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今日はふとしたきっかけで「とあるニート」の漫画を読みました。最初は気軽に読み始め、内容も笑える内容でした。30過ぎた男が仕事もせずに、毎日ゲームをしてすごす日々。実家。親から小遣いをもらっての生活。
そんな平坦な毎日の中でその主人公は「何かしよう」と思い立つわけですが、その内容が
「歴史に名前を残す犯罪をすること」
放火・強盗・殺人・障害・詐欺・・・・
そして主人公が選んだのは「殺人」
どうやったら歴史に残るかというのを毎日考える日々。殺し方、凶器の用意、対象・・・
結局、何もしないまま時間だけが過ぎていって。このまま何もなく終わるのかと思ったとき。父親がお土産を買ってきたと息子の部屋を訪ねる。
「最近調子はどうだ?」
「うん、普通」
「仕事は探しているのか?」
「ううん」
「いつもなにしてるんだ」
・・・そう言われた男はふとした出来心でこうつぶやく
「毎日、人を殺すことばかり考えてる」
・・・・
数秒の沈黙。
「やだな~ 冗談だよ」
「ははは、そ、そうだよな」
しかし、父親はその目が嘘を付いている目だと思えず、男がいないときにこっそりと部屋に忍び込んでパソコンを調べた。そしてインターネットの検索履歴を見て、愕然とする。
殺人 方法
毒 販売
凶器
・・・・
父親は確信してしまう。でも何も言えず。
そして息子が帰ってきて、パソコンを見たことに気づき、憤怒しながら父親に駆け寄る。
「なに勝手に入ってるんだよ」
「それはお前が心配で・・・」
「は?俺がこんなニートになったのも、人を殺して歴史に名前を残したいと思ったのもぜんぶお前らのせいだよ」
父親を殴る男。そこに母親が帰宅。
「ちょ、なにしてるの」
(人を殴るなんてはじめてだ。しかもそれが親だなんて。殴るってこんな感じなんだ。もうどうでもいいや。なんでもいいや)
台所から包丁を持ち出す男。そしてそれを父親に向ける。
「こんな家に生まれて俺は不幸せだよ。本当に。生んでくれなんて頼んでもないのに、不幸に生んで育てやがって」
(このまま殺したら普通の殺人だな。いっそ「自己防衛でやっちゃいました」の方がおもしろいか)
「ほら。こんなこと言われてくやしくないのかよ」
父親の方に包丁を滑らせる。
「悔しかったらやってみろよ」
(息子はわざわざこんなことを言って、俺たちに止めてほしいんだ。止まった家族の時間を取り戻したいだけなんだ)
そしてその包丁が握られ・・・・
ぐさっ。
「な、な・・・」
あまりの衝撃に耐えられなくなった母親が包丁を拾い自分の喉を切り裂いた。血しぶきが上がる。台所はみるみる鮮血に染まる。母親を抱きかかえる父親。男は焦る様子もなく、居間の電話で救急車を呼ぶ。
「うわぁー」
動転した父親は母親から包丁を奪い取って、自らの喉を裂いた。男は少し焦った様子で父親の手を止めようと走ったが間に合わず。その場に倒れこむ。
・・・・
男は警察に逮捕され、殺人罪で服役することになる。
時給10円の作業を毎日毎日繰り返し、狭い牢屋で過ごす毎日。ゲームもない、パソコンもない、まんがもない、インターネットもない、携帯もない、誰もいない。一人きりの世界。そんな考え事をするには格好の時間が存分に有った男は毎晩毎晩、家族や過去のことを思い出していた。一人息子で必死に働いて養ってくれた父親。決して上手とはいえないが毎日パートをして疲れていても笑顔でご飯を作ってくれる母親。ずっとずっと大事にされてきたはずなのに、いつからそれが当たり前になって、何もしなくても生きていることになんの疑問も覚えなくなって。自分が正しい、自分が社会に出て行けないのは親のせいだと決めて、恨んで。硬い枕が涙で濡れる夜も多かった。
そして10数年の時が経ち、男は出所する。
家は売却され、駐車場になっていた。小さいころからずっとすんできたぼろ屋は跡形もなく、なくなっていた。
もう俺に帰る場所なんかないんだ。
そう思うと辛かった。身分証もない、住むところもない、あるのは前科者の札だけ。そんな中で仕事も見つからない。ニートのころは仕事なんかしようとも思わなかったけれど、刑務所の時給10円の作業に比べたら、どんな仕事でもやっていけると思った。今が底辺だ。もう落ちることはない。寒い街を一人で歩いてると、ふと思い出す。小さいころに親子三人で手を繋いで商店街を歩いた日のことを。
「コロッケ食べたい~」
「もーわがままなんだから。しょーがないわね。ちゃんとご飯も食べるのよ」
「はーい」
「まったく、誰に似たのかしらね。あ、でもおいしそうね。私もひとつ食べよう」
「お、じゃあ俺も食べようかな」
『あはははは』
父親と大好物のするめをかじって酒を飲み交わすことも、母親の作るこげたメンチカツを食べることも、もう決して叶わぬ夢なんだということを痛く痛く噛み締めていた。
どうしてあんなことをしたんだろう。
どうしてあんなことしたんだろう。
親父に会いたい、お袋に会いたい・・・・
「おじちゃん、大丈夫?」
そんな街の片隅で泣いている男に小さな女の子が声をかける。そしてしばらくして一人、初老の男が駆け寄ってきて、女の子にあっちに言っているように言う。
「出てきたのか」
「お、伯父さん・・・?」
そう言うと伯父はポケットから茶封筒を男のポケットに捻り込み
「黙ってこれをもらってくれ。あの子も、お前のことは知らない。もう二度とこの町にはこないでくれ」
「あ・・・」
男の封筒を持つ手がぎゅっと握られた。
俺は前科者。前のように普通に生きていくことはできないんだ。
「わかりました。ありがとうございます」
男はそこから足早に立ち去る。伯父からもらった封筒には現金と男が小さいころの写真が入っていた。家族三人で笑っている写真が。。。。
「うわぁぁぁ・・・・・・・・・・」
男は膝が折れるようにその場に座り込んだ。空は薄暗く、肌寒い風だけが吹いていた。
・・・・・・
という内容の漫画で。途中ですごく元気がなくなった。ゲンナリする。でも、こんなことは誰にでも起こりうることで、一瞬のこと、一言でこうも人生が変わって行ってしまうのかと痛感させられた。リアルだった。大切なものはもう二度と帰ってこないということ。いつかなくなってしまうときがきても後悔しないように尊ぶべきこと。人を殺してはいけないということ。親を大事にすること。命を大事にすること。迷っても無理に答えを出さずに、がんばること。生きるということ。
殺人の方法として、一番多いのが「絞殺」次が「刺殺」3位が「撲殺」。ただ「絞殺」と「刺殺」はほとんどおなじ割合だそうだ。
もし貴方の大切な人のパソコンの検索履歴にこんな言葉が並んでいたら、あなたはどうしますか?
常に時間と人の心は流れている中で、情報が溢れる時代を生きている我々は、そんなときどうしたらいいのか。
少し考えておかないといけないのかもしれませんね。
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今日はふとしたきっかけで「とあるニート」の漫画を読みました。最初は気軽に読み始め、内容も笑える内容でした。30過ぎた男が仕事もせずに、毎日ゲームをしてすごす日々。実家。親から小遣いをもらっての生活。
そんな平坦な毎日の中でその主人公は「何かしよう」と思い立つわけですが、その内容が
「歴史に名前を残す犯罪をすること」
放火・強盗・殺人・障害・詐欺・・・・
そして主人公が選んだのは「殺人」
どうやったら歴史に残るかというのを毎日考える日々。殺し方、凶器の用意、対象・・・
結局、何もしないまま時間だけが過ぎていって。このまま何もなく終わるのかと思ったとき。父親がお土産を買ってきたと息子の部屋を訪ねる。
「最近調子はどうだ?」
「うん、普通」
「仕事は探しているのか?」
「ううん」
「いつもなにしてるんだ」
・・・そう言われた男はふとした出来心でこうつぶやく
「毎日、人を殺すことばかり考えてる」
・・・・
数秒の沈黙。
「やだな~ 冗談だよ」
「ははは、そ、そうだよな」
しかし、父親はその目が嘘を付いている目だと思えず、男がいないときにこっそりと部屋に忍び込んでパソコンを調べた。そしてインターネットの検索履歴を見て、愕然とする。
殺人 方法
毒 販売
凶器
・・・・
父親は確信してしまう。でも何も言えず。
そして息子が帰ってきて、パソコンを見たことに気づき、憤怒しながら父親に駆け寄る。
「なに勝手に入ってるんだよ」
「それはお前が心配で・・・」
「は?俺がこんなニートになったのも、人を殺して歴史に名前を残したいと思ったのもぜんぶお前らのせいだよ」
父親を殴る男。そこに母親が帰宅。
「ちょ、なにしてるの」
(人を殴るなんてはじめてだ。しかもそれが親だなんて。殴るってこんな感じなんだ。もうどうでもいいや。なんでもいいや)
台所から包丁を持ち出す男。そしてそれを父親に向ける。
「こんな家に生まれて俺は不幸せだよ。本当に。生んでくれなんて頼んでもないのに、不幸に生んで育てやがって」
(このまま殺したら普通の殺人だな。いっそ「自己防衛でやっちゃいました」の方がおもしろいか)
「ほら。こんなこと言われてくやしくないのかよ」
父親の方に包丁を滑らせる。
「悔しかったらやってみろよ」
(息子はわざわざこんなことを言って、俺たちに止めてほしいんだ。止まった家族の時間を取り戻したいだけなんだ)
そしてその包丁が握られ・・・・
ぐさっ。
「な、な・・・」
あまりの衝撃に耐えられなくなった母親が包丁を拾い自分の喉を切り裂いた。血しぶきが上がる。台所はみるみる鮮血に染まる。母親を抱きかかえる父親。男は焦る様子もなく、居間の電話で救急車を呼ぶ。
「うわぁー」
動転した父親は母親から包丁を奪い取って、自らの喉を裂いた。男は少し焦った様子で父親の手を止めようと走ったが間に合わず。その場に倒れこむ。
・・・・
男は警察に逮捕され、殺人罪で服役することになる。
時給10円の作業を毎日毎日繰り返し、狭い牢屋で過ごす毎日。ゲームもない、パソコンもない、まんがもない、インターネットもない、携帯もない、誰もいない。一人きりの世界。そんな考え事をするには格好の時間が存分に有った男は毎晩毎晩、家族や過去のことを思い出していた。一人息子で必死に働いて養ってくれた父親。決して上手とはいえないが毎日パートをして疲れていても笑顔でご飯を作ってくれる母親。ずっとずっと大事にされてきたはずなのに、いつからそれが当たり前になって、何もしなくても生きていることになんの疑問も覚えなくなって。自分が正しい、自分が社会に出て行けないのは親のせいだと決めて、恨んで。硬い枕が涙で濡れる夜も多かった。
そして10数年の時が経ち、男は出所する。
家は売却され、駐車場になっていた。小さいころからずっとすんできたぼろ屋は跡形もなく、なくなっていた。
もう俺に帰る場所なんかないんだ。
そう思うと辛かった。身分証もない、住むところもない、あるのは前科者の札だけ。そんな中で仕事も見つからない。ニートのころは仕事なんかしようとも思わなかったけれど、刑務所の時給10円の作業に比べたら、どんな仕事でもやっていけると思った。今が底辺だ。もう落ちることはない。寒い街を一人で歩いてると、ふと思い出す。小さいころに親子三人で手を繋いで商店街を歩いた日のことを。
「コロッケ食べたい~」
「もーわがままなんだから。しょーがないわね。ちゃんとご飯も食べるのよ」
「はーい」
「まったく、誰に似たのかしらね。あ、でもおいしそうね。私もひとつ食べよう」
「お、じゃあ俺も食べようかな」
『あはははは』
父親と大好物のするめをかじって酒を飲み交わすことも、母親の作るこげたメンチカツを食べることも、もう決して叶わぬ夢なんだということを痛く痛く噛み締めていた。
どうしてあんなことをしたんだろう。
どうしてあんなことしたんだろう。
親父に会いたい、お袋に会いたい・・・・
「おじちゃん、大丈夫?」
そんな街の片隅で泣いている男に小さな女の子が声をかける。そしてしばらくして一人、初老の男が駆け寄ってきて、女の子にあっちに言っているように言う。
「出てきたのか」
「お、伯父さん・・・?」
そう言うと伯父はポケットから茶封筒を男のポケットに捻り込み
「黙ってこれをもらってくれ。あの子も、お前のことは知らない。もう二度とこの町にはこないでくれ」
「あ・・・」
男の封筒を持つ手がぎゅっと握られた。
俺は前科者。前のように普通に生きていくことはできないんだ。
「わかりました。ありがとうございます」
男はそこから足早に立ち去る。伯父からもらった封筒には現金と男が小さいころの写真が入っていた。家族三人で笑っている写真が。。。。
「うわぁぁぁ・・・・・・・・・・」
男は膝が折れるようにその場に座り込んだ。空は薄暗く、肌寒い風だけが吹いていた。
・・・・・・
という内容の漫画で。途中ですごく元気がなくなった。ゲンナリする。でも、こんなことは誰にでも起こりうることで、一瞬のこと、一言でこうも人生が変わって行ってしまうのかと痛感させられた。リアルだった。大切なものはもう二度と帰ってこないということ。いつかなくなってしまうときがきても後悔しないように尊ぶべきこと。人を殺してはいけないということ。親を大事にすること。命を大事にすること。迷っても無理に答えを出さずに、がんばること。生きるということ。
殺人の方法として、一番多いのが「絞殺」次が「刺殺」3位が「撲殺」。ただ「絞殺」と「刺殺」はほとんどおなじ割合だそうだ。
もし貴方の大切な人のパソコンの検索履歴にこんな言葉が並んでいたら、あなたはどうしますか?
常に時間と人の心は流れている中で、情報が溢れる時代を生きている我々は、そんなときどうしたらいいのか。
少し考えておかないといけないのかもしれませんね。
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