アーカイブ『市民派アート活動の軌跡』

「アートNPO推進ネットワーク通信」
小冊子「アート市民たち」

6『絵はぼくを思索に誘う』(AS会誌掲載)

2016年04月06日 | 冊子『アート市民たち』
6、大倉さんなど新たな友人たちとの一期一会  

 “やってよかった ”・・展覧会を終えての感想である。大倉さんからも、「とてもいい展覧会でした」と言っていただいた。しかし、展覧会の成功以上に嬉しかったのは、いくつかの出会いと感動があったことである。特に、この展覧会を進めるなかで、改めて大倉さんの人間としての見識、ひたむきさ、誠実さを知ったことである。 “水と土の芸術祭 ”の作品巡回バスツアーにお誘いいただき、ご一緒した時に感じた美術への熱き思い、今話題の北川フラム氏への訳知り顔の批判についても安易に迎合しない見識、或いは砂丘館を訪れる人々などへの謙虚な対応など、頭の下がることが多かった。特に、水と土の芸術祭の前夜祭の折、雨に濡れながら盆踊りを踊り続ける大倉さんの姿が今も脳裏に焼きついている。東京に戻り、大倉さんの著書『東京ノイズ』を拾い読みしたのだが、エッセイ『雪』の中に、降りしきる雪のなかで、敬愛する郷里の作家佐藤哲三の傑作「みぞれ」に思いを馳せながら、「・・人間にとっては過酷な季節や天候も、世界のもうひとつの側から見れば祝祭ではないか・・」と思索するシーンがある。私は、全身びしょ濡れになりながらも踊り続ける大倉さんの姿に、降りしきる雨も祝祭と受容する懐の深さとその生きざまを感じたのであるが、勿論これは私の勝手な想像である。いずれにせよ、こうして私と大倉さんは、この夏、間違いなく一期一会のよきひとときを持ったと思うのである。これはコレクション展成功のこと以上に意味のある出来事であった。



 その他、私にわざわざ会いにきていただいた方々、東京都歴史文化(財)のK・仲山さん、信楽園病院のT・野田さん、新潟のT・佐藤さん、二次会でルオーを語り合ったS・吉川さんなどとの出会いもよき思い出である。美術を通して触れ合った一期一会のひとときであったと思う。その他、東京から展覧会に駆けつけていただいた方々、感想を残していただいた方々にも感謝に堪えない。

 さて、先日、大倉さんがアスクエア神田ギャラリーの伊藤厚美さんに宛てた手紙を拝見させていただいた。その中に嬉しい一節があったので、最後に(大倉さんのご了解も得て)書き記したい。・・・ 「山下さんのコレクション展は自分で企画してこう書くのも変ですが、不思議に深い感動を与えられる展覧会でした。それは個々の作品が与える感動だけでなく、一つ一つの作品と山下さんがとても丁寧な出会い方をされている、その出会いの純度、静かさ、深さから受ける感動だったのではないかと今改めて考えてみているところです。」・・・大倉さん、感謝!


5『絵はぼくを思索に誘う』(AS会誌掲載)

2016年04月06日 | 冊子『アート市民たち』
5、大倉さんのコメント“深い静謐感”に感謝 

 今回のコレクション展リーフレットへの大倉さんのコメントは大変嬉しいものであった。「・・山下さんの絵画コレクションに触れるのは初めて・・。・・感じる印象を言葉にすれば、“深い静謐感 ”とも言うべきものが共通して感じられる。個々の作り手の声である絵が繋がり、重なって、それらを見、感じたもうひとりの“見手 ”の感性がホログラムのように浮かび上がる。テーマでなく個人の目で、心で集められたコレクションの味わいだと思う。」

 私のコレクションに流れるものを深い静謐感と感じていただいたことは嬉しいことである。しかし、それ以上に嬉しいのは、どの作品にも “見手 ”つまり私の感性が共通して感じられると評価していただいたことである。確かに私のコレクションには、既に評価の定まっている物故作家の作品を蒐集するとか、特定作家の作品を体系的に蒐集するなどのテーマはない。著名作家の人気作品が市場に出ようが、画廊主から流行作家のものを勧められようが飛びつくことはないし、オークションで割安作品を探すこともない。有名作家か無名作家かに関わらず、或いは人がどう評価しようが影響されることはない。一貫しているのは、私の心に響く作品であるかどうかだけである。だから、大倉さんから「心で集めれたコレクションの味わいだと思う」と評していただいたことは、実に嬉しい。

 展覧会リーフレットに『好きな絵に囲まれ思索する、至福のひととき』と書いたが、私にとっての絵画コレクションとは “心の贅沢と知的な冒険 ”であり、 “人生探求の旅 ”なのかも知れない。好きな絵も表面的な美しさより、知的で深い精神性を感じさせる絵に魅かれる。ルオー作品など、まさにそういう絵の一つ。絵の見方も目に見えるものを見るというより、絵全体をつつむ空気を感じたり、その背後に流れるものを見ることを楽しみにしている。そして、“絵を見る ”とは“絵を読む ”こと、“絵を読む ”とは“思索すること ”、更に言うなら“本当の自分と向き合うこと ”であり、“人間や人生について考えること ”に他ならないと思うのである。だから、私のコレクションは、私の生きざま、人生観、感性が滲み、反映したものである訳で、私の人生そのものである。仮に私のコレクションに価値があるとするなら、私という人間が見えるということなのかもしれない。

『おわりに』…アートNPOの旗を降ろす時

2016年04月06日 | 冊子『アート市民たち』
 私は、2002年4月、“アートNPO活動の提唱”を掲げて、『アートNPO推進ネットワーク』を立ち上げた。当時は仕事も多忙を極めていた上、妻が重い病に倒れるなどのアクシデントが重なったので組織設立の中止も考えたが、支持者も多く、是非やりましょうとの声に押され旗揚げすることとなった。

 この団体は元々NPO法人化を前提にスタートしたのであるが、組織作りよりまず活動することに意味ありと考え、法人化手続きは先送りして、コレクション展や若手作家紹介展などの企画を先行実行した。その結果、我々の活動はささやかではあるが一定の評価を頂戴し、日経新聞や美術年鑑、月刊ギャラリー、アートコレクター創刊号などの美術雑誌にも紹介され、順調に発展してきた。

 しかし、時間が経過するなかで幾つか問題も見えてきた。一つはNPO法人化についての、代表である私と他の役員との温度差。中核役員はそれぞれ仕事を持つ働き盛りで組織運営の余力はなく、私は対外的なことから会報作成・WEB情報発信・会員管理その他事務運営に翻弄されてしまった。任意団体の儘ならこれでもよいのであるが、NPOといえども法人であり、法人化すれば企業・団体と同様にマネジメント業務は役員の必須任務となる。アート企画も重要な仕事ではあるが、こういう苦労を共にする覚悟がなければNPO法人化は無理と考えるようになったのである。

 元々、私のアートNPO立ち上げの目的は美術の世界に“新しい風”を起こすことにあり、代表を長くやる気はなかったので、早い時期から後継者へのバトンタッチを考えていたが、そんなわけで後継者選びも諦めた。こういう経過を経て、私はNPO法人化計画を断念、かつ既に定着していた組織名の変更をも決断したのであった。

 しかも、偶々、人間ドッグで癌の診断を受け入院手術、順調に回復したのであるが、その後も再入院や検査が続き、再発・転移の可能性を抱えたままでの組織拡大は、いずれ会員に迷惑をかけかねないと考えるに至った。こうして熟慮を重ねた結果、組織は任意団体のままとし、場合によったら、これを機会に活動の段階的縮小せざるを得ないだろうと覚悟したのである。
結局のところ、NPO法人化という当初計画を断念することになったのは私の責任である。ならば、この何年かご支援いただいた会員の皆様に報いる意味を籠めて、とりあえず年会費を徴収しないかたちでの組織運営に移行しようと腹を固めたのである。そして昨年11月、活動の縮小と残った予算による小冊子作りを提案した次第である。
 
 私のNPO型アート市民運動の夢はいまだ道半ばであるが、美術の世界に“新しい風”を起こすことだけはできたのではなかろうか。この5年間一緒に活動していただいた役員や、趣旨にご賛同かつご支援いただいた方々に感謝しながら、ここに『アートNPO推進ネットワーク』の旗を降ろすこととしたい。
感謝!!
(2006年12月 代表山下透)

7、《アートNPOの趣旨にご賛同とご支援をいただいた方々》

2016年04月06日 | 冊子『アート市民たち』
『平井智重』さんは主婦だが、都立高校書道科講師の経験あり、教育現場から芸術・実技が減りつつあることに危機感を抱くお一人。書を中心としたアート活動をすすめる。

『林美佐子』さんは通信教育で学芸員の資格を取り、東京国立近代美術館にボランティア登録、アート活動をしている。写真家であるご主人の作品を中心とした個人美術館を開設。

『友利淳子』さんは食と農に関するNPO団体を設立し、コーディネーターとしてご活躍。食を楽しみながらの農作業ボランティア、食と農の講演会など市民運動を推進している。

『新井侑竹』さんは桑原翠邦に師事した書家。ここ数年は墨アート作品に挑戦、展覧会「雲湧く」「淙々」を開催。アートNPOイベントにもボランティアご参加いただき、感謝。

『千葉加音』さんは書燈社出身の近代詩文書の書家で、毎日書道展・神奈川県立美術館などでご活躍である。最近イタリアミラノでも作品発表の機会があり、海外進出にも意欲的。

『鈴木玉恵』さんは横浜青葉台に暮らす明朗で素敵な奥様。千葉加音さんの愛弟子でもあり、書燈社出身の近代詩文書家として活躍中である。毎日書道展などで入賞を重ねる。

『木元栄子』さんはフリーランスライターの他、キャリアアップ研修講師としてもご活躍。教育新聞に小生及びアートNPO紹介記事を掲載していただき、お世話になった。

『鈴木瑛子』さんは、長く大手生保の営業に携わったキャリアウーマン。母方の家系には画家やノリタケ磁器関係者がいる芸術に造詣深いファミリー。趣味はモダンダンス。

『高橋千鶴子』さんは歌舞伎がお好きな素敵な奥様、特に片岡仁左衛門の熱狂的なファンである。日本画家手塚雄二講演会や上野憲男展覧会のボランティアご支援を頂戴した。

6、《画廊など美術専門家の立場から応援していただいた方々》

2016年04月06日 | 冊子『アート市民たち』
『柳渭珍』さんは朝鮮李朝文官の由緒正しい家柄の末裔で、個人的お付き合いは30年以上になる。韓国青瓦台の現代美術画廊『珍画廊』の会長でもある。豊かな人脈に恵まれ国際的に活躍するが、英語・仏語・日本語の達者な知性溢れるキャリアウーマンである。

『土倉有三』氏は現代美術画廊『ギャラリー東京ユマニテ』の代表である。絵を商うといったところのない、人間的魅力を感じさせる誠実な人柄の画廊主で、お付き合いも長い。 企画画廊一筋に、宮崎進、加納光於、野田裕司など質の高い作家の作品を扱う。

『池田一朗』氏は現代版画専門画廊「ギャラリー池田美術」の画廊主。私が若い頃ルオー版画を探して始めて入った銀座の画廊だ。扱うのは榎倉康二、北川健二、山口啓介など本格的作家ばかりだ。痩せ我慢ですよ・・と言いながら企画画廊を続ける姿は尊敬に値する。

『椿原弘也』氏は京橋「ギャラリー椿」のオーナー。開光一、望月通陽、小林健司、山本麻友香など扱うが、特に抒情的でポエティカルな作品を紹介するファンの多い画廊だ。ここ数年、韓国や中国アートフェアにも作家紹介をするなど海外進出にも意欲的である。

『佐々井智子』さんは「ギャラリー・アートもりもと」の役員、実力もキャリアもある素敵な女性ギャラリストだ。著名な洋画家、彫刻家の作品を扱う。アートNPO会員として変わらない声援を頂戴したが、コラボレーション企画も実現できず恐縮している。感謝。

『白水真子』さんは「ギャラリー・しらみず美術」のオーナー、扱うのはミズテツオ、木下晋など実力作家。アートNPOは横田海や岸田淳平コレクション展などの共同企画でご支援をいただいた。元々は音楽家志望、今はポルシェを乗り回すお洒落なレディーだ。

『後藤眞理子』さんは「ギャラリーゴトー」の女性オーナー、若手作家の紹介を中心に頑張っている。最近銀座中央通りに移転したばかりだ。アートNPOとの間では、上野憲男展、渡邉早苗展などの共同企画によるコレクション展が実現、お世話になった。

『矢澤園子』さんは、最上階の天窓から自然光が差し込む瀟洒な3階建てビルで、『ごらくギャラリー』を経営、前田昌良など質の高い作家を扱ってきたが、休業となり残念。

『内藤純子』さんは新小岩の自宅と銀座で『純画廊』を主宰。テーマはピュアな作品の紹介とのこと。芸術文化への思い深く、『クリスマス・イン・ピース特別展』にも参画。

『望月章子』さんは甲府にて洒落た構えの『アサヒ・ギャラリー』を経営、扱うのは渡辺ゆう、小川待子、菅原健彦など人気の高い作家たち。趣味は朝鮮李朝家具の収集など。

『渡辺己代司』氏は岐阜で日本画画廊『ゑぎぬ』を経営する。昨年は日本画家手塚雄二の“花月草星全国巡回展”の広報事務局長として活躍されたが、その企画の一環としてアートNPO宛て『手塚雄二&仮屋崎省吾講演会』主催のご提案をいただき、お世話になった。

『金井允』氏は『金井画廊』の画廊主。実直かつ信頼できるお人柄でファンも多い。蔡国華、森幸夫、鷲森秀雄などを中心に油彩画作家を扱う。アートNPOのコレクション展『ぼくらの浅見哲一展』への会場提供など全面協力をいただいたが、大変好評であった。

『梅野茂』氏は『画廊轍』を経営、人気作家の作品を幅広く扱うが、特に山口長男、山田正亮などを自らコレクションしてきた目利き画商である。昨年11月、アートNPO主催の『市民派コレクターによる山田正亮展』では会場提供をいただき、お世話になった。

『野崎悦子』さんは武蔵小金井の閑静な住宅街で『ギャラリー・テムズ』を経営、若手作家を中心に作家支援を続けている。話の端々に美術への熱い思いが滲む、女性オーナー。

『杉原伊津子』さんは神戸六甲で『ギャラリーむん』を主宰、若手作家中心の展覧会活動を進めてきた。関西地域におけるアートNPO活動の中核にと期待した方である。

『故・磯良卓志』氏は『ギャラリー汲美』を経営、アートNPO推薦作家でもある横田海、上野憲男、森本秀樹や若手作家を育ててきたが、今年亡くなられた。ご冥福を祈りたい。

*その他、日本画画廊『戸村美術』戸村正巳氏、若手作家を扱う『羅針盤』岡崎こゆさん、『アートサロン叢』塩田真弓さん、『ギャラリー宗美』辻美佐子さんにもお世話になった。


5、《ビジネスの世界から応援していただいた先輩・友人たち》

2016年04月06日 | 冊子『アート市民たち』
『大森恭智』氏は小生の会社時代の元上司。専門はシステムプランニングだが、ロンドン子会社役員として外国営業部門で活躍したキャリアを持つ。現在は損保代理店を経営。

『松本義則』氏は若き時代の同僚であり友人。なかなかの文学青年で、酒酌み交わしながら大江健三郎など語り合った仲だ。専門は損害賠償実務。趣味は山登りと読書。

『栗盛雅敏』氏は若い頃損保会社で一緒に仕事をした仲だが、故郷である大館市に戻り家業を継いだ素封家の跡取りだ。JA役員や市教育委員長を歴任、地方貢献の人生を送る。

『佐藤俊雄』氏は弘前という遠い地から声援を送ってくれた友人である。公務員を経て病院管理職の地位にあるが、若い頃はボクシングを志した変わった経歴の持ち主だ。

『土佐育也』氏は大手損保会社のシステム部長として業界システムの開発にも貢献、現在もアドバイザーの仕事に携わる。海外旅行での美術館巡りやボランティアを楽しむ毎日。

『内藤嘉春』氏は野村総合研究所出身であるが、元々は天文学・物理学に打ち込んだ研究肌の人。音楽が好きで定年後の趣味はバッハなどの合唱とゴルフ三昧のシニアライフ。

『根本博光』氏は会社時代の先輩。システム開発一筋の人生を歩み、リタイア後は京都に居を構え、悠々自適人生を目指す。蒸気機関車の模型製作は趣味を超える玄人はだし。

『森川勝彦』氏も会社時代の情報システム部門の同僚。リタイア後、業界の仲間たちとシステムコンサル会社を設立、東奔西走で頑張っている。趣味は美術より専らクラシック。

『村山浩司』氏はシステム開発一筋の人生を歩み、現在大手損保のシステム会社社長である。趣味のドラム演奏が本格化、オジサンバンドを編成、新聞に載るほどの活躍である。

『熊谷和彦』氏はかの著名画家、熊谷守一の本家『屋号藤山』の10代目跡取りである。血筋なのか絵も上手だが、熊谷守一の伝承者の一人として生きたいと抱負を語る。

『高比良正司』氏は『子ども劇場全国センター』やNPO支援団体『NPO推進ネット』の代表理事。NPO&行政協業の第一人者。アートNPOにも声援を送っていただいた。

『福田房枝』さんも『子ども劇場全国センター』役員として、子供系NPOの世界で活躍してきた。世界中の子供たちの抱える問題に果敢に取り組むキャリア女性だ。

『鴻田益孝』氏は『ニューライフ21開発機構』理事長など介護マーケットで活躍中。2003年、山王の高齢者施設でのコレクション展の提案・実行などのご支援を頂戴した。

『大川元一』氏は保険コンサルタントとして損保・生保のコンサルティング事業を営む。 外資参入など厳しい業界だが、持前の明るさと誠実さで頑張る若手事業主だ。

『星佐江子』さんは損生保代理店に勤務する、明るく感じのいい女性である。絵を見るのが大好きとのこと。アートNPOの趣旨に賛同され、会員としてご参加いただいた。

『小森寛一』氏は若い頃からの友人であり、現在は税務会計事務所の顧問。車好きが高じて黄色の“ポルシェ911”を乗り回す。好きな美術は日本画、鏑木清方の名品を所蔵。

4、《コレクターとして活動支援していただいた方々》

2016年04月06日 | 冊子『アート市民たち』
『山岸勝博』氏の専門はコンピュータサプライ業務。忙しい仕事の余暇に取り組んだ絵画収集は20年を超えるが、好きな美術は50年代から60年代に活躍した画家のモダンでスマートさのある落ち着いた油絵作品という。こうして辿り着いたのが現代美術の山田正亮作品であり、一人の作家に絞ってのコレクション人生は立派である。アートNPOでは、『市民派コレクターによる山田正亮展』を企画推進していただいたが、大変好評であった。

『小倉敬一』氏は純粋かつ地道なコレクターで、絵が好きだった亡き奥様への思いを秘め清宮質文などの作品をコレクションしてきた。しかも、単に作品収集にとどまることなく、年に一度銀座の画廊でコレクション展を開催している。昨年は長谷川りん二郎、今年は水彩専門画家の作品展であった。アートNPO活動については、『コレクターの見る視点展』に毎年ご参加、集治千晶、石居麻耶などの作家を推薦、継続的ご支援をいただいた。

『山本勝彦』氏は損保会社時代の部門は違うが少し年若の同僚である。30年以上画廊巡りを続けるサラリーマンコレクターで、コレクションは大藪雅孝や開光一等の他、若手作家中心に数千点に及ぶ。ここ数年は、自称“アートソムリエ”としてサラリーマンなどの絵画購入支援活動を展開、新聞・雑誌にも紹介される有名人だ。アートNPOにも継続して会員登録いただき、『ぼくらの・・展』などには毎回参加、声援を送ってくれた。

『鈴木忠男』氏は古美術から現代作家の作品まで、幅広いジャンルの美術品コレクターであり、収集点数も相当な数である。特に江戸から明治にかけての幟の本格コレクターとしても知られる。アートNPOの『コレクターの見る視点展』には毎回参加、その独特の鑑識眼で選んだ若手作家たちを、推薦ご紹介いただいた。『美楽舎』会員でもある。

『篠沢潤子』さんは医師で南画の祖父や和歌を嗜む母上の血を受けたのか、趣味は絵画収集と作品制作である。作風は風や雲をテーマにした抽象、ドイツなど海外生活の影響か、鮮やかな色彩が印象的だ。アートNPOについては、コレクション展への作品出品、手塚雄二展ボランティア、展覧会へのワイン差し入れなど変わらぬご支援をいただいた。

『藤本治聖』氏はキャリア20年のコレクター。はじめて購入したのは荻須高徳作品であったが、小林健二、河嶋淳司、岡村桂三郎などに拡大。東南アジアの古裂やインカ古美術にも惹かれ、大手通信会社管理職の海外出張時に各地を探索するなど、幸せなコレクション人生だ。その後中国の現代美術作家である牛歩展を企画、アートNPOも後援した。

『小林盛夫』氏は印刷会社を経営する事業主。25年前に初めて購入したのは西山英雄作品、その後絹谷孝司、前本利彦、大矢英雄などの超人気作家やパリ在住の早川俊二作品などを集中的にコレクションしてきた。美術同好会『ASの会』の会長でもあるが、アートNPO支援のためご参加いただいた。週一回のゴルフは、シングル級の腕前である。

『三浦康栄』氏は日本IBM社のシステムエンジニア。専門は数学なのに芸術文化に造詣深く、数学者藤原武彦流に言えば品格ある人である。美術の才能に恵まれ自ら油彩画を制作するが、人物画・静物画などなかなかの腕前である。山内龍雄や若手作家のコレクターでもあり、『AS通信』に時々掲載される美術展感想も、独特の視点が滲んで興味深い。

『木村悦雄』氏はご夫妻での二人三脚コレクターとして有名である。物故作家を中心に、明治以降の著名作家の作品を体系的にコレクションするという本格的なものであるが、このところ草間弥生など現代美術にも広がりつつある。美術同好会『わの会』の会員でもあり、ゆくゆくは千葉のご自宅で“わたくし美術館”を開くのが夢とのことである。

『平井勝正』氏はコレクター・アーティスト・画廊主の三つの顔を持つ。始めて購入したのはカール・コーラップ、その後上野憲男、横田海などを収集。自ら制作するのは、パウル・クレーを思わせる詩的な水彩作品。その絵好きが最後に辿り着いた港が『アートスペース・ポルトリブレ』、新宿の雑踏街のここにだけ文化の香りが漂う、そんな画廊である。

『楢崎卓茂』氏は若い頃美術を志した経歴の持ち主で、その才能を生かしたインテリア事業を経営。コレクションは難波田龍起や現代作家作品などジャンルを問わず幅広い。アートNPOにも会員参加、『高齢者施設マイコレクション展』などに作品出品いただいた。

3、《事務局ボランティアなどのご支援をいただいた方々》

2016年04月06日 | 冊子『アート市民たち』
『相馬美穂』さんは損保会社財務部門のベテランOL。多忙な仕事の合間でアートNPOの会計&会員管理などのご支援をいただいた。好きな絵はフェルメールとモジリアーニ。

『伊藤和子』さんはWEB系システムのエンジニア、アートNPOニュースの掲載などサイト運営管理にご尽力いただいた。アーティストでもあり、時々抽象作品に挑戦する。

『白石好恵』さんは私のベンチャー企業時代の同僚である。フリーのデザイナーでもあり、アートNPOのロゴや組織立ち上げ時のパンフレット制作などのご支援をいただいた。

『小林まどか』さんは多摩美出身の若手日本画家で、作品は力強く独特の世界だ。高校の美術教師も務める。アートNPOの展覧会DMのデザイン制作で大変お世話になった。

2、《理事・相談役など役員としてご支援をいただいた方々》

2016年04月06日 | 冊子『アート市民たち』
『マコト・フジムラ』氏は米国バックパネル大学卒業後、東京芸大で日本画を学び、その後NYで作家活動を続けるアーティストである。作品制作だけでなく、ホワイトハウスの文化担当顧問に就任したり、NYのアーティスト団体“トライベッカ・テンポラリー”の中心的存在として幅広い活動を続けている。私は東京芸大時代からその信条や作品に惹かれ、お付き合いしていたが、アートNPO立ち上げの際、その思いを語ったところ、「素晴らしい活動ですね」とそのミッションに賛同され、特別会員になっていただいた。こうして2003年、アートNPOとマコト氏が主宰する『アイアムの会』との共催展覧会『クリスマス・イン・ピース展』が実現したのであるが、大変嬉しいことであった。

『大倉宏』氏は東京芸大美術学部卒業後、新潟市美術館学芸員を経て、フリーの美術評論家として活躍中であるが、著書『東京ノイズ』は氏の故郷新潟や作家佐藤哲三への思いが滲む、感性溢れる評論集である。その後、NPO型画廊『新潟絵屋』を立ち上げ現在に至る。アートNPOには発足当初より相談役としてご参画いただき、その後、冨長敦也、森本秀樹などのコラボレーション展覧会を共同企画として開催することができた。感謝。

『綿貫不二夫』氏は南青山でギャラリー&編集事務所『ときの忘れもの』を経営。かつて『現代版画センター』を設立、80人もの作家の版画制作の他、アンディ・ウォーホル、草間弥生の展覧会を企画したキャリアを持つ。編集者としても、『資生堂ギャラリー75年史』『瑛九作品集(日経)』などを制作、現在も『版画掌誌ときの忘れもの』を刊行中である。文化の香りのする人で、アートNPO設立に際しても快いアドバイスを頂戴した。

『相澤吉勝』氏は現在中部大学の経営情報学部教授としてシステムの講義を担当している。我が出身会社とも縁が深い『野村総合研究所』の現役時代、情報システム構築に関するプロジェクトで一緒に仕事をしたが、その後も個人的交流が続いている。アートNPO立ち上げに際しても当初から理事及び監事としてご参画いただき、ご支援を頂戴した。趣味は美術より音楽が中心であり、クラシック全般、特にチェロ演奏に造詣が深い。

『赤塚元』氏は『凸版印刷』のICビジネス本部の部長などを歴任。私が経営に携わったベンチャー企業の出資会社の一社であったことからのお付き合いであるが、芸術・文化への造詣も深く、人間的見識を感じさせる。アートNPO立ち上げ時からご支援を頂戴した。

『ヨシタミチコ』さんは『カラースペースワム』の代表。我が国の色彩プランナーの草分け的存在であり、街並作りや病院・高齢者施設における色彩提案、色彩にかかる人材育成、セミナーなどの活躍を続けている。パートナーの『色彩美術館』館長菅原猛氏は、小野木学・山田正亮など現代美術の一級コレクター、美術評論家として知られる。『市民派コレクターによる山田正亮展』に際して、貴重なコレクションを特別出品していただいた。

『中田久尚』氏は旅行業・ホテル業など幅広いキャリアを経て、現在『(財)佐藤国際文化育英財団』の常務理事として美術館経営に携わる。アートNPOの法人賛助会員としてご参画いただき感謝に堪えない。岡村桂三郎展や万葉種子展の支援程度しかお役にたてず残念であったが、今後も公立美術館とは違う特色ある企画での益々のご活躍を期待したい。

『鈴木才子』さんは南青山の彩画廊を拠点とする『NPO法人アートトラスト』の会長であり、芸術文化振興へのミッションを掲げ、アート運動を推進している。里見勝蔵やご主人である鈴木保画伯作品などをコレクション展示する美術館作りが夢とのこと。若い頃は宮本百合子を慕い文学を志したり、ファッションデザイナーとして活躍して来た。

『大塚まりこ』さんは、自由が丘の所有ビルの一角に、若手作家のためのアートスペース『もみの木画廊』を経営している。アートNPOの『コレクターの見る視点展』のために継続的に会場提供をいただくなどのご支援をいただいた。玉川奥沢会役員として地域文化の興隆にも尽力、又青山学院大学の馬術部監督など、幅広い活躍を続けている。

『北條和子』さんは新橋に画廊『閑々居』を構え、山田昌宏、竹内啓、武田訓左、小滝雅道、間島秀徳など新しい日本画をめざす作家たちの支援を続けている。若い頃は演劇や文学を志したり、現在茶道宗偏流の家元を継承するなど多才な女性である。『社会福祉法人鎌倉清和会』の理事など社会貢献活動にも意欲的で、尊敬に値する人生だ。

『佐藤潤』氏は経営コンサルタントである。若い頃パリに渡り、ソルボンヌ大学や映画学校にも通い、映画制作に従事した経験を持つ。帰国後は『シード・コンサルタント』を設立しご活躍である。仙川の『東京アートミュージアム』代表の伊藤容子さんなど、アート関係の人脈も幅広い。好きな画家はゴッホで、世界各地の美術館で作品鑑賞してきた。