産業医とか健診医って、医者のなかでもちょっと下に見られがち…。なにかを治療しているわけじゃないし、責任が軽そうで、やってる医者も責任感が薄そうな印象がある。
そして、真面目なひとは本当に真面目で、ちゃらんぽらんなひとは本当にダメ。
乳幼児の健診は、まぁ大概は真面目…見逃すと重篤な疾患が隠れているからね。
小学校から中学校~そして高校生となるにつれて、「既に重篤な先天性疾患は判明して治療が開始されている」「もしも疾患があれば親が気付く」「患児本人が自分で不調を訴えることができる」になっていくので、責任が軽くなっていく。
高校生の健診は内科医の分野になり、内科医は日々の診療のなかで重篤な疾患を診療しているので健康な高校生の健診にはさほど関心がなかったりとかさ。
そして、成人が相手の企業健診も、「異常があれば人間ドックで見つかってるでしょ」「ちゃんと人間ドックを受けてくださいね」な雰囲気になっている。
さて、SNSで「産業医は労働者にとって役立たず」「産業医は企業側」「産業医は何もしてくれない」みたいなものをみた。
これはなかなかに難しい。自分は産業医ではないけれど、学校職員健診を学校医としてやる。その際に「健康上の理由で就労できなくなると本当に大変で、学校側も教員も大事になるので、重症でも就労不可だけはつけないでくださいね」みたいなことをあらかじめ言われて強く念押しされる。「健康上の問題があれば、学校側で受診させますので」みたいなことも言われる。
これを「学校側=企業側」「教員=社員」に置き換えたような会話が、日本中で行われているのだろう。
産業医は意見書を書くことができるのだが、意見書なんて実物を見たこともないし、何処にあるのかも知らないし、書き方も忘れたという産業医が普通だ。一般人からしたら驚くかもしれないが、健診業務というのは意外と医者にとって身近でなく縁遠いものだったりする。乳児健診の母子手帳への記入は慣れていても、園医や学校医としての健康診断表の書き方に慣れていない小児科医だって珍しくない。
医学部の授業で産業医の職務について学ぶのだが、まともに受け止めると仕事量が膨大なことになっている。しかし、額面通りに働いてる産業医はごく僅かだろうし、実際に職場環境の管理なんて医者がふらっと見に来てチェックするなんていうのは誰も喜ばない。
さて、勤務医も労働者なのでストレスチェックを受けたりすると「医師との面談が必要です」みたいな結果を受け取ることがある。だが、実際に面談するかと言えば、ほったらかしでしない。一度、そういう結果を受け取ると次回からは問題のない結果になるように答を調節してしまう。下手に休養や休職を勧められるくらいなら、働いている方がラクなのだ…。
健診や産業医の業務要件を厳しくしたら、誰もやりたがらない。資格と名前だけでできるようにしたら形骸化してしまう。難しいところだろう。