高瀬露も被害者だが伊藤ちゑもまた

『｢羅須地人協会時代｣検証―常識でこそ見えてくる―』の表紙

　ここまでの投稿でお分かり頂けたように、高瀬露はとんでもない〈悪女〉扱いをされている。しかしそれは全くのでっち上げであり、露は理不尽にも濡れ衣を着せられているということを私は実証した。
　一方で、森荘已池は『宮澤賢治と三人の女性』（人文書房）の巻頭｢著者のことば｣の中で、

　宮沢賢治と結婚したかつた女性（投稿者註：高瀬露のこと）、宮沢賢治が結婚したかつた女性（投稿者註：伊藤ちゑのこと）

と述べているからであろうか、巷間そう思っている人も多いようだ。しかもこの対句表現によってであろう、露はなおさら非道い扱いを受けてきたと私は思っている。

　また前掲書のせいであろうか、ちゑは巷間〈聖女〉扱いされている。たしかに、ちゑは私が調べた限りでもほぼその通りで、｢『二葉保育園』でスラム街の子女のためのセツルメント活動に我が身をなげうち、あるいはまた何の繋がりもない憐れな老婆に薄給から毎月送金していたという心優しい〈聖女〉の如きちゑ｣であった。そしてまた、賢治はたしかにちゑと結婚したかったようだ。がしかし、残念ながらちゑの方はそれを拒絶していたということもほぼ限りなく事実であったということを私は受け入れざるを得ないようだ。それは、『｢羅須地人協会時代｣検証―常識でこそ見えてくる―』の〝伊藤ちゑとの見合いと拒絶〟で論じたように、以下のようなことから導かれる。











　結局は、ちゑは〈聖女〉扱いされてきたのだから、露よりは扱われ方が多少マシだとしても、賢治との結婚を拒絶していたのにちゑは無理矢理｢宮沢賢治が結婚したかつた女性｣と活字にされたのだから、露のみならずちゑも共に非道い扱いを受けてきたと言える。このことについては既に、ブログ『「猫の事務所」調査書』の管理者tsumekusa氏が〝もう一人の"被害者"〟という投稿において早い時点から、
　　　　彼女も高瀬露同様の「ひどい」扱いを受けている気がします
と指摘していることを私は知り、
　　　　高瀬露も被害者だが伊藤ちゑもまた、であった。
のだと、しきりに頷いたものだった。

　したがって、賢治との結婚を拒絶していたちゑが｢宮沢賢治が結婚したかつた女性｣と活字にされたことと、露が〈悪女〉にでっちあげられたこととはどうやら裏表の関係にありそうだ。いや、というよりは、ちゑを〈聖女〉扱いすることによって露をさらに悪者にしたかったということをもはや否定できなくなってきた。
　となればなおさらに、露は〈悪女〉でなかったことは既に検証済みなのだから、露が〈悪女〉にされているという現実は、そうされた理由が極めて理不尽で不条理なものであるということを、普通であればあり得ないような理由であるということをますます明らかにしてくれる。

　ただし、その｢理由｣そのものについては、私は何一つ明らかにできていない。さりながら、それがどの程度のものかはこれでほぼ判りかけてきた。そこで次回は、それがどの程度のものかを一つの例を挙げて示してみたい。

　なお、ちゑが当時勤めていた保育園については、〝伊藤ちゑがかつて勤めた『二葉保育園』訪問〟をご覧いただきたい。また、『二葉保育園』の歴史については、
　　　　社会福祉法人　二葉保育園　100年のあゆみ
に詳しく述べてられている。

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　私たちは下記のような『露草協会』を設立し、高瀬露の濡れ衣を晴らし、その名誉と尊厳を取り戻すための活動を展開しております。

　
【本会入会方法】
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　あるいは、下記のいずれかに電話か葉書等にてご連絡ください。　　
　　　　◇会長　高橋征穂：〒028-3623　岩手県紫波郡矢巾町煙山2-1―41　｢イーハトーブ本の森｣　電話019-698-2125　
　　　　◇事務局　鈴木守：〒025-0068　岩手県花巻市下幅21-11　電話0198-24-9813
　また、本会に対しましてご意見や感想等がございましたならば、どうぞコメント欄にてお寄せ下さい。
　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『露草協会』会長　高橋 征穂
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