久しぶりに知識をつけましょう。
知っているようで知られていないアカシジアです。
アカシジア |
癌患者において薬物治療によって誘発される最も多い不安類似症状はアカシジアであり、急性に生じる客観的・主観的落ち着きのなさやじっと座っていられないような症状に代表される。アカシジアは通常治療の数時間後から数日後にかけて出現し、重度の場合は耐えがたい感情を伴う。患者の表現を借りると「皮膚から飛び出すような感覚」であり、急激に自殺に追い込むことさえある。
アカシジアはハロペリドールやクロルプロマジンなどの抗精神病薬全般にみられる副作用であり、またメトクロプラミド、ドロペリドール、プロメタジン、プロクロルペラジンなど、一部の制吐剤にも認められる。オンダンセトロン、グラニセトロンなどの新世代の制吐剤では明らかに出現しない。静脈注射による大量投与を受けている患者では特に症状の出現が多い。
通常、アカシジアは次に示す治療で速やかに緩和する。
ジフェンヒドラミン25~50 mg 経口、または静脈注射(初期量)
ベンゾジアゼピン(ロラゼパム2 mg 1日2回または3回 経口など)
β遮断薬(初期量としてプロプラノロール10 mg 1日3回 経口)
,ASCO 公式カリキュラム『がん症状緩和の実際』(2003), ,1,13
アカシジアとは |
薬剤性パーキンソニズムの1つで、「絶えず歩き回る」「じっと座っていられない」などの状態を呈し、緩和的薬物療法中にときどき出現する。薬剤誘発性神経症状だが、心理的不安症状と区別が難しく見逃されやすい.原因薬物で麻薬の吐き気対策の制吐剤(ノバミン、プリンペランなど)に注意.比較的若年者に多く、原因薬剤血中濃度の低下時に起きやすい。アカシジアを疑った場合は、診断的に抗パーキンソン薬(アキネトン筋注)を投与し、速やかに症状が改善すれば確定する.対処の原則は原因薬物の中止だが、困難な場合は抗パーキンソン薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬が併用される.
,緩和ケアチームの立ち上げとマネジメント(2008),,,76
アカシジアについて |
患者が不安を訴え始めたり不眠や激昂を呈し始めた場合は、患者に投与されている薬物に抗ドパミン系薬物が入っているかを確認する必要がある.前述の薬物が処方投与されていることが確認でき、かつ患者との面談時に落ち着きのなさや、じっとしていられないなどの症状が確認できた場合には、抗ヒスタミン薬もしくは抗コリン薬の投与を試みる.アカシジアであればその症状は急速に改善するため、その鑑別が可能となる.鑑別後、抗ドパミン系薬物を中止もしくは抗ヒスタミン薬を就寝前定時投与するなどの対策が有効である.
,臨床緩和医療薬学(2008),,,153
アカシジアの治療 |
治療の第一歩は原因となる薬剤の中止である。そしてアカシジアの対処で重要なことは、まず「アカシジアを知っていること」であり、さらに「どのような時にアカシジアを疑うか」である。
今まで経験したアカシジアの患者は、「落ち着かず、じっと座っていられません」とか「足がむずむずします」という訴えから始まるのではなく、「夜に眠れません」という話から始まることがほとんどである。「夜に眠れない」ので不眠に対応するべく、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を投与すると、アカシジアの症状が少し軽くなることもあるため、さらに正しい対処が遅れる。
【どんな風にアカシジアをみつける?】
「夜に眠れない」という患者の訴えをきいた時は、さらにアカシジアを念頭に考えて話を続けることが大切である。以下に、今まで経験した患者の訴えを紹介する。
「夜になると、用もないのに何度もトイレヘ行ってしまう。でも、本当は尿意があるわけではないのです」(前立腺がん、男性)
この患者の場合は、人院中で看護師は夜間の頻尿があると考えていた。しかし不眠や頻尿ではなく、アカシジアと考え投与中の薬剤を確認したところ、ノバミンが投与中であった。
「足がむずむずして、イヤな感じなんです。日中に疲れが足に出ているのかと最初はそんなふうに思っていたんですが……特に夜になると、足がむずむずして」(胃がん、男性)
この患者の場合は、「足がむずむずした感じですか」と話しかけるとこのように返事があった。主に下肢の不快感を訴えてであったが、看護師の話では部屋の中でうろうろしたりすることもあり、よくきくとアカシジアの症状を呈していた。いずれの症例においても、原因薬剤を中止することで数日以内に症状は改善した。
【「足がむずむずする」時に考えること】
「足がむずむずする」という訴えのみの場合には、非薬剤性および薬剤性restless legs 症候群の時もある。この場合は、下肢の異常知覚のみがみられる。「無表情で、歩行しにくそうになっている」時には、薬剤性のパーキソニズムの可能性がある。この場合にも、アカシジアの原因となる薬剤の錐体外路症状を疑うことができる必要がある。「最近、元気かなく、よく転びそうになる」としか周囲の人たちが感じていないこともある。
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アカシジアですか・・・カタカナばかりの薬剤名で、よくわかりませんが
薬剤によって落ち着きがなくなったりすることなんですね。
本人はジッとしている事が出来ず大変みたいです。
プリンペランは薬が抜けるまでにどのくらいかかるのでしょうか?
経験論だけではいけないので色々文献を調べてみましたがきっちりとしたアカシジアが改善するまでの時間が提示されているものは無く・・・・。
プリンペランの体内の動きは経口投与した場合、消化管より速やかに吸収され約1時間後に最高血漿中濃度に達し、消失半減期は4.7時間とのことです。