時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

肥後の名湯 黒川温泉

2021年12月16日 | 旅のつれづれ

多摩爺の「旅のつれづれ(その8)」
肥後の名湯 黒川温泉(熊本県南小国町)

「ここ行ったよね。」
昨日(15日)の朝、情報番組を見ていた女房が、突然そう言って指をさしたところは
ちょうど10年前の夏、両親を誘って出かけた、
火の国(熊本)のシンボル阿蘇の北に位置する・・・ 「黒川温泉」だった。

今春亡くなった父は、この頃からパーキンソンの症状が出始めていたが、
まだまだ元気で・・・ 杖がなくても、しっかりと歩くことができていたし、
母は、お得意のお喋りと、もぐもぐタイムで・・・ お口が絶好調
それはそれは賑やかで、とっても楽しい家族旅行だった。

2ヶ月ぐらい前だったかな?
阿蘇山(中岳)が噴火したとのニュースがあって、入山規制が発令されて心配していたが、
いまはどうやら・・・ 落ち着きを見せてるようだ。

高速道路を利用すれば、実家の山口から熊本へは、広島よりちょっと遠いぐらいだから、
運転してても、そんなに遠いとは感じないが、
熊本の町は、鉄道の駅も、高速道路のインターチェンジも・・・ 町の中心地から遠く離れていて、
降りてから熊本城などの目的地に向かうまでには、ちょっとストレスがある。

朝早く実家を出て、お決まりのコースというか、まずは熊本城と阿蘇山に立ち寄り、
前々から行きたかった・・・ 肥後の名湯「黒川温泉」へ向かった。

阿蘇の山懐に包まれた黒川温泉は、熱海や別府などのように、観光地化された温泉街じゃないし、
観光バスが何台も並ぶような・・・ 派手さや、賑やかさがあるわけでもなく、
筑後川の源流沿いに、昔ながらの風情を残した温泉旅館が建ち並ぶ、
どちらかと言えば・・・ ひなびた温泉郷だと思う。

正直なことを言えば、この界隈で人気の黒川温泉(熊本)や、湯布院温泉(大分)などは、
山の中にある静かな温泉郷であって、なぜ人気がでたのか分らなかったが、
町の活性化にコツコツと努めてこられた、地元の方々のご苦労が、あちらこちらに垣間見える、
静かで品が良く、時間がゆっくりと過ぎてゆく、落ち着いた温泉街で、
自信を持ってお薦めできる・・・ 癒やしの温泉郷だと思う。

泊まったお宿の自慢は、
朝の情報番組で女性レポーターが入浴していた洞窟風呂と岩戸風呂である。
お宿の外に隣接する洞窟風呂は、筑後川の源流沿いの岩を掘って作られたもので、
興味津々で向かったが・・・ 真夏だったことが、私の満足度を少し下げてしまったようだ。

洞窟内に、思いのほか湿気が溜まり過ぎていて、
長湯をすると逆に疲れてしまいそうで、早々にお湯から上がらざる得なかった。

寒くなりだした、いまの時期だったら・・・ また違った体感だったかもしれないが、
サラリーマンは、夏休みでないと帰郷や旅行は厳しく、
どうすることもできないが、季節を誤ったことだけは・・・ どうやら間違いなかったようだ。

一方で岩戸風呂は、洞窟風呂と違って・・・ 神秘的な体験はできないものの、
筑後川の源流から聞こえてくるせせらぎ(水の音)と、
真夏の暑さを凌いでくれる木立のなかを、ときおり吹き抜けてくる川風
が頬を優しく撫で、
思わず「ふぅぅ」と声が漏れるぐらい、心にも、体にも、脳にも・・・ 癒やしを与えてくれた。

そして・・・ 最も癒やしてくれたのは、
宿のあちこちに、ポンと置かれてあったり、掲げられていた色紙の数々で、
詩人で書家の、相田みつをさんのような雰囲気があって・・・ 納得感と満足感が抜群だった。
10年も前のことなので、いまもあるかどうかは分らないが、これはホントに良かった。

地震や水害、さらには阿蘇山の噴火など・・・ 自然災害で苦悩が続く熊本だが、
私の好きな町でもあり、コロナ禍が落ち着くという条件がついてしまうが、
タイミングが合えば、一人で頑張ってくれてる母を連れて、もう一度訪れてみたいと思う。

「また、行きたいね。」
「お母さん、ホントに頑張ってるから、来年は温泉に連れてってあげたいね。」
テレビを見ながら、朝メシ食ってたら・・・ 女房がそう言った。

おいおい、朝っぱらから、爺さんを泣かせてどうするんだ?
そう言ってくれるのは・・・ すっごく嬉しいけど、
先立つものが必要だから「もう少し節約するよ。」って、言ってくれた方が分かり易いけど、
そこんとこは・・・ 察するしかないのだろう。


宿から筑後川の源流沿いに歩くと・・・ 洞窟風呂、岩戸風呂が見えてくる。

朝の情報番組で女性レポーターが入浴されてた洞窟風呂、ちょっと湿気を感じるが・・・ 風情は抜群

こちらは岩戸風呂、圧迫感なく筑後川のせせらぎを楽しみながら浸かるお湯は・・・ 妙に落ち着く。

お目当ての洞窟風呂や岩風呂があるのは「山の湯・新明館」さん
筑後川の源流に架かった、小さな橋を渡って行くのも・・・ 秘湯っぽくて面白い。

宿のあちらこちらで見かけた、相田みつをさん風のひと言が・・・ とっても良い。

一番のお気に入りは・・・ これかな?

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6 コメント

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Unknown (力丸ママ)
2021-12-16 15:13:20
私も2008年、大分前ですがバドミントン仲間と黒川温泉をはじめ湯布院や阿蘇熊本城など3泊旅行をしました。
湯布院夢美術館で山下清のすばらしい貼り絵を見たことを思い出しました。
Unknown (多摩爺)
2021-12-16 16:14:41
力丸ママさん、こんにちは

日本は火山列島ですから、温泉はどこにでもありますが、私は観光地化されてない静かな温泉街が好きです。
地元にとっては、お客さんがたくさん来てくれるに越したことはないと思いますが、
それだと風情がなくなるので、困ったものです。
分かり易く言えば・・・ お湯は別府の方が好きですが、風情は絶対に湯布院です。
因みに私が一番大好きなお湯は、山口県長門市の俵山温泉です。
ぬるっとした、しっとり感が堪りません。
機会があれば入湯をお薦めします。
黒川温泉、ずっと行きたいと思っていましたが (くちかずこ)
2021-12-16 20:25:02
未踏の地です。
湯布院なら、4回行ったかしら?
湯量が凄いですよね。
掛け流しが当たり前って所でした。
由布岳もカッコいい!
先立つモノ、これが、くちこ家でも問題です"(-""-)"
8年間前に退職して専業主婦しているしね。
それでも、それなりに、楽しく!(^^)!
温泉ね、最近、湯疲れの方が怖くて。
Unknown (多摩爺)
2021-12-16 21:06:22
くちこさん、こんばんは

湯布院は、小学校6年生の修学旅行で泊まりました。
地獄めぐり、ケーブル楽天地、鶴見岳、二こぶラクダのような由布岳、思い出が詰まった温泉です。

行きたいところは・・・ たくさんありますが、
くちこさんの仰るとおり、年金生活者の私はボーナスなしの計画経済ですから、よほど思い切らないと行けません。
でも・・・ 年に一度ぐらいは、旅で楽しみたいですね。
Unknown (びこ)
2021-12-17 08:44:19
その洞窟温泉、私も行ったかもしれません。宿の亭主がコツコツと彫ったというようなことが書かれてあったような?

今から20年くらい前のことです。

結婚してまもなくの娘夫婦と娘婿のご両親と一緒に行きました。

その時、次回は由布院にと思いながら、まだ果たせていません。
Unknown (多摩爺)
2021-12-17 10:11:58
びこさん、こんにちは

洞窟風呂って、ありそうで見かけないお風呂だと思います。
神秘的で興味をそそりますが、大きさから入浴人数も限られるし、換気が悪くて湿気が多いのが弱点で、
清掃などの衛生面を考慮したら、コスパ的に採算が取れるとも思えません。
それでも、洞窟風呂っていう言葉の魔力に惹かれて入湯に行くのですから面白いものです。

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