「ソーラー・ポンズの事件簿」
著者:オーガスト・ダーレス
っ資料室:「シャーロック・ホームズ」
初版?は1979年。そっちの方で既読。とはいえ忘却の彼方←なので創元推理文庫恒例の復刊フェアの機会に再読。
その頃、表紙の上端にもあるように「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」と言う企画?シリーズ?で様々なミステリーが刊行されていた(…つかお前幾つだよwww)。
実によくできたパスティーシュ(模倣作品)。…いやマジでこれ正式に依頼して後継者にしても良かったんじゃ?
時代もほぼ同じ、舞台もほぼ同じ、キャストそれぞれの設定もほぼ同じ。
冒頭で登場人物に「(ロンドン)プレイド街のシャーロック・ホームズ」と紹介させる辺り、ソーラー・ポンズがどういう立ち位置で語られるのかが一発で分かる仕組み。
「消えた住人」の124ページや「一人暮らしの小説家」の154ページ、ポンズのイヤミ?で思わずニヤけてしまうし、「トットナム村の狼男」でもポンズのセリフがいちいち「それらしく」て嬉しくなる。
「半身不随の乞食」での推理は、だいたい途中で予想できるのに…きちんと示されていた伏線が片付く所が実に理論的で、かついかにも「っぽくて」素晴らしい。
…かと思うと「アルミの松葉杖」やら「ファヴァシャム教授の失踪」のように「本家」でタイトルだけ出ていて中味が不明な、いわゆる「語られざる事件」をココで紐解いてくれるのも(パスティーシュの王道とはいえ)ボーナストラックのようで楽しい。
短編集として出版されているのはこれ一冊だけなんだが、著者のダーレスはポンズものを70作も物している。
…読んでみたい…。
蛇足すぎる蛇足…
意外と知られていないが「本家」ホームズのデビューは19世紀(1887年「緋色の研究」)で、他の名探偵物に比べてぶっちぎりに古い(この時点でクリスティもカーもクイーンも生まれてすらいない。もっともポーだけは既にこの時鬼籍に入っているが)。
その分パロディやらパスティーシュやらも桁外れに多く、本著はその代表作の一つ。
「満足度:◯」
◎:オススメ
◯:まずまず
△:好きな人もいるかも
×:読まない方が…
※:絶版キボンヌ