居酒屋黙示録 新章 暖簾を繋ぐ刻

旧き善き銭湯を訪れ、立ち飲みを巡り、居酒屋で思う。

部屋飲み 独り湯豆腐

2015-11-27 14:02:44 | 家飲み
岡山での寮生活では食事は三食職場での支給によって食べることも可能ではあるが、時間制限が結構厳しいのと夜は結局酒を飲むので昼食だけ食べる事にしている。
朝はご飯を冷凍しておいて卵と納豆、インスタントの味噌汁で十分。
夜は飲みを兼ねるので、自分の趣味を押し通す絶好の機会なので見逃す訳にも行くまいよ。

そんなこんなで、広島から寮に戻る日の事。
朝から歯医者を予約して、終ってから岡山に戻るルートを楽しむだけ楽しむつもりで代休まで使った移動の始まりである。
先ずは国道185号線を東へと走り出す。
国道185号線は広島市と呉市を繋ぐ瀬戸内海沿いを走る国道31号線に続き、呉市から三原市までをひた走る道だ。
海岸線から田んぼの間から、山あいの道からとレパートリーに富んだ国道で初めて通る人ならば中々楽しめる道なのではと思うが、既に通り飽きた私などに取っては冗長な田舎道としか思ってはいない。
それでも在るところには良いものが在るもので寄り道するポイントに事欠かない。

先ずは安登駅を過ぎた先にあるミュラーオオタニ。
ソーセージやベーコン、生ハムなどを扱う店だ。
お薦めは、言ってしまえば良くわからない。
知らなければ何を商っているのかさえ、さっぱり判らない店の前にバイクを止め店へ。
店の前で舗装された道は終わって先に続くのは、人しか通る事が出来ない畦道なので後ろから車が来ることを気にする必要は無い。
ドア開け店に入り、スリッパに履き替え奥に進む。
初めて来たときは、ここに入るのでさえ躊躇したものだ。

店内に誰も居なかったが、気にせずにショーケースの中を見て今日何を買うかを物色する。
店内はショーケースがなかったら、骨董品店か店主の趣味が行き過ぎてしまった喫茶店のような有り様で、とてもハムなど売ってるようには見えない。
店内に御主人は居なかったが、店に入る前に裏の燻製器の方に煙が見えたのでそのうち来るだろうと勝手にショーケースを見ていると、直ぐにドアから御主人が入って来られた。
前回来たときも買った色々セットをお願いすると、既にスライスしてパックしたものから4種類ほど選んでこれでどうですかと聞いてくれる。
今日はヤークブルスト、シンケンブルスト、パプリカブルストと後一つは名前が判らないがオーソドックスなソーセージ。
何を食べても旨いから是非も無い。
更にお薦めを聞くと、ベーコンがあるが脂が多いから2つで1000円にしてくれると言うので、買うことにした。
いつもなら一個800円位だからお買い得だ。
キャベツと一緒に鍋にぶちこんで鍋にするのも良いかもしれん。
御主人に礼を言って更に旅を続ける。

竹原からは海沿いの国道185号線を離れ、山を抜ける県道75号線を走る。
竹原ー三原間をほぼ直線的に抜ける山道で数年前までは、車の離合が難しい狭い所もあったが今では綺麗に整備されており、交通量も少ない非常に走りやすい道となった。
いつもならば真っ直ぐ三原を目指し市街地を避けて三原バイパスに向かうが、今日は寄ってみたい所があって山を越えてすぐに県道59号線を左折。
2号線を越えて県道33号線に変わり河内の方に向かって2キロほど、今度は大和町に続く県道343号線へ右折して、暫く進むと田圃の中に一本の幟が見える。
人の家の庭先では無いのかと考えてしまうような道を入って行くと広島では結構有名な豆腐店、渓水庵に到着だ。
広島でも町中のスーパーではなく、やたら高い物が並ぶアバンセが扱ってる位。
まあ高いと云っても普通の絹ごし、木綿は1個150円。
厚揚も一つ買って全部で500円。
しかも袋一杯に雪花菜を詰め込んだものをおまけにくれ、ポテトサラダみたいにマヨネーズで合えて具材入れると美味しいですと教えてくれた。
是非やってみるとしよう。

県道を下って2号線に戻り、東進を再開。
三原バイパス全線を走り尾道に入る。
流石にまだ、銭湯が開く時間では無いので今日は尾道はスルーだ。
福山で酒屋に寄り道したが、先日買ったのも開けてないので買いはせず、東進を続行。鋼管道路から笠岡バイパス、海沿いの県道をひた走り4時前に玉島のセブンイレブンで休憩する。
そういえば昼飯も食って無かったが、そんなに腹は減ってないな。
ピザまんとコーヒーで暖をとり、この先のルートを模索。
明るい内に玉島の港湯跡まで行けそうなので、写真を撮りに行くことにした。
日が陰り寒くなってきたのでオーバーパンツとネックウォーマーを着け、グローブを冬用の物に変える。
いつも通っている水玉ハイウェイの下をくぐり玉島の市街地。
港湯はその川の畔、羽黒神社とお茶屋さんの間にまだその姿を遺していた。
在りし日の港湯に思いを馳せ、写真を何枚か撮影し旅を続ける。
水玉ハイウェイに復帰し、水島でも酒屋を覗き木村式奇跡のお酒の値段を見て今度にしようと決める。
水島インターの手前を右折、児島の方に向かう。
真っ直ぐ行けば昭和湯の前の道に繋がっているが、荷物多いし流石に風呂はパス。
瀬戸大橋線上の町駅の先から由伽山の方へ曲がればもう少しで長旅も終わる。
寮に戻ってしまうと、もう外に買い出しに出るのも億劫なのでスーパーに寄って卵、薬味野菜、雪花菜サラダに入れる魚肉ソーセージと胡瓜、それとビール一本を購入。
あと少しで寮って所に若観門豆と言う豆腐屋があり、玉野市では大抵のスーパーで売っている豆腐がある。
ここの豆腐も高級な方で税抜き150円だったと思う。
普段は安い豆腐で十分なのだが、折角三原で渓水庵の豆腐を買って来たのだ。
食べ比べて見たくなると言うものだ。
絹ごしと木綿を一丁づつ。
もー寄り道しねえ。

流石にこの日は疲れたので厚揚焼いて、雪花菜サラダ作ってビール飲んだら寝てしまったので湯豆腐は翌日に。
寮に戻ってビールが無かったので買い出ししようと思ったが、雨降ってきた。
ウェザーニュースの雨雲レーダーでは小1時間もすれば、抜けそうだったので着替えたまま寝っ転がってスマホのクイズゲーで時間潰ししていたが止みそうにない。
テレビのdデータで雨雲を見ると止みそうにないので買い出し中止。
湯豆腐の材料はあるから良いや。
ご飯が無かったから、2合炊いて湯豆腐の準備。
薬味野菜は昨日刻んであるので鍋に水を張り昆布をぶち込んでカセットコンロに火を着けるだけの簡単なお仕事です。
今日は絹ごしの気分なので、良い大きさに切る。
若観門豆の豆腐は正方形厚目なので4つに、渓水庵の豆腐は長方形なので6つに包丁を入れる。
薬味は昨日用意した白葱と青葱。
そして白葱、青葱、茗荷、貝割大根、大葉、生姜を全て微塵に刻んで混ぜたもの。
冷奴には使った過去があるが湯豆腐には初使用だ。
あとは辛子と鰹節削り、醤油と昆布醤油を脇に控えて準備よし。
マグカップに氷を放り込み、富乃宝山全量綾紫を注ぎ一口。
マグカップは誕生日にビレッジヴァンガードで買ってもらった富士山のモザイクタイルプリントのマグである。
酒を飲む時すら銭湯気分を味わえる俺の為に作られたかのような代物だよな。

湯が沸き立ってきたところで2種類の豆腐を一個づつ鍋に入れる。
焼酎を啜りながら、じっくり待って煮えたところで皿に取り上げ、さて開始。
初めは何も付けずにそのまま食ってみる。
柔らかさでは渓水庵の方が柔らかいが、大豆の味が若観門豆の方が少し濃い。
しかしどちらの豆腐も旨い事に変わりはなく、食べ比べは満足行ったので後は好きなように食うことにしよう。
醤油を垂らして続きを、更に第二弾を鍋に投入。
第二弾は横須賀の老舗居酒屋銀次風に、辛子、白葱、鰹節に醤油で。
んー、これは燗酒欲しくなるが今度同僚と飲む約束してんだよな。
今日は焼酎で押すことにするか。
第三弾は一個は青葱てんこ盛りに昆布醤油、もう1つから合わせ薬味野菜で食らう。
これがまた旨かった。
合わせ薬味は色々な所に使えるが、やはり豆腐は最強かも。
湯豆腐の締めは大概、雪消飯。
豆腐百珍に出ていたレシピのぱくりみたいな物だが、茶碗半分程のご飯に豆腐を乗せて箸でざっくり崩す。
そこに湯豆腐の皿に残っている薬味と醤油を掛け回し、最後に鍋に残ってる昆布出汁が出た湯を掛けた茶漬けみたいなものだ。
いやあ堪能しました。
さて後木綿が二丁あるから明日も湯豆腐決定ですな。