揖保川と地場産業
【閲覧数】1,514件(2010.4.1~2019.10.28)
揖保川が育んだ地場産業
揖保川は、山女魚(やまめ)や鮎の豊富な清流として知られているが、その水と風土が生み出した地場産業といえば、「ソーメン」と「淡口醤油」と「地酒」があげられるかと思います。
ソーメン
ソーメンの歴史は深く、室町時代の古文書に記録されており、今や日本人好みの伝統の味として、日本全国で食されています。
播州ならではの自然環境や風土が絶妙に織り成してできた逸品であり、それは、揖保川流域の肥沃で温暖な平野で生まれた良質の小麦を農業用水路の水車により製粉、揖保川の鉄分の極めて少ない伏流水(軟水)と、赤穂の天然塩を加えることにより酸化されない真っ白なソーメンが作り出されたことによります。
その生産と品質の保持には、江戸時代には龍野の物産として、龍野藩は積極的な保護を加えてその発展を図った。幕藩体制が崩壊したあとも、民間では同業組合の組織をつくり、事業の取締り、職工賃金の標準化、水車粉ひき賃の協定などを定め、製品の改善につとめたという。これが今日の協同組合の基礎となった。「揖保乃糸」は夏の定番品として人気が高く、現在は宍粟市を中心に560戸の農家により、年間120万箱が生産され、全国の約33%のシェアを占めているという。

淡口醤油
次に龍野名産の淡口醤油があげられる。龍野の鉄分の少なく有機物(汚れ)の少ない軟水からつくられる淡口醤油は、食材の色や風味を生かす調味料として、汁物、煮物、つゆなどに好んで使われ、関西料理には欠かせない。醤油とともに生産されるモロミも、定評があり、遠方に居住した播磨人は、その味が忘れられない味覚です。

▲龍野の醤油倉
地酒
揖保川水系の地下水を使った酒造は、宍粟市山崎町に蔵元が2(山陽盃・老松)、姫路市網干に1(龍力)あります。いずれも江戸中・後期からの伝統の味を引き継いでいます。
◇マメ知識
宍粟は酒、龍野は(淡口)醤油なぜ?
同じ揖保川の伏流水でも場所により成分(硬度:カルシウム・マグネシウムの含有量)が違うようです。ソーメンと淡口醤油の水は軟水で鉄分が少ないものがよく、酒には(酒こうぼの発酵に)一定のカルシウムが必要です。たつので酒造がうまくいかなかったのは、地下水にカルシウム分が不足しているからという。
日本の淡口醤油のほとんどが、このたつので生産されている。その名品が出来上がった背景には、失敗の連続、試行錯誤の中で伝統の味の製法が生み出されたという先駆者の苦労の歴史がありました。
こちらの記事は何を基に書かれたものでしょうか