杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

小川山・烏帽子岩左稜線 2011.10.9

2011-10-10 17:42:22 | ガイド山行記録

 この連休はとてもいい天気に恵まれ、絶好のクライミング日和でしたね。

 私達もこの日和を利用し、小川山に行ってきました。今回の最大の目玉は烏帽子岩の左稜線です。去年はケガのためクライミングが出来なかったので、このルートにはちょっと出遅れた感じの私でしたが、今期は待ちに待ったガイド山行でのクライミングでした。

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 まずは8日に小川山に入り、八幡沢の周辺で軽くウォーミングアップ。翌日に備えました。しかしこの日も良い天気でしたねー。翌日のクライミングの成功を、約束してくれているみたいでした。

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 そして翌日の9日、6時50分ごろにキャンプ場の駐車場を出発。西股沢を渡り、一路烏帽子岩を目指しました。

 取り付きに着いたのは7時30分少し前。まだ誰もいない取り付きは、日の光もまだ差してはおらず、シーンと静まり返っていました。急ぎ準備を整え登攀開始7時45分。この頃続々と後続パーティーが押し寄せてくるではありませんか。いやー一番でよかった!

 まずは下部岩壁帯を4ピッチ、忠実にトポ通りクライミング。まだ日の差さない左稜線は少し肌寒く、暗い感じでしたが、フリクションはバッチリ。途中岩が脆い部分もありましたが、私もお客さんも快適に高度を稼ぎました。

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 5ピッチ目の岩稜からは、一部ショートロープを交えてのクライミング。小ピナクル群やブッシュ、そしてアップダウンのあるルートの特性を考え、ピッチを短く切りながら快調に飛ばして行きました。また後続パーティーに追いまくられるのもいやなので、少し間を空けてやろうという意図もありました。おかげで途中からはお客さんと私の2人旅。途中、日の当たってきたあたりで一休みも交え、快晴の天気の中、マイペースでクライミングを楽しむことが出来ました。

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 さていよいよ左稜線のクライミングも大詰め。L字型のリッジを越えると上部の核心部に突入です!まずは13P目のハンドクラック。とても美しくサイズも私にぴったりなので、快適に超えて行くことができました。その後は、三ノ盾からの20mの懸垂と岩峰の通過、さらに10mの短い懸垂をこなし、いよいよこのルー途中最大の核心部、五ノ盾に至るチムニーのクライミングです。

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 さすがにザックを背負ったままでは大変そうなので、ザックは後で荷揚げするとして、カラ荷になっていざ登攀!最初の2~3歩は少し戸惑いながらでしたが、出だしのチョックストーンにキャメの0.5番を決めてからは、バック&フットを決め、リズム良くずりずりと這い上がっていきました。気がつけばキャメの0.5ははるか下。落ちたらまた大怪我間違いなし!!上部のハーケンの手前にもキャメ3を入れ、後は狭くなってきたチムニーに何とか挟まりながら、無事にトップまで上りきりました。 お客さんも、ここはさすがに苦労したらしく、上りきったときには満面の笑みをこぼしていました。

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 ここまで一度も抜かれることなく、一番に到着。12時40分登攀終了。誰もいない静かな五ノ盾で、40分以上ものんびり今日のクライミングの余韻に浸ることができました。

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 今回のお客さんも、この日の快晴と、このロケーションのよさに大満足。また高差500m、ピッチ数20ピッチのクライミングが出来たことにとても喜んでおられました。

 後は昨日のブログに掲載したとおり。2時30分には宿に戻り、露天風呂でひとっ風呂浴びた後、生ビールで祝杯。のんびりと今日のクライミング談義に花を咲かせたのでありました。

 いやー、今回も会心の一撃。お客さんに喜んでいただけたことは、私の喜びでもあり、ガイド冥利に尽きるというか、ガイドしていて良かったなーと思うひと時です。今後もクライミング、登山、ハイキングを問わず、このようなガイドを重ねていきたいものです。