いつかは行ってみたいと思っていた原美術館。今年末に閉館してしまう…というニュースを聞いて。でもって、森村さんの作品も断片的には見たことがあるけれど、ちゃんと見たことがなかったので、これは行きたい!と思っておりました。コロナ自粛でもうダメかな~と思っていましたが、6月再開、会期延長、予約制で開催するとのことで、7月初めに行ってきました。ありがとう!原美術館
品川駅からバスで1つ目、大きな木々と長い長い塀に囲われた謎のお屋敷(後で調べたら三菱財閥の迎賓館「開東閣」と判明)をぐるりと回って御殿山へ。素敵なお屋敷の並ぶ道を歩くと…原美術館が!エントランスめっちゃ好み。
最初の展示室にやられる。なんだこれ!謎めいていて素敵すぎる
オランピア。
「美術史の娘」フォリー=ベルジェールのバー。「2つの腕」この作品をここに展示する…その美意識の高さよ。
ロンド(輪舞)。
館内は基本モダニズム建築ですが、時折アールデコな曲線が品よく配置されています。窓の外の泰山木の花がきれい。
やはり圧巻は映像作品「エゴオブスクラ」。53分があっという間でした。
森村さんって絵画の一部になりきることで、その絵画の成立や心情を解き明かす…なんていうか、評論家のようなアプローチをする美術家さんだと思ってた。今回ビデオを見て、森村さんのこれまでの一連のアートパフォーマンスの意味するところがなんとなく腑に落ちた。彼の求めてきたこと、表現してきたことは、「私とは何か、日本人とは何者か」なのであると。
どんな国も民族も中心に行けば行くほど、核となる思想や哲学、宗教とかに構造的に近づく。けれど…日本は中心に近づけば近づくほど「空虚」なのである。まるで日本の中心にある皇居のように。そして、そこに君臨するのは人でも神でもなく「象徴」なのよ。戦後すぐの生まれの彼は(わたくし達もそうだけれど)、突然、真髄(と信じていたもの)が空っぽになり、中身を再構築する間もなく、否応なく欧米の価値観で塗り固められた世代。「真理や価値や思想というものは、いくらでも自由に着替えることができる」「そして中身が空虚であるほど、どんな衣装も美しく着こなせる」…印象に残った言葉です。
さらに、三島由紀夫とマリリン・モンロー。「三島は〈オンナ〉の衣装を纏った国・戦後の日本に殺された〈オトコ〉であり、マリリンは圧倒的な経済力と武力で世界を見下す〈オトコ〉の衣装に身を包んだ国・アメリカに殺された〈女優〉だった」…なるほどーー。アイデンティティやジェンダーのはざまで逡巡する森村さんの軌跡が伺えます。さまよえるニッポン人、そんな日本の私。いったい何を目指すのか、どこに向かうのか。
強烈なビデオで腑抜けになり、ふわふわ状態で<カフェ・ダール>でお茶をする。都内とは思えない静けさ。広い中庭は風の音しか聞こえない。
再びエントランスを写真におさめて原美術館を後にしました。
御殿山は立派なお屋敷(最後の写真は「カワイイ」カテゴリのおうちです)が立ち並びます。田園調布の豪邸とはちょっと違う。なんていうか…1軒1軒が「城」って感じ。道路沿いの植え込みも夏芙蓉とかつつじじゃなくって豪華な百合!
遅いお昼は中野に戻ってきて<アザミ>でナポリタン。落ち着くなぁ。
さて、次は近代美術館の「ピーター・ドイグ展」かな。10月まで会期延長になったけれど…この先どうなるかわからない。近いうちに行こうっと。
品川駅からバスで1つ目、大きな木々と長い長い塀に囲われた謎のお屋敷(後で調べたら三菱財閥の迎賓館「開東閣」と判明)をぐるりと回って御殿山へ。素敵なお屋敷の並ぶ道を歩くと…原美術館が!エントランスめっちゃ好み。
最初の展示室にやられる。なんだこれ!謎めいていて素敵すぎる
オランピア。
「美術史の娘」フォリー=ベルジェールのバー。「2つの腕」この作品をここに展示する…その美意識の高さよ。
ロンド(輪舞)。
館内は基本モダニズム建築ですが、時折アールデコな曲線が品よく配置されています。窓の外の泰山木の花がきれい。
やはり圧巻は映像作品「エゴオブスクラ」。53分があっという間でした。
森村さんって絵画の一部になりきることで、その絵画の成立や心情を解き明かす…なんていうか、評論家のようなアプローチをする美術家さんだと思ってた。今回ビデオを見て、森村さんのこれまでの一連のアートパフォーマンスの意味するところがなんとなく腑に落ちた。彼の求めてきたこと、表現してきたことは、「私とは何か、日本人とは何者か」なのであると。
どんな国も民族も中心に行けば行くほど、核となる思想や哲学、宗教とかに構造的に近づく。けれど…日本は中心に近づけば近づくほど「空虚」なのである。まるで日本の中心にある皇居のように。そして、そこに君臨するのは人でも神でもなく「象徴」なのよ。戦後すぐの生まれの彼は(わたくし達もそうだけれど)、突然、真髄(と信じていたもの)が空っぽになり、中身を再構築する間もなく、否応なく欧米の価値観で塗り固められた世代。「真理や価値や思想というものは、いくらでも自由に着替えることができる」「そして中身が空虚であるほど、どんな衣装も美しく着こなせる」…印象に残った言葉です。
さらに、三島由紀夫とマリリン・モンロー。「三島は〈オンナ〉の衣装を纏った国・戦後の日本に殺された〈オトコ〉であり、マリリンは圧倒的な経済力と武力で世界を見下す〈オトコ〉の衣装に身を包んだ国・アメリカに殺された〈女優〉だった」…なるほどーー。アイデンティティやジェンダーのはざまで逡巡する森村さんの軌跡が伺えます。さまよえるニッポン人、そんな日本の私。いったい何を目指すのか、どこに向かうのか。
強烈なビデオで腑抜けになり、ふわふわ状態で<カフェ・ダール>でお茶をする。都内とは思えない静けさ。広い中庭は風の音しか聞こえない。
再びエントランスを写真におさめて原美術館を後にしました。
御殿山は立派なお屋敷(最後の写真は「カワイイ」カテゴリのおうちです)が立ち並びます。田園調布の豪邸とはちょっと違う。なんていうか…1軒1軒が「城」って感じ。道路沿いの植え込みも夏芙蓉とかつつじじゃなくって豪華な百合!
遅いお昼は中野に戻ってきて<アザミ>でナポリタン。落ち着くなぁ。
さて、次は近代美術館の「ピーター・ドイグ展」かな。10月まで会期延長になったけれど…この先どうなるかわからない。近いうちに行こうっと。