国立西洋美術館、ゴヤの版画《戦争の惨禍》のレビューです。
2024年5月15日(水)に鑑賞したのですが、遅すぎるアップでスミマセン。
メインヴィジュアルと“はじめに”
ゴヤの生前には公開されなかった版画集・・・ゴヤは首席宮廷画家でしたが、政治的には自由主義派で、仏軍が撤退した後、復活した王政側
から、弾圧されかねない立場だった。 特に、リベラルな表現がある、この版画集を発行することは、危険なことだった。
作品撮影はOKでした。 全場面を撮影していますが、その中から、解説付きのものを
中心に選びました。 場面状況が、分かりづらいためです。
なお、凄惨な場面が多いので、あらかじめ、お断りをしておきます。
では早速、第1番
この場面は、最初、カットするつもりだったのですが、背景の黒く、激しい線描を見ていると
魔物や魑魅魍魎に見えてきて、善性と、闇、魔性を表現していると感じ、載せることに。
2番、3番
制服の仏軍兵に対し、スペインの民衆は、敗残兵と下級聖職者、農民によって組まれた小部隊で
フランス軍占領地域で、ゲリラ活動を活発化させ、フランス軍を悩ませた。
ゲリラとは、スペイン語で、このスペイン独立戦争の中で生まれた言葉だった。
仏軍兵はゲリラを正規兵とは扱わなかったので、捕らえると賊徒として処刑したので
さらに報復的虐殺を生んだ。
戦争時の、女性への暴力を描いた場面
処刑場面 ピンボケしてます。スミマセン
15番 もう助かる道はない 1810-14年頃(1863年)
15, And Nothing Can Be Done
26番 見るに堪えない 1810-14年頃(1863年)
26, One Cannot Look
凄惨な場面
30番 戦争の惨害 1810-14年頃(1863年)
30, Havoc of War
マドリードを襲った飢饉(1811‐1812の冬)の場面
48番 あまりにもむごい! 1812-14年頃(1863年)
48, Cruel, Pitiful Sight
50番 可哀そうなお母さん! 1812-14年頃(1863年)
50, Unhappy Mother!
55番 物乞いは最低だ 1812-14年頃(1863年)
55, The Worst Is to Beg
強調されたカプリチョスの場面
※「カプリチョス」は気まぐれ、戯れ、奇想などを意味しますが、ゴヤは、迷信、偽善、欲望などを
含んで用いた。
65番 これは何の騒ぎだ 1814-15年頃(1863年)
65, What Tumult Is This?
71番 大衆の利益に反して 1814-15年頃(1863年)
71, Against the Common Good
77番 綱が切れるぞ 1814-15年頃(1863年)
77, The Rope Is Breaking
79番 真理は死んだ 1814-15年頃(1863年)
79, Truth Has Died
80番 彼女は蘇るだろうか? 1814-15年頃(1863年)
80, Will She Be Resurrected?
↑ 対する批判として解釈されるべきでしょう。
81番 残忍な動物! 1814-15年頃(1959年)
81, Fiace Monster!
82番 これが真理だ 1814-15年頃(1959年)
82, This Is the Truth
1820年から1823年まで実現したスペイン立憲革命ですが、フランスのルイ18世がブルボン系のスペイン王
を守るため介入し、フランス軍を派遣し挫折した。
ゴヤは、当時のスペインの自由主義者弾圧を避けて1824年、78歳の時にフランスに亡命し、
ボルドーに居を構え、1828年、82年の波乱に満ちた生涯を閉じた。
さて、本展覧会は終了していますが、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で下記展覧会があります
ので、お知らせします。
ゴヤ版画 『気まぐれ』『戦争の惨禍』 展
会期は、『気まぐれ』8/10~9/8 『戦争の惨禍』9/10~10/20 です。
なお、過去のブログですが、2014年に鑑賞した、ゴヤの版画展(国立西洋美術館)も参考までに