2021年もひたすらコロナ禍に振り回されてましたが、二年目となって流石にオレの職場も人件費の削減に踏み込まざるを得なくなり、(全体の仕事量そのものは減りつつも)残った人間側の負担は増していくというストレスとの戦いの日々でもありました……で、ここ二ヶ月ほどでようやく世の中や仕事量がコロナ禍以前の状態に戻りつつあっても、人はそう簡単には戻せなくて更に負担は増すという悪循環に陥ってる不景気あるあるネタです(ノД`)
まあ愚痴はともかく今年も益々、日々の癒やしとしてのマンガの存在感が大きくなる一方の中で、”オレが今年、一巻から買い始めたマンガ” の感想まとめです
■「ブランクスペース」熊倉献(既刊2巻)
ツイッターの第一話掲載がバズってたのを機に購入
”すこしふしぎ” な超能力を持った女の子の話ですが、始まりはほのぼのとしつつ、途轍もない不穏さを徐々に醸し出してくる空気感みたいなのが凄いです
”想像力”ってやつは時に暴走もするし自分にも誰にも得にもならない ”妄想” と区別がつかなくなるのが厄介ですが、人間にとっては必須の、無ければ文化も進化も発展もないんだろうなとか考えちゃったりなんかしちゃったり
■「じょしまん。」吉田丸悠(全3巻)
アフタで「大上さん、だだ漏れです」を描いてた作者の新作
少女漫画家志望(秘密)の陽キャ女子高生と、既にエロマンガ家としてデビュー済みの陰キャ同級生(巨乳)の二人の青春マンガですが、昨年までマンガワンで連載されてた「あーとかうーしか言えない」にインスパイアされたのかなとか思ったり
マンガ業界モノとして考えると、プロという ”本番” に入る前にまとめられてしまった感が残念ですが、初々しい関係性を描ききった感はとても可愛らしかったです
■「ダンジョンの中のひと」双見酔(既刊2巻)
RPGでお馴染みのダンジョンには、徘徊するモンスターやら宝箱のアイテムが当たり前の様に存在してますが、果たしてその裏側はどうなってるのかを大真面目に考察している異色のダンジョン ”運営” マンガですが、ほのぼのタッチと妙にシビアな設定の同居っぷりが興味深くて楽しすぎます
■「異剣戦記ヴェルンディオ」七尾ナナキ(既刊2巻)
すっとぼけた作風ですが、前作「Helck」の始まりも冗談みたいなふざけた絵柄と設定だったのが、徐々に重厚な世界観や激アツなドラマが展開していったのに驚かされたものです……マンガ好きとして、今作にも全幅の信頼を置いてます
■「ドキュンサーガ」いとまん(既刊3巻)
まず作者にはアフタで「発症区」という、非常にマニアックだけど抜群の面白さの能力バトル漫画が3巻で打ち切られてしまったという過去があります
今作はそんな作者の個人サイトにてアップされてるんですが、世に溢れる ”なんちゃって中世風ファンタジー世界” を揶揄するというか、完全にケンカを売るような内容wで始まり、(打ち切りの鬱憤晴らしか)”好き放題描いてやる!” 感が溢れまくってましたが、描いてるウチに本気になったのかとんでもなく深く世界設定が作り込まれていくことに…
その世界観の成立の歴史的経緯がまるで過去から未来にかけての壮大な ”人類史” の暗黒面をシミュレートする地獄の様な展開に当然賛否は分かれるでしょうが、おそらく思想的や倫理的な ”表現の束縛” が限りなくゼロに近い商業作品の一つとして、日本のマンガの ”多様性” の象徴でもあるのではないかと本気で思ってたりします
■「今日のさんぽんた」田岡りき(既刊3巻)
サンデー本誌に出張掲載されたのを機にポチりました(←犬マンガなだけに)
■「め組の大吾 救国のオレンジ」曽田正人(既刊3巻)
90年代のサンデー黄金期を支えた名作の正統な続編が月マガにて連載中です
随所に、近い将来における未曾有の大災害に臨場している主人公達のシーンが挿入されるんですが、火山の噴火か隕石なのか、タイトルに ”救国” とまで付いている壮大さに引き込まれます……旧作の甘粕だけでなく、デビュー作「シャカリキ!」や前作「Change!」のキャラまでが登場していたりするので、作者としても自らの漫画家人生の集大成的な作品にしようという意気込みなのかもしれません
■「AIの遺電子 Blue Age」山田胡瓜(既刊2巻)
シリーズ3作目は須堂がまだ研修医の頃に時代が遡って、AIが限りなく人間に近い存在となった物語の基本に立ち戻ったカンジですが、現代人の感覚の延長線上に確実に存在する ”人間性” の描写が相変わらず秀逸です
■「リスタート!~34歳ゲームディレクターのつよくてニューゲーム~」坂木原レム(既刊2巻)
スクエニだかセガだかを合わせたカンジなゲーム会社を舞台に、1995年からタイムスリップしてきた伝説のディレクターがスマホゲー全盛の現代でもその能力を遺憾なく発揮する ”おっさん接待” な展開ですが、おっさん読者としてはその狙いに見事にハマってワクワクが止まりませんヽ( ̄▽ ̄)ノ
■「てづくりの魔法」木村胡麻(既刊1巻)
”まるで縄文人だ” というヒロイン像から始まる斬新なw、大小様々な小道具や料理など生活の彩りを少し華やかにしてくれる ”てづくり” アイディアが楽しいです……正直、絵はまだ拙いんですが、それがてづくり感を増してる作風に繋がってるのがまたいい
■「僕はまだ野球を知らない・Second」西餅(既刊1巻)
全5巻で打ち切りの憂き目にあいながらも、作者が執念で続きをアップしている新作の第一巻ですが、すっとぼけたコメディ要素と最新の理論に裏打ちされた本格派な野球要素の組み合わせに、更に ”熱血” 要素までが加わり始めて面白さが大幅に加速してます
■「高円寺純情貧乏」西餅(既刊1巻)
すぐ上の「ぼくまだ」ではその片鱗しか出していない、この作者お得意の ”奇人・変人” 要素の全開っぷりが清々しい快作(怪作)です
今まさにコミケという世界最大級のコンテンツ即売会が(二年ぶりに)開催されてますが、電子書籍ならば更に自費出版が容易になった昨今、”編集者” という最低限の社会性のバイアスすら一切通過しない剥き出しのコンテンツが商売(生業)として成立している現状は果たして幸福なのか不幸なのか真剣に考えてみる機会なのではないでしょうか(←何言ってるんだ)
■「姫騎士は蛮族の嫁」コトバノリアキ(既刊2巻)
”くっころ” と書くだけですぐに理解出来る人がこのブログを読んでる人にどれだけいるのかわかりませんが、まあ要するにそれ系のある意味正統派です
個人的に「進撃」終了後の別マガで一番楽しみにしてるのが本作で、”蛮族” への無理解が丁寧にほぐされていく過程や、ありそうでなかった世界観設定が実に趣深くて、何より主人公の有能さとポンコツ具合のバランス感覚が絶妙です
■「川尻こだまのただれた生活」川尻こだま(既刊5巻)
ツイッターで書き殴られてる自堕落日常エッセイをまとめたものです
上で自費出版の隆盛についてちょっと書きましたが、今作は完全に無料のkindleコンテンツなのに、ダウンロードされて読まれるだけでなにがしかの ”利益” が出てるという作者の言葉がホント謎で、広告が表示されるわけでもないし一体どういうからくりでマネタイズされてるのが不思議でなりません……はっ…もしや、いな○やがスポンサーに?(多分違う)
■「オッドタクシー」肋家竹一(既刊3巻)
今年放送された ”謎アニメ” のコミカライズ版ですが、アニメ版とは微妙に解釈違いな部分もあったりして新鮮に楽しめます
ちなみに2021年最大のダークホース作と呼ばれたアニメ版はアマプラとかで見られますので、機会があればなんの予備知識もないままに是非とも見て貰いたい作品です
■「逃げ上手の若君」松井優征(既刊3巻)
「暗殺教室」作者の新作ですが、時代劇の題材として(戦国や江戸でなく)マイナーな鎌倉から室町にかけての設定でも勝算はある、大ヒットさせてみせるという自信が伝わってくる面白さでした
■「菌と鉄」片山あやか(既刊1巻)
主人公が ”徹底した管理社会” に抗い、”世界の謎” に挑むというフォーマットはちょうど最新作が公開されてる「マトリックス」シリーズなんかにも通じる定番のSFネタなので、後は設定や演出でいかに独自性を出せるかが勝負所なわけですが、”菌類” をベースにしてる世界観は興味深いです
■「地球から来たエイリアン」有馬慎太郎(既刊2巻)
エコを取るのかエゴを取るのか、遠い未来の遙か彼方の植民惑星の開発に纏わるSF生態系ミステリーで、「動物のお医者さん」を彷彿とさせる濃いキャラ達によるアカデミックなコメディ要素と、SFならではのミクロからマクロなスケールまで発想の柔軟さがとても面白いです
■「羽人」宮尾行巳(既刊2巻)
中華系のファンタジーにはあまり馴染みがありませんが(最近だと「薬屋のひとりごと」くらいか)、権力闘争や ”不死身伝説” をモチーフにしたドロドロの展開は非常に重いですが、軽妙なやり取りも多くて結構笑えたりもします
ちなみに同作者の「五佰年BOX」が好きで今作も買ったんですが、「羽人」の前にゴラクで連載していたのを知らなかったです(不覚)……そっちも面白そうなので後で買おうと思います
■「スノウボールアース」辻次夕日郎(既刊2巻)
庵野秀明の帯コメントをきっかけに購入したんですが、”「トップをねらえ」のもう一つの世界線” みたいなのが裏テーマとしてありそうな作風ですな……おっさん読者としては一部の ”少年マンガ” なノリがちょっとキツい部分もありますが、これくらいなら ”燃え” の方が上回るッ!( ゚∀゚)o彡゚
■「かけあうつきひ」福井セイ(既刊2巻)
漫才師コンビとしては駆け出しどころかまだデビューもしてない養成所の卵レベルの二人で、作中の描写もネタそのものよりも ”萌え” 日常系に分類されるカンジですが、”応援したくなる二人” はキッチリ表現されてると思います
作者の前作「ゆこさえ戦えば」が残念な終わり方をしてしまったので今作では是非とも ”4巻越え” を達成して欲しい所なんですが…
■「錬金術無人島サヴァイブ」原作:伊口紺 漫画:保志レンジ(既刊1巻)
無人島でサバイバルする上で ”錬金術” が使えるってのはチートすぎじゃね?と思わせつつ、ちゃんとした ”知識” や ”経験” がないと生かせないという設定が実に巧みで面白いです
■「殺し屋やめたい!」外木寸(既刊1巻)
”女殺し屋と女子学生の恋人同士にその父親が絡んでくる一種の三角関係”…という風に書くとタイトルからしてもゆるゆるなコメディみたいなんですが、設定やアクションは骨太なハード系で、押井守が帯コメントを寄せているのは伊達ではありません
■「魔王の帰還」原作:一穂ミチ 漫画:嵐山のり(全1巻)
オレが考えるアフタヌーン掲載作の典型というか理想形というか、”人間” の弱さや強さの機微が独特のタッチで描写される中でとにかく ”魔王” ことお姉さんのキャラが素晴らしすぎます……原作小説がある作品ですがマンガ好きなら必読です
■「ダーウィンクラブ」朱戸アオ(既刊1巻)
「リウー」や「インハンド」にしても公務員の描写にこだわりがあった風なのでこの作者の新作が刑事物というのも納得です……あと押井守に帯コメント貰うなら上の「殺し屋やめたい」もいいんですが、是非本作の方も
革命志向、テロ、認知不全、犬(ビーグルですが)等々、結構な押井フォロワーな気がしてなりません
■「はじめラブコメ オガベベ」おきらくボーイ(既刊1巻)
一部のキャラ造形やパロディに一切の躊躇が無い作風に80年代にタイムスリップした感が凄いんですがw、ラブコメの処理は流石に現代の手法で面白いです
■「片喰と黄金」北野詠一(既刊6巻)
オレにとっての今年一番の ”オススメ作” なんですが、実はこの作品は打ち切り寸前だったというか、実際には打ち切りが ”決定” してた作品でした……元々の掲載誌は集英社のウルジャンで、単行本の6巻が発売されるタイミングでの連載終了が決定していたのを、講談社の配信サイトであるDAYSに移籍するカタチで継続されることになったというかなり特殊な経歴となっています
19世紀半ば、大飢饉に見舞われたアイルランドから ”新大陸” に渡る主人公達が目指すのは ”黄金” による一攫千金……ゴールドラッシュには ”ならず者” や ”荒くれ者” の負のイメージが大きいのは作中でもツッコまれますが、主人公にはどうしてもそれを目指したい悲惨な境遇や悲壮な覚悟があって、応援したくてたまらなくなるんですよ…(ノД`)
オレは移籍を機に読み始めて、尋常じゃ無い面白さと圧巻の ”人間描写” に何度涙を流したことかわからないレベルで感動したんですが、出版社の垣根を越えてまでの連載継続に、”絶対にここで終わらせるな”っていう強い意志を持った人たちが現場で踏ん張ったんだろうなと今更ながら感謝の念に堪えません
DAYSで ”7巻分” が既に何話か更新されていますが、本来ならこのエピソードは読めなかったんだよなと思いながら読むと感慨深さもひとしおです…(T△T)
※ここからの一連の作品は ”今年、一巻から買い始めたマンガ” というカテゴリではありません……何度か挙げている講談社の配信サイトDAYSにて出張形式で連載され、続きは掲載本誌か単行本で!という作品を中途から買い始めたものだからです
いわゆる ”異世界転生もの” というジャンルについては、なろう系って要するに素人作品ってことでしょとか、どうせ粗製濫造なんでしょとか偏見に塗れて手に取りもしなかったんですが(好きな方にはホントすみません)、実際に読んでみたら意外な視点や発想が楽しくてハマってしまったのもいくつかあったという次第です
■「よくわからないけれど異世界に転生していたようです」原作:あし 漫画:内々けやき(既刊9巻)
作画の人が元々エロ系の人とあって絵柄から読み始めたんですが(←正直者)、特殊能力と前世知識で存分にチートする割には目的はひっそりと生きることであったり、スケール的な拡大傾向をほとんど見せずに進んでいくのが(他もイロイロと読んでみた上では)結構珍しいパターンなんですかね……あとエロ要素は思ってたよりも全然控えめですが可愛いから良し
■「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」原作:FUNA 漫画:モトエ恵介(既刊9巻)
こちらは不可逆的な転生ではなく異世界と現世を自在に行き来するパターンで、事故で家族を喪い天涯孤独となった主人公が求めるのは ”老後の安泰” という設定に意表を突かれましたw……基本的な指標が ”お金儲け” なので、様々なパターンの ”経済活動” を現世の知識や技術を駆使していくのが退屈させられなくて楽しいです
■「ポーション頼みで生き延びます!」原作:FUNA 漫画:九重ヒビキ(既刊9巻)
「老後~」と同じ原作者なので登場人物たちの基本的な ”価値観” みたいなのが共有されてる感覚がありますな……”ポーション” と定義すれば内容物も容器もいくらでも改変が可能という能力設定が便利すぎるきらいはありますが、常識的な ”価値観” のおかげでそれなりに波瀾万丈な面白さがあります
■「ライドンキング」馬場康誌(既刊7巻)
プーチンをモデルにした最強の大統領が異世界で ”騎乗” 欲を存分に満たそうとするという意味不明な設定ですがw、絵が「ベルセルク」系で緻密で上手いのでとにかく謎の説得力に納得させられるしかありません
■「聖者無双」原作:ブロッコリーライオン 漫画:秋風緋色(既刊8巻)
”聖職者” という身分、”ヒーラー” としての役割、そして(何故か)どんなに鍛えても ”レベル1” のまま、といった要素が独特の面白さを醸し出してます……一昔前の少女マンガ風のタッチが気にならないと言えばウソになりますが、物語のスケールが段々大きくなってきて主人公の行く末が気になります
■「時間停止勇者」光永康則(既刊7巻)
究極ともいえるチート能力ですが、”時間を停止させる” ことしか出来なくて、一応簡単な魔法みたいなのも扱えるんですが、身体能力的には常人でしかないってのがミソです……例えば大型のボスキャラみたいな敵の弱点を攻撃する為に、時間を止めて何をするかと言えば大がかりな足場を(独力で)何ヶ月もかけて構築しなければならないみたいな不便さがホントに大変そうで…w
ハッキリ言って命がけの苦労に見合わないクエストばかりさせられるんですが、主人公は時間を止めてる間に女の子の服を脱がせてセクハラしまくったりして対価?を得ている事でバランスをとっています(とれてるのかどうかはともかくw)
■「異世界のんびり農家」原作:内藤 騎之介 漫画:剣康之(既刊8巻)
こちらはDAYSではなくKADOKAWA系で、異世界モノへの偏見もほとんどなくなりましたし、セールにつられて購入してみました
”転スラ” はアニメ版を見続けてるので、どういった要素が何が今の若い読者にウケているのかはなんとなく把握してるつもりですが、今作はまるで業務日誌かのように日常が淡々と描写されるだけなので、自分でも何が面白いのかよくわからなかったんですが、次々と続刊をポチり続けてしまう謎の魅力がありますw
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■「ベルセルク」三浦建太郎(既刊41巻)
今年も芸能界やら含めて哀しいニュースがいくつもあった中でどうしても触れておきたいのが三浦建太郎の訃報です(漫画家では他にさいとうたかを、白土三平、佐伯かよの、アニメ界では大塚康生、信本敬子なんかも……ご冥福をお祈りします)
昼も夜もない執筆生活で、漫画家には ”60歳寿命説” なんてのがまことしやかに囁かれる程の過酷な商売ですが、それにしたって54歳は若すぎですよね…
実は41巻を買ってからまだ読んで(読めて)ないんですが、これが最終巻となってしまうのを認めたくありません…(T△T)
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