時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
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マイナンバーシステムへの信頼

2023年05月17日 | 時のつれづれ・皐月 

多摩爺の「時のつれづれ(皐月の36)」
マイナンバーシステムへの信頼

ここ最近、マイナ保険証を使ったら、他人の情報が出てきたとか、
コンビニで住民情報を取得したら、他人の情報がでてきたとか、
それを問いただそうと思って、監督官庁に電話したら・・・ たらい回しにされたとか、
マイナンバーカードを利用したシステムで、信頼性を欠くトラブルがメディアを賑わせている。

取材を受けたデジタル化担当大臣、総務大臣、厚生労働大臣が、苦しい弁明に追われていたが、
守られるべき個人情報が漏洩してるんだから・・・ 怒髪天を衝くであり、
マイナンバーの推進には肝要で、理解を示している私でさえも、さすがに怒り心頭だった。

数日経って、報道が落ち着いてきてから・・・ 少し冷静になって、
弁明に立った各大臣の発言や、報道された情報などを振り返ってみたら、
主たる原因が、2パターンあることが分かった。

その一つは、システムのプログラミングミスによるエラーであり、
もう一つは、プログラムを使って運用される、データベース(基本情報)を構築する際に、
気づかなかった、盲点というか、見落としにより発生した、ヒューマンミスによるエラーであった。

前者の詳細は、コンビニでの証明書交付サービスで、他人の住民票が交付された案件で、
システムへのアクセスが集中したことにより、マイナンバーをキーに同期を取り、
印刷が指示されていたはずなのに・・・ 解除されてしまい、
同じタイミングで、どこかで申請されていた、だれかのファイルが印刷されている。

これは・・・ なんて言ったら良いんだろか?
システムを請け負ったIT系の企業としては、あってはならないミスであり、
お粗末にも程があるし、プログラムの設計ミスとしか言いようがない。

想定外のデータ量による
過負荷テストを、甘く見ていたとは思いたくないが、
結果的に・・・ 甘く見ていたとの誹りを受けても仕方がないだろう。

もう一つは、病院でマイナ保険証を使ったら、他人の情報が表示されたという案件で、
その詳細は、データベースを構築するに当たって、
健保組合で、健康保険証に記載された健康保険証番号と、マイナンバーを紐付けする作業で、
住民基本台帳へ照合を図った際、レスポンスに誤りがあり、他人の情報が表示されている。

これはプログラムミスではなく、システム設計の終盤で、運用試験(ランニングテスト)を行う際、
情報が提供されるシステム(住民基本台帳)の、設計思想を理解してなかったことに尽きるし、
それをチェック項目として見落としてしまった、ヒューマンミスがあったと思う。

自治体が管理する、住民基本台帳からのレスポンスが、
間違いないものだと・・・ 疑わなかったところに、大きな落とし穴があったのだろう。
これについては、責任を他責(自治体)にすることもできるが、
それでは問題解決にならないので、事後に双方が歩み寄るしかないだろう。

とはいえ・・・ マイナ保険証の売り文句として、転職等によって健保組合が変わっても、
健康保険証を変更する必要がなくなったと・・・ 以前、担当大臣は言ってたことを思い出した。

それはそれで、その通りなんだろうが、
健保組合から委託を受けて、バックヤードで汗を掻いている人々が、
絶対にミスをしないという、前提があってのことだから、
この発言には・・・ 少しばかり、驕りがあったのではなかろうか?

これらのトラブルに、唯一の救いがあったとすれば、
「アノニマス」などのハッカー集団が、システムの内部に入り込んでストップさせたり、
誤作動を引き起こして、システムが乗っ取られたり、情報が洩れなかったことかもしれない。

そう捉えれば、漏洩ではあるものの
楽観的だとお叱りを受けるかもしれないが、今回のエラーは不幸中の幸いかもしれない。
表現は不適切かもしれないが、プログラムミスは収束に向かうだろうが、
ヒューマンミスは、これからもちょくちょく起こるだろう。

あくまでも個人的な思いで恐縮だが、こういったミスが起こる要因の一つとして、
ヒューマンミスについては、各健保組合ごとに、付き合いが深く、親和性のある会社に業務委託し、
安価にデータベースを構築していることから、
チェック項目の深浅と、チェック体制に濃淡が生じるので、標準化されない限り今後もあるだろう。

そもそも住民基本台帳は、健保組合が管理するシステムではなく、
設計内容がオープンにできないことに課題があって、
自治体とのコミュニケーションが、今後は高いハードルになってくるのではなかろうか?

素人が知ったげに・・・ 能書きを垂れてしまったが、
いまさら、マイナンバーをキーにした、ネットワーク型のシステムの構築を拒んで、
リスク回避に力点を置いた、スタンドアローン型のシステムを運用していては、
IT化が加速度的に進む世界の各国から、あらゆる面で遅れを取ってしまうだろう。

思い出すのは・・・ 15年ぐらい前の「消えた年金問題」である。
デジタル化の推進を躊躇して、ペーパーベースで仕事をしていたことから、
大事な、大事な情報を失ってしまったという・・・ 大きな痛みをともなう教訓だった。

とはいえ、すったもんだあった年金システムだが、
15年という時を経て、いまそういった話しを聞くことはない。

デジタル化すると云うことは・・・ 簡単ではないようだ。
スモールスタートで良かったのに、利便性の拡大を急ぎすぎ、ちょっと欲張ったものだから、
しくじってしまい・・・ 厳しい視線に晒されたのではなかろうか?

おそらくいまが、越えねばならない峠であり、産みの苦しみの真っ只中なんだろう。
そう捉えれば、1日でも早く信頼の回復に努め、
システムの安定化を図り、この国のデジタル化が前進することを願ってやまない。

世界では、普通に運用されていることが、
この国では出来ないって、あり得ないと思うし、あってはならないことだと思っている。

今回の一件で、信頼性を欠いたことから・・・ 情報の管理に、不信と不満が高まり、
「私はマイナンバカードなんて持たないよ。」って人が出てくるだろう。

とはいえ・・・ マイナンバーカードを持つことを拒んだとしても、
マイナンバーというキー項目は、
すでに国民一人一人に付与されていることを忘れてないだろうか?

ネットワーク化(データベースと運用システム)が、着々と進んでいることを踏まえれば、
マイナンバーカードを持つことに、反対するのは自由だと思うものの、
世の中の方向性や、時代の流れに乗り遅れないことも、肝要だと思うが、何なものだろうか?

このような、投げやりとも思える表現は、適切ではないかもしれないが、
余程のことがない限り、動き出した潮流は止められないし・・・ 止まらない。

追伸
サラリーマン時代にIT系の会社に勤めていたものだから、いささか講釈が過ぎてしまったが、
記したことは、あくまでも個人的な思いであって、
本件について議論するつもりはないので、コメントについてはご容赦願いたい。


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4 コメント

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こんにちわ (力丸ママ)
2023-05-17 18:20:59
友達は絶対ろくなことが起こらないからマイナンバーは取得しないと言っていました、。
今は少し同感してあげられます。
Unknown (多摩爺)
2023-05-17 19:42:03
力丸ママさん、こんばんは

お友達が仰ってること、よく分かりますが、
マイナンバーカードは作らなくても、マイナンバーはすでに国民一人一人に付与されています。
早い話が、これはシステムの問題ではなく、すでにマイナンバーをキーにして、情報はネットワーク化の方向で進んでいます。
要らぬお世話になりますが、お友達は時流に乗り遅れないようにされた方が宜しいかと思います。

力丸ママさんから、貴重なコメントを頂戴しましたので、
そのことについて、本文の最後に少し加筆させていただきました。
おはようございます (けんすけ)
2023-05-20 08:40:54
ポイントだけ貰ったら後は用なし・・
奥の方に仕舞ってしまいクリニックや医療センターでも普段の保険証でやってます。
これからは廃止の運動に頑張ります。
Unknown (多摩爺)
2023-05-20 09:10:37
けんすけさん、おはようございます。

ポイント以外は用なしで、現行の保険証で不自由ないという方は。私の近くにもけっこういらっしゃいます。
廃止の運動など、個人の思いを他人がどうのこうのと言うつもりは、全くもってありませんが、
世の中は着実に前に進んでいるので、老婆心ではありますが、カードだけは大事に保管されておくことをお薦めします。

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