯で暇する。
さあ横浜名酒センター行くぜ。
横浜名酒センターは岡野町にあるので電車で横浜に行って更に歩くと結構あるため、バスで近付けねえかなと模索。
金葉の目の前はバス通りなので松島館の方に少し戻った所にあるバス停をみると、何じゃこりゃ?
一日に数本、しかも午前中だけとか。
ここは本当に日本第二の大都市横浜かと思えるような時刻表である。
こんなひどい路線は昔は太尾新道を走ってた41系統か瑞穂埠頭を走ってた48系統位しか見たことねえぞ。
まあ一本道を離れれば新横浜桜木町線の大通りなのでそっちにいくと、101系統保土ヶ谷行きが通るので停留所二つばかりバス移動。
はっきりいって岡野町でバスを降りるのは初めてではなかろうか。
スクランブル交差点を渡り勝手知ったるドアの前まで行くと何やら貼り紙が「2月◯日まで休みます」。
ガーソ!
おおお、ここまでほぼ完璧だった(行き当たりばったりの)計画遂行が・・・。
頭の中は完全に日本酒飲んでブライアンと面白おかしく話をするつもりだったのに。
仕方ない、酒だけでも飲まなきゃ収まらねえと、グーグル先生にお伺いを立てる。
横浜辺りに戻れば店など選び放題だが今日は「戻る」という選択肢がどうしてもダイアログに出て来ないため岡野町周辺で適当に探す。
日本酒を売りにしてるらしい店が三軒ほどヒット。
一軒は改装中のようで残る二軒の内、日本酒原価酒蔵という店を選択する。
まあ先に言って置くけど誉めないよ。
店内に入り二人掛けのテーブルに案内されると、店の簡単なシステムと日本酒についての説明が始まる。
システムはともかく日本酒について俺に何を説明しようというのだ?
酒関係の本で埋まった俺の本棚を見せてやりたいわ。
然し何処を探しても「説明をスキップ」というボタンが表示されてないので約5分近くに渡り聞き流す事に専念する。
取り敢えず安芸津の地酒、今田美穂杜氏の醸す富久長。
肴は温かいものが欲しかったので青海苔豆腐を注文する。
酒は100ミリリットルの小瓶で提供されるようだ。
2オンスのグラス8分注ぎで2杯分位?
色々飲みたい時には良いかもしれない。
店の中のポップに依るとこの小瓶を売っているらしいが、とりあえず100ミリリットルしか入らない瓶を一合瓶と呼ぶのは止めた方が良いんじゃね。
青海苔豆腐は中々美味い。
酒を陸奥八仙(だったと思う)に代えてのんびり。
大分余裕が出て来たのか、仕事しないバイトを見ても自分に被害が及ばない限りは温厚な態度を保てている。
最後に肉っ気が欲しくなったので木戸泉とハムカツを追加して暇。
2500円弱の勘定になったが、まあそんなもんだろ。
アプリ入れたりすると安くなったりするらしいが心配しなくても二度目はない。
さて翌日、起きるのは早いが朝飯はパス。
親父の仏壇に線香をあげて、8時を過ぎた頃に家を出る。
今日の目的地は永田町、そう国立国会図書館での旧い住宅地図調査が目的だ。
新しくなった渋谷にも然程迷うことなく乗換えられ開館して間もない国会図書館に到着。
先ず利用者登録をしてカードをつくる。
当然初めて来たのだが職員さんの対応が凄く良い。
ちょっとした質問にも懇切丁寧に答えてくれるので、迷ったりすることがあまりない。
カードを受け取り早速本館の4階の地図室へ向かう。
ここでも検索方法から請求方法、複写の申込み方法など丁寧に説明してもらい、因島市の1970年の住宅地図と大崎上島町の1978年の住宅地図を請求した。
昭和期の広島県銭湯調査は現在行き詰まり状態である。
住宅地図で存在を確認できていないのが、庄原市の寿湯、旧因島市のだるま湯、因島温泉、都湯、みなと湯の四軒、三原市の和田温泉、大崎上島のだるま湯、鮴崎温泉、甲湯、大平湯、一〆目風呂、そして豊島の大和湯となる。
この内住所や経営者などから推測したり、現地調査でほぼ特定したものを除くと庄原市の寿湯と因島の四軒、そして大崎上島のだるま湯が残る。
広島の県立図書館にある因島、大崎上島の地図より旧い住宅地図はもう国会図書館にしか存在していない。
つまるところ住宅地図に依る調査の最後の砦である。
何としてでも何か掴んで帰りたいところである。
程無くして届いた資料を受け取り、閲覧席で調査開始。
尚、国会図書館には鞄等は持ち込めないので持ち物はクリアファイル一冊とノート一冊、そして筆記具セットだけだ。
先ずは因島の土生周辺を絨毯爆撃。
ページの上端部分にだるま湯を発見し安堵する。
これでここまで来た事が全く無駄ではなくなった。
別ページで因島温泉も確認できたが、三庄地区の都湯とみなと湯は発見出来ず。
また大崎上島の地図では甲湯の位置が特定できたものの、肝心なだるま湯は発見に至らず。
兎にも角にも図書館での調査は出来る処までやった、と思う。
だって国会図書館まで調べたんですよ。
これ以上地図がありそうな所ってゼンリンの本社資料室とかしか思い浮かばないよ。
そんなん行く方法も思い付かないわ。
地図の複写を申込み、複写カウンターで受け取ると、既に昼前だ。
流石に腹が減って来たので何か食おう。
検索すると食堂があるらしいので行ってみると、何か凄いメニューがある。
メガカレーというシリーズだがトレイの上に皿を置くと後はスプーン位しか置くスペースが残らないほど皿がでかい。
それでもショーケース内の見本ではそれほどご飯が多く見えなかったので、朝も食ってないしイケるやろと牛丼との合い掛けとなるメガ図書館カレー850円なりの食券を購入。
カレーや定食のカウンターに出して暫し待つ。
出て来た皿をみて内心「やってしもうたー!」
ほぼトレイと同じ大きさの皿の全域に拡がるご飯の量は見本より遥かに多い。
これは狗頭羊肉ですわなど考えてる場合ではなく、兎に角お冷やをゲットして空いている席の方へと移動する。
こうなれば満腹中枢が刺激されるまえに一気呵成に食うしかないと、勇猛果敢に食い始めるも新たな刺客が登場。
暑い、そりゃそうだ。
暖房の効いた部屋で防寒のアンダーも着込んでいるのにカレーなんか食えば汗も出よう。
端からみれば汗だくで大盛のカレーを詰め込んでるおっさんだが、当の本人にそんなことを考える余裕もなく何とか平らげることに成功。
今針で突かれたらつるんと皮がはじけて俺の形のカレーが出そうな気分である。
取り敢えず汗だくなので一度コインロッカーまで戻り、ボディペーパーで汗を拭う。
ひー、暫く何も食わなくて良いや。
午後からは雑誌カウンターでまんがタイムスペシャルのバックナンバー閲覧を申し込む。
まんがタイムスペシャルには「花の湯へようこそ」という銭湯をテーマとした漫画が連載されていた。
単行本は4巻まで発行されているが、雑誌掲載分で1年5ヵ月分が単行本未収録のままとなっているのである。
行くだろ、当然。
事前に情報を整理しておいたこともあり、二回に分けて閲覧、複写申込み。
最終回までの資料を手にいれ終えたのは3時頃だったか。
取り敢えず国会図書館でやりたい事はやり終えた。
明日は仕事なので横須賀に戻って風呂と酒かな。
多分新橋辺りまで地下鉄で行って、東海道線、横須賀線と乗継ぐのが早いのだろうが結局渋谷から横浜乗り換え京急というルート。
酒を飲むのが中央の方が都合が良さそうなのでこのルートとした。
じゃあ京急沿線での銭湯はと言うとこれまた一悩み。
折しも冷たい雨が降りだして、あまり歩きたくはない状態。
そんなこんなで横須賀辺りの銭湯を探っていたが、どうも一軒足りない気がする。
汐入の大黒湯閉業は知っていたが中央より南側でもう一軒あった気がすると思い色々探ると富の湯がグーグルマップに出てないぞ。
慌てて検索掛けると昨年8月に火災が起きて消失したという記事が出てきた。
マジかー。
フィギュアの並んだレトロ銭湯ってTVKの銭湯物語でも紹介されてたのに。
本当にどんどん無くなっていくなあ。
第二常盤湯も永生湯も無くなったしなあ。
行ける所は行っておかないとなあ。
という訳で京急大津まで行き宮本温泉に入ることにした。
京急大津から歩くこと約10分ほど、住宅街の中に宮本温泉は見えて来た。
下足箱に靴を入れてその鍵をフロントへ、代わりに脱衣ロッカーの鍵をくれる仕組みだ。
こぢんまりとした脱衣場で服を脱ぎつつ周りをみるとやたら注意書きが多い気がする。
昔、品川の高輪浴場に行った時やはり注意書きが多かった事を思いだしつつロッカーに服を納め浴室へ。
目の前にいきなり紺色タイルの小さな浴槽が現れるがこれは水風呂の浴槽だ。
仕切り壁にシャワー付きのカランが7つ程並び一番手前は立シャワー。
外壁側はサウナ入口からカランが3つ、露天風呂の入口と続き奥壁手前に主浴槽と続く。
主浴槽の奥には写真をプリントしたようなタイル絵が渓流の風景を描きだしている。
水風呂の脇に鏡もシャワーもない真四角な島カランがあり、髭を剃る気も無かったのでここで身体を流す事にする。
メガ図書館カレーのお陰で大汗をかいたので、漸くさっぱりする事ができた。
主浴槽は少し熱めなので露天に入ろうとすると常連さんに声を掛けられ世間話をする事に。
雨が更に勢いを増す中、実母散の露天に浸かったり涼んだりを繰り返し、最後に主浴槽から水風呂へのコンボの後、立シャワーで上がり湯。
最近モバイル替え下着セット同梱のタオルを、セブンイレブンの極ふわフェイスタオルに替えたのだが、このタオルが優れもので風呂上がりに一通り身体を拭ってもまだ、水分を絞り出せない位給水性が高い。
少し嵩張るのが難点だが、鞄の中などにしまう場合水漏れの危険が下がるのでお勧めである。
あてがわれたロッカーの隣の爺さんが非常にのんびりとお着替え下さったので、脱衣場で十分に涼む事が出来た。
ロビーに出て靴下を履きなおして冷たいものでも飲もうかと思ったが、メガ図書館カレーの影響未だ衰えず。
ここで飲んだらもう他で飲み食いできねえと思い宮本温泉を辞した。
堀ノ内まで一駅分歩き、三春町の富の湯の跡を確認。
商店街に不意に現れるぽっかりと空いた更地に在りし日の富の湯に思いを馳せ、堀ノ内から中央へ戻った。
然し未だメガ図書館カレーは腹の中でその存在を主張をしているのではしご酒は断念、中央酒場で一杯だけ飲んで帰る事にする。
折角だから久々にハートランド、一杯目のコップを堪能した後、牡蛎の天ぷらを注文。
熱々の天ぷらを抹茶塩、レモンと醤油で交互に楽しみハートランドを空けてしまうと最早限界。
大人しく帰る事にし、かくして前編はここまで。
一日だがデイオフを得たのでとりあえずは実家に帰る前にやりたいことはやっておこう。
先ずは本を買いに行くことにしよう。
昨今どんな本も通販で買うのが手っ取り早いのだが、矢張書店で手に取って買うのが良い。
入手した本を開くまでの高揚感とでも言おうか、手元に在るのにまだ読めないという待ち遠しさが何とも言えない。
今回買う予定なのが「我が日常茶飯」。
鎌倉の立飲み、ヒグラシ文庫の店主が書いた酒肴本である。
ヒグラシ文庫は当ブログの以前の記事、清水湯連湯にも登場するハイクオリティな立飲みである。
出版は横浜市民酒場の探訪でお馴染みの星羊社、そりゃ期待もできますわ。
取り敢えず鎌倉で途中下車。
横浜有隣堂本店でも買えるそうなのだがこの時点で今日の銭湯が未確定であり、伊勢佐木町まで出てしまうと選択の幅がかなり狭まる為に先に買って置くことにした。
東口改札を出て少し右手に、以前のブログで漫画が無いのであまり用の無い書店と書いてしまった書店がある。
まさかこんなに早く再訪する事になるとは思わなんだが、まあ拙ブログの読者数なぞたかが知れているし、そういう記事を書きましたと喧伝しながら店に入る訳でもなし。
さっくり入手して次の上り電車に間に合う様に駅に戻る。
さて今日の風呂はどうするかなと模索。
第一条件は新規開拓、そしてレトロ系、近隣に立飲みなどあれば尚良し。
大船だと近過ぎ、鶴見までだと少し遠くなる。
いつもよりかなりエリアを限定しているのは、最後に横浜の名酒センターに寄る積もりだからである。
という訳で松島館に決定したが、最寄り駅は何処だ?
グーグルマップで見ると戸部か新高島か桜木町になりそうだが、横須賀線に乗っている現状からだと横浜まで行って乗り換えるのが早い。
早いと解っているのだが身体が一度横浜まで出ることを拒否するので戸塚で下車。
料金が中々高額なことで知られる横浜市営地下鉄に乗り換え上大岡へ。
そして京急の普通に乗り換えて戸部に降り立つ。
記念湯の前を通り街中を散策がてら松島館へ。
角打ちをしているような酒屋は見つからなかったが良さげな蕎麦屋などもあり、風呂上がりに一杯やるのも悪く無さそうだ。
ランドマークタワーが一際大きく見える辺りに松島館はある。
横浜でも最先端の町MM21に近い所にこんな渋い銭湯がある時点でテンション上がりまくり。
早速楽しむ事にしよう。
相変わらず全国一位タイの銭湯料金470円を払い、貸タオルをお願いする。
何と貸タオル無料ですかそうですか。
自前タオルはあるのだが、今日のデイパックの中には買ったばかりの本があるので、濡れタオルを一緒に仕舞いたくなかった為である。
バイクではないのでいつもよりかなり軽装備であり、下着と防寒用のアンダーの上にはLLビーンのコットンシャツとジャンパーなので余裕でロッカーに収まる。
さあ行くぜ!
早速の西伊豆からの富士山がお出迎え、何せ昨日その西伊豆からの富士山(本物)を見て来たばかりだからな。
固定シャワーのある仕切り壁側のカランで身体を流す。
カラン数は外壁から4、5ー5の島、仕切り壁の6と少な目。
外壁側の浴槽に近い所に立ちシャワーのある珍しい構造だ。
髭まで当たって浴槽へ、先ずは富士山と対面して浅湯に。
久々のペンキ絵を堪能した後、浴室を見聞。
浴室幅は三間半、奥行きが四間。
床の風車紋様のタイルと仕切り壁の上部のタイルがハイカラな感じだ。
湯気抜きはこれぞ関東の銭湯と言わんばかりの中央四間四方ぶち抜き、良いねえ、この開放空間。
空の色が薄暮から夕闇へと移る様を浴槽から楽しんで、シャワーで上がり湯を浴びて身体を拭う。
防寒アンダーの性能が良過ぎるので確りと汗が引くまで涼み、服を着る。
タオルを返す際にお礼と良いお湯だった事を伝えるとおかみさんが、「薪で焚いてるから温まったでしょ」と声をかけてくれた。
言うまでもないが最高レベルの銭湯だ。
松島館を暇して、戸部へと戻る道を進んで行く。
行き掛けに見つけた蕎麦屋で一杯引っ掛けようかと思っていたが、台湾料理店の立看板の文字にレーダーが著しく反応する。
横浜羽沢野菜のサラダ、だと?
人生の半分以上を既に広島で過ごしたが根っこは横浜、横浜市歌だって未だ歌えるんだぜ。
そこにそんな文字並べられたらそりゃ入りますよ、もう。
台湾料理の金葉は開店したばかりのようで、他に客はいなかった。
取り敢えずはハイボール、そして横浜野菜のサラダ。
ハーフができるそうなのでハーフにしておこう。
先に届いたハイボールを嘗めながら、テレビのニュースを眺めていると程無くして横浜野菜のサラダ、満を持しての登場である。
見た目は7、8種類の野菜が盛られたミックスサラダだが、明らかに名前が判る野菜はキャベツと人参くらいなものだ。
後はラディッシュなのかサラダリーフなのが法蓮草なのか全く判らない。
考えても仕方がないので箸をつける。
大きめにカットしてあるのでキャベツと人参をつまみ口に運ぶ。
甘!
控えめにドレッシングが掛けてあるが野菜の味が物凄く甘く感じられる。
これは美味い。
外壁が緑色で中身が赤地に白い水玉模様の大根の一種やラディッシュのような野菜は歯応え良く、さっぱりとした味が特徴だ。
むしゃむしゃと食い進み、ハイボールを流し込むともう少しここで飲んで行こうと心が決まる。
メニューを眺めつすがめつしていると、干し大根の卵焼きと言うメニューがある。
フラッシュバックの様に脳裏に、呉にあった台湾料理の店「香到里」が思い出される。
独身の頃は週に一度は必ず顔を出していた店の一つで、台湾の家庭料理の大皿がカウンターに並び、何を食べても旨かった。
マスターが身体を壊し急に店を閉められ、それ以来台湾料理の店に行った事はない。
近くに無かったのもあるだろうし、敢えて探そうともしなかったその理由が今なら、何となく判る。
多分、俺は香到里と言う店を自分の中から無くしたくなかったんだろうなと思う。
あれから何年経ったのかも最早忘れてしまったが、香到里はちゃんと俺の中にあった。
干し大根の卵焼きと紹興酒のハイボールを追加して、二杯目は少ししんみりと。
確かにあの頃と同じ味がした。
心引かれるメニュー達を振り切って金葉を二杯で暇する。
さあ横浜名酒センター行くぜ。
横浜名酒センターは岡野町にあるので電車で横浜に行って更に歩くと結構あるため、バスで近付けねえかなと模索。
金葉の目の前はバス通りなので松島館の方に少し戻った所にあるバス停をみると、何じゃこりゃ?
一日に数本、しかも午前中だけとか。
ここは本当に日本第二の大都市横浜かと思えるような時刻表である。
こんなひどい路線は昔は太尾新道を走ってた41系統か瑞穂埠頭を走ってた48系統位しか見たことねえぞ。
まあ一本道を離れれば新横浜桜木町線の大通りなのでそっちにいくと、101系統保土ヶ谷行きが通るので停留所二つばかりバス移動。
はっきりいって岡野町でバスを降りるのは初めてではなかろうか。
スクランブル交差点を渡り勝手知ったるドアの前まで行くと何やら貼り紙が「2月◯日まで休みます」。
ガーソ!
おおお、ここまでほぼ完璧だった(行き当たりばったりの)計画遂行が・・・。
頭の中は完全に日本酒飲んでブライアンと面白おかしく話をするつもりだったのに。
仕方ない、酒だけでも飲まなきゃ収まらねえと、グーグル先生にお伺いを立てる。
横浜辺りに戻れば店など選び放題だが今日は「戻る」という選択肢がどうしてもダイアログに出て来ないため岡野町周辺で適当に探す。
日本酒を売りにしてるらしい店が三軒ほどヒット。
一軒は改装中のようで残る二軒の内、日本酒原価酒蔵という店を選択する。
まあ先に言って置くけど誉めないよ。
店内に入り二人掛けのテーブルに案内されると、店の簡単なシステムと日本酒についての説明が始まる。
システムはともかく日本酒について俺に何を説明しようというのだ?
酒関係の本で埋まった俺の本棚を見せてやりたいわ。
然し何処を探しても「説明をスキップ」というボタンが表示されてないので約5分近くに渡り聞き流す事に専念する。
取り敢えず安芸津の地酒、今田美穂杜氏の醸す富久長。
肴は温かいものが欲しかったので青海苔豆腐を注文する。
酒は100ミリリットルの小瓶で提供されるようだ。
2オンスのグラス8分注ぎで2杯分位?
色々飲みたい時には良いかもしれない。
店の中のポップに依るとこの小瓶を売っているらしいが、とりあえず100ミリリットルしか入らない瓶を一合瓶と呼ぶのは止めた方が良いんじゃね。
青海苔豆腐は中々美味い。
酒を陸奥八仙(だったと思う)に代えてのんびり。
大分余裕が出て来たのか、仕事しないバイトを見ても自分に被害が及ばない限りは温厚な態度を保てている。
最後に肉っ気が欲しくなったので木戸泉とハムカツを追加して暇。
2500円弱の勘定になったが、まあそんなもんだろ。
アプリ入れたりすると安くなったりするらしいが心配しなくても二度目はない。
さて翌日、起きるのは早いが朝飯はパス。
親父の仏壇に線香をあげて、8時を過ぎた頃に家を出る。
今日の目的地は永田町、そう国立国会図書館での旧い住宅地図調査が目的だ。
新しくなった渋谷にも然程迷うことなく乗換えられ開館して間もない国会図書館に到着。
先ず利用者登録をしてカードをつくる。
当然初めて来たのだが職員さんの対応が凄く良い。
ちょっとした質問にも懇切丁寧に答えてくれるので、迷ったりすることがあまりない。
カードを受け取り早速本館の4階の地図室へ向かう。
ここでも検索方法から請求方法、複写の申込み方法など丁寧に説明してもらい、因島市の1970年の住宅地図と大崎上島町の1978年の住宅地図を請求した。
昭和期の広島県銭湯調査は現在行き詰まり状態である。
住宅地図で存在を確認できていないのが、庄原市の寿湯、旧因島市のだるま湯、因島温泉、都湯、みなと湯の四軒、三原市の和田温泉、大崎上島のだるま湯、鮴崎温泉、甲湯、大平湯、一〆目風呂、そして豊島の大和湯となる。
この内住所や経営者などから推測したり、現地調査でほぼ特定したものを除くと庄原市の寿湯と因島の四軒、そして大崎上島のだるま湯が残る。
広島の県立図書館にある因島、大崎上島の地図より旧い住宅地図はもう国会図書館にしか存在していない。
つまるところ住宅地図に依る調査の最後の砦である。
何としてでも何か掴んで帰りたいところである。
程無くして届いた資料を受け取り、閲覧席で調査開始。
尚、国会図書館には鞄等は持ち込めないので持ち物はクリアファイル一冊とノート一冊、そして筆記具セットだけだ。
先ずは因島の土生周辺を絨毯爆撃。
ページの上端部分にだるま湯を発見し安堵する。
これでここまで来た事が全く無駄ではなくなった。
別ページで因島温泉も確認できたが、三庄地区の都湯とみなと湯は発見出来ず。
また大崎上島の地図では甲湯の位置が特定できたものの、肝心なだるま湯は発見に至らず。
兎にも角にも図書館での調査は出来る処までやった、と思う。
だって国会図書館まで調べたんですよ。
これ以上地図がありそうな所ってゼンリンの本社資料室とかしか思い浮かばないよ。
そんなん行く方法も思い付かないわ。
地図の複写を申込み、複写カウンターで受け取ると、既に昼前だ。
流石に腹が減って来たので何か食おう。
検索すると食堂があるらしいので行ってみると、何か凄いメニューがある。
メガカレーというシリーズだがトレイの上に皿を置くと後はスプーン位しか置くスペースが残らないほど皿がでかい。
それでもショーケース内の見本ではそれほどご飯が多く見えなかったので、朝も食ってないしイケるやろと牛丼との合い掛けとなるメガ図書館カレー850円なりの食券を購入。
カレーや定食のカウンターに出して暫し待つ。
出て来た皿をみて内心「やってしもうたー!」
ほぼトレイと同じ大きさの皿の全域に拡がるご飯の量は見本より遥かに多い。
これは狗頭羊肉ですわなど考えてる場合ではなく、兎に角お冷やをゲットして空いている席の方へと移動する。
こうなれば満腹中枢が刺激されるまえに一気呵成に食うしかないと、勇猛果敢に食い始めるも新たな刺客が登場。
暑い、そりゃそうだ。
暖房の効いた部屋で防寒のアンダーも着込んでいるのにカレーなんか食えば汗も出よう。
端からみれば汗だくで大盛のカレーを詰め込んでるおっさんだが、当の本人にそんなことを考える余裕もなく何とか平らげることに成功。
今針で突かれたらつるんと皮がはじけて俺の形のカレーが出そうな気分である。
取り敢えず汗だくなので一度コインロッカーまで戻り、ボディペーパーで汗を拭う。
ひー、暫く何も食わなくて良いや。
午後からは雑誌カウンターでまんがタイムスペシャルのバックナンバー閲覧を申し込む。
まんがタイムスペシャルには「花の湯へようこそ」という銭湯をテーマとした漫画が連載されていた。
単行本は4巻まで発行されているが、雑誌掲載分で1年5ヵ月分が単行本未収録のままとなっているのである。
行くだろ、当然。
事前に情報を整理しておいたこともあり、二回に分けて閲覧、複写申込み。
最終回までの資料を手にいれ終えたのは3時頃だったか。
取り敢えず国会図書館でやりたい事はやり終えた。
明日は仕事なので横須賀に戻って風呂と酒かな。
多分新橋辺りまで地下鉄で行って、東海道線、横須賀線と乗継ぐのが早いのだろうが結局渋谷から横浜乗り換え京急というルート。
酒を飲むのが中央の方が都合が良さそうなのでこのルートとした。
じゃあ京急沿線での銭湯はと言うとこれまた一悩み。
折しも冷たい雨が降りだして、あまり歩きたくはない状態。
そんなこんなで横須賀辺りの銭湯を探っていたが、どうも一軒足りない気がする。
汐入の大黒湯閉業は知っていたが中央より南側でもう一軒あった気がすると思い色々探ると富の湯がグーグルマップに出てないぞ。
慌てて検索掛けると昨年8月に火災が起きて消失したという記事が出てきた。
マジかー。
フィギュアの並んだレトロ銭湯ってTVKの銭湯物語でも紹介されてたのに。
本当にどんどん無くなっていくなあ。
第二常盤湯も永生湯も無くなったしなあ。
行ける所は行っておかないとなあ。
という訳で京急大津まで行き宮本温泉に入ることにした。
京急大津から歩くこと約10分ほど、住宅街の中に宮本温泉は見えて来た。
下足箱に靴を入れてその鍵をフロントへ、代わりに脱衣ロッカーの鍵をくれる仕組みだ。
こぢんまりとした脱衣場で服を脱ぎつつ周りをみるとやたら注意書きが多い気がする。
昔、品川の高輪浴場に行った時やはり注意書きが多かった事を思いだしつつロッカーに服を納め浴室へ。
目の前にいきなり紺色タイルの小さな浴槽が現れるがこれは水風呂の浴槽だ。
仕切り壁にシャワー付きのカランが7つ程並び一番手前は立シャワー。
外壁側はサウナ入口からカランが3つ、露天風呂の入口と続き奥壁手前に主浴槽と続く。
主浴槽の奥には写真をプリントしたようなタイル絵が渓流の風景を描きだしている。
水風呂の脇に鏡もシャワーもない真四角な島カランがあり、髭を剃る気も無かったのでここで身体を流す事にする。
メガ図書館カレーのお陰で大汗をかいたので、漸くさっぱりする事ができた。
主浴槽は少し熱めなので露天に入ろうとすると常連さんに声を掛けられ世間話をする事に。
雨が更に勢いを増す中、実母散の露天に浸かったり涼んだりを繰り返し、最後に主浴槽から水風呂へのコンボの後、立シャワーで上がり湯。
最近モバイル替え下着セット同梱のタオルを、セブンイレブンの極ふわフェイスタオルに替えたのだが、このタオルが優れもので風呂上がりに一通り身体を拭ってもまだ、水分を絞り出せない位給水性が高い。
少し嵩張るのが難点だが、鞄の中などにしまう場合水漏れの危険が下がるのでお勧めである。
あてがわれたロッカーの隣の爺さんが非常にのんびりとお着替え下さったので、脱衣場で十分に涼む事が出来た。
ロビーに出て靴下を履きなおして冷たいものでも飲もうかと思ったが、メガ図書館カレーの影響未だ衰えず。
ここで飲んだらもう他で飲み食いできねえと思い宮本温泉を辞した。
堀ノ内まで一駅分歩き、三春町の富の湯の跡を確認。
商店街に不意に現れるぽっかりと空いた更地に在りし日の富の湯に思いを馳せ、堀ノ内から中央へ戻った。
然し未だメガ図書館カレーは腹の中でその存在を主張をしているのではしご酒は断念、中央酒場で一杯だけ飲んで帰る事にする。
折角だから久々にハートランド、一杯目のコップを堪能した後、牡蛎の天ぷらを注文。
熱々の天ぷらを抹茶塩、レモンと醤油で交互に楽しみハートランドを空けてしまうと最早限界。
大人しく帰る事にし、かくして前編はここまで。