れいの如く

朝鮮半島関連の所感を書きます。

北朝鮮人権啓発週間が終わって

2019-12-24 22:12:09 | 北朝鮮
2019年の北朝鮮人権啓発週間が終わって一週間余が経ちました。
期間中、写真展、シンポジューム、フォーラム、映画上映会、その他多種多様なイベントが官民問わず行われました。
 筆者もこの中のいくつか参加しましたが、いずれも有意義な内容で、主催者側の努力にただただ頭が下がるばかりでした。
 ところで、12月10日から16日までの一週間が「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」であるということを知っている人々はいったいどれほどいるのでしょうか? 恐らく大方の人々は知らないのではないかと思います。
 この間、新聞やTV、ラジオ等で、どのくらいこのことについて報じたでしょうか。筆者の知る範囲では、ニュースや新聞の片隅で上記イベントが行われたことが少し出ていた程度でした。
 さて、今回のイベントの中で個人的に良いと思ったのは拓殖大学で行われた北朝鮮人権映画祭でした。「キューポラのある町」、「クロッシング」等々、北朝鮮に関連する日韓の映画8作品が上映されました。
本来ならば、こうした映画の上映は北朝鮮人権侵害問題啓発週間の間、NHKのEテレあたりで毎日一作品ずつ、いわゆるゴールデンタイムに放映すべきでしょう。今年は北朝鮮帰還事業開始60年目でもあるので尚更です。このようにすれば、人々の関心をもう少し引いたのではないかと思います。
 NHKを含め、各メディアは何故、北朝鮮人権侵害問題啓発週間について積極的報道しなかったのでしょうか? まさか知らないということはないでしょう。
 しかし、それよりも国会議員たちが特に活動しなかったことが気になります。集会に顔を出しておしまい、いや顔さえ見せない議員さんもいらっしゃいます。そうした人々の中には、普段は何かと言うと人権を叫んでいらっしゃる方が多いように思えるのですが‥。
 啓発週間時期に限らず、時々、筆者は政府やその他関係者は拉致を含めた北の人権など本当は関心がないのではないかと思うのです。
 何故ならば、先例があるからです。それは、北朝鮮帰還日本人配偶者の問題です。
周知の通り、帰還事業の際、帰還者の日本人妻或いは夫も北に渡りました。帰還する際、3年後くらいには日本に里帰り出来るということになっていました。しかし、ごく一部の人々がセレモニー風に“里帰り”をしましたが、大半は、その後、一度も里帰りも親族にも会えませんでした。今となっては、配偶者家族はもちろんのこと配偶者自身も大部分が世を去ったことでしょう。
結果的に日本人配偶者の里帰り、親族再会問題は自然消滅しました。
 関係方面は拉致問題もこのように自然消滅するのを待っているのではないでしょうか。
 政府を始めとする関係方面の皆さま、どうか、筆者のこうした妄想を打ち破って下さい。

「拉致被害者救出運動」写真パネル展

2019-12-10 17:00:08 | 所感(集会、講演等)
都議会議事堂で行われた恒例の写真パネル展にいって来ました。展示内容は昨年と同じでしたが、これは事態が全く進展していないことを示しているといえるでしょう。
 逆に、観る側は毎年変わっていきます。かくいう筆者もパネル展が始まった頃よりも歳をとってしまいました。
 展示されている人々は十代、二十代のままです。しかし、現実にはかの地で筆者同様年を重ねているでしょう。
 写真を見ながら様々なことを考えました。
 さて、ご存知の通り、パネル写真展は以前は本庁舎の展望室で行われました。数年前から現在の場所になりました。個人的には前の展望室の方がよいと思います。現展示場の議事堂は行くのに少々不便です。また展望室なら観光その他で訪れる人々も見ることが出来ますが、都議会議事堂は訪れる人が限られます。
 主催側はどのように考えているのか分かりませんが、筆者はこの展示を出来る限り多くの人々に見て貰いたいと思っています。そのためには、駅や地下街の展示の壁に展示すればいいのではないかと思います。都庁のそばの新宿駅は多くの人々が利用しています。こうした場所に展示してこそ意味があるのではないでしょうか。


北朝鮮帰還事業60年 講演と鼎談

2019-12-08 19:36:08 | 所感(集会、講演等)
 12月10日から16日までは、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」ということで毎年、各地で様々な関連イベントが行われます。
 しかし、その内容を見るとやはり「拉致問題」に関するものが大半で、帰還事業や北朝鮮内部の人権、脱北者についてのものはあまり見られません。
 そんな中で、北朝鮮の生命と人権を守る会主催で行われた「北朝鮮帰還事業60年 講演と鼎談」は意義深いイベントの一つといえるでしょう。
 ということで筆者は7日土曜日、会場である東京・神保町の専修大学に向かいました。
 イベントは二部構成になっていて、一部が講演、二部が鼎談でした。
 開演時間の13時30分になると、さっそく第一部の講演が始まりました。
 講師は菊池嘉晃氏。『北朝鮮帰国事業』(中公新書)等の著書のあるジャーナリストです。講演内容は「ソ連・東欧機密文書から見た実像と悲劇の責任」で、近年公開されたソ連や東欧諸国の機密文書を通じて北の内情を見るというものでした。
 60年代から90年代に入る頃までの日本のメディアが伝える北の状況は、初期は“地上の楽園”、その後はそれなりの社会主義体制の国というものでした。
 しかし、帰還してかの地へ行った人々が伝えたのは周知の通り悲惨なものでした。
 これらを裏付けるのが今回紹介されたソ連や東欧諸国の機密文書です。これらの国々では、早くから北の実情を正確に把握していたということが判明しました。
 かねてから、北朝鮮が帰還運動を奨励したのは労働不足を補うためといわれていましたが、このことについてもソ連の機密文書に記されていました。
 その他、北の実情が記された様々な文書が紹介され、個人的に得ることの多い講演でした。
 第二部の鼎談では「悲劇の拡大を防いだ関貴星著『楽園の夢破れて』」をテーマに、評論家の三浦小太郎氏、関貴星氏の長女でエッセイストの呉文子氏、そして菊池嘉晃氏が議論を繰り広げました。
呉氏の語る著書を刊行したゆえの父の苦難、そして自身と夫君が受けた酷い仕打ち……等々はただ胸が痛むばかりでした。
そして著作は世間から全く無視され、帰還事業による悲劇は防げませんでした。
その後の質疑応答まで含め、帰還事業とその背景そして時代的限界等、考えさせられることが多々ありました。

 帰還事業が始まってから60年、拉致が始まってからも同様の歳月が流れました。その間、自分たちは何をしたのだろうか、そして今後どうすべきか、今回の講演や鼎談を聞きながら、様々な事柄を考えました。