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Life in Oslo.

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ノルウェー土産

2012年03月04日 | 旅行
オスロという平和で素朴な街は、住むには非常に良いところですが、短期の観光となるとパリやフィレンツェなどのヨーロッパ各地の有名観光都市に見劣りすることは否めません。もちろん観光スポットはそれなりにあるし食べ物も美味しいので数日は楽しめますが、「北欧で一都市だけ行くとしたら?」と聞かれてもオスロは勧めません(それならベルゲンを勧めます)。
 オスロは本気の観光都市ではないので、お土産を探すにも一苦労です。北欧には優れたデザインの雑貨やインテリアが多数ありますが、大半がデンマーク、スウェーデン、フィンランド製で、ノルウェーブランドのものは多くありません。また、物価が極めて高いノルウェーで"価格に見合ったお土産"を見つけることは至難の業です(「えー?こんなのが2500円もするの??笑」という楽しみ方はあります)。「しょぼい」「高い」「種類がない」という三重苦に苛まれるため、いわゆるお土産屋よりもスーパーマーケットの方が良いお土産に出会えます。

 ノルウェー土産の代表格は、何と言ってもサーモンです。ノルウェーのサーモン(laks)やマス(ørret)は脂がのっていて臭みもなく、非常に美味しいです。アメリカ、カナダ、スコットランド、イタリアなど各国のサーモンを食べましたが、個人的にはノルウェーのサーモンが一番美味しいと思います。スモークサーモンは日本でも食べられますが、グラヴラクス(gravlaks:少し発酵させたサーモン)や燻製は珍しいのでお土産にお勧めです。グラヴラクスは少し癖があるので喜ばれない場合もありますが、ペッパー風味やディル(ハーブ)風味など数種類ある燻製はいずれもハズレがなくお勧めです。真空パックなので持ち運びしやすく、燻製なので長時間のフライトによる傷みに強そうです。ノルウェーの中級以上のスーパー(ICA、MENYなど)では必ず手に入ります。


 また、同じくスーパーで手に入る"庶民のシーフード"もお勧めです。

左の青緑色のパッケージはベルゲン風フィッシュスープ(クラムチャウダーのようなスープ)で、vann=水とmelk=牛乳で簡単にできる割に美味しいです。右手前の缶詰はいずれもサバのトマト煮。上の大きい方は最も一般的なもの、下の小さい方はノルウェー国王/スウェーデン国王だったオスカル王の名を冠した高級品(ヒゲの紳士がオスカル王。王室の許諾取得済)。サバのフィレが1切れしか入っていませんが、なめらかで臭みのない味わいは日本人好みです。上の箱は、サバのトマト煮が小さなプラスチック容器に小分けされているもので、配るのに便利です。
 タラも特産で、タラ用のシーズニングは日本の白身魚にも良く合います。大抵どこのスーパーのスパイスコーナーにも"FISK"(魚)と書かれたスパイスがあります。白身魚だけでなく鶏肉にかけても一味違った美味しさになるようです。



 さて、ここまではお勧めのお土産をご紹介しましたが、時にはどうしてもベタなお土産を手に入れなければならないこともあります。ノルウェーのお土産屋で幅をきかせているのが"トロル"と呼ばれる変な奴です(日本でいう妖怪の類でしょうか)。wikiによれば「悪意に満ち、毛むくじゃらで怪力、深い傷を負っても体組織が再生出来、切られた腕を繋ぎ治せる。醜悪な容姿を持ち、あまり知能は高くない。凶暴、もしくは粗暴で大雑把」と、かわいい要素が一つもありません。いわゆる"ブサかわいい"レベルにも達しない、世界でもまれに見るブサイクなお土産の一つではないでしょうか。ノルウェーのお土産屋にはこのトロルの人形や置物が大量に置いてあり、"ノルウェー土産=しょぼい"というイメージに一役買っていることは疑う余地がありません。
 さて、普段ならトロル人形など買わないのですが、油絵を嗜んでいる祖母から「展覧会に出展するための絵のモチーフにする人形が欲しい」とリクエストされ、ノルウェーのトロル人形がいかにブサイクか説いたのですが聞き入れられず、仕方なく2つだけ買ってみました。

一つはこれ。

目がうつろで完全に逝っちゃってますが、友人のノルウェー人が泥酔した時の顔もこんな感じでしたので、ノルウェーっぽい顔立ちなのかもしれません。
 ただ、これはまだ可愛げがあります。問題はもう一つの方。








これはひどい。。。一目見た瞬間、心を奪われました。かわいさを追求する気が微塵も感じられません。何とも言えない表情もキモさを引き立てます。こんなので油絵なんて描いたら周囲が心配します。妖怪画じゃあるまいし。ちなみに、これらのトロル人形は一番安い体長5cm程度の最小サイズでも45-65NOK(700-1000円)します。10cm程度のものになると3000円超えも当たり前です。観光客にウケようとする迎合根性がないのは評価しますが、コストパフォーマンスは悪すぎます。

 お土産屋の棚はほとんどトロルで埋め尽くされていますが、中には観光客のウケを狙った可愛い人形もあります。写真はバイキング姿の子どもの置物。トロルよりは可愛いですが、その分(?)値段も高く、5cm程度で1000円以上します。



また、今回行った店で最も可愛かったのは、ノルウェー伝統の民族衣装"ブーナッド"を纏った男女のコケシ。10cm程度の大きさで、1体1500円以上します。高っ!!


トロル(小)2匹、バイキング(小)2体、ブーナッドこけし(小)2体で合計6000円以上しました。もらった人は、まさか6000円以上もするなんて夢にも思わないでしょう。

スペイン出張記

2011年10月19日 | 旅行
長い海外出張がやっと終わり2週間ぶりにオスロへ戻って来ると、もうすっかり秋というより、すでに冬が始まりかけていました。紅葉は見頃をとっくに過ぎ、最低気温は氷点下。。。手袋や耳当てを身につける人も多くなってきました。寒さはすでに東京の冬並で、とてもじゃないけど自転車なんか乗っていられません。楽しみにしていたSongsvann湖の紅葉も、撮影する機会を逸してしまいました。


 今回の出張先はスペインのサン・セバスティアン。マドリッドから都市間特急で5時間ほどの距離にある港町で、欧州認知心理学会(European Society for Cognitive Psychology: ESCOP)という、ヨーロッパでは業界最大規模の学会に参加してきました。
 まず、オスロからマドリッドまで、フランクフルト経由で5時間強(往復250ユーロ=約26000円:ヨーロッパ域内便は国内線扱いで、出入国手続きもなく、驚異的に安上がりです)のフライトです。マドリッドに一泊し、翌日午後の特急までの数時間だけ、マドリッド市内を散策しました。


スペインといえばハモンセラーノというハムが有名ですが、スペイン国旗がハモンセラーノになっていました。


スペイン広場にあるドン・キホーテとサンチョの像。背後にそびえる立派な像がセルバンテスかどうかは不明。


スペイン王宮。思っていた以上に立派でした。また、思っていた以上に衛兵がチンタラしていました。

 マドリッド散策後、スペイン国鉄Renfeの都市間特急(日本の新幹線に相当)に乗り、一路サン・セバスティアンへ。しかし、この特急が曲者で、走行中に故障して何度も立ち往生。車掌は全く英語が通じず、故障の影響で停車予定時刻も案内表示も全てメチャクチャだったので、GPSとgoogle mapで自分の位置を確認しながら降りるタイミングを見計らい、どうにか無事に到着。異口同音に「日本の新幹線は素晴らしい!」と賞賛する外国人の気持ちが分かりました。


 サン・セバスティアンは日本では知名度が低いものの、ヨーロッパでは名の知れた高級保養地のようです。緩やかな湾に沿って形成された港町で、湾の中央部にあるモンテ・ウルグルという山を挟んで左右に碧く美しいビーチが広がります。


ウルグル山東側に広がるビーチ。写真右中央の河口付近にあるグレーの建物が学会会場の国際会議場。


ウルグル山西側に広がるビーチ

ウルグル山の頂上には、リオデジャネイロのようにイエス像がそびえ立ち、町全体を見守っています。


長く続く海岸線には遊歩道が整備され、スペイン国旗のような色の夕焼けが空も海も見事に染めあげます。ビーチは昼夜、平日休日を問わず(!)家族連れや恋人達で賑わいます。夕陽に浮かぶカップルのシルエットは「さすが情熱の国!」と納得のロマンティックな光景です。




町はさほど大きくはありませんが、市内には立派な教会がいくつかあります。中でも市の中心部にあるカテドラルは見事なものです。





学会はウルグル山東側のビーチの目の前にある立派な国際会議場を貸し切り、いささか金かけ過ぎ感が否めない盛大さでした。



また、会場の目の前がビーチで、信じられないくらいに皆さんトップレスでした。トップレス女性がうじゃうじゃいる学会会場というのは、正直いかがなものでしょうね。ちなみに、海外、特にヨーロッパの学会はやたらと参加費が高く、かつ、やたらと保養地で開催されることが多い気がします。無料のウェルカムセレモニーに加えて特製バッグ、特製ボールペン、特製ノートなどのオリジナル学会グッズももらえます。遊びに来ているわけじゃないのだから、交通の便が良い都市部で質素に開催して欲しいものです。


 学会後には、もちろんスペイン料理を堪能しました。オスロ生活に慣れたせいか、物価が極端に安く感じられます。実際、経済規模の割には物価が安いと思います。街角のテラスで、先輩と共にチョリソをつまみにビールを1杯ずつ飲みましたが、チップを含めても二人で合計10ユーロ未満でした。


トリッパ(スペイン風モツ煮込み)とハモンセラーノ


多くのバル(バー)で、所狭しとハモンセラーノがぶら下がっている


オイスターと自家製サングリア(赤ワインに果物を漬け込んだ酒)


スペイン料理の王道、パエリア

 魚介料理や煮込み料理、米料理など、スペイン料理は日本人の口にも合う美味しい料理が多いですが、あまりヘルシーではありません。また、生水が心配でサラダも敬遠していたので、滞在中ほとんど野菜を摂取しないという事態に陥ってしまいました。その結果、急激かつ極度の栄養バランスの偏りによって軽い急性腸炎を煩い、発熱と酷い腹痛で一日寝込んでしまいました。英語が全く通じないマドリッド空港の薬局で「うぅぅー」と苦しそうにお腹を押さえるジェスチャーをしたところ、店員のお姉さんが「オェーッ??」と吐くジェスチャーを返してくれたので、「ノー!ガス!」とお腹が膨れるジェスチャーをしたら、理解してもらえたようで"Aero-Red"とかいう謎の錠剤をくれました。症状を理解してもらえたというのはあくまで推測なので、"Aero-Red"が腸炎に効く薬かどうかは神のみぞ知るところです(それどころか、果たして本当に腸炎なのかも神のみぞ知るところです)。成分はおろか、用法も用量も全く分からないAero-Redでしたが、舐めたらヨーグルト味だったことから、どうやら整腸剤の類だったようです。大正解!海外一人暮らしで身についたサバイバル能力と、野菜の大切さを文字通り痛感した出張でした。


 最後に、帰りの飛行機内から撮影した空の写真です。1枚目の写真はロンドン上空の日没です。高々度で見るグラデーションは、地上とは一味違う美しさです。


2枚目の写真はフランクフルト空港上空です。ヨーロッパ有数のハブ空港だけあり、無数の飛行機の航跡が雲となって幾重にも重なっています。

ライト兄弟が初めて飛行機を飛ばした100年ちょっと前、遙か高度10000mの上空に、大勢の一般人を乗せた飛行機の航跡が折り重なる様子を、果たしてどれだけの人が想像できたでしょうね。「人類は確かに進歩しているんだなぁ」と、ちょっと感動しました。