田添菜穂子の一期一会

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恩師・中村教授の横浜国大での最終講義

2012-01-27 16:02:41 | 日々のいろいろ

恩師の中村剛治郎先生の横浜国立大学での最終講義が1月25日に経済学部211教室で

行われ、聴講してきました。

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横浜国立大学経済学部主催  中村剛治郎教授 最終講義
日時:2012年1月25日(水)午後2時40分より4時10分まで
場所:横浜国立大学経済学部211教室
テーマ:「地域経済学の課題と展望ー私の研究史を振り返って」

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中村先生の横浜国大内のプロフィールはこちら

http://er-web.jmk.ynu.ac.jp/html/NAKAMURA_Kojiro/ja.html

 

最終講義では、最初に学部長の上川孝夫教授がご挨拶なさり、続いて大門教授が

中村先生のこれまでの功績についてお話くださいました。

中村先生のご専門は『地域経済学』。比較的新しい学問であるだけに、先生はまさにその

分野でのフロンティア。日本地域経済学会の理事長や会長を歴任されていたことは、

知っていはいましたが、特に学部ゼミの間だけお世話になった私なんかは、先生の功績に

ついては、詳しく知っているわけでもなく、(修士や博士課程で先生についた学生さんたち

はもっといろいろ知る機会が会ったかと思いますが)改めて、先生について客観的に

功績を讃えてくださった大門先生のお話はとてもありがたかったです。

 

続いて中村先生の講義。

本当に素晴らしい講義でした。

特に研究者としての起点となった『新潟水俣病ー独占体と地域社会』という修士時代の論文を生むに至るまでの調査・実証、理論構築は、本当に印象深かったです。

1960年代という時代だけに「企業のあくなき利潤追求が公害をもたらした」という

『資本の論理』を批判する学説が一般的だった頃に、新潟で長期間にわたり、被害地域

住民のみならず、被害をもたらした企業内の人々とも信頼関係を築きながら徹底した調査

を行い、農業から工業化へ地域の産業構造自体が変化していった際にできてしまった

住民達の意識変化、地域経済自体が大企業に依存した経済構造に変質してしまったこと、

企業間での競争が有機水銀を生み出してしまったこと・・・・などさまざま問題点を洗い出し、

『地域経済』の問題こそが、この公害問題の本質であると解明するにいたった、

という内容でした。

(先生の大切な論ですので、私がうまく認識できて皆さんにうまくお伝えできていればいいのですが)

 

これは、1971年に先生が発表した論文についてお話されたことなのですが、

現在の東京電力福島第一原発の問題を思い浮かべてしまいます。

先生もその話題に触れ、『自治体と企業の間には緊張関係が重要だ』という

ことを重ねておっしゃっていました。

 

『おお~、この話だけで、こんなに時間を使ってしまいまして、なにしろ、最初の研究なもんで熱が入ってしまって、その上、嫁さんの話までしてしまったもんですから~』

と随所で関西人らしく笑いを聴衆から引き出しながら、

魅力的な地方都市金沢のなりたちについての『金沢論』、

東京一極集中とポスト工業化時代の日本を語る『東京論』、

と一時間以上にわたり、いずれも印象深いこれまでの研究成果を披露してくださいました。

 

思えば、

国際関係を学びたかった私は、第二志望の大学に入り、あまり経済学に興味を持てないながらも単位をとるために授業を聞いていました。

でも、中村先生の『地域経済学』の授業を2年生の時に受けて、

『経済が 地域や文化や政治と結びついている!』ことに感動して、

授業の後に、先生にもっと教えてほしいと話して研究室に行き、大学で学びたいことを

やっと見つけることができたのでした。

 

そうして入った中村ゼミは、学部内で『一番厳しいゼミ』として有名でしたが、

(先生は、研究にも教育にも全力投球なもので・・・・・・)

生涯にわたって仲間だと思える人たちに出会うことができ、2年に一回のOB会では、

先輩・後輩のOBの方々ともつきあうことができて、本当に人生の財産になっています。

 

 

最終講義で往時のまま熱弁をふるう先生を見て、

ゼミでたくさん叱られたことも

毎回のように深夜におよんだゼミナールも 

数週間泊り込みで作成した共同論文も

卒業旅行に行く暇もない卒論作成も全部懐かしく思い出し、また幸せに思えました。

(・・・と感じるドMしか、中村ゼミにはいません・・・・(笑))

 

中村先生は4月から故郷、京都の大学で引き続き教鞭をとられます。

次回のゼミOB会は、京都かな。

祝賀パーティも終わり、横浜駅に向かうタクシーのなかで先生と、じゃあ、その場合

「京都のどこの料亭で食べたら美味しいか」をさっそく伺いながら、帰路につきました。

 

中村先生の今後のご活躍を心からお祈りしています!!

 

 

 

 ※ 2009年のゼミ同窓会についてはこちらに書きました

http://blog.goo.ne.jp/tazoenahoko/e/f57fd068a448fd49c553fbd01ef67026


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
恩師は良いですね☆ (よしむね)
2012-01-30 08:59:55
恩師の最終講義を聴講出来たのは素晴らしい経験ですよね、私の恩師の最終講義は2年後の予定です。

今までの先生の研究集大成だけでなく人生の集大成を発表出来る場に居られる幸せは何事にも代え難いですよね(^^)v

ちなみに28日はコレーゲニューイヤーでした♪
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先生も卒業・・・・ (たぞえ)
2012-02-03 19:03:21
<よしむねさん

コレーゲニューイヤー、おつかれさまでした☆

恩師の最終講義、立ち会うことができて、本当によかったです!
でも、日頃行かないものであっても、大学に先生がいなくなってしまうのは、寂しいですね・・。

よしむねさんも最終講義、行けるといいですね!
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