8月18日(土)レーピン展に行ってきました。
正直、名前は知らなかったのですが新聞の美術展紹介が動機です。
リーフレットには彼の妻を描いた絵がのっています。
リーフレットでは分かりづらいのですが、リアルさ、落ち着いた色が醸し出す暖かい雰囲気は素晴らしい。
イリヤ・レーピンはロシア・リアリズムの画家で、展示会の解説にもありましたが、レンブラントの影響があります。
Ilya Repin (ウクライナ生まれ ロシア, 1844-1930)
写真撮影は禁止でしたので、リーフレットからスキャニングしたものなどで紹介しますが、素晴らしさが伝わらないのが残念です。
今回、彼の代表作である「ヴォルガの船曳」の習作など、多くの作品がでていました。 また、完成作に至るまでのスケッチなど多くの作品群が展示されていました。
そのなかで、鉛筆によるスケッチにはうならされました。 遠くの山の木々など、丁寧にかつ素早く、描かれており、技量はさすがです。
《浅瀬を渡る船曳き》(《ヴォルガの船曳き》の習作)
1872年 油彩・キャンヴァス
国立トレチャコフ美術館所蔵
《皇女ソフィア》
原題:ノヴォデヴィチ修道院に幽閉されて1年後の皇女ソフィア・アレクセエヴナ、1698年に銃兵隊が処刑され、彼女の使用人が拷問されたとき
1879年 油彩、キャンヴァス
国立トレチャコフ美術館所蔵
この作品の紹介が新聞に載ってあり、興味を惹かれたのですが、残念ながらアートとしての価値は低い。 想像で描かれた週刊誌が喜ぶような絵で、リアルなようでいてリアルさがありません。
会場には多くの肖像画があり、秀作が多いのですが、このムソルグスキーは凄いですね。
当時、ムソルグスキーはアルコール依存症で入院中で、レーピンが病院に出向き、描いたもの。
描いたあと、10日ほどでムソルグスキーは亡くなる。
《作曲家モデスト・ムソルグスキーの肖像》1881年 油彩・キャンヴァス
国立トレチャコフ美術館所蔵
私がレーピン展でみた作品で最も印象深かったのは、彼の家族を描いた作品です。
展覧会のパンフレットにも載った奥さんヴェーラを、 もう一度小さいサイズで。
《休息―妻ヴェーラ・レーピナの肖像》 1882年 油彩・キャンヴァス
国立トレチャコフ美術館所蔵
実物の絵の、質感表現はため息ものです。
彼の息子、ユーリーを描いたもの。 妻の絵もそうですが、エンジ色の色彩が決まっています。
《少年ユーリー・レーピンの肖像》
レーピンは3年ほどパリに留学しますが、当時台頭していた、印象派の影響を受けます。
典型的な作品が次です。
《あぜ道にて―畝を歩くヴェーラ・レーピナと子どもたち》
1879年 油彩・キャンヴァス
国立トレチャコフ美術館所蔵
そして今回の展示で、一番ほしいと思った作品
《日向で―娘ナジェージダ・レーピナの肖像》
1900年 油彩・キャンヴァス
国立トレチャコフ美術館所蔵
レーピンの円熟期の作品です。 彼の娘を描いたものですが、印象派の技法とかそんな議論はどうでもよくて、絵の訴求力の強さを絶賛します。
この作品の解説に、娘は後年、精神の病を得て、実家で過ごすことが記されていました。 レーピンの絵筆は娘の心の奥底の不安を描き出しているように思います。
ルール違反ですが、本展示会には出品されていない絵で彼の娘を描いた、素晴らしい作品があります。
《秋の花束》1892 111 x 65 cm トレチャコフ美術館
レーピンの絵は、家族を描いたものに素晴らしい芸術性を感じました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます