れいの如く

朝鮮半島関連の所感を書きます。

10/24“国民大集会”雑感

2020-10-25 21:30:18 | 所感(集会、講演等)
 周知の通り、恒例の“国民大会”がこの10月24日に行われました。
 YouTubeでの配信もあったので、筆者はネットで視聴しました。
 内容は、相変わらずで〜まぁ、事態が進展しないので致し方ない面もありますが、特記すべきものはありません。
 そして、毎度のことですが、このイベントは被害者御家族のものではなく、議員・政治家たちのPRの場、そして憲法改正を主張する場になってしまったように感じました。
 別のところでも書きましたが、筆者の友人はこの集会を右翼の集まりみたいだと言っています。否定出来ませんでした。それゆえ、拉致問題に関心を持っていても集会に参加には二の足を踏む人もいることでしょう。また、今回の集会の視聴者の中には内容に幻滅し拉致問題そのものに対する関心を失くした人もいるかも知れません。
 救い(⁈)だったのは、横田さんの御子息を始めとする被害者御家族の言葉でした。真摯な言葉はやはり人の心を打つものです。
 個人的には、こうした御家族の思いを国籍民族を問わず多くの人々に共有していただきたいのです。そのためには、今のような集会のあり方は改めた方がいいでしょう。
 御家族の思いに共感し、そこからより多くの人々が心を合わせて問題解決に向かって進んでいく、そうした集会が今、必要なのではないでしょうか。
 

救出運動雑感

2020-09-06 21:52:58 | 所感(集会、講演等)
 安倍首相の突然の辞任発表後、メディアでは毀誉褒貶、様々な評価が出ていましたが、個人的には拉致問題が解決しなかったことが残念に思いました。
 この件は首相本人も心残りに思っているようです。健康を取り戻したら引き続き取り組んで頂きたいと思います~首相の地位になくても出来ることですので。
 さて、このところ筆者のTwitterのタイムラインでは拉致被害者救出運動が内紛状態を呈しています。内容よく見れば一部の被害者家族の方を中傷することから始まっているのが分かるのですが、部外者(?!)から見れば内輪揉めのように見え、そして拉致問題には関わりたくないと思われたかも知れません。
 本来、国民が一丸となってやるべき拉致被害者救出運動ですが、数年前から分裂気味になってしまいました。今回の“内紛”もこうしたことが関係しているようです。
 実は筆者自身も数年前から被害者救出運動に懐疑的になっていました。
 筆者は“拉致疑惑”と云われていた頃から、拉致関係の集会や勉強会に参加していました。そして、被害者御家族のために何をすべきかあれこれ考えていました。
 当初は被害者御家族が自身の思いを訴えることが、こうしたイベントの目的でした。しかし、このことが次第に変質していき、ここ数年は被害者の思いよりも、改憲やその他本来の目的とは直接関係しないような内容が幅を利かせるようになってしまいました。同時に客席にいる人々も、いわゆる右翼的な人々が目立ったりして一般の人々は引いてしまうような雰囲気を醸し出すようになってしまいました。その結果、被害者救出運動=改憲=右翼というイメージになってしまったように思いました。いわゆる“運動”とは無関係の筆者の友人は、拉致被害者救出イベントを右翼の集会と言っていました。
 こうしたこともあり一時期、筆者はこの類のイベントから距離を置いていました。ただ被害者御家族のことを思うと無視も出来ず、最近は出来るだけ参加するようにはしています。
 筆者自身このような状況でしたので、数年前、拉致被害者救出運動団体が分裂したという消息を耳にした時、有り得ることだと思いました。ただ、このことが救出運動にマイナスになるのではないかと危惧はしていました。
 周知のように、この6月5日被害者救出運動のシンボル的存在の横田滋氏が世を去りました。これを機に拉致問題の関心が高まるのではないかと思ったのですが残念ながらそうはいきませんでした。“コロナ”ゆえそれどころではなかったのかも知れませんが、メディアの扱いは冷たかったように感じました。
 こうしたところに冒頭のTwitter上の“内紛”です。人々の関心はますます遠のくことでしょう。
 御家族への中傷は論外ですが、上記したように昨今の救出運動には疑問を感じることはいろいろあります。だから筆者自身も“一丸”にはなれそうもありません。他にもこうした考えの方はいらっしゃることでしょう。人々にはそれぞれの考えがありますので。
 このことを踏まえて、日本政府や関係部署の方々にお願いしたいのです。
 世論など気にせず、とにかく拉致被害者を奪還して頂きたいのです。拉致された国民を救出するのは国家の義務です。このことを胸に刻んで行動して欲しいのです。手段は問いません。皆さまが最善と思われる方法でよいのですから。
 結果的に被害者が御家族のもとへ戻れればそれでよいのですから。


拉致問題を考える川口の集い

2020-01-15 20:40:15 | 所感(集会、講演等)
以前にも書いたように、最近は拉致関係のイベント参加には気乗りがしなくなったのですが、今回は畏友の三浦氏が講演者で、会場も比較的近かったので参席しました。
 筆者が会場入りしたのは開演10分前位でしたが客席は既に7割程度(定員300名)埋まっていました。
 開始時刻である13時30分になると開会の言葉に続いて川口市長と市議会議長の挨拶がありました。主催が川口市のためでしょう。
 通常、この種の行事の挨拶は表面的で、あまり心に残らないのですが、今回は少し違いました。
 御二方は“署名”の有用性を強調されました。多くの署名が集まれば、政府や関係部署に良い意味での圧力になります。また、街頭での署名活動は風化しつつある拉致事件を人々に再認識させる役割もあります。そして、こうしたこと自体が北朝鮮に対してのプレッシャーにもなります。日本は拉致事件を忘れてはいない、この事件が解決されない限り北自身にも利益にならないというアピールにもなります。そのため多くの人々に署名活動に協力をお願いしたいとのことでした。
 拉致関係の集会で、このように具体的な事柄に触れた挨拶を聞いたのは筆者にとっては初めてで新鮮に感じました。
 続いて第一部の三浦小太郎氏の講演となりました。
 講演の冒頭に「未成年〜続キューポラのある街」の映像の一部が映されました。主人公が北朝鮮に夫と子供がいる女性に帰還を勧めるシーンです。
 日本人妻の話から始まった講演は、拉致問題解決のために日本がすべきことにテーマが移ります。
 現状で先ずすべきことは北朝鮮に関する情報を収集することです。現在、日本は拉致被害者の正確な人数すら把握していない状況です。これでは交渉も難しいでしょう。“全員奪還”といったところで実数が分からなければ被害者を全て取り返せないからです。
 それと〜これがこの講演のメインテーマですが、拉致問題を解決無しに国交正常化は絶対すべきではありません。
 現在の北朝鮮にとって拉致被害者は、人質であり金づる的存在です。それゆえ、酷い扱いはしないでしょう。しかし、現状のまま国交正常化が始まり日本から金銭や経済協力が得られるようになった場合、拉致被害者は不要となり、下手すれば“障害物”的存在になるため“処分”される可能性があります。被害者を無事に救出するためには拉致問題抜きに国交を始めるべきではないのです。
 昨今の日本には、「正常化交渉の過程で拉致問題も扱えばいい」と主張する人々がいます。何の動きもない現状では、こうした意見に賛同する人も増えていくかも知れません。しかし国交正常化に向えば被害者の救出は遠退きます。このことを私たちは肝に銘じる必要があるでしょう。
 三浦氏の話はいつも分かり易く的を得ていると感心するのですが、今回もやはりそう思いました。
 ここで休憩となりましたが、この時間を利用して拉致被害者御家族の手記が朗読されました。御家族の手記は、これまで何度も読んだり聴いたりしましたが、その度に切なさを感じてしまいます。
 第二部に入る前に、拉致、特定失踪者のご家族紹介がありました。
 ご家族の近況報告の中に、この間に亡くなった家族が何人もいるとの話を聞き、既に長い歳月が流れていることを感じました。御家族はもちろんのこと、被害者御本人も相応の年齢になっています。残された時間は少なく、日本人妻の事例が繰り返されるのではないかと不安にもなりました。
 第二部は、拉致被害者の田口八重子さんの兄の飯塚繁夫氏と子息の飯塚耕一郎氏の講演でした。
 お二人とも昨今の情勢をよく分析され、こうした中での早期解決を訴えました。
 続いて高校生と有志の方々による合唱「あなたを忘れない」と「ふるさと」になりました。「ふるさと」は参加者全員で歌いましょうとのことでしたが、様々な想いが浮かび上がって声が出ませんでした。
 イベントはこれで終了し、閉会の挨拶となりました。この中でも署名の有用性が再度語られ、ぜひ協力して欲しいとのことでした。
今回のイベントは、筆者個人としては良かったと思いました。
講演内容から挨拶に至るまで拉致問題だけを扱い、会場のレイアウト等も工夫が感じられました。ホール内の青色の紙の飾りつけ、ロビーの展示物の配置等も見やすく、興味ある内容でした。
主催の川口市、共催、後援の各団体の熱意が感じられ、改めてこの問題について自分自身に出来ることをしていこうと思いました。

「拉致被害者救出運動」写真パネル展

2019-12-10 17:00:08 | 所感(集会、講演等)
都議会議事堂で行われた恒例の写真パネル展にいって来ました。展示内容は昨年と同じでしたが、これは事態が全く進展していないことを示しているといえるでしょう。
 逆に、観る側は毎年変わっていきます。かくいう筆者もパネル展が始まった頃よりも歳をとってしまいました。
 展示されている人々は十代、二十代のままです。しかし、現実にはかの地で筆者同様年を重ねているでしょう。
 写真を見ながら様々なことを考えました。
 さて、ご存知の通り、パネル写真展は以前は本庁舎の展望室で行われました。数年前から現在の場所になりました。個人的には前の展望室の方がよいと思います。現展示場の議事堂は行くのに少々不便です。また展望室なら観光その他で訪れる人々も見ることが出来ますが、都議会議事堂は訪れる人が限られます。
 主催側はどのように考えているのか分かりませんが、筆者はこの展示を出来る限り多くの人々に見て貰いたいと思っています。そのためには、駅や地下街の展示の壁に展示すればいいのではないかと思います。都庁のそばの新宿駅は多くの人々が利用しています。こうした場所に展示してこそ意味があるのではないでしょうか。


北朝鮮帰還事業60年 講演と鼎談

2019-12-08 19:36:08 | 所感(集会、講演等)
 12月10日から16日までは、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」ということで毎年、各地で様々な関連イベントが行われます。
 しかし、その内容を見るとやはり「拉致問題」に関するものが大半で、帰還事業や北朝鮮内部の人権、脱北者についてのものはあまり見られません。
 そんな中で、北朝鮮の生命と人権を守る会主催で行われた「北朝鮮帰還事業60年 講演と鼎談」は意義深いイベントの一つといえるでしょう。
 ということで筆者は7日土曜日、会場である東京・神保町の専修大学に向かいました。
 イベントは二部構成になっていて、一部が講演、二部が鼎談でした。
 開演時間の13時30分になると、さっそく第一部の講演が始まりました。
 講師は菊池嘉晃氏。『北朝鮮帰国事業』(中公新書)等の著書のあるジャーナリストです。講演内容は「ソ連・東欧機密文書から見た実像と悲劇の責任」で、近年公開されたソ連や東欧諸国の機密文書を通じて北の内情を見るというものでした。
 60年代から90年代に入る頃までの日本のメディアが伝える北の状況は、初期は“地上の楽園”、その後はそれなりの社会主義体制の国というものでした。
 しかし、帰還してかの地へ行った人々が伝えたのは周知の通り悲惨なものでした。
 これらを裏付けるのが今回紹介されたソ連や東欧諸国の機密文書です。これらの国々では、早くから北の実情を正確に把握していたということが判明しました。
 かねてから、北朝鮮が帰還運動を奨励したのは労働不足を補うためといわれていましたが、このことについてもソ連の機密文書に記されていました。
 その他、北の実情が記された様々な文書が紹介され、個人的に得ることの多い講演でした。
 第二部の鼎談では「悲劇の拡大を防いだ関貴星著『楽園の夢破れて』」をテーマに、評論家の三浦小太郎氏、関貴星氏の長女でエッセイストの呉文子氏、そして菊池嘉晃氏が議論を繰り広げました。
呉氏の語る著書を刊行したゆえの父の苦難、そして自身と夫君が受けた酷い仕打ち……等々はただ胸が痛むばかりでした。
そして著作は世間から全く無視され、帰還事業による悲劇は防げませんでした。
その後の質疑応答まで含め、帰還事業とその背景そして時代的限界等、考えさせられることが多々ありました。

 帰還事業が始まってから60年、拉致が始まってからも同様の歳月が流れました。その間、自分たちは何をしたのだろうか、そして今後どうすべきか、今回の講演や鼎談を聞きながら、様々な事柄を考えました。