小学館から新たな単行本ブランドとして”裏サンコミックス”の第一弾が発売されましたが、画像はその内の「ゼクレアトル 神マンガ戦記」という作品です
原作:戸塚たくす、作画:阿久井真と一般的な知名度がほぼゼロの新人作家による作品ですが、このマンガが連載されているのも紙媒体の雑誌ではなくて、「裏サンデー」というウェブサイトです
今年の4月にサイトがオープンして以来、「裏サンデー」ではすべての漫画を無料で(最新話だけとかではなく一話目から)全話公開しているんですが、これが専用ビューアのインストールなんかも一切不要で、ファイルもただのjpeg画像なので、ダウンロードしたい人はいとも簡単に”右クリック→画像の保存”で手元に落とすことが出来ちゃうくらいシンプルなサイトなんですよ
「裏サンデー」という名の如く、小学館の内部でもゲリラ的に発足されたサイトなのだそうですが(詳しくはこちらのスタッフインタビュー記事にて)、作品内容が既存の少年誌ではタブー視されるような題材でも積極的に取り入れたり、読者からの人気投票数を赤裸々にランキングに反映させたり(投票は一日に一票のみ可能)、感想コメントもそのまま何の修正もなく公式に掲載されたりといった大胆な編集方針が奏功して、僅か半年余りでウェブマンガ界のトップにまでアクセス数が伸びているのだそうです
そんな大人気サイトに成長したらしい「裏サンデー」ですが、現在「SAVE THE てりぶる…じゃなくてw、「SAVE THE 裏サンデー」というキャンペーンを張っていまして、要するに”単行本が売れてくれないと「裏サンデー」廃止の危機!”という訴えなんですが、広告なんかも一切入れずにやってるみたいなのでそりゃそうなりますわな(;´∀`)
元々、マンガというのは紙の雑誌の方も(少年ジャンプを例外として)実は赤字商売なのが当たり前で、”雑誌は単行本を売る為の宣伝媒体”としての存在意義でしかなくて、利益を出すには単行本に頼るしか無い~というのが昔からのビジネスモデルだと言われてます……なので、その”宣伝”にはなるべくコストをかけずに(印刷や流通や販売の手間、サイトの意匠やセキュリティなどの手間にお金をかけずに)、純粋に作品のクオリティと単行本の利益のみを追及した方が話が早いのではないかというのが「裏サンデー」の設立趣旨なのだと思われますが、オレ個人としては、一番肝心のマンガとしてのクオリティについては一定の水準の作品を取り揃えていると感じています(絵の上手い下手はあります勿論)
実際にアクセス数で日本一になってるっていう事はそれぞれの作品に着実にファンがついている事が数字で実証されているとも言えるでしょう……ただ「裏サンデー」は無料といえども、そこに掲載されている作品はプロの編集者が正規の仕事として作家たちと作り上げているので当たり前ですが、どこかで彼らに”報酬”が支払われないといけません
果たして、ウェブで全話が無料公開されているモノを、わざわざ単行本で買ってくれる人がどれだけいるのか?……単行本を手元に持っておきたいファン心理についてはオレ自身、かつては数千冊のマンガに埋もれて生活していたくらいなので(苦笑)よく理解出来るつもりですが、もう時代が変わったのかなあという想いも現実としてあるんですよ(-_-;)
オレとしては「ゼクレアトル」「ケンガンアシュラ」「ヒト喰イ」「世界鬼」辺りがお気に入りなので応援して行きたいし、作家さん達には存分に完結まで描ききって貰いたいと思ってますが、嗜好が細分化されて売れる作品と売れない作品の両極化が進みまくってる今、世のマンガ好きの方々の審判はどうなりますかねえ(´・ω・`)
そんな中で今回オレも購入した「ゼクレアトル」は、とにかくマンガ読者の常識を上手く逆手に取ってるというか、一番見事に「裏サンデー」という媒体を利用して作品世界を構築しているように感じられます……ネタバレは避けたいのでとにかく読んでみてくれとしか言えませんが、この半年余り、ずっと「裏サンデー」で読んできた行為そのものが面白さに繋がっている感覚はちょっと他のマンガでは味わったことのない斬新さだと思いますので、最新話(単行本2冊分が丁度終わったくらい)に今から是非とも追いついて、これからも同様の面白さを一緒に味わいましょう
そしてこの楽しみをこれからも存続させる為には単行本が一定以上売れてくれないと困るわけですが、なんか一昔前にテレビで、アイドルとかがCDの売上枚数で解散だの引退だのを言い渡されていたのを思い出しますな(;´∀`)……作者でも関係者でもないオレが言うのもなんですが、”読者”としてこれからも楽しむ為にもよければ是非ご協力下さい(とりあえず「ゼクレアトル」の単行本では販促として特典マンガが20ページ描き下ろされてますが、結構衝撃的な設定がw)
マンガ好きのあなたが何かお気に入りの作品に出会えることを祈って
130318追記:
「ゼクレアトル」について
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