ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

栖鳳の猫、エメラルドグリーンの妖艶な瞳

2010-03-16 21:31:11 | 日記
山種美術館に行ってきましたたばこと塩の博物館からタクシーで行きました。渋谷から広尾までなのですぐかと思いきや意外に距離があり1000円越えてしまいました。歩かなくて正解。
閉館間際でしたので人も少なめで、大きな屏風絵も遠くから観賞でき、ゆったり楽しめました。
大観と栖鳳ー東西の日本画と題した、開館記念特別展Ⅲ。大観も栖鳳も大好きですが、今回は栖鳳の写実が心に残りました。また栖鳳の重要文化財班猫が、背景なしのシンプルな構図のためもっと小さい絵かと思っていましたらエメラルドグリーンの瞳が印象的な堂々たる作品なのも驚きでした。
栖鳳は、京都画壇を代表して欧州を見聞し、西洋画では光と色彩の研究がおこなわれてきたこと、写実の技術が進み、写真との違いを表す印象派のような表現が生み出されたことなどを感想とし、日本画の近代化のためには、もっと写生をやらねばならないと思います。文展や、若い画家の指導で活躍するなかで、構図や、意匠、色彩だけでなく、モデルの心理に迫る情趣に工夫を重ね、上村松園らの弟子に与えた影響も大きかったことと思います。典雅で優美な画面を工夫する一方で、東洋の省筆を意識した大胆な作画にも興味を持って、「写生のできているものほど筆は省けるものだ」と語り、晩年には、写実と詩情が一体となったような軽妙洒脱な画境を見出していきます。
             
腰を痛めて逗留中に描いた蛙と蜻蛉は、療養中にもかかわらず、たくさんの蛙を床に放って、さまざまな姿態を熱心に写生して構成し、鳥獣戯画を思わせる生き生きとした描写が魅力です。鴨雛も、いかにも生まれたばかりで頼りなくくずれた姿勢のひなの描写がリアルで、じたばたする音や声まで賑やかに伝えて生き物の力を感じさせます。水車の上に乗るカラスが、迫力のある縦長の構図におさまる憩える車も近代洋画に負けない力強さを感じました。今回は展示されていませんでしたが、鯛の頭に一刷毛明るいブルーをさして魚の新鮮さを見事に表した小品も好きです。季節や、自然の中できらめく生命の美しさが見事に表現されていて、いかにも俳句を好んだ人らしいと思いました。

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