長谷川りん二郎の作品で印象に残ったものを紹介します。
1970年代の静物がとりわけ良かった。
瓶や陶器に映る窓、テーブルの光の反射、それらをとおして個々のもつ質感が眼に浸み込んでくる。
《静物》 1970年
《乾魚》 1972年
単なる紙袋ですが、それぞれが詩的なハーモニーを奏でている。
《紙袋》 1970年
モノトーン的な雰囲気に食べ物が不思議なマッチング。
《静物》 1979年頃
林檎の紅い色をみると、色にこだわっているのがよくわかります。
《林檎》 1983年
洋画ではあるのですが、日本画的な静謐感を感じます。
《月桂樹の葉》 1983年
制作日記にも、土の色が最高に美しいと述べていたりん二郎。 晩年に制作した《柚子の木》の土の色がそうだと思うのですが、画集の《柚子の木》の色は残念ながら会場で見たイメージに合っていない。 で、イメージに近い絵を画集で捜すと、
下の《晩秋風景》になりました。 制作年代は1935年でりん二郎31歳。 晩年の土の色と同じ色で、すごく温かみのある土の色です。 もっとも、りん二郎は4月末から5月にかけての太陽の光を一杯に吸った土の色が最高といっているので、晩秋の土では少し違うのかも知れませんが。
《晩秋風景》 1935年
最後に、彼の写生風景を。 よく写生に行った武蔵野や久我山近辺であろうか。
魚の質感が凄くて、乾魚は私も実物を食い入るように見た記憶があります。
コメント有難うございました。
普段、あまりTVを見ないのですが、たまたま、TVをつけたらりん二郎の絵が出てきて、ビックリでした。
偶然のTVでしたが、持っているりん二郎の画集よりもリアルな色彩で堪能。 ラッキーでした。