アーカイブ『市民派アート活動の軌跡』

「アートNPO推進ネットワーク通信」
小冊子「アート市民たち」

『壺中天とは、壺中夢とは』

2016年03月25日 | 壷中天・壷中夢について
“壺中天”は中国の故事にある言葉である。

“壺中天”とは “壺中に天有り” と読み、
1.この世の別天地・別世界  
2.仕事を離れた時の本当の自分の世界
3.酒を飲んで俗世を忘れる愉しみ  
  
のことである。
◎中国の故事・・『後漢書・方術伝下・費長房伝』より
「中国後漢の時代のことであるが、費長房なる役人が市場を取り締まる役に就いていた。その市場に薬を商う一人の老翁がいて、店先には大きな壺が置いてあった。ある夕暮れ時、費長房が見るとはなしに見ているとこの老翁、商いが終わると店を閉め、あたりを見廻すとその壺の中にヒョイと入り込んでしまった。何と不思議なこともあるものと翌日その老翁を問い詰めたところ、ついには壺の中に連れて行ってもらうことになった。そこには荘厳を極めた玉殿があり、美酒と佳肴が溢れるこの世のものとは思えない別天地であった。この役人は暫し俗世を忘れて、酒を酌み交わし、別世界を遊んだのであった。」
◎陽明学の安岡正篤の『六中観』
『死中有活 苦中有楽 忙中有閑 壺中有天 意中有人 腹中有書』の六中観はどれも含蓄ある言葉であるが、この中の“壺中有天”は、この故事によるものであることは明らかであり、世俗にあっても独自の世界を築くことの大切さを説いている。
『壺中夢倶楽部』は
1997年、社会的実業の世界に身を置きながらも、“自分の本当の世界を築きたい”という思いから発足させた集まりであるが、その思いは“壺中天”の世界観そのものであり、 “壺中天”を“壺中夢”とひとひねりして命名した次第である。(代表 山下透 )