二ヶ月ぶりにポルトガルの我が家に戻ってきた。
夜遅くに着いて、家中の窓を開け、澱んでいた部屋の空気を入れ替え。
セントポーリアもハランの鉢植えも土がカラカラに乾いているが、なんとか元気を回復しそう。
翌朝、南側の窓を開けると、「あれっ!」と首を傾げてしまった。
窓の外には緑が広がっている。
下の水道局の周りは、生き生きと伸びた緑の草が繁っている?
遠くに見える道路下の崖も青草に覆われている…なぜ?
日本の夏だと、雑草の生い茂った土手や空地は当たり前の風景なのだが…。
ここはポルトガル!
7月、8月といえば、夏真っ盛り。
毎日40度近い高温にさらされて、雑草などはカラカラに枯れてしまい、どこを見渡しても空地は黄色い枯れ野原…のはずなのに。
それどころか青々と繁った草の中に、黄色い花を咲かせているのもある。
たしか4月ごろに見かけたのと同じ種類。
それが今でも咲き続けている!
外の空気もヒンヤリと肌寒いくらいだ。
海の方からひたひたと冷たい風が吹いてくる。
とても7月とは思えない!
ベランダにイスを出しても、身体が冷えてしまうので、慌てて窓を閉めて部屋に入った。
外に出るのに長袖の麻の上着をはおり、夜は薄い毛布を重ねてちょうど良いほど。
それでも朝方ぞくっとして、せっかく直りかけていた風邪がまたぶり返した。
こんな夏は見たことがない!
ところがギリシャやルーマニアあたりでは連日猛暑で、死者がでたり、山火事が発生しているらしい。
去年の今ごろはポルトガル全土、数箇所で山火事が同時発生して大騒ぎだった。
ポルトガルは毎年、夏の恒例行事のように山火事が起きていたのだが、今年はまだ聞かない。
山火事の原因はタバコの投げ捨てや、ピクニックでのバーベキューの火の不始末が大きな原因だろうと思っていた。
というのは、山火事はたいてい週末に発生する事が多かったから…。
でもこの夏のように、気温が涼しいと山火事が発生していないということは、
夏の高温とからからに乾燥した大気の中で、風に吹かれた山の木々が互いに擦れて自然発火…
というのも大きな要因かもしれない。
気温が涼しいのと山火事が発生していないのとは、大きな関係がありそうだ。
冷夏の影響は思わぬところに出ている。
いつもの夏なら今ごろは縞々の大きなスイカが店に山積みされているのだが、今年はすごく小さいのが店の隅っこにちょろっと置いてある。
しかたなく一個買ったけれど、甘味がほとんどなくてがっかり。
蜂蜜をたっぷりかけて、やっとの思いで食べ終えた。
早く夏の陽射しが戻ってこないと、完熟スイカやメロンが食べられない!
でもいつまでも涼しいおかげで、道路脇のジャカランダの大木にぽつんぽつんとだが、紫の花が咲き残っているのは嬉しい。
それにセレージャ(さくらんぼ)もまだ店先に並んでいて、さっそく1キロ買って今年最後のセレージャを堪能している。
MUZ
2007/07/24
©2007,Mutsuko Takemoto
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(この文は2007年8月号『ポルトガルのえんとつ』に載せた文ですが2019年3月末日で、ジオシティーズが閉鎖になり、サイト『ポルトガルのえんとつ』も見られなくなるとの事ですので、このブログに転載しました。)