Life in Oslo.

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フィッシング

2013年06月28日 | 生活
4月にオスロの隣町ホービク(Høvik)に引越してきました。オスロからバスで15分ほどの距離にあるこの小さな町は、緑と海に囲まれた高級住宅街(僕の安アパートを除く)です。オスロフィヨルドに沿ってヨットハーバーなどがあり、ときおり水上飛行機が飛んでいきます。


しかし、周囲には驚くほど何もありません。僕のアパートの隣にはガソリンスタンドとコンビニがあり、町の中ではかなり栄えている方です。



高緯度地域に特有の低い角度から差し込む太陽と澄んだ空気のせいでしょうか、雨上がりにはハッとするほど美しい虹が出ます。肉眼で虹が七色に見えたのは初めてです。

 あまりに周囲に何もないので、休日は自然を満喫する以外に選択の余地がありません。気が滅入りそうなので安い釣り竿セットを買ってみました。竿、リール、糸が全てセットでkr299。マクドナルドのハンバーガーセット3回分以下の値段です。


虫が大嫌いなのでルアー専門ですが、適当にやっても意外と釣れました。


これはseiというタラの一種(たぶん)で、日本語名はコダラ。


次は大西洋タラ。2リットルのペットボトルを超える大きさですが、これは小物。ノルウェーのタラはなんと2mにまで成長します。怖いので釣りたくありません。

そして本命、ノルウェーサバ。サバは6月から9月の海水温が上昇する頃がシーズンだそうです。暖かい日であれば割と簡単に釣れます。


ノルウェーサバは日本でも塩焼きや文化干しなどでお馴染みですが、ノルウェーではかなり強めに燻製(varmrøkt温燻製/kaldtrøkt冷燻製)にしたものが主流です。強烈な燻製香がサバ本来の味わいを台無しにしており、日本人としては「せっかく美味しいのにもったいない...」と残念に思われてなりません。手に入らないものは自分で作るしかないのですが、サバを一匹売りしている高級スーパーではkr130(約2200円)/kgほどです。サバの塩焼きに2000円以上も支払う気はしないので、もはや自分で釣るしかありません。捌き方や干し方などをその場で適当に調べ、一応それらしいことができるようになりました(便利な時代!)。鮮度低下を防ぐため、釣ったらすぐにエラやワタを取り除きます(下処理は本当に大切です。ノルウェー人は釣った魚を締めずに死ぬまで放置します。僕が釣ってその場で締めたタラと、ノルウェー人が釣って放置したタラを食べ比べましたが、味の差は明らかでした)

下処理をしても2リットルのペットボトルを上回る大きさ。激安釣り竿セットのおかげで、美味しいサバの塩焼きがタダで食べられるようになりました。

 釣った魚を捌くのにスウェーデンのMora社のアウトドアナイフも購入しました。スウェーデンやノルウェーはナイフの製造で有名です。特にスウェーデンはキルナで良質な鉄鉱石が手に入り、Sandvikのステンレス鋼12C27といったナイフに適した鋼を鋳造する技術をもつことから、Mora社など多くの老舗メーカーがあります。豊かな自然を楽しむ北欧ではナイフは日常道具として浸透しています。

 オスロフィヨルドでの釣りは、魚だけでなく美しい風景も味わうことができます。海岸沿いに整備された遊歩道は、午後10時頃になると北欧特有の美しい夕焼けに染まります。








日が沈むと、波の穏やかなオスロフィヨルドの水面に月明かりが伸び、ムンクが描く独特の月を実際に体験することができます。

 最後に、自然が豊かなHøvik周辺で珍しい光景を目撃しました。湾を泳いで横断する影を望遠撮影。



ノルウェーでは「シカ注意!」の道路標識をよく見かけますが、まさか船を操舵する時にもシカに注意しなければならないとは。