アーカイブ『市民派アート活動の軌跡』

「アートNPO推進ネットワーク通信」
小冊子「アート市民たち」

40号 美の探索展収益金の新潟県立美術館友の会への寄贈

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信


 2005年1月開催の『美の探索展』は“新潟がんばれ”を掲げ、オークション方式による収益金の一部を新潟沖地震へのお見舞いとする趣旨であったが、寄贈先については幾つかの案が浮上し調整中であった。収益金自体が僅かであること、またアートNPO活動の目的からすると、被災地直接より作品修復など美術館支援の方が相応しいとの意見が出され、新潟県立近代美術館への寄贈案が浮上した。早速、アートNPOの相談役でもある新潟絵屋の大倉宏氏に相談したところご手配いただけることになり、7月2日新潟にて学芸課長小見秀男氏にお会いすることとなった。公式の寄贈先は新潟県立近代美術館友の会であるが、美術館の用にお使いいただくという趣旨に喜んでいただき滞りなく実現した。
なお、この寄贈式と会食は旧日銀支店長宅である瀟洒な和風建築の和室で行われたが、実はこの建物は7月1日より『砂丘館』という名の文化的施設として生まれ変わり、しかも大倉宏氏が管理者として各種イベントを企画するという記念すべきオープニングでもあった。我々は新潟絵屋のパートナー画廊フルムーンの越野泉さん差入れの越乃寒梅を酌み交わしながら、大倉さんの新たなスタートを祝し砂丘館での次の企画に夢を膨らませた。  


小見秀男氏 山下透    


大倉宏氏 御子柴 小見秀男氏 山下

39号 新潟絵屋&アートNPO共催企画『森本秀樹展』開催

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信


 7月2日より大倉宏氏の新潟絵屋との第3回企画展が開催された。アートNPO推進ネットワーク推薦作家である森本秀樹氏の宇和島作品が、古民家を改造した新潟絵屋の壁に溶け込み素晴らしい展示となった。作家は夫人の故郷でもある新潟に強い親近感を抱いておられ、これを機会にこの地でのアート活動が定着することを願うばかりである。夜の会食会は大倉氏が館長を務めることになった砂丘館の和室にて、新潟県立近代美術館学芸課長の小見秀男氏も交え宇和島や新潟の話題におおいに盛り上がった。森本秀樹展の紹介文については絵屋便に御子柴氏、新潟日報には私の文章が掲載された。 以下は新潟日報に掲載された作家紹介文章(山下透)の一部である。

・・・・・・『森本秀樹の描く宇和島の風景はどれも心に残る。街並みのくすんだ白壁や波止場の釣り人、操車場跡の静寂などが抑えた色調で描かれ、何か懐かしいものに出会った時のようなしみじみした気持ちにさせられる。物質的な豊かさとの引き換えに日本人が失い、忘れかけている何かを思い出させてくれるかのようだ。描かれているのは現代の宇和島ではなく作家の記憶のなかにある少年時代の故郷の風景である。そこにあるのは宇和島の風景でありながら、見る人それぞれの心の奥底にある過ぎ去りし日の故郷の風景そのものに見えてくる。作家が描こうとしているのは日本人の心に違いない。・・・・』 


新潟日報掲載作家紹介文章


38号 韓・日現代作家交流展オープニング・代表理事乾杯の音頭

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信


 駐日韓国大使館及び韓国文化院後援による日韓国交回復60周年を記念した展覧会が韓国文化院で開催された。主催するソウルの珍画廊の代表柳珍さんはアートNPO会員でもあり、7月4日のオープニングレセプションはアートNPO代表理事の乾杯の音頭を皮切りに開催となった。
韓国の作家延世暎は「高句麗の光」と題した粘土画で知られるが、人気韓国ドラマ『冬のソナタ』の作曲家でもあり“白い恋人”など4曲のピアノ演奏を披露して会場はおおいに盛り上がった。日本側作家はスペインの風景や静物で定評のある村上隆信。このオープニングレセプションにはテレビや新聞社の取材があり、その様子は夜のNHKテレビニュースで放映された。



※この数ヶ月間に5名の方が新会員として入会されました(詳細は誌面のみ掲載とします)。

37号 日経新聞に市民派コレクター紹介特集記事

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信


 日本経済新聞は5月9日から約1ヶ月間にわたり『市民派コレクターたち』をシリーズで特集した。企画はかつて日経アート編集長でもあった編集委員の野村義博氏によるものであるが、バブル崩壊後美術マーケットから姿を消した企業や資産家に代わって登場しつつあるごく普通のコレクターにスポットをあてようとする画期的なもの。アート市民の時代が到来しつつあるのかも知れない。

私の紹介記事にはアートNPO活動のことも紹介されているので下段に添付したが、アートNPO役員からは御子柴大三氏も掲載された。その他、日経からの依頼に応え友人知人を紹介したが、アートNPO会員でもあり、和の会で活躍する小倉敬一氏や木村悦雄氏、自称アートソムリエの山本勝彦氏、或いは美楽舎の澤登丈夫氏、ASの会の堀皓史氏、わたくし美術館の堀良慶氏などが取り上げられた。

もともと“市民派コレクター”という言葉は月刊ギャラリーの対談シリーズで私が作った造語なので一般用語化して嬉しいかぎりだが、そのこと以上に普通の人からはわかりにくいコレクターの美術愛好家としての存在に焦点が当てられたこと、しかもコレクターそれぞれの生きざまが見える記事内容であったことが興味深く、嬉しいことであった。 野村義博さんに感謝!

36号 若手作家支援アート企画『生命讃歌展』開催 

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信


 アートNPO推進ネットワークは若手作家の支援をその目的の一つにしているが、自由が丘もみの木画廊大塚まりこさんのご提案もあり個人の立場で展覧会を企画に挑戦した。この1年私の目にとまった作家から相澤史及び金子佳代を推薦することとしたが、より充実した展覧会とするため、御子柴大三氏の協力を得て共同企画の形をとることとした。御子柴氏の推薦作家は安木洋平であるが、これら三人の作家についての評価は完全に一致、息のあった企画となった。

作家それぞれの作品制作は・・・
◎相澤史『日々過ごしている生活のなかで感情が揺り動かされるものを大切に描いている』
◎金子佳代『あらかじめの完成図はない、無意識に生まれてくるものを自由に描いている』 
◎安木洋平『日常風景をモチーフに、内包されている形や空間にこだわり色彩のハーモニーに挑戦している』とのことであった。

三人の作家の作風から展覧会名を『生命讃歌展』としたが、それぞれのほとばしる才能が生きることへの讃歌を謳いあげるかのような作品が並び、素晴らしい展覧会になった。・・・大塚さんと画廊スタッフ及びDM制作小林まどかさんに感謝。



山下透 金子佳代さん 相澤史さん 大塚まりこさん


安木洋平ご夫妻相澤史さん
 

35号 新潟絵屋との共同企画『渡邉早苗展』開催

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信
 「新潟絵屋」は、相談役でもある大倉宏氏が新潟で主宰する画廊である。画廊といっても、大勢の会員で成り立っているNPO法人であり、我々アートNPOと志を同じくするところがある。東京と新潟で交流を続けるうちにコラボレーション企画がもち上がり、「冨長敦也石彫展」に続き、「渡邉早苗展」が開催された。

34号 “新潟がんばれ”『美の探索展』開催

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信
 1月17日(月)から30日(日)にかけて南青山彩画廊にてアートNPO推進ネットワーク主催のチャリティー展が開催された。企画担当の常務理事原田俊一はこの展覧会の趣旨について、『美とは、みる人、描く人にとって、何を重視して意識するのかは、自由であり楽しいことである。とくに、明日への未知を求め、可能性を追求している若い作家にとっては、一番重要で一番思考するところである。新しい時代を築く若い作家がどこに飛び立とうとしているかを探ってみたい。』と語っている。こういう趣旨のもと、アートNPOにかかわりの強い若手作家中心に問いかけしたところ、賛同していただいた20名の作家から作品の出品があり、オークション方式のチャリティー展覧会が実現した。 また、今回の展覧会は新潟地震の支援をも目的としたものであり、オークション収益金は僅かなものであるがその一部を新潟の美術館などに寄贈することが予定されている。

《出品作家と作品名》
●藤倉明子・・・『水』
●田鎖幹夫・・『040509』
●田端麻子・・『カメラマン』
●福井青士・・『宵』
●大浦雅臣・・『川の風景』
●小高理枝子・・『大矢雅章』
●大矢雅章・・『霏霏』
●小原佑介・・『面(おもて)』
●小林まどか・・『夜灯』
●松村歩・・『湖畔』
●久松温子・・『水旅』
●門倉直子・・『ピンクグレイ』
●金鐘烈・・『アカシヤ』
●坂本藍子・・『鳩』
●濱口桜子・・『みなさん今日は』
●佐々木久実・・『羽音』
●山科理絵・・『時を待つ』
●中尾さやか・・『無題』
●横井悠・・『遥かな希望』
●二村潤・・『SOAK』

オークションについては、出品作家の了解も得て落札最低価格を1点5000円と低め設定したこともあり、アートNPO会員だけでなくNPO法人アートトラスト関係者など大勢の方が参加することになり、普通の方々にいい作品を提供するというアートNPOの精神に相応しい有意義な展覧会になった。オークション落札結果は会期終了最終日に第三者立会いのもとに開封されたが、結果は20点の内15点の落札となった。なお、落札金額については展覧会諸経費を除いた20%を作家に、30%を新潟に寄贈することとなった。

最後になりましたが、この展覧会に出品していただいた作家の皆様には心からの御礼を申し上げます。

33号 2004年度理事会及び総会開催となる

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信
 1月23日(日)彩画廊にて2004年度の理事会・総会が開催、2004年度活動と会計及び2005年度計画について報告と論議があり、承認されました。議事録は別途送付いたしますが、概要は以下のとおりです。



1、主要事業である二つの展覧会は立ち上げ時から3年、一定の評価と関心を呼び成果があった。

●実力中堅作家『ぼくらの・・・コレクション展』・・・今年度は渡辺早苗と岸田淳平を取り上げたが、これでアートNPOの推薦作家が森本秀樹、横田海とあわせ4人になったことになり、嬉しいことである。
●若手作家紹介展『コレクターの見る視点展』・・・アートNPOらしい活動として若手作家からも喜ばれており、質の高い作家に注目しながら2005年以降も積極的継続の方針。

2、個別事業としてあらたに“東京と新潟のアート交流”をテーマに相談役でもある大倉宏氏の新潟絵屋との共同企画『冨長敦也展』が実施できたが今後も継続発展させたい。自由が丘をテーマにしたアートによる街作りも検討中である。

3、クリスマスインピース展についてはアートNPOとアイアムの会実行委員会として全収益金214万のユネスコへの寄贈が無事完了、アートNPOにふさわしいアートボランティア活動として大きな成果を残した。

4、会計については会費収入報告の他、事務経費については極力切り詰め月2万円以下で運営しているが今後は事務所経費などの支出が予想される旨の報告があり、承認された。会員については、新規会員19人を含め50人及びボランティア会員・アーティスト会員30人を併せ約80人となった。

5、2005年度計画については、以下を中心に論議承認となった。
●『新潟がんばれ・美の探索展』すすめ方と収益金の新潟への寄贈
●『ぼくらの・・・コレクション展』についての第1期10回までの計画
●『コレクターの見る視点展』計画
●新潟絵屋との共同企画『渡邉早苗展』及び『森本秀樹展』計画

6、役員については、中核メンバーとして精力的活動を続ける原田俊一氏の専務理事(事務局長兼務)推薦があり承認となった。また当団体はアートに関するNPO型活動を続けているが、コストや各種業務負荷からすると当初構想のNPO法人より現行任意団体の方が相応しいとの意見が大勢を占めた。

32号 山下代表による美術対談シリーズ好評のうちに終了

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信


 美術雑誌「月刊ギャラリー」に、代表理事・山下透が美術会で活躍する人と語り合う対談が掲載、10回シリーズの特集記事として紹介された。対談のタイトルは「市民派コレクター時代の夜明け」。資産家ではない、純粋に美術を愛するアート市民にスポットをあてると共に、美術会が×問題を探ろうというもので、その意欲的な切り口が話題を提供してきた。
 朝日新聞文化部編集委員・田中三蔵氏、日本画家&金沢美術工芸大学教授・土屋禮一氏、医学博士&作家・米山公啓氏、佐藤美術館主任学芸員・立島惠氏、美術評論家&新潟絵屋代表・大倉宏氏、サラリーマンコレクターの草分け・丸山治郎氏、現代美術画廊主・池田一朗氏らとの対談が実現した。

31号 画家岸田淳平氏からの手紙“アートNPOへのエール 

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信
 アートNPO主催の展覧会「ぼくらの岸田淳平展」は好評のうちに終了、後日作家から心の籠った お手紙を頂戴した。私信というよりアートNPO宛てなのでそのまま掲載することとする。



 山下透 様
『 愛されて 』 
その作者は誰か、サインはあるかなんて、絵にとってはどうでもいいことなのだ。ましてや見る人の評価なんて、なんの意味もない。それがなにより証拠には、ほめられようとけなされようと、絵は少しも動かないし、なにも変わらない。絵は、描かれ、筆が置かれた時点で、もう完結しているのだ。私はずっとそうおもってきた。

ところが、この秋、アートNPO推進ネットワーク主催の『コレクターによるぼくらの岸田淳平展』の会場で、私は私の絵たちに、そんな顔をぶん殴られた。20年ぶりに逢う絵や、たった一年前に別れたばかりの絵が、成長し、変身していたのである。よちよちと歩いていたあの時の娘が、凛としてそこに立っている。嫁いでいったあのふつつかな娘が、私の視線を正面から受け止め、慈愛にみちたほほえみすら返してくれたのだ。 

 私の手元を離れたその時から、娘たちは、初めて、『愛される』という喜びを知り、歩み始めたにちがいない。私はただこの娘たちを産んだだけの人間であり、育てたのは、実は、この娘たちを愛してくれた人たちであった。私は、なんと、なんとふつつかな親であったことか・・・・。殴られた衝撃で、目からおおきな鱗が落ち、涙が落ちた。 
平成十六年十一月七日 岸田淳平



山下 岸田淳平氏 画廊主白水さん 御子柴    


作家の署名・・芳名帳

30号 コレクション展第4回『ぼくらの岸田淳平展』開催

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信


 アートNPO推進ネットワークがシリーズで進めているコレクション第4回展が、ギャラリーしらみず美術のご協力により開催された。作家は女性の哀歓を描いて評判の岸田淳平。18人のコレクターがそれぞれの時代を代表する貴重な作品を持ち寄っての素晴らしい展覧であったが、オープニングパーティーの席上岸田淳平氏から「こういう形で自分の作品に会えること嬉しく作家冥利に尽きる」との感極まるご挨拶があった。
会期中には朝日新聞田中三蔵氏、読売新聞芥川喜好氏など美術関係者の他、アートNPOの関係者200人以上の方々にお出でいただき、心に残る展覧会となった。会場ご提供の白水真子さん、DMデザインの小林まどかさんなど御協力いただいた皆様に感謝。




29号 第2回『コレクターの見る視点展』巡回展の開催

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信


 8月25日(水)から9月16日(月)にかけて『コレクターの見る視点展』の第2回展が開催された。この展覧会は何人かのコレクターが自らの目で選んだ若手作家を推薦・ご紹介するというもので、第一回展が好評であったため、今年は発展させ新作発表かつ購入もできる形をとることとした。会場も「もみの木画廊」の大塚まりこさん、「ギャラリー彩」の鈴木才子さんのご協力を得て二ヶ所巡回展となったが、大勢の方にお出でいただき有意義な展覧会となった。



《コレクターと推薦作家》
• ●鈴木忠雄・・はまぐちさくらこ
• ●原田俊一・・田端麻子
• ●小倉敬一・・・小高理枝子
• ●山下透・・・二村潤
• ●廣川和徳・・・藤倉明子
• ●御子柴大三・・・門倉直子



28号 美術雑誌に代表山下透の美術連載対談の掲載はじまる

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信
 代表理事山下透が美術界で活躍する人と語り合う対談が月刊ギャラリーに掲載、10回シリーズで始まった。対談のタイトルは“市民派コレクター時代の夜明け”。資産家ではないが純粋に美術を愛するコレクターにスポットをあてるとともに美術界が抱える問題を探ろうというもので、その意欲的な切り口が話題を提供している。第一回の2004年4月号は朝日新聞編集委員の田中三蔵氏をゲストに迎え、日本の美術教育に鑑賞者教育の視点がなかったことが芸術文化、とりわけ美術界の現状の問題に繋がっているのではないか・・という点で意気投合、生活の中でアートを楽しむ本当の豊かさとは何か・・など読み応えのある内容を提供している。



4月号・・・ゲスト 朝日新聞文化部編集委員 田中三蔵氏
5月号・・・ゲスト 日本画家&金沢美術工芸大学教授 土屋禮一氏
6月号・・・ゲスト 医学博士&作家 米山公啓氏
7月号・・・ゲスト 佐藤美術館主任学芸員 立島恵氏
8月号・・・ゲスト 〃 〃
*9月号以降もつづく・・・・・・・・・・

26号 新潟絵屋との共催企画『冨長敦也石彫展』開催 

2016年04月04日 | アートNPO推進ネットワーク通信


 《アートNPO推進ネットワーク》は地方都市のアート活動との連携を活動の柱の一つとしているが、この6月大倉宏氏の「新潟絵屋」との共同企画展覧会が実現した。“日常生活のなかの心の豊かさ実現”を掲げるアートNPOと、既に新潟の地において同様の活動を進めている大倉宏氏とのコラボレーションは意義深い。今回の企画はアートNPOが推薦する彫刻家富長敦也の展覧会であったが、古い町家を改造した新潟絵屋の和風の雰囲気のなかに石彫が溶け込み素晴らしい展覧会となった。