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『ヴィヴィ』 の世界

VIVIO GX-T と 日々の雑感

最近読んだ本・・太平洋戦争

2007-10-08 11:54:24 | 本の感想
太平洋戦争(上・下)

著者は児島襄氏。太平洋戦争という事で日中戦争の事は書いていなく全て米英との戦いのみに終始していて、日・米英軍それぞれの客観的な状況をかいま見せてくれる。

これを読んで思うことは、日本軍及び日本人の淡泊さをつくづく感じてしまうところで、無理に万歳突撃を繰り返さなければ、硫黄島のように戦傷者数が日米逆転する場合も出てくるのだが、そういう戦闘をおこなわない。
少しでも、形勢不利で苦しくなってくると、どのみち死ぬのだからと万歳突撃となってしまうところが、日本人の弱さなのかもしれない。
苦しくなれば、早く楽になろうという心理があるのか?
本心はそうではないのであろうが、結果的にそのような事になっている。
武士道という綺麗な言葉でごまかされるのだがそういうことなんだろう。

そして、もう一つ思ったことは、日本は戦争をしてはいけない国だという事実。

1)国土が狭く周りを海の囲まれた島国
これはとても重要で、反撃という行為は懐深く入り込んだ敵の補給を断つ事によって達成できるのであって、それができない狭い国土であれば反撃などできるはずもない。

2)日本国民は戦闘に耐えられない
昭和初期においては、外交政策の延長として戦争という行為を大陸においておこなっていたわけで、多くの国民が戦争にノーと答えていたわけではない。
しかし、それは戦争というモノが遠い地の話であり、身近に感じる事がなかったからであり、それが直接国民に降りかかってくると耐える事はできない。
この事は、現代の日本における戦争という位置づけにも繋がるし、米国においても自分たちの身に降りかかって来たら耐えられるものではないということは当然なのだろう。
だからこそ、米国は戦い続けて勝ち続ける宿命を持っている。
そして、明治の日本はロシアの南下を拒むために朝鮮半島という緩衝地帯を自分の自由にするべく日清、日露という戦争をおこなった。
これもまた宿命なのだと思う。

3)弱い国には滅法強いが、強いところにはからきし弱い。
これは当たり前の論理なのだけど、この太平洋戦争という本の中でイヤというほど知る内容だ。
それは、弱い国(弱い軍隊)は、少しの戦闘で損害が出れば後退するので、日本軍としては快進撃ができるわけなのだが、相手が引かないガチンコで来た場合、それまでの成功体験というべき夜襲、白兵戦でしか対応できず、最後には万歳突撃となってしまう。
ということで、強い軍隊(物量が豊富な軍隊)に、からきし弱いという結果となる。

そんなところが、戦争をしてはいけない理由なのだけど。

結局 太平洋戦争がこのような結果となった真因は日本海軍が弱かったからなのだとも思う。
やってはいけない戦争をして海軍によって負けが決定した戦争だったのだろうこと、この本からくみ取る事ができる内容なのです。

太平洋戦争 (上) (中公文庫)
児島 襄
中央公論新社

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太平洋戦争 (下) (中公文庫)
児島 襄
中央公論新社

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