結果:284手まで山下道吾本因坊の白番4目半勝ち
既報の通り、第7局は山下本因坊の白番4目半勝ちとなり、4勝3敗で防衛となりました。
第6局に続いて大激戦となった第7局を振り返りたいと思います。
封じ手はG9ハネでした。一番石の張った手ですね。
山下本因坊の攻めっ気100%の手。中央の黒への攻めに期待した手ですね。
これはいかにも羽根九段らしい手です。地を取ったということもあるんでしょうが、弱い石を無くして厚い手と思います。
この手も隅の地を取ったのと、33打ち込みから逆に黒石が攻められるのを防いだ大きい手ですね。ただし中央の黒がどうなるか・・・。
当然読み切りなのでしょうが、このツケコシがうまい手で黒ぴったりしのぎました。この局面では毎日や幽玄の間の解説でも「白の攻めは空振り」「黒良し」との評判でした。
この手が山下本因坊、渾身の勝負手。
これに対して黒は飛びましたが、左辺を受けるなどもう少し安全な打ち方では駄目だったんでしょうか?
羽根九段は緩まず最強手をどんどん繰り出します。幽玄の間の解説では「黒はあとはどう決めるかだけ」「このオキが厳しく白に良い図ができない」との評。
実戦は1と押しましたが、終局後羽根九段は真っ先にAと打つべきだったと感想を述べました。ただしそれで黒が良いのかどうかは詳しく検討しないとわからないとのことでした。
黒の大石はなんとか生きましたが、左下の黒石が全滅しては勝負ありです。
今期の本因坊戦を振り返ると、山下本因坊が3連勝した時は”これは終わっちゃったかなあ”と思っていました。羽根九段は山下本因坊とは対戦成績も悪いので。しかし第4局の半目勝ちから流れが変わり、第6局の羽根九段会心の打ち回しで成績をタイに持ち込んだ時は、流れからしてこれは羽根九段の本因坊奪取だろうと予想していました。事実第7局の1日目では黒が打ちやすい局面で、対局後山下・羽根両対局者もそれを認めていました。ところが終盤の山下本因坊の勝負手に対し、羽根九段は1歩も引かず最強手で応じ、結果的にこのことが負けにつながってしまいました。
今期の本因坊戦は歴史に残る屈指のシリーズだったと思います。
羽根九段は棋聖リーグや碁聖戦第3局などこれからも重要対局が続きます。どっと疲れが出て負けが続く可能性も十分あるでしょう。ここは踏ん張りどころだと思います。持ち前の精神力で頑張ってほしいですね。