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Life in Oslo.

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オーロラ in アビスコ、キルナ、ナルヴィク(画質向上版)

2013年02月26日 | 観光スポット
先日、オーロラを見にノルウェー北部とスウェーデン北部に行ってきました。目的地は「北欧屈指の晴天率」らしいスウェーデンのアビスコ。日テレ系列の「世界!弾丸トラベラー」という番組で菅野美穂さんがオーロラを見に訪れるなど、日本でも知名度が上がっているようです。アビスコは、全長70km、面積330平方kmを誇る巨大なトーネ湖畔にある国立自然公園を中心とした地域で、夏はハイキング、冬はオーロラ観測に最適な地としてヨーロッパでは人気があります。周囲をフィヨルドで囲まれた巨大なトーネ湖上空にオーロラが輝く様子は、まさに息を呑む絶景でしょう。アビスコにはオーロラ観測用の国営山小屋"オーロラスカイステーション"(菅野美穂さんがオーロラを見たのも、この山小屋)があります。公式webサイトには日本語もあり、上空の様子を5分おきに撮影する"ライブカメラ"でオーロラの映像も楽しめます。
 そのアビスコに向かう手段としては、スウェーデンの首都ストックホルムから電車で向かうか、飛行機でキルナまで行って電車に乗り換えるのが一般的なようです。しかし、ストックホルム発の電車は時間がかかり、キルナ発着の飛行機と電車の接続も悪いなど、交通の便が良いとは言えません。オーロラに出会える確率を最大限に高めるにはレンタカーによるフットワークが不可欠であることから、キルナでレンタカーを借りるのもお勧めですが、レンタカーを借りるならノルウェーのナルヴィクも穴場です。ハシュタ/ナルヴィク(Harstad/Narvik)空港(別名:エヴェネス(Evenes)空港)とオスロ空港間は、スカンジナビア航空やノルウェージャン・エアシャトル(格安航空)の便が豊富にある上に、風光明媚なフィヨルドを堪能しながらアビスコまで1時間半で行くことができます(キルナ~アビスコ間も1時間半程度)。レンタカーで国境を越えるといっても粗末な小屋を通り過ぎるだけですし、道路状況はノルウェー側の方が運転しやすいため、アビスコに向かうならノルウェールートもお勧めです。

 そんなわけで、世界一美しいとも言われるロフォーテン諸島の根本に位置し、フィヨルドの真っ直中にあるハシュタ/ナルヴィク空港に向かいます。飛行機は剣山のようなフィヨルドの合間を縫うように飛んでいきます。

ハシュタ/ナルヴィク空港には、北欧の田舎町にしては珍しく日本製のATハイブリッド車が常備してあります。物価が高く給油施設も乏しい北極圏の山奥では、燃費と車の信頼性は非常に重要です。
 ハシュタやナルヴィクでも、もちろんオーロラを見ることができます。アビスコの天気がイマイチの時もハシュタやナルヴィクは晴れていることがありますので、そういう意味でもノルウェールートがお勧めです。今回はアビスコに向かう途中の山道(ノルウェー側)で早くもオーロラに遭遇。










(PENTAX k-30 with SAMYANG 14mm F2.8: ISO500/15-20sec./F2.8)
風力発電用の巨大風車(赤く光っている建造物)と月とオーロラは、なかなか珍しい組み合わせです。

 今回の宿泊地は、スウェーデン国境を1kmほど越えたRiksgränsenという地区にあるアパートメント。ホテルというよりはスキー場の麓にある民宿といった施設で、自炊道具が揃った小綺麗な客室と日曜も開いているスーパー、アットホームな雰囲気にレストランまで併設という、予想以上に良い施設でした。そしてスーパーには何とインスタントラーメン「出前一丁・カレー味」まで置いてありました。「雪山といえばラーメンかカレー!」というウィンタースポーツの定番が、こんなところにまで浸透していました。

 このRiksgränsenはアビスコまで20km、車で15分の距離にありますが、実はアビスコに勝るとも劣らない晴天率を誇ります。実際、今回の旅行期間中はアビスコは一度も晴れず、オーロラ観測はRiksgränsenがメインでした。ホテルからアビスコ側に車で数分行くと、大きめのパーキングエリアがあります。湖に面して北側に視界が開けており、オーロラ観測には打って付けです。以下のオーロラは全てこの場所から観測したものです。その美しさは筆舌に尽くしがたく、実際に見ていただくのが一番です。

















(PENTAX k-30 with SAMYANG 14mm F2.8: ISO500-800/15-30sec./F2.8)

周囲に人工光源がなく空気が澄んでいるためか、トロムソで見たオーロラよりも発色が良く鮮やかでした。そして息を呑むほど星が綺麗で、オーロラ越しに満天の星空が透けて見えます。曇天でもキャンセルの利かないアビスコのオーロラスカイステーションに賭けるお金があれば、レンタカーを借りて臨機応変にオーロラを追った方が遙かに効率的で安上がりだと、個人的には思います。

 そして最後に、トーネ湖の南端(キルナ側)で連続撮影したオーロラを動画(YouTube)にしました。実際のオーロラは比較にならないほど滑らかでダイナミックですが、何となく雰囲気は掴んでいただけると思います。
(PENTAX k-30 with SAMYANG 14mm F2.8: ISO1000/5sec./F2.8/50-70frames with 3sec. interval)


<オーロラ観測のメモ>
ここからはオーロラ観測に役立ちそうな情報をご紹介します。今回の旅の最低気温は-28度でしたが、このような極寒環境では予想もしなかった事態が発生します。これからオーロラを見に行く方のご参考になれば幸いです。それ以外の方には面白くも何ともありませんので、ご了承下さい。

実際の服装
上半身:長袖シャツ+長袖ニット+インナー用ダウン+スキーウェア+貼るカイロ
下半身:ヒートテックももひき+綿の七分丈パンツ+スウェット+スキーウェア+貼るカイロ
頭部:総フェイクファーの耳付き帽子+フェイスマスク
→フェイクファーは凍結してカメラのファインダーに付着してしまったのでお勧めしません。また、フェイスマスクが薄手だと吐息でカメラのファインダーやモニタが結露・凍結します。
手:スマートフォン対応の薄い手袋+スキー用レザーミトン
→後述の通りスマートフォンで天気予報やオーロラ情報を確認するため、タッチパネル操作が可能な手袋をインナーとして着用。スマートフォンを使用しない場合でも、カメラや三脚を素手で触ると凍結して離せなくなる可能性があるので、指先を動かしやすいインナー手袋は必須です。
足:普通の靴下+ウールの靴下+貼るカイロ
靴:外側ラバー加工、内側総起毛のスノーブーツ
→防水加工と起毛は必須。起毛していないレザー素材等だと、足から出る水蒸気が靴内で結露し、靴内部が凍結して凍傷になります。

カメラ
カメラ本体:僕のPENTAX k-30、同行者のPENTAX k-rともに、マイナス28度でも問題なく稼働しました。ただし、-10度まで動作が保証されているk-30の方が稼働時間が長かった気がします。また室内撤収時には、シリカゲルを入れた真空機能付きジップロックに入れて密封した上で、マフラーなどにくるんで徐々に室温に馴染ませました。
稼働時間:撮影状況にもよりますが、k-30だと付属のバッテリーで稼働時間30分ほど、リチウム電池だと45分程度でした。動画用のインターバル撮影ではリチウム電池で150コマ程度でした。
レンズ:F値2.8以下、焦点距離がAPS-Cサイズで18mm以下のものがあると良いと思います。ピントは無限遠にし、実際にピントが合っているかどうかを事前に確認(ファインダーが凍結して確認できない場合があるため)して、マスキングテープ等で固定することをお勧めします。レンズによっては無限遠に設定してもピントが合っていない場合があります。実際、ピント確認せずに急遽使用した予備レンズは、無限遠でもピントが合っておらず、撮影した写真は全てピンボケでした。
三脚:しっかりしたもので、できれば自由雲台のものをお勧めします。僕は持ち運びやすい低価格の軽量三脚を持って行きましたが、低温のため金属の柔軟性が低下して脚が1本折れ、プラスチックの留め具も割れました。破損してしまっては全く意味を成しませんので、堅牢なものを強くお勧めします。また軽量の三脚は風で画像/映像がブレます。動画を見れば実際にブレているのがお分かりいただけると思います。さらに、起伏に富む雪面で撮影ポイントを変えながら撮るので、あらゆる角度の調節が簡単にできる自由雲台があると便利です。
その他:ブロアーとブラシがあると便利です。レンズに付着した雪や埃を手袋着用の手ではらったり、息で吹き飛ばそうとすると、微量の水蒸気がレンズに付着して瞬時に凍結します。一度凍結してしまうと、再び撮影可能になるまでに相当の時間がかかります。レンズに付着したゴミ等はブロアーとブラシで取ることを強くお勧めします。

その他の装備
懐中電灯:人工光源が全くないので懐中電灯は必須です。金属製の筐体を介して電気を流すタイプの懐中電灯は、低温により伝導効率が悪くなるためか、全く使い物になりませんでした。プラスチック製のものや低温環境でも使用可能なアウトドア用のものをお勧めします。
方位磁針:オーロラは北の空に出現し、次第に空一面と広がっていくことが多いです。オスロで買ったオモチャのような方位磁針("city use only"と標記された簡易方位磁針)でも凍らず機能しました。
液体類:飲み水はもちろん、コンタクト用の目薬なども凍るので注意が必要です。


情報
良く当たる各地域の時間帯別天気予報(僕は"Weather+"と"AccuWeather"を併用)、オーロラ予報(アラスカ大学版ノルウェーのテレビ局版)、オーロラ関係のTwitter情報("太陽活動速報"、""宇宙天気ニュース"、"Aurora_Alerts")、iPhone用オーロラ情報アプリ(Aurora Forecast)を使用。山岳部でも3G回線が使用でき、2Gを含めると圏外の地域はほとんどありませんでした。


(2013年5月29日:画像を圧縮jpgではなくpngで圧縮し直して画質を向上させました)

オーロラ in トロムソ

2012年10月18日 | 観光スポット
先日、ノルウェー北部にある町・トロムソに行ってきました。トロムソはオスロから飛行機で2時間弱の距離にある北極圏有数の町で、夏は白夜、冬はオーロラ観測が体験できる町として有名です。町並みはこぢんまりとしつつも北欧の港町らしいですが、ガイドブック等で言われる「北欧のパリ」は、いくら何でも言い過ぎです。




海を隔てて見えるのは、冬とオーロラをイメージしたデザインで有名な北極教会です。白いレイヤー構造は、確かにオーロラのようでもあります。



"北極圏有数の規模"と言っても、人口7万人ほどの小さな町ですが、トロムソ大学やEUのオーロラ観測所などがある学術都市でもあり、町には北欧らしいオシャレ図書館があります。


また、トロムソはトロムス島という小さな島にあるのですが、この島はトンネルや地下が異様に発達しています。市街から島の反対側にある空港までの道のりの大半は岩肌むき出しのトンネルで、トンネル内部はロータリー式交差点がいくつもあり、アリの巣のような複雑な構造をしています。また、市街には巨大な地下駐車場があり、トンネルとも直結しています。

これほど暗く岩肌むき出しの巨大な空間が町の下に張り巡らされている例は、今まで見たことがありません。一説によると、冷戦時代に旧ソ連の核攻撃に耐えうる核シェルターを兼ねて建造されたとか。駐車場内の各ブロックの仕切りに厚さ20cmほどの鋼鉄の扉が設置されていたりと、核シェルター説もあながち嘘ではないかもしれません。

さらに、トロムソには世界最北のビール醸造所があります。この醸造所で作られるマック(Mack)ビールは市内の至る所で飲めますが、やはり醸造所直営のパブがお勧めです。


ピルスナーはまろやかな酸味があり、やや個性的な味です。いくつかの定番ビールに加え、季節によって変わるビールも楽しめます。


フードメニューは少ないですが、ラムシチュー(ラムで作った肉ジャガのようなもの)とバカラオ(ノルウェー産タラのトマト煮)がお勧めです。ノルウェー名物の極薄の変なパンも付いてきます。


敷地内のショップではマックビール各種や世界最北ジョッキ(珍しい上にノルウェーにしては安い)などのお土産が買えますが、何故か全然関係ないイギリスのビールなども売っています。



 さて、そんなトロムソですが、最大の名物はやはりオーロラです。トロムソはオーロラが見られるオーロラベルト直下にあり、他のオーロラ観測地に比べて温暖で、交通の便が良いというメリットがあります。しかし、他のオーロラ観測地(特にアラスカ)に比べて天候が不安定で、市街地の灯りが近く、オーロラ観測以外のアクティビティに乏しいというデメリットもあるようです。とはいえ、オーロラが見られるかどうかは、結局は運次第としか言いようがないと思います。
 今回は週末を利用した短期旅行だったので、滞在は一夜のみ。行動範囲と時間の自由が利かないバスツアーなどは利用せず、レンタカーを借りて、天気予報(iPhoneやAndroid向けのノルウェー天気予報アプリ"yr.no"がお勧めです)オーロラ予報、周囲の雲と風の強さを常にチェックしながら、Google mapで観測に最適そうな場所を探します。この日は珍しく晴れた上に、前日に突発的な太陽風が発生し、月齢もほぼ新月という好条件が重なった日でした。オーロラが十分に強い場合はトロムソ上空にも出現しますが、弱い場合は北の空に出現する確率が高いので、なるべく北の方角の視界が開けた場所が適しています。我々が観測地としたのは、トロムソから北へ車で1時間ほどの、名も知らぬ浜辺でした(Google mapで緯度と経度"69.798997,19.545959"を入力すると位置情報が表示されます)


 夕焼けを眺めつつ、スーパーで買い込んだ食料とノンアルコールビールを片手に待つこと小一時間。上空に突如として謎の白い筋が出現しました。

(肉眼で見た色とほぼ同じ色に修正)
雲にしてはあまりに直線的で、飛行機の航跡にしてはあまりに長く太い筋が空を横切ります。同行した友人と騒いでいるうちに、その筋がにわかに広がり、白くカーテン状に拡散しました。

上空に筋が出現してからカーテン状に拡散するまで、わずか数分でした。日没直後で完全には暗くなっていないにも関わらず、白いカーテン状のものは明らかに発光しながら揺らめいています。突然の出来事に驚くやら感動するやら、年甲斐もなくぴょんぴょん跳びはねながら大はしゃぎです。夢中でシャッターを切るうちに周囲も暗くなり、いよいよオーロラが本格的に動き出します。オーロラに加えて人工衛星や流れ星も肉眼ではっきりと見え、写真にも光の軌跡として映っています。











活発なオーロラは驚くほど速く、空の端から端までを数秒で渡ることもありました。速すぎるオーロラはシャッタースピードを20秒以上にするとレイヤー構造がつぶれてしまいます。一方、遅く弱いオーロラは、ISO 1000程度でシャッタースピードを十分に遅くして撮影した方がきれいに映ります。難しいところです。



そして、オーロラ活動がいよいよ強まると、空一面が曇ったようになります。しかし、雲のような大きな塊が一瞬で出現しては消えるので、明らかに雲ではないことが分かります。

(肉眼で見た色とほぼ同じ色に修正)
空一面に分布した雲のようなオーロラの塊が一瞬のうちに集まり、凝集したオーロラが解き放たれるかのように渦を巻きながら拡散することもあります。上空で緑色がかった眩い巨大な塊が渦を巻く様子は、もはや畏怖の念すら覚えます。世界の終末や神の怒りのようなものを感じさせる不吉ささえ感じました。


 結局この日は飽きるまでオーロラが出続けていました。この日のオーロラ予報は"Active"から"High+"程度だったと思います(観測した場所は電波状態が悪く、オーロラ予報をリアルタイムで見られませんでした)。肉眼で見たオーロラは、写真に映ったほどは緑色ではありませんでしたが、それでも緑色がかっていることがはっきりと分かる白色でした。そして、写真では伝わらない、怖いほどのダイナミックな動きこそ、オーロラを生で見る醍醐味でしょう。巨大な発光体が空の端から端まで数秒で広がる様子は、一生に一度は見る価値があります。
 今回は非常に好条件が重なったので、このクラスのオーロラがトロムソで必ず見られるわけではありません。しかし、運が良ければ、もっと鮮やかなオーロラを見ることもできるはずです。そして、オーロラ観測には「徹底した防寒」「カメラの予備バッテリー」「レンタカー」「IT」が何より重要です。僕は真冬用アウター、ヒートテックももひき、ウィンドプルーフジーンズ、手袋、ネックウォーマー、耳当て付き帽子という装備でしたが、気温0度という"穏やか"な寒さにも関わらず、連続観測時間は15分が限界でした。また、寒い上に長時間露出を多用するため、カメラのバッテリーが驚異的に消耗します。僕はPENTAX K-rで150枚ほど撮影しましたが、フル充電バッテリーに加え、予備のアルカリ単三電池アダプタを3度交換しました。レンタカーも重要です。オーロラはいつ、どこに出現するか分からないので、いつでも自由に移動できることが重要です。車があれば観測の合間に暖を取ることもできますし、その気になれば仮眠もできます。スーパーに買い出しに行き、食料などを携行することもできます。そして最後にITです。天気予報やオーロラ予報など最新の情報を常にチェックし、GPSと地図で現在地と周辺地形を把握できれば、オーロラを見られる確率は格段に高まります。他の地域ではどうか分かりませんが、少なくともトロムソやアイスランドでオーロラを観測する場合には上記の4点が決定的に重要かと思います。

やっと雪景色

2012年01月10日 | 観光スポット
年が明け、ようやくオスロにも本格的に雪が積もり始めました。しかし都心部は油断すると地肌が露出しそうな程度にしか積もっておらず、記録的な暖冬であることを物語っています。現段階では僕の故郷である札幌(北緯43度)の方が雪は多いです。気温は寒い時で氷点下5度前後、温かい時だとプラスになることもあり、札幌と大差ありません。また、寒さ以上に懸念していた日照時間の短さですが、朝9時前から午後3時過ぎまでは明るいので、さほど気にはなりません。むしろ日照時間20時間の夏の方が、眠るタイミングを逸するので日常生活への影響が大きいように思います。北緯60度の未知の冬に戦々恐々としていましたが、口ほどにもなし!
 ただ、寒いことに変わりはないので、クリスマスバーゲンで真冬用装備を買い揃えました。防水性、保温性、グリップ力に優れた厳寒地仕様のブーツと、頬までカバーできる帽子は必需品です。



 さて、やっと訪れた雪景色ということで、オスロ郊外にあるソンスヴァン湖(Songsvann)に行ってみました。ソンスヴァン湖は以前の記事でも紹介しましたが、オスロ市内から地下鉄で20分ほどの距離にある湖で、3kmほどの周遊路や多くのトレッキングコースを有するオスロ市民の憩いの場です。湖や森といった自然が身近に存在するのがオスロの良いところです。




 日曜の昼前にソンスヴァン行の地下鉄(T-bane line 3)に乗ると、車内にはスキーを担いだノルウェー人が大勢おり、さながらスキー場のゴンドラのようでした。自然とスポーツを愛するノルウェー人にとって、湖でのクロスカントリースキーは冬の休日の定番なのでしょう。
 ソンスヴァン湖は人里から離れている上に標高も若干高いので、都心部よりも積雪量は多くなります。全周3kmの湖面は凍りつき、その上をキラキラと輝くパウダースノーが覆います。



北欧特有の蒼い空の下、真っ白な湖面に自分の足跡を点々と残していくのは気持ちの良いものです。




パウダースノーを軽くかき分けると、凍りついた湖面が顔を出します。力任せに踏みつけてみましたが、ビクともしませんでした。ズッポリいったら一大事ですが。(訪れた人々は何となく雰囲気で湖面に足を踏み入れているだけだと思われるので、全面が十分に凍っている保証はなさそうです)



さらに、運良く"雪面に架かる虹"も撮影できました。目をこらさないと気がつかない程度の虹でしたが、始めて見ました。


湖面では若いカップルはもちろん、子ども連れや老夫婦がスキーやソリを楽しんでいます。犬も楽しそうにはしゃいでいます。(余談ですが「走る」「ダイブする」「食べる」など、雪を目にした時の行動は犬と子どもでほとんど同じです。唯一の違いは、犬には「投げる」ことができない点です)




そして、自然を満喫した後の"シメ"は、もちろんアイスクリーム。湖畔にある唯一の売店はアイスクリームを求めるノルウェー人で大繁盛。



ノルウェー人は真冬でも平気でアイスクリームを食べます。イタリア出身の僕のスーパーバイザーは「意味が分からない」と首をかしげていましたが、雪国出身の僕には全く違和感がありません。国は違えど、北国の文化はどこか似ています。

オスロの空

2011年09月23日 | 観光スポット
オスロで最も美しいものの一つは空だと思います。目の醒めるような海よりも蒼い空、水面と山陰をアクセントとしたトワイライト、プラネタリウムのような星空、いずれも思わず立ち止まってみとれてしまうほど美しいものです。

 空の色は、太陽光のうち波長が短いもの(藍→青→緑...)が大気中で拡散するために、青っぽく見えます。緯度が高く太陽高度が低い北欧では、太陽光が大気中を移動する距離が長いため、通常よりも長波長(赤っぽい色)の光まで拡散するので、低緯度地域よりも濃い蒼に見えるそうです。また、同じく太陽高度が低いため、雲は独特のコントラストをなします。








 トワイライトも日本とは少し色が違います。太陽の軌道が緩やかで地平線に沈む角度が浅いため、太陽が見えなくなった後もしばらく美しいトワイライトが続きます。









(全てアーケシュフース城の城壁から撮影)

夕焼けからトワイライトまでの時間が長く、天気が良ければ空の色が美しく変化していくのを1時間ほど楽しめます。またオスロには、港や城壁、フィヨルドや古い建築物など、空の美しさを引き立てる脇役も揃っています。


(市庁舎前の船着き場)


(アーケシュフース城下にある、港を臨むベンチ)


(アーケシュフース城壁から見る市庁舎)


(夜景を見ながら語らう巡回の兵士達)


(木立越しの船着き場)


(我が家の近くにあるセントポール教会(Paulus kirke)の屋根)


 また、オスロは人口が少なく自然に囲まれているため、夜には満天の星空が楽しめます。昨夜は仕事が終わらず夜中2時頃に職場を出たのですが、夜空に天の川が輝いており、プラネタリウムのような美しさにしばらく呆然と立ち尽くしてしまいました。残念ながらカメラを持っていなかったので写真には収められませんでしたが、乾いた冷たい空気(昨夜は寒さで顔がひりひりするくらいの気温)と自然に囲まれた街ならではの素晴らしい星空でした。無数に輝く天の川も、注意を奪取するほど明るい流れ星(もしかすると巷を騒がせた衛星の残骸かもしれません)も、北極星の異様なまでの輝きも、日本の都市部では見ることのできないものが、通勤という日常の中で体験できてしまいます。

 ちなみに、星空ほどではありませんが、夜のオペラハウスもなかなか美しいものです。

ただ、オペラハウスを撮影するために対岸のベンチに行ったのですが、明らかに顔色の悪い若者がピクリともせずうずくまっていました。そして、おもむろにムクッと起き上がり、何やら注射していました。重度の糖尿病患者というわけでもないようです。オスロ駅周辺は麻薬常習者が多く、特に夜は用がない限りはウロウロしない方が賢明ですね。


 来週から2週間ほどノルウェーを離れます。国際線フライト8回、長距離電車2回という強行スケジュールの出張です。エコノミー症候群よりもロストバゲージが怖い。。。

ベルゲンのレストラン

2011年09月17日 | 観光スポット
食べ物シリーズも、ひとまず今回で最終回です。最終回はベルゲンのレストランを2件ほどご紹介します。

 1件目はノルウェー産の食材を使った創作料理レストランHanne på Høyden。Hanne på Høydenは口コミサイトでベルゲン第1位を獲得しており、ネット上で予約もできます(しかも英語でOK!)。余談ですが、ノルウェーで評価の高いレストランの多くは、ノルウェー産の新鮮な食材をフレンチやイタリアンの技法を応用しつつも、それぞれのテリトリーに固執せず柔軟にアレンジした料理を出す店です。古典的なノルウェー料理(サワークリームシナモン粥など)とはちょっと違いますが、僕はノルウェー文化研究家ではないので、ノルウェーの食材を美味しく味わうことができれば全く問題ありません(ちなみに、ノルウェー人の友人に「伝統的なノルウェー料理の店知ってる?」と聞いたところ「そんなもん食べない方がいいよ!」と言われました。確かにサワークリームシナモン粥はショッキングな味わいだった。。。)
 レストランはベルゲン大学の裏にあり、店内は非常にカジュアルな雰囲気です。テーブルの横にはインテリアと暇潰しを兼ねて本が置いてあります。ただ雑然と本が置いてあるだけなのに、なぜか僕のオフィスとは似ても似つかぬ有様です。まぁ単に気の持ちようだと思いますが。




まずは前菜としてトマトの冷製スープ。トマトのまろやかさと酸味を活かした冷たいスープが食欲をかき立て、メインへの期待が高まります。


そしてメイン。僕は、「ノルウェーの海岸沿いで、特別な飼育法で育てられた」らしいビーフを注文。肉質は柔らかく、脂身も少ないのでサラッとした味わいです。そしてソースがやっぱり美味しい。ただ、美味しかったですが、日本にはすでに素晴らしい牛肉がたくさんあるため、「こんなに美味しい肉は日本では味わえない!」というほどではありません(このレストランのレベルが低いのではなく、日本の和牛のレベルが高いという意味です)


妻はノルウェー西海岸産のラムを注文。このラムこそが、最近のblogで何度か登場した絶品ラムです。ミディアムレアに焼かれた全く臭みのない新鮮なラムに、何かは分からないけれどやたらと美味しいソースがかかっています。僕はこんなに美味しいラム料理を食べたことがありません。半年間のノルウェー生活で最も美味しい料理でした。ノルウェー食べ物ランキング、堂々の第1位。


そしてデザート。このレストランはデザートもハイクオリティです。マスカルポーネか何かのクリームに季節のベリーが鏤められています。これも非常に美味しい。


このレストランはかなり当たりでした。特にあのラムはノルウェーにいる間にもう一度食べに行かなければなりません。



 続いて2件目はEnhjørningenというレストラン。このレストランは世界遺産ブリッゲン(過去blogを参照)の中にあり、世界遺産建築の中で食事ができます。



写真左奥にある、壁から茶色の馬(ユニコーン)が飛び出ている建物がレストランです。いかんせん世界遺産に指定されている建築物なので、古いです。そして、建物全体がビックリハウス並に傾いています。まさにそれが趣深いのですが。


レストラン内は緑と赤を基調とした落ち着いた雰囲気にまとめられており、窓際のテーブルからはベルゲン港に停泊する帆船やフェリーを眺めることもできます。




 料理のクオリティも高く、口コミサイトで上位をキープしています。
まずは前菜のクジラの燻製と、ホタテのソテー。観光名所であるフィッシュマーケットでは、エビやタラの串焼が売られていますが、なぜかホタテだけはありません。また,フィッシュマーケットのクジラ肉は生臭く美味しくありません。というわけで、ホタテやクジラはレストランで食べることをお勧めします。




そしてメイン。僕はアンコウの香草焼きを注文しました。アンコウのあっさりした味わいに香草とキノコのソースがマッチしています。


妻はベルゲン名物バカラオを注文。バカラオとは干ダラのトマト煮込みで、ベルゲンは中世ハンザ同盟時代に干ダラ輸出で繁栄した経緯があります。スーパーで売られているバカラオは辛いものも多いのですが、ここのバカラオは辛くなく、体に優しい味わいです。


そしてデザート。僕はチョコレートケーキ、妻はキャラメルプリンを注文。驚くほど濃厚なチョコレートケーキに、さっぱりとしたソルベがゴルフボールのように乗っかっています。キャラメルプリンはいかにもホームメイドな素朴で懐かしい味わいでした。





 ところで、僕のblogでは各レストランの価格は掲載していません。メニューは月替わりの店が多いこともあり、正確な情報をご希望の方は記事内のリンクからwebページにアクセスし、各自メニュー(MENY)をご参照ください。これまでご紹介したレストランだと、グラスワイン1杯込みでだいたい一人400NOKから700NOK程度(1NOK=14JPYで6000円から10000円程度)でしょうか。前回ご説明した通り決して安くはありませんが、料理の質を考えれば日本と大差ないと思います。


 また、料理とはあまり関係ないですが、ベルゲンはオスロに比べて男性が好きそうな鮮やかな青や赤の電飾が多い気がします。どういうものかを文章で説明するのは難しいのですが、写真を見れば「ああ、こういう感じね」とすぐに分かります。

(ちなみにこのトイレはオスロ近郊)

バーやレストランはもちろん、僕らが泊まったホテルもロビーがオーロラ風に光っていました。


僕はこのテの電飾は嫌いじゃない方ですが、上のトイレはさすがにやり過ぎですね。

オスロのレストラン

2011年09月11日 | 観光スポット
ここのところオスロは最低気温が10度を下回ることも多く、日照時間も1日10分ずつという不安なほど早いペースで短くなっています。また、雨も多く、僕のアパートの前を流れるオスロ唯一の川は激しく増水し、中州や岸の樹木は軒並み水没しています。僕のアパートのすぐ近くには滝があるのですが、普段は聞こえない滝の音が、窓を完全に閉めてもハッキリと聞こえるほど轟音をたてて流れています。






 さて、前回記事でも書いた通り妻が来ていたので、ここぞとばかりにオスロの人気レストランを巡ってきました。ご存知の通り世界有数の物価高で知られるオスロでは、外食はことさら高くつきます。マクドナルドのようなファストフードでさえ、100NOK(約1500円)前後します。しかし、僕個人の感想としては、ノルウェーと日本の外食文化における最大の違いは「価格の範囲」だと思います。
 日本では100円マックや250円牛丼など、その気になれば数百円でお腹一杯になります(ノルウェーでは250円=18NOKでは500MLコーラも買えません)。一方で、都心の有名レストラン等に行けば1人数万円ということも珍しくありません。しかし、ノルウェーでは、1000円以下で収まる店が皆無であると同時に、1人数万円かかる店もほとんどありません。僕が知らないだけかもしれませんが、僕の周りの比較的裕福な人たちが口を揃えて「あそこは高い」と言うオスロの超有名高級スシ店"ALEX SUSHI"でさえ、1人1万円強です。つまり、ノルウェーでは外食費用の平均(少なくとも最頻値)は日本より遙かに高いものの、価格帯(レインジ)は小さく、美味しいものとそうでないものの差は日本より小さいという特徴があります。実際、ファストフードで体に悪そうなセットを食べても、カフェで新鮮なスモークサーモンやエビの豪華なサンドイッチをナイフとフォークで食べても、そこまで値段は変わりません。つまり、良い店さえ探せば、北欧特有の割高感はかなり軽減されます。決して「安い」わけではありませんが「リーズナブル」と言える店は多いと思います。
 
 というわけで、ネットやノルウェー人の友人達からの情報を頼りに発見したレストランを4店ほどご紹介します。ベルゲンでも数店行きましたが、それはまた後日改めて。


<Lofoten Fiskerestaurant:シーフードレストラン>
 まず1店目は、先日オスロを訪れた妹夫妻とも行った、ロフォーテンLofoten Fiskerestaurant過去のブログ記事でも紹介したとおり、「オスロのお台場」アーケブリッゲ地区にあります。アーケブリッゲはオスロでも屈指の物価高を誇る地区ですのでディナーはかなり高いと思いますが、ランチは比較的リーズナブルです。ヨットハーバーに隣接したテラスは雰囲気も良く、オスロフィヨルドを行き来する大型客船などを眺めながら食事することができます。
 まずパンが出てきます。パンにつける用に、新鮮で濃厚なオリーブオイル、オリーブオイルとバルサミコ、薄く削った岩塩も出してくれます(余談ですが、ノルウェーのレストランで出されるパンも美味しいことが多いです)


食事はスープから始まります。驚異的に新鮮なエビとホタテなどのシーフードを、バジルで整えたスープは食べる価値があります。


続いて、ムール貝の蒸し焼き。世界各地で出される料理ですが、他の国で食べたものよりもレアっぽい仕上がりで、生臭さもありませんでした。


そしてメイン。僕は活ロブスターのグリルを注文しました。ソースはアイオリ(ガーリックマヨネーズの類)など3種類。このロブスターは、この半年間でノルウェーで食べた料理の中でベスト5に入る逸品でした。量、素材、焼き方、ソース、盛り付け、全て申し分なく、完成度の高い一皿です。


妻はメインにスズキのグリルを注文しました。こちらもハイクオリティです。ちなみにノルウェーでは付け合わせにジャガイモが出てきますが、ノルウェーの小さいジャガイモは味が濃厚で、主役にもなり得る実力を秘めています。


そしてデザートはティラミスとソルベ。もちろん美味しかったです。




<Smia Galleri:ノルウェー料理>
 2店目は、王宮付近やアーケブリッゲよりも物価が安いオスロ東側地区にあるスミア ギャラリーというレストランです。元は鍛冶屋の工房だったらしく、煉瓦造りの雰囲気の良い店内はギャラリーにもなっています。店内が薄暗くて写真が綺麗に撮れませんでしたが、こちらも雰囲気、料理ともに素晴らしいレストランでした。メニューは月替わりらしく、3品のコースもあります。ノルウェー人の友人と一緒に行ったので、料理の解説も聞くことができました。

前菜。ポークのゼラチン質にハーブなどを混ぜて固めたもの。煮こごりのような感じで、日本人でも食べやすい味でした。


メインのシカ肉。珍しく付け合わせはサツマイモでした。シカ肉はソースが決め手ですね。


妻が注文したサーモン。ただのサーモンではなくノルウェー伝統の製法によるものらしいですが、英語で説明するのが難しいとのことで、詳細は分かりませんでした。察するにサケを土の中などで熟成させたもののようです。見た目は何の変哲もないサーモンのグリルですが、一口食べると全く別物で、サケの旨味だけがぎっしりと凝縮された驚くべき料理でした。これもベスト5入り。




<Ruffino:イタリアン>
 3店目は、王宮の横にあるルフィーノというイタリアン。口コミサイトでオスロにある全ジャンル全レストランの中で1位に輝くほどの人気店です。ノルウェーにまで来てイタリアンかよ!と思うかもしれませんが、新鮮なシーフードやラムなどノルウェーの素材を使ったイタリアンです。さすが口コミ1位だけあって、クオリティも申し分ありません。
 窓が多い店内は明るく、王宮内の緑地を眺めながら食事ができます。イタリアンだけあってワインやオリーブオイルにもこだわっているようです。


この店は、頼めば1つの料理を2人でシェアできます。以下の写真は1人前を2人でシェアしたものですので、ちょっと少なめに見えます。

前菜:アスパラガスのベーコン巻き、チーズソースがけ。美味しい。


プリモ:魚介のスパゲッティ。美味しい。


妻のプリモ:魚介のリゾット。素材の味が活かされ、あっさりとした深い味わいが素晴らしかった。ベスト5入り。


メインのラム。ローズマリーソースが特徴的で美味しかったものの、ベルゲンで食べたラム(近日公開)が信じられないくらい美味しかったので、残念ながらベスト5入りならず。


デザートのティラミスとフォンダンショコラ。さすがにフォンダンショコラを2等分するわけにはいかなかったらしく、切り分けたティラミスと共におしゃれに盛り付けてくれました。これも、もちろん美味しい。ちなみに右側のオレンジ色のものは鬼灯(ホオヅキ)ですね。ノルウェーでは果物としてホオヅキの実が売られています。味は微妙です。




<Arakataka:ノルウェー料理>
 最後はオスロ駅から徒歩5分ほどのところにある、Arakataka。王宮付近やアーケブリッゲに比べると場所はお洒落ではありませんが、その分リーズナブルです。この店は3品のコース1種類しかありません(4品コースは、3品コース+チーズです)。メニューが固定されている分もリーズナブルで、カジュアルな雰囲気と素晴らしいクオリティの店です。


食事の前にパンが出てきます。2種類のパンにアイオリとオリーブがついてきます。


前菜の、サーモンのタルタル。一見サーモンの切り身ですが、新鮮な生サーモンをタルタルにして、切り身の形に盛り付けています。


続いてメインのラム。このラムも素晴らしかったのですが、如何せんベルゲンで食べたラムがアホみたいに美味しかったので、惜しくもベスト5入りせず。ベルゲンのラムがなければベスト5入り間違いなしですし、オスロで食べたラムでは一番美味しかったです。


最後にクリームチーズのアイス。濃厚でクセのない味は日本人でも食べやすく、食事の締めとして最適です。ただ、どういうわけか、僕のデザートにだけ、まさかの「わたパチ」が入っていました。口に入れたらパチパチと音をたててはじけるやつです。同じコースを頼んだ妻のデザートには入っていませんでした。嫌いじゃないから別にいいけど、ノルウェーでわたパチ食わされるとは思いませんでした。




 以上4店をご紹介しましたが、いずれのレストランも自信を持ってお勧めできる名店です。ロフォーテンはディナーで行ったことがないので分かりませんが、少なくとも他の3店に関しては、物価が高いノルウェーにおいては、料理やサービスに対する対価として価格がリーズナブルだと思います。



 さて、最後に料理とは全く関係ありませんが、オスロの国立劇場に貼ってあったポスターです。

ノルウェーでタモさんにお目にかかるとは思いませんでした。

ベルゲン

2011年09月06日 | 観光スポット
ベルゲンはノルウェーの南西の沿岸部に位置するノルウェー第二の都市です。中世ヨーロッパの商人連合であるハンザ同盟の拠点として、ノルウェー名物の干しダラ貿易で一山当てて繁栄した港湾都市は、美しい町並みと多くの文化施設を有するノルウェーの古都です。街の美しさに加え、フィヨルド観光の拠点でもあることから、観光地としても大変人気があります。ノルウェーで唯一、夏季限定ながら日本からの直行便が運行されています(首都であるオスロへは季節を問わず直行便はありません)。ベルゲン市民は歴史ある美しい街を誇りとし、自己紹介の際には「ノルウェーから来ました」とは言わず「ベルゲンから来ました」と言う、という有名な話があります。


 港町であるベルゲンには魚市場があり、朝から夜まで観光客で賑わいます(札幌でいうと二条市場のような感じですかね)。露店では獲れたてのエビやサケ、タラなどの串焼きや、名物であるフィッシュスープが売られています。



刺身クオリティのサケやタラの串焼きは、レアで提供されます。どれも美味しいですが、特にエビは怖いほどぷりっぷりで歯応えがあり、味も最高でお勧めです。

 ノルウェーの魚文化には日本と似ている点が数多くあります。サケやマス、タラはもちろんですが、その他にも日本人には馴染みの深い食材を目にすることができます。

サケの切り身に混じって、アンコウが一匹まるまる置いてあります。後日改めてご紹介しますが、アンコウ料理はベルゲン名物の1つです。


左側はサバの開きです。日本の開きよりも燻製香が強く、「開き」というよりは「燻製」です。また、右側はニシンの燻製です。


そして、欧米では極めて珍しいクジラ肉(中央)です。「これ何?」と尋ねたドイツ人が、正体を知って「うぇ、マジかよ。。。」と顔をしかめていました。ノルウェーでは日本と同じ程度にクジラ肉が売られており、ベルゲンの魚市場ではクジラステーキやクジラバーガーなどが売られています。クジラ料理もベルゲン名物ですが、魚市場のクジラ肉はイマイチなので、食べるならレストランで食べることをお勧めします。


 さて、魚市場のすぐ近くには、ブリッゲン(Bryggen)と呼ばれる木造建築群があります。ブリッゲンはハンザ同盟時代の木造倉庫群で、世界遺産にも指定されています。

左側の小さな三角屋根のカラフルな木造建築がブリッゲンです。ブリッゲンは同じような形状の木造建築が文字通り密着、まさにゼロ距離で並んでいます。ゼロ距離の木造建築群なんていかにも火事に弱そうですが、実際に何度も火災に見舞われ、その度に同じものを再築したそうです。とんだ意地っ張りですね。ブリッゲンは現在もレストランや博物館などとして利用されていますが、いかんせん古いので、適宜修繕しながら利用しているようです。裏側や内部も見ることができますが、あちこち補強してあるのが分かります。

上の写真でも金属製の補強の柱が確認できますが、この補強がなければもはや建築物として成立しません。「崩壊の危機」と「その場しのぎの修復」を繰り返す、ちびっ子の秘密基地のようなドキドキする構造に仕上がっています。


 ブリッゲンに限らず、ベルゲンの建物の多くはすこぶる密着しています。また、町全域に坂が多いことも特徴です。似たような形状の建物が坂道に林立する様子は、見る分には美しいですが、実際に住むとなると困難も多そうです。特に雪が積もると、街中が滑り台になりそうです。楽しそうではありますが、毎日だと飽きますね。以下の写真は、ベルゲン出身のノルウェー人に教えてもらった、観光客は通常足を踏み入れない散策スポットから撮影したものです。特にHaugeveienとØvre Blekeveienという通り付近からは、かわいい町並みと素晴らしい眺めが楽しめます。










「駐車禁止」と書かれていますが、車が進入する余地はありません。


 市街地のある中心部は平地で、美しい町並みの中に多くの美術館や博物館、湖や広場、ノルウェーに4つ(!)しかない大学の1つであるベルゲン大学(大脳半球機能差研究で著名なKenneth Hugdahl教授がいらっしゃいます)などの文化施設が多数有ります。


美術館前の広場からの町並み


美術館前の広場にある、集中放水を浴びる子ども像


ベルゲン大学


魚市場前の通りに座り込む、うらぶれた男性像


美しい煉瓦造りの聖ヨハネ教会

美しい町並みと充実した文化施設は、さすが古都です。町並みの美しさはオスロより上だと思います。


 ベルゲンは港町であると同時に、周囲を7つの山に囲まれています。そのうちの2つであるフロイエン山(Fløyen)とウルリケン山(Ulriken)には、交通機関を利用して頂上の展望施設に行くことができます。
 フロイエン山へは魚市場の近くからケーブルカーが出ています。山の高さはそれほどでもありませんが、ガラスの柵で囲まれた展望台からの眺めは、ベルゲンの町並みを適度な距離感で一眸できます。ベルゲンの雲は高度が低いため、雲下に広がる町並みも美しく、晴れの日はもちろん多少天気が悪い場合も十分に楽しめます。雨上がりには、銀色の雲の合間から古都に光が射し込む幻想的な光景を見ることができます。

撮影:妻

 一方、ウルリケン山の展望台へは、ロープウェイで行くことができます。ウルリケン山は高さが643mあり、展望台正面にはベルゲンの町並みやフィヨルド、背後には大自然が無限に広がっており、まさに360度の大パノラマです。



フィヨルドと同様に、非日常的な色彩コントラストで遠近感がうまく伝わりませんが、切り立った斜面の遙か下に町並みが見え、その更に向こうにフィヨルドや他の山々が見えます。美しい町並み、フィヨルド、雄大な山々を一度に見ることができる展望台というのは、世界にもそうないと思います。ウルリケン山ツアーバスに"You haven't seen Bergen until you've been up Mount Ulriken"(ウルリケン山に登るまではベルゲンを見たとは言えない)と書かれていますが、大口を叩くだけのことはありますので、こちらもお勧めです。

フィヨルドの旅

2011年09月03日 | 観光スポット
急激に秋になりつつある中、10日間という(ノルウェーではかなり短めの)夏休みを取り、同じく10日間という(日本ではやや長めの)夏休みを取った妻とベルゲンやフィヨルドを観光してきました。オスロやベルゲンの観光スポットやレストランについても近いうちに書きますが、今回はまずフィヨルドをご紹介します。

 フィヨルドとは氷河に削られてできた峡谷が水に浸かったもので、標高、水深ともに1000m超という桁違いの雄大さを誇ります。地図でノルウェーを見ると、海岸線が複雑に入り組んでいる様子が分かります(オスロもオスロフィヨルドと呼ばれるフィヨルドの最深部に位置します)。数あるフィヨルドの中でも、4大フィヨルドと呼ばれるガイランゲルフィヨルド、ソグネフィヨルド、ハダンゲルフィヨルド、リーセフィヨルドはダイナミックな絶景で有名です。またガイランゲルフィヨルドとソグネフィヨルド(の支流のネーロイフィヨルド)は世界遺産にも登録されています。

 今回旅したのは4大フィヨルドの1つ、ソグネフィヨルドです。ソグネフィヨルドはノルウェー第二の規模を誇る風光明媚な都市ベルゲンから日帰りで観光できることもあり、4大フィヨルドの中で最もメジャーなフィヨルドです。電車、登山電車、フェリー、バスなど複数の乗り物の周遊チケット(ノルウェーナットシェル)などが個人で簡単に手配できます。
 あまりに規模が大きいフィヨルドは、観光=移動です。フィヨルドを観光するということは、様々な乗り物の中からフィヨルドを眺めることを意味します。そのため、乗り物酔い対策、防寒、カメラのレンズフィルタが重要なポイントです。まず防寒ですが、唯一窓越しではなく直接景色が見られるフェリーのデッキは、8月でさえ長袖+ウィンドブレーカーだけでは不十分でした。また、窓越しに景色を撮影する機会が多く、水面反射も強いため、一眼レフできれいな写真を撮りたい方は偏光フィルタの使用を強くお勧めします。

 さて、いよいよ旅に出るわけですが、まずは朝8:50発のベルゲン(Bergen)発ミュルダール(Myrdal)行きの電車に乗ります。

観光シーズンは混んでおり、途中のヴォス(Voss:ソグネフィヨルド観光はVoss周りとMyrdal周りがあるため、半数はVossで電車を降りるまで立ち乗りの人もいました。電車の速度が速くトンネルも多いものの、車窓からは早くもフィヨルドの絶景が楽しめます(主に進行方向左側)。景色を見るにせよ、鋭気を養うために寝るにせよ、早めにベルゲン駅に行って席を確保した方が良さそうです。

 電車は2時間ほどで標高865mにあるミュルダール駅に到着します。ここで「ノルウェー国鉄の最高傑作」と呼ばれるフロム鉄道に乗り換えます。フロム鉄道はミュルダールからフィヨルド沿岸の町フロム(Flåm)を結ぶ山岳鉄道で、鉄道としては世界一の急勾配を誇る路線です。


 フロム鉄道からフィヨルド観光が本格的にスタートします。フロム鉄道は絶景ポイントで徐行してくれる上に、日本語の案内放送も流れます。車窓からは目を見張る絶景が広がります。スケールが大きすぎて遠近感が狂い、ミニチュアのように見えてしまいますが、700m-800m級の渓谷と無数の滝が連なっています。


 フロム鉄道のクライマックスは落差93mのショス滝(Kjosfossen)です。電車は5分ほど停車してくれるので、降りて写真を撮ることができます。氷河に削られた険しい峡谷を、清流が勢い良く流れ落ちる様は、まさに圧巻です。


水がきれいなため、流れ落ちた水は淡く碧色に輝きます。


また、妖精に扮したアルバイトが滝の手前で踊り出す謎のサービスもあります。2人のアルバイトが入れ替わり立ち替わり1人の妖精があちこちに出現しては消えますが、妖精に気を取られていると、肝心の滝を写真に収める時間がなくなっていまい、興ざめです。


 ショス滝で妖精の舞に多少の疑念を抱きつつ、1時間ほど絶景を進んでいくと、フロムの町に到着します。フロムはフロム鉄道の終着であると共に、フィヨルド内の湾に面する港町でもあり、ここからフィヨルド観光のクライマックスであるフィヨルドクルーズ船が出港します。町にはレストランに加えてスーパーもあるので、軽食や水などを入手できます。町の規模は小さいですが、雲を突き抜けるフィヨルドを背景に鉄道の駅とフェリー乗り場が隣接する光景はミニチュアのようです。






 フィヨルドクルーズには中型フェリーが用いられます。船内にはカフェも整備され、窓もついているので外の景色を見ることはできますが、壮大なフィヨルドを存分に体感するには屋上デッキがお勧めです(屋上デッキは人気なので、観光シーズンには早めに並ぶことをお勧めします)。途中停泊港や名所では日本語の案内放送も流れます。

 フィヨルドクルーズでは2時間たっぷりと絶景を堪能することができます。あまり大自然に興味がない日本人おばさま達は「まだ着かないのかしら。。。」と暇そうにぼやいていましたが、1000m級の断崖絶壁が切れ間なく重なる様子や、遙か頂上から流れ落ちる滝、巨大な岩山の合間に小さく根付くおもちゃのような町並みなど、飽きない光景が2時間続きます。







湾内では同じようなクルーズ船とすれ違いますが、決して小さくはないクルーズ船がフィヨルドの岩山を背景にするとおもちゃのようにみえてしまいます。




人間は岩山のわずかな合間や海岸付近で生活を営み、ノルウェー名物であるウールのセーターやラム肉となる羊を飼育しています。











ベルゲンやソグネフィヨルドは雨が多いことで有名ですが、天気が回復すると峡谷に美しい光のカーテンができます。





 2時間のクルーズの末、フェリーは世界遺産ネーロイフィヨルドの最深部の町、グドヴァンゲン(Gudvangen)に到着します。グドヴァンゲンからはバスに乗り換え、ベルゲンへ向かうため鉄道駅があるヴォス(Voss)へ向かいます。このバスからの眺めも例に漏れず絶景です。



 1時間少々でバスはヴォスに着き、電車に乗り換えてベルゲンへと戻り、フィヨルド観光は幕を閉じます。ベルゲン発着で10時間ほどの旅でしたが、スケールの異様さと独特の色彩コントラストが遠近感を狂わせ、模型の中に入り込んでしまったような非現実感を味わう不思議な旅でした。圧巻であると同時に、大きすぎて実感が湧かないという、何とも矛盾した体験でした。さすがは世界遺産といったところでしょうか。ノルウェーのフィヨルドは是非ともお勧めです。

オスロ市庁舎とアーケシュフース城見学

2011年08月14日 | 観光スポット
オスロ市中心の国会議事堂と王宮を結ぶラインは広場となっており、その広場に沿ってデパートやホテル、劇場やレストランなどが並んでいます。広場には噴水やベンチが整備されており、多くの家族連れや観光客で賑わう様子は、札幌の大通り公園にも似ています。


ノルウェー国会議事堂(Stortinget)


国立劇場駅(Nationaltheatret)前の噴水


広場の噴水と子ども達の像


王宮の日没


王宮広場周辺は、広場自体や王宮、国会議事堂はもちろん、オスロ大学法学部講堂(かつてのノーベル平和賞授賞式会場)や国立美術館などが隣接しているほか、オスロ市庁舎(現在のノーベル平和賞授賞式会場)、アーケブリッケ地区、アーケシュフース城やカールヨハン通りなどの主要観光スポットへも徒歩数分の距離にあります。また、市内の地下鉄、バス、トラムに加え、空港行きの特急など多くの交通機関へのアクセスも抜群ですので、オスロ観光の際はこの地区のホテルを拠点にすると便利です。


オスロ市庁舎は王宮広場から徒歩2分ほどで、その姿は広場からも見ることができます。過去のblogでは海側から見た市庁舎の姿をお見せしましたが、今回は反対側(王宮広場側)からです。市庁舎前の建物は、魚眼レンズで撮影したものではなく、本当に湾曲しています。

こちらが正面ですので、市庁舎前にはコンビニやレストラン、土産物屋などが並んでいます。平日、週末を問わず無料で一般公開されていますので、市庁舎前は観光バスで賑わいます。


スロープを登ると正面玄関です。

市庁舎には各国からのオスロ市への贈り物(日本からは久月の日本人形)が展示されているほか、ムンクの「人生」という絵画が飾られた「ムンクの間」と呼ばれる部屋があります。


海を臨む広間にはゾンビみたいな絵も飾ってあります。

たぶん現ノルウェー国王ハーラル5世の肖像画と思われますが、僕だったらこんな具合悪そうな肖像画を描かれたら怒ります。足消えかかってるし。

また、オスロ市庁舎は、当然ですがオスロ市の行政と政治の中枢ですので、オスロ市議会議事堂があります。議事堂も議会閉会時には自由に見学できます。

予備校の自習机みたいですが、市議会議員の席です。机の左側の黒い箱は投票システムでしょう。


ゾンビ絵画や自習机はさておき、市庁舎のメインは何と言ってもエントランスホールです。ヨーロッパ最大の巨大な壁画が描かれているエントランスホールが、ノーベル平和賞受賞式典の会場です。

もちろんエントランスホールも自由自在に歩き回ることができます。オバマ大統領が受賞式典でスピーチした時の写真なども飾られています。

オバマ大統領の立ち位置を割り出し、彼の目線にカメラを据えてみました。

オーディエンスはともかく、オバマ大統領の目にもこの光景が映っていたはずです。

オスロ市庁舎は見学自由ですが、有料でガイドツアーも開催しています。庁舎内にはいろいろな物が飾られていますので、ツアーに参加して由来を聞くのも楽しいと思います。



さて、市庁舎の裏口(海側)から外に出ると、すぐ左手にアーケシュフース城があります。以前のblogでもご紹介した通り、緑地化された城壁や敷地内は自由に散策することができます。敷地内にはアーケシュフース城をはじめ、(対ドイツ)レジスタンス博物館や軍事博物館など、いくつか有料の見学スポットもあります。レジスタンス博物館などはともかく、アーケシュフース城内は現代とは違った様式の北欧インテリアや建築を見学することができます。また、さすが北欧の城だけあって、何となくLEGOブロック(隣国デンマーク発祥)のお城シリーズのようです。(正確には「お城シリーズがアーケシュフース城に似ている」と言うべきですが)

城内見学はダンジョン(地下)から始まります。煉瓦造りの地下通路を抜けると、地下牢や王の墓などがあります。




ダンジョンを抜けると、城内チャペルや会食を行うダイニング、各広間に続きます。

ダイニング


最上階の広間





石造りの壁、紋章の旗、宝箱風の木箱や豪華な鍔飾りのついた剣などが、西洋の城らしい雰囲気を醸し出します。


城内の壁には、剣や旗のほか、肖像画もいくつか飾られています。ただ、残念ながらノルウェーの肖像画はイマイチな作品が目立ちます。市庁舎にあった国王のゾンビ画は、気持ちが悪いだけで美術的価値は高いように見えます。しかし、ノルウェー民族博物館に関する記事でご紹介した小学生の絵日記のようなタペストリーのように、中世以前のノルウェーの美術や工芸品装飾は、お世辞にもハイレベルとは言えません。



表情のせいか、それとも顔のパーツの縮尺と配置のせいか、ともかく何となくfunnyで間の抜けた絵です。歴史ある古城も、この絵があるとディズニーランドのアトラクションに見えてしまいます。

ローカルスポット

2011年07月03日 | 観光スポット
天気の良い週末には、暇潰しと運動とオスロ案内の下調べを兼ねて、ガイドブックにはあまり取り上げられないローカルスポット巡りに挑戦しています。


まず最初は、一応ガイドブックにも載っているノルウェー民族博物館。ノルウェーの古い建築物を中心に、工芸品や衣服などが展示されています。「北海道開拓の村」や「江戸東京建物園」みたいなもので、入館料は大人100nok = 1500円。

広い敷地は、「割と最近ゾーン」と「だいぶ昔ゾーン」に分かれています。 「割と最近ゾーン」は、よくあるヨーロッパの古い町並みが再現されているので、さほど面白くはありません。(かと言って、「だいぶ昔ゾーン」がめちゃくちゃ面白い、というわけでもありません)「だいぶ昔ゾーン」は、雪深いノルウェー独特の古代建築が実際に建てられており、こちらは一応「ふ~ん」くらいには興味がわきます。ノルウェーの伝統的な古い建築は、積雪に対応するために床が高くなっています。また、保温のため、屋根にびっしりと草を植えています。

簡単に言うと、洋風の鬼太郎ハウスですね。

ちなみに、中を見学できる建物もありますが、壁や床は隙間だらけで、とても温かそうには見えませんでした。屋根に草を植えるくらいなら、壁を厚くすれば良かったのに。。。

また、敷地内には古い木造のチャペルがあります。このチャペルは割と有名で、絵はがきにもなっています。偶然にも結婚式が行われており、新郎新婦が馬車に乗るところでした。ラッキー。

写真には、タキシードやドレスに加え、伝統衣装であるブーナッド姿の女性も写っています。ちなみに、中央右のただのジーンズとシャツのおっさんも、観光客ではなく参列者です。

敷地内には昔の織物や工芸品の展示もあります。ノルウェーをはじめとする北欧はスタイリッシュなデザインでお馴染みですが、昔の工芸品を見ると、現在の洗練されたデザインに至るまでに涙ぐましい歴史があったことが分かります。
(僕が工芸品から想像した歴史ですので、誤りかもしれません)
シンプルで、かつ、絶妙なバランスの形と色が特徴の北欧デザインですが、昔はフランスやイタリア文化の影響を色濃く受けた物を作っていました。ところが、これらは「真似」とすら言えない残念な代物に仕上がってしまいます。ちょっと前に話題になった、中国の偽ディズニーランドみたいなクオリティです。というのも、北欧人は大雑把なのか、繊細な細工やタッチが全く再現できていません。下の織物の図柄を見て頂ければ、何となく雰囲気は伝わると思います。





小学生の絵日記みたいです。それも、低学年の。食器や家具の細工、絵画のタッチも全てこんな感じで、思わず失笑してしまいます。北欧人も、作りながら「あれ。。。おかしいなぁ」と思っていたはずです。で、いくら頑張ってもうまくできないので、諦めて繊細な細工を必要としないシンプルで機能的なデザインに至った、というのが僕の仮説です。(別施設のノルウェー工芸美術館では、その変遷の過程が面白いほど分かりますが、撮影不可だったためご紹介できませんでした。)


次に訪れたのは、Reptile Park。動物園に行きたくて、インターネットで「Oslo zoo」で検索してヒットしたのが「Reptile Park」でした。恥ずかしながらReptileという英単語を知らず、地名だと思って確認せずに行ってしまったのですが、100nok = 1500円の入場料を払って、中に入って初めて、動物園ではなく爬虫類園だということに気付きました。「Reptile」は「爬虫類」という意味だったのですね。爬虫類園と言っても、市街地のビルの1階と2階にある、ペットショップ並の狭い施設でした。展示は、大小ヘビ、色とりどりのカエルやトカゲ類がメインでした。写真は綺麗なエメラルドグリーンのカメレオンです。


ワニもいましたが、同じ水槽にネオンテトラが泳いでいました。珍しい展示方法です。


間違って入ってしまった爬虫類園ですが、前半はそれなりに楽しめました。しかし、後半は、タランチュラや巨大ムカデ、巨大ゴキ○リなど、とんでもない奴らがひしめき合い、おまけにサービスのつもりか大蛇をケージから出して客に持たせようとしてきたため、急に腹が立ってきて15分ほどで出てきてしまいました。


気を取り直して、再度「Oslo zoo」で検索し、オスロ大学Zoological Museumを発見。今度こそ動物園か!?と思いきや、剥製が展示されているだけでした。残念。。。それでも、とんでもない害虫よりはマシで、入場料も無料なので、入ってみました。


エントランスホールの壁は、様々な動物の肩から上の剥製が並んでいます。その中にポツンと偉そうな人の胸像が置いてあるのは、新手の嫌がらせでしょうか。右側には何やら変なヤツも浮いています。

常設展示はまずノルウェーの動物から始まりますが、キツネ、リス、フクロウ、キツツキ、シカなど、北海道出身の僕には珍しくも何ともないので、ほとんど素通りでした。続いて、世界各地の生態系をワンルームにまとめた展示です。写真は北アメリカ部屋。クマやらバッファローやらが、何となくマヌケに配置されています。


ちなみに、日本もありました。

まさかのオオサンショウウオ一本勝負。


そして、展示は戸惑うほど急に雰囲気が変わります。

何やらカツラをかぶって、目がきらきらした猿と、青く発光した化学実験道具が展示されています。まるで意味が分かりません。

ぽかんとしながら進むと、次々と変なやつが出てきます。


ぺちゃんこになったツチノコみたいなやつ。


大量にタバコの吸い殻を食べるやつ。


このへんまで来ると、ただの悪ふざけだということに気付きます。他にも度が過ぎる悪ふざけが多数ありましたが、解説がノルウェー語だったので、結局最後まで趣旨は分かりませんでした。

常設展が謎の悪ふざけで終わるという斬新さでしたが、同時に小さな企画展もやっていました。企画展は「古代の植物と生き物」展で、三葉虫やシダの化石と、適当な模型を展示していました。

なんでしょうね、このトリは。

そういえば、ちょっと前に似たようなトリを退治しました。

(「モンスターハンター3」より)


何とも微妙な動物学博物館でしたが、その隣には地質学博物館もあります。こちらは真面目なせいか入場料を取りますが、オスロ大学関係者は無料でした。館内には国内外で採れた様々な鉱石や隕石、そして肉食恐竜の復元骨格などが展示されています。

ただ、規模は小さく、残念ながらお金を払ってまで見るほどではないと思います。ノルウェー原産の珍しい鉱石もありそうでしたので、鉱石マニアは楽しめるかもしれません。


動物学博物館と地質学博物館は、オスロ市街東部のオスロ大学敷地内にあります。敷地内には博物館や庭園が整備され、カフェもあります。有名なムンク美術館の近所でもあり、キャンパス内の出入りは自由なので、天気の良い日は観光がてら散歩すると良いかもしれません。

写真は、手前が動物学博物館、奥が地質学博物館です。とにかく、キャンパス内も緑豊かでのんびりしています。やはりオスロの一番の見所は、のんびりとした雰囲気ですね。