今日は7月25日に行われた棋聖戦リーグの羽根九段対瀬戸七段の対局を振り返ってみたいと思います。
この碁は羽根九段の落ち着きすぎともいえる打ち回しが特徴で、非常に興味深いものでした。
この碁のキーワードは「一間飛び」です。
中盤から終盤にかけて、羽根九段が一歩一歩、じわりじわりと追い詰める様子を是非堪能していただきたいです。
黒番:瀬戸大樹七段 白番:羽根直樹九段
結果:216手まで白番羽根直樹九段の中押し勝ち
平明な布石でスタート。羽根九段のこのツケは比較的珍しいのではないでしょうか?
私はよく打ちますが^^。
ここまでの上辺のワカレはどうなんでしょうか?黒が厚くて不満がないように見えるのですが。白としてはF18にハネたいところではないのかなあ・・・
一間飛びその1。(実はD14とかK17も一間飛びなんですが省きました。)D4の出を緩和し中央に頭を出した手ですね。
一間飛びその2。みなさんこの局面をみてどう思われるでしょうか?私ははっきり黒優勢だと思いました。白はそれほど地があるわけではない上に黒に弱い石がないからです。
一間飛びその3。着実に一歩一歩。
一間飛びその4。Q7の出切りを緩和し、一歩一歩。
一間飛びその5。一応右上黒の分断・薄みを狙って一歩一歩。
一間飛びその6。一歩一歩、一歩一歩。ちなみに上辺から右上のワカレはちょっと黒が騙されたんじゃないかと思います。上辺の白はなんだか頼りない格好をしていますが、これは意外にカライんじゃないでしょうか?代わりに黒は白3子を取り込みましたが、得していないと思います。白N12の顔が立った感じです。
一間飛びその7。白石の整形と黒地の削減を兼ねて。
一間飛びその8。着実に。
一間飛びその9。トドメの一間飛び。
気が付けば盤面で良い勝負くらいのようです。面白い碁を見せてもらいました。
これで羽根九段は土付かずの3連勝。順位が3位なのでまだまだ安全圏とはいえませんが、次の河野九段戦がポイントとなりそうです。もしここで勝って山下本因坊が井山名人に負けると、最終局を待たずして羽根九段の挑戦者決定戦進出が決まります。頑張ってほしいですね。
それでは今日はこの辺で。