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Life in Oslo.

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オーロラ in トロムソ

2012年10月18日 | 観光スポット
先日、ノルウェー北部にある町・トロムソに行ってきました。トロムソはオスロから飛行機で2時間弱の距離にある北極圏有数の町で、夏は白夜、冬はオーロラ観測が体験できる町として有名です。町並みはこぢんまりとしつつも北欧の港町らしいですが、ガイドブック等で言われる「北欧のパリ」は、いくら何でも言い過ぎです。




海を隔てて見えるのは、冬とオーロラをイメージしたデザインで有名な北極教会です。白いレイヤー構造は、確かにオーロラのようでもあります。



"北極圏有数の規模"と言っても、人口7万人ほどの小さな町ですが、トロムソ大学やEUのオーロラ観測所などがある学術都市でもあり、町には北欧らしいオシャレ図書館があります。


また、トロムソはトロムス島という小さな島にあるのですが、この島はトンネルや地下が異様に発達しています。市街から島の反対側にある空港までの道のりの大半は岩肌むき出しのトンネルで、トンネル内部はロータリー式交差点がいくつもあり、アリの巣のような複雑な構造をしています。また、市街には巨大な地下駐車場があり、トンネルとも直結しています。

これほど暗く岩肌むき出しの巨大な空間が町の下に張り巡らされている例は、今まで見たことがありません。一説によると、冷戦時代に旧ソ連の核攻撃に耐えうる核シェルターを兼ねて建造されたとか。駐車場内の各ブロックの仕切りに厚さ20cmほどの鋼鉄の扉が設置されていたりと、核シェルター説もあながち嘘ではないかもしれません。

さらに、トロムソには世界最北のビール醸造所があります。この醸造所で作られるマック(Mack)ビールは市内の至る所で飲めますが、やはり醸造所直営のパブがお勧めです。


ピルスナーはまろやかな酸味があり、やや個性的な味です。いくつかの定番ビールに加え、季節によって変わるビールも楽しめます。


フードメニューは少ないですが、ラムシチュー(ラムで作った肉ジャガのようなもの)とバカラオ(ノルウェー産タラのトマト煮)がお勧めです。ノルウェー名物の極薄の変なパンも付いてきます。


敷地内のショップではマックビール各種や世界最北ジョッキ(珍しい上にノルウェーにしては安い)などのお土産が買えますが、何故か全然関係ないイギリスのビールなども売っています。



 さて、そんなトロムソですが、最大の名物はやはりオーロラです。トロムソはオーロラが見られるオーロラベルト直下にあり、他のオーロラ観測地に比べて温暖で、交通の便が良いというメリットがあります。しかし、他のオーロラ観測地(特にアラスカ)に比べて天候が不安定で、市街地の灯りが近く、オーロラ観測以外のアクティビティに乏しいというデメリットもあるようです。とはいえ、オーロラが見られるかどうかは、結局は運次第としか言いようがないと思います。
 今回は週末を利用した短期旅行だったので、滞在は一夜のみ。行動範囲と時間の自由が利かないバスツアーなどは利用せず、レンタカーを借りて、天気予報(iPhoneやAndroid向けのノルウェー天気予報アプリ"yr.no"がお勧めです)オーロラ予報、周囲の雲と風の強さを常にチェックしながら、Google mapで観測に最適そうな場所を探します。この日は珍しく晴れた上に、前日に突発的な太陽風が発生し、月齢もほぼ新月という好条件が重なった日でした。オーロラが十分に強い場合はトロムソ上空にも出現しますが、弱い場合は北の空に出現する確率が高いので、なるべく北の方角の視界が開けた場所が適しています。我々が観測地としたのは、トロムソから北へ車で1時間ほどの、名も知らぬ浜辺でした(Google mapで緯度と経度"69.798997,19.545959"を入力すると位置情報が表示されます)


 夕焼けを眺めつつ、スーパーで買い込んだ食料とノンアルコールビールを片手に待つこと小一時間。上空に突如として謎の白い筋が出現しました。

(肉眼で見た色とほぼ同じ色に修正)
雲にしてはあまりに直線的で、飛行機の航跡にしてはあまりに長く太い筋が空を横切ります。同行した友人と騒いでいるうちに、その筋がにわかに広がり、白くカーテン状に拡散しました。

上空に筋が出現してからカーテン状に拡散するまで、わずか数分でした。日没直後で完全には暗くなっていないにも関わらず、白いカーテン状のものは明らかに発光しながら揺らめいています。突然の出来事に驚くやら感動するやら、年甲斐もなくぴょんぴょん跳びはねながら大はしゃぎです。夢中でシャッターを切るうちに周囲も暗くなり、いよいよオーロラが本格的に動き出します。オーロラに加えて人工衛星や流れ星も肉眼ではっきりと見え、写真にも光の軌跡として映っています。











活発なオーロラは驚くほど速く、空の端から端までを数秒で渡ることもありました。速すぎるオーロラはシャッタースピードを20秒以上にするとレイヤー構造がつぶれてしまいます。一方、遅く弱いオーロラは、ISO 1000程度でシャッタースピードを十分に遅くして撮影した方がきれいに映ります。難しいところです。



そして、オーロラ活動がいよいよ強まると、空一面が曇ったようになります。しかし、雲のような大きな塊が一瞬で出現しては消えるので、明らかに雲ではないことが分かります。

(肉眼で見た色とほぼ同じ色に修正)
空一面に分布した雲のようなオーロラの塊が一瞬のうちに集まり、凝集したオーロラが解き放たれるかのように渦を巻きながら拡散することもあります。上空で緑色がかった眩い巨大な塊が渦を巻く様子は、もはや畏怖の念すら覚えます。世界の終末や神の怒りのようなものを感じさせる不吉ささえ感じました。


 結局この日は飽きるまでオーロラが出続けていました。この日のオーロラ予報は"Active"から"High+"程度だったと思います(観測した場所は電波状態が悪く、オーロラ予報をリアルタイムで見られませんでした)。肉眼で見たオーロラは、写真に映ったほどは緑色ではありませんでしたが、それでも緑色がかっていることがはっきりと分かる白色でした。そして、写真では伝わらない、怖いほどのダイナミックな動きこそ、オーロラを生で見る醍醐味でしょう。巨大な発光体が空の端から端まで数秒で広がる様子は、一生に一度は見る価値があります。
 今回は非常に好条件が重なったので、このクラスのオーロラがトロムソで必ず見られるわけではありません。しかし、運が良ければ、もっと鮮やかなオーロラを見ることもできるはずです。そして、オーロラ観測には「徹底した防寒」「カメラの予備バッテリー」「レンタカー」「IT」が何より重要です。僕は真冬用アウター、ヒートテックももひき、ウィンドプルーフジーンズ、手袋、ネックウォーマー、耳当て付き帽子という装備でしたが、気温0度という"穏やか"な寒さにも関わらず、連続観測時間は15分が限界でした。また、寒い上に長時間露出を多用するため、カメラのバッテリーが驚異的に消耗します。僕はPENTAX K-rで150枚ほど撮影しましたが、フル充電バッテリーに加え、予備のアルカリ単三電池アダプタを3度交換しました。レンタカーも重要です。オーロラはいつ、どこに出現するか分からないので、いつでも自由に移動できることが重要です。車があれば観測の合間に暖を取ることもできますし、その気になれば仮眠もできます。スーパーに買い出しに行き、食料などを携行することもできます。そして最後にITです。天気予報やオーロラ予報など最新の情報を常にチェックし、GPSと地図で現在地と周辺地形を把握できれば、オーロラを見られる確率は格段に高まります。他の地域ではどうか分かりませんが、少なくともトロムソやアイスランドでオーロラを観測する場合には上記の4点が決定的に重要かと思います。


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4 コメント

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わっ! スゴい... (Thor's Datter)
2012-10-19 21:35:49
オーロラが...あまりにも綺麗すぎて...このブログを見ている最中にうちのママパパにも思わず見せてしまいました。X)

やはり反応は...写真のオーロラが美しすぎて...ビックリしていました!

ノルウェーのおじいちゃんにもこの写真をぜひ見せてあげたいのですが....2,3枚ほど保存・おじいちゃんに見せる、これだけしても良いでしょうか?(他、オンライン上に掲載することはしませんので...)

おじいちゃん...普段オーロラの"オ"の字も言わないので、トロンヘイムの自宅からはあまり見えないか....お空のカーテンよりも、日本製の意味不明な漢字が書かれてる変なカーテンの方が興味あるのか....どうかは分かりませんが、ホントにこんなに見事なオーロラですから...やっぱり自慢したいです。:)

あ...あと、ビヤホール(?)でのノルウェーの薄い妙なパン...とは、KavliのCrispy Breadの事でしょうか? 実は今わたし...この低カロリーパン(?)にハマっていて、パンの上に乗せるモノを色々変えてみて、毎週週末に食べてるんです。

ブログ...楽しみにしていました。お元気そうで何よりです。

おじいちゃんとカリンおばあちゃんも、先日、1ヶ月のスペイン旅行から元気いっぱいに無事戻ってきました! ( 実の姉のお葬式の翌日にノルウェー出発という、ちょっと首を傾げたくなるスケジュール...)

それでは...長々と綴ってすいません...。 +_+
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Unknown (しょう)
2012-10-22 19:02:38
>Thor's Datterさん
コメントありがとうございました!
オーロラは写真で見た方が綺麗ですよ(笑)トロムソに数年住んでいた人の話によると、肉眼でもはっきり緑や赤に見えるものは数年に1度程度で、ほとんどが白だそうです。トロムソでもそのレベルなので、トロンハイムから美しいオーロラが見えることは滅多にないのかもしれませんね。
写真はお祖父様にお送りいただいて構いませんが、このブログのURLをお送りすれば、文章はともかく写真は全てご覧になれるので、その方が早くて簡単かもしれませんね^^;
あと、ノルウェーの薄いパンには何を乗せていますか?僕もあれを食べているのですが、なかなか良いものが見つからなくて。。。今のところサバのトマト煮かクリームチーズが良いですね。
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Kavli :P (Thor's Datter)
2012-10-23 21:24:07
え...そうですね。色々試してみましたが...カマンベール・チーズが今のところ一番合います。:)

水分をシッカリ抜くなら、ツナ・タマネギみじん切り・マヨネーズも美味しかったです。もちろんスモークサーモン(or 焼いたハム)・マヨネーズ・キュウリ薄切りも外せません。

Crispy Garlic(ニンニク風味)でないのなら、薄くバターを塗ってママレードを塗ったり...チョコスプレッドを塗ってももちろん美味しかったです。

変わったトコですと...明太子・マヨネーズ・バター少々を混ぜたのとか、甘辛釘煮もなかなか良かったです。

先週の土曜日はカマンベール・チーズとバジルとマヨネーズのコンビネーションでした。

今週末は、ツナ・タマネギみじん切り・マヨネーズ・あればチェダーチーズの薄切りを一番下のブレッドに...ですね。:)

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Unknown (しょう)
2012-10-23 22:42:29
>Thor's Datterさん
ありがとうございます。やはりチーズ系が合いますよね。明太子は手に入りませんが、ノルウェー名産(?)のチューブ入りタラコとマヨネーズ+バターも試してみます!日本はいろいろなものが簡単に安く手に入って良いですよね。日本って凄い国なんだな、と実感します。もちろんノルウェーも良い国ですが。
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