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テレビを持たず、ラジオを聞きながら新聞を読んでます

温室効果ガス削減の目標数値を「違憲」にしたドイツの覚悟を見よ!

2021-05-22 | いろいろ


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温室効果ガス削減の目標数値を「違憲」にしたドイツの覚悟を見よ!


『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、菅政権の目玉政策となったグリーン政策について、ドイツの事例を参考にすべきと指摘する。

(この記事は、5月17日発売の『週刊プレイボーイ22号』に掲載されたものです)

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 2030年の温室効果ガス排出量について、13年比で「46%の削減」を目指すと菅首相がぶち上げたのは4月末のこと。

 これまでの政府目標「26%の削減」から大幅な積み増しで、50年までに排出量実質ゼロを達成するという「カーボンニュートラル」とともに、グリーン社会の実現で経済成長を図るとする菅政権の目玉政策となった。

 ただし、その中身はスカスカだ。46%という数値の根拠を問われた小泉進次郎環境相が「おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が」と答えたエピソードが象徴するように、達成までの道筋や手立ては曖昧(あいまい)で、専門家からはその本気度を疑問視する声が絶えない。

 そもそも、昨年10月の所信表明演説で打ち出された「カーボンニュートラル」そのものが唐突感に満ちたものだった。それまで菅首相が強調していた成長戦略はデジタル庁設置やハンコ廃止や携帯電話の料金値下げなど、デジタルまわりのことばかりで、グリーン関連への言及は皆無だった。

 しかし、米中やEUが争うようにグリーン戦略を打ち出し、その将来投資総額は3000兆円を超えるともいわれる。このままでは世界に後れを取ると焦った菅首相が急ごしらえで所信表明に盛り込んだのだ。

 それゆえ、菅首相にはグリーン政策の哲学が欠けている。グリーン政策は単に温暖化ガスを減らすことだけが目的ではない。グリーン社会を構築する過程で、現代社会が抱えるさまざまな課題を同時に解決できるという哲学が根底にある。しかし、菅首相にはこの哲学がないため、打ち出すグリーン政策も場当たり的で意味不明なものになるのだ。

 そこで、参考にしたいのがドイツの事例だ。もともと同国は国民的な議論を積み重ね、30年に温室効果ガス55%削減、50年にカーボンニュートラル達成という高い目標を打ち出していた。ところが今、それさえ十分でないと仕切り直しへと動いている。

 その動きを大きく加速させたのが、今年4月末に示されたドイツ連邦憲法裁判所の判決である。50年のカーボンニュートラル実現のためには、30年に55%削減を目標とするのでは不十分であり、人間生活のあらゆる局面で発生する温室効果ガスの削減について、若い世代に大きな負担を強いることになるとして「未来世代の基本権侵害」と判断したのだ。

 これを受けてドイツ政府は目標を取り下げたか? 違う。逆に55%削減の達成を45年に前倒ししたのだ。さらに、30年65%、40年88%削減という、従来よりもさらに高い具体的目標値を盛り込んだ気候変動法が議会に提出される予定だ。

 注目すべきはこの野心的な新プランを多くのドイツ国民が前向きに評価し、協力の姿勢を見せていることだ。政治リーダーが気候変動対策について哲学を語り、熟議を通じてその未来図や到達までの道筋をしっかりと国民が理解していないと、こうした動きは起きない。

 哲学に裏打ちされ、達成までのシナリオが具体的に示されているドイツと、場当たり的で見栄えのよい数字だけを掲げて自己満足の日本。グリーン戦略でどちらが勝者になるかはもはや言うまでもないだろう。

 残された時間は少ない。ドイツに学び、中身のあるグリーン政策を今こそ、国民自らの手で作るべきだ。

古賀茂明(こが・しげあき) 
  1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。最新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)が発売中。
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二階幹事長が「他山の石」と言った資金提供疑惑は安倍前総理と菅総理に疑惑の目を向けさせる

2021-05-22 | いろいろ


ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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二階幹事長が「他山の石」と言った資金提供疑惑は安倍前総理と菅総理に疑惑の目を向けさせる

 

 昨年の参議院広島選挙区の大規模買収事件を巡り、河井克之・案里夫妻側に1億5千万円の資金が自民党本部から提供されていた問題で、自民党の二階幹事長は17日と18日の両日にわたり記者会見で自らの関与を否定した。

 17日には「私は関係していない。関係していないから関係ないというのではなく、その事態をはっきりしておくために言っただけのことだ」と言い、18日には「党全般の責任が私にあるのは当然だが、収入、支出の最終判断をしており、個別の選挙区の選挙戦略や支援方針はそれぞれ担当において行っている」と重ねて関与を否定した。

 一方、17日の会見に同席した林幹雄幹事長代理は、「実質的に当時の選挙対策委員長が広島を担当していた」と解説し、安倍前総理の盟友である甘利明選挙対策委員長(当時)の関与をほのめかした。

 これに対し甘利氏は18日、「1ミリも、正確に言えば1ミクロンも関わっていない。関与していない以前に、党から給付された事実を知らない。これがすべてだ」と記者団に語り、林幹事長代理は「いろいろと幹事長も発言しているのだから、根掘り葉掘り、あまり党の内部のことまで踏み込まないでもらいたい」と記者団の質問を遮った。

 林幹事長代理は質問を遮ったが、そもそも問題に火をつけたのは二階幹事長サイドであり、質問を遮れば火の勢いが増すことを知っているのも幹事長サイドである。フーテンはいよいよ二階幹事長が政局の布石を打ち始めたように思った。

 フーテンは以前のブログで、二階幹事長が買収事件を「他山の石」と表現したのを野党やメディアが「他人事みたいに言うな」と批判したことを批判した。二階幹事長は自分の知らないところで行われ、安倍前総理や菅総理の責任に目を向けさせようとしたのだと書いたが、その通りだった。

 またフーテンは、4月25日の国政選挙自民全敗を受けて「5月は政局の予感」と書いた。政局の主役は菅総理と安倍前総理、そして二階幹事長である。そのトライアングルが新型コロナウイルスとワクチン接種の状況を見ながら、東京五輪開催を巡って綱引きを繰り広げ、それによって解散総選挙の時期も決まってくると書いた。

 自民全敗の選挙結果を受けて最初に動き出したのは安倍前総理だ。以前から予定されていた事ではあるだろうが、5月3日の憲法記念日に便乗し、BSフジのテレビ番組に総理辞任後初めて生出演し、翌4日の産経新聞には国際政治学者との対談が1面すべてを使って掲載された。

 それをメディアは国政選挙全敗によって菅総理の求心力が低下し、代わって安倍前総理が勢いづき、再々登板への意欲を示していると解説したが、フーテンはそうは思わない。

 河井案里氏の当選無効を受けて行われた参議院広島選挙区の再選挙で、そこが自民党宏池会の牙城であるのに自民党が敗北したことは、菅総理ではなく自民党広島県連会長で宏池会会長でもある岸田文雄氏を痛撃した。

 この敗北で岸田氏は9月の自民党総裁選に立候補できるかどうかが分からなくなった。菅総理に対する牽制のカードとして岸田氏を温存しておきたい安倍前総理にとっても、この敗北は痛手だった。3日のテレビ番組で安倍前総理は、菅総理の続投を支持せざるを得なかった。

 一方の菅総理や二階幹事長にとって、広島での自民党敗北は当面の政敵である岸田氏の凋落を意味するからむしろ好都合だった。菅総理は敗北を織り込み済みだったし、二階幹事長は敗北を機に広島選出で宏池会所属の自民党議員を切り崩し、二階派に入れる計略を練っていたと言われる。

 追い込まれた岸田氏は、何とか窮地を脱する道を探さざるを得ない。宏池会だけでなく派閥横断の勉強会を作り、菅政権に対抗する姿勢を示して9月の総裁選に備えようとしている。岸田氏に完全に潰れてもらっては困る安倍前総理も秘かに支援に回るのではないかと見られる。

 広島選挙区で自民党が敗れた原因は何と言っても「政治とカネ」の問題だった。岸田氏は12日に自民党本部に二階幹事長を訪ね、選挙敗北の原因になった1億5千万円の資金提供について国民に説明するよう求めた。

 それに対する回答が17,18両日の二階幹事長の発言なのかもしれない。まずは幹事長の知らないところで資金が提供されたという話を明らかにした。しかし1億5千万円もの大金が幹事長の知らないところで支出されることがあり得るのだろうか。誰しもが疑問に思う話である。それを二階幹事長はあえて明らかにした。

 そして林幹事長代理が安倍前総理の盟友である甘利明氏の関与をほのめかす。しかし甘利氏は関与を全否定し、資金提供など全く知らないと言い張る。まるで芥川龍之介の小説「藪の中」の世界だ。誰かが嘘をついている。誰が嘘をついているのか。そう思わせる目的で二階幹事長は一石を投じたように思う。

 自民党の資金を差配するのは幹事長の役目である。その幹事長が知らないと言うのだから、特別のことが起きたということだ。考えられるのは幹事長より偉い人が幹事長に知られないように支出したのである。幹事長より偉い人は自民党総裁しかいない。安倍前総理のことになる。

 ・・・・・。

 


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在宅勤務で目の疲れに悩む現代人...

2021-05-21 | いろいろ


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在宅勤務で目の疲れに悩む現代人...
  ブルーライトだけじゃないリスク要因

FOR YOUR EYES ONLY

マデレン・デュシャーム


<在宅勤務拡大でPC用メガネに注目が集まるが、パソコンの光から目を守る方法はほかにもある>  

 そのメガネじゃ駄目──。最近インスタグラムにログインしたとき表示された広告は、そう告げているようだった。

 私は視力がひどく悪いため、医者の処方箋に基づき調整されたメガネがなければ、15センチ以上離れたものはまともに見えない。

 でも、その広告(やたらとしょっちゅう表示される)は、目の前のものを見えるようにするだけでは駄目だと言う。パソコンやスマートフォンの「ブルーライト」からも目を守ってくれるメガネを着用するべきだというのだ。

 インスタグラムだけではない。NBCテレビの朝の情報番組『トゥデー』の公式ホームページには、パソコン用メガネを推奨する記事が、この半年間で少なくとも8件も掲載された。CNNは「リモートワークの新たな必需品」だとまで言う。

 

画面を見つめる時間はますます長く  

 かねてからソーシャルメディアやビデオゲーム、そしてネットフリックスなどの動画ストリーミング配信の拡大で、大人も子供もスマホやタブレット型端末を見つめる時間は長くなる一方だった。

 そこに新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)がやって来て、仕事の会議も、学校の授業も、プライベートな交流や娯楽もオンラインに移行し、私たちがパソコンやスマホを眺める時間はますます長くなっていった。

 だから、こうしたデバイスが発する青い光を特別なメガネでブロックして、目の疲れを緩和し、視力低下や頭痛を防ぎ、睡眠の質を改善するべきだ、というわけだ。

 確かに私自身、仕事で深夜までパソコンとにらめっこをしなければならない日が続いたときは、知らず知らずのうちに疲れた目を何度もこすっていることがある。

 無理もない、と専門家は言う。紙に印刷された文字と違って、「コンピューターやスマホ画面に表示される文字は、輪郭がはっきりしていないことが多い」と、アメリカ検眼協会(AOA)のウィリアム・レイノルズ会長は指摘する。「画面のグレア(光沢)や反射も、視聴を難しくする可能性がある」

 ここで注意してほしいのは、レイノルズは、特段ブルーライトが目の疲れの原因だとは言っていないことだ。むしろパソコンやスマホを長時間見続けているとよく起こる症状は、ドライアイだ。ただ、これは画面の明るさと関係しているとはいえ、やはりブルーライトという特別な種類の光が原因ではないようだ。

 全米眼科学アカデミー(AAO)は、ドライアイの最大の原因は、画面を見つめ続けることによる、まばたきの回数の減少だとしている。一般に、人は1分間に15回まばたきをするが、画面を見ているときは5〜7回になるという。従ってドライアイを防止するためには、意識的にまばたきをするよう心掛けるか、人工の涙(つまり目薬)を差すのが有効なようだ。

 また、画面に目が近過ぎると、まばたきの回数は一段と減る可能性がある。コロナ禍を機に自宅にホームオフィスを設置しようという人は、自分と画面との間に50〜66センチの距離ができるようなデザインにすることが望ましい。

 定期的に画面から目を離す時間をつくることも重要だと、専門家は言う。ハーバード大学医科大学院のニメシュ・パテル講師(眼科学)は、意識的にコンピューターの前から離れて、至近距離に目の焦点を当てなくてもいい作業をする時間をつくることを推奨する。

 「仕事が押していて、そんなの無理」という人には、「20・20・20のルール」を実践することをAOAのレイノルズは奨励する。「20分おきに、20フィート(約6メートル)離れた場所を、20秒間見る」習慣だ。

 

目が疲れる本当の理由  

 それさえも厄介だという人には、確かにパソコン用メガネをかけるのが楽かもしれない。ただ、メガネで一番重要なのは、ブルーライトをブロックするかどうかよりも、自分の視力に合ったメガネやコンタクトレンズを使っているかだ。パソコンやスマホで目が疲れているのは、ブルーライトではなく、視力そのものが悪化しているせいかもしれない。

 コロナ禍で、大病院に行くことだけでなく、歯科医や眼科医も敬遠する人が増えているが、目の疲れがひどいなら、先延ばしにしていた視力検査を受けるのもいいかもしれない。そして必要であれば、眼科医の処方箋どおりにメガネを調整してもらうことが、目の疲れを取る、より確実な方法かもしれない。

 実際、メーカーが唱える「目が疲れるのはブルーライトのせい」という説に、「強力な証拠はない」と、パテルは言う。ただし、ブルーライトを見る時間を減らすと、睡眠の質がよくなる可能性はある。

 応用心理学ジャーナルに最近掲載された論文によると、ブルーライトはメラトニンの分泌に影響を与えることが分かっているから、夜デバイスを使うときはそれをブロックすれば、眠りやすくなる可能性がある。

 ただ、「電子機器が睡眠や体内時計に与える悪影響のほとんどは、デバイスが発する光のせいではない」と、スタンフォード大学のジェイミー・ジーツァー准教授(睡眠医学)は語る。「本当に悪いのは、長時間にわたりユーザーを夢中にさせる(アプリやゲームの)仕組みだ」

 興味深いことに、こうした専門家の見解は、ネットを検索すればすぐに分かる。それなのにパソコン用メガネがこれほど話題になっているのはなぜなのか。

 「メガネは医療機器ではないため、米食品医薬品局(FDA)の規制を受けない」と、パテルは指摘する。「つまりメーカーは発売前に臨床試験で効果を証明する必要がない」。だから自由に効果を宣伝できるというわけだ。

 ということは、最近やたらと表示される「パソコン用メガネ」の宣伝は、一種のコロナ便乗商法と言えるのではないか。ちょっと意地悪な言い方かもしれないが、コロナ禍のストレスフルな生活を75 ドルでもっと快適にしてくれるなんて言うお気軽な宣伝には、そんな嫌みの一つも言いたくなる。
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菅政権にとっての「パンとサーカス」はどちらも河野太郎大臣?

2021-05-21 | いろいろ


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菅政権にとっての「パンとサーカス」はどちらも河野太郎大臣?  


『週刊プレイボーイ』で「挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが、新型コロナウイルスのワクチン接種推進を担当する河野太郎行革大臣について語る。

(この記事は、5月10日発売の『週刊プレイボーイ21号』に掲載されたものです)

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 開催か中止か。東京五輪をめぐる菅義偉首相と小池百合子東京都知事の政治的な駆け引きが注目されています。古代ローマ以来の政治を表した「パン(食料、経済)とサーカス(娯楽)」という言葉になぞらえれば、自民党政権にとっては五輪がまさに「サーカス」のはずだったのでしょうが、今や「政府はサーカス(五輪)のためにパン(飲食店の営業権など)を犠牲にしている」といった雰囲気まで広がり始める始末です。

 そんななか、ワクチン接種の推進を担当する河野太郎行革大臣が、ここにきてやたらと存在感を増しているように思います。

 日本は多くの先進諸国に比べてワクチン接種の進行が遅いですが、その原因は単一ではなく、縦割り行政、少しのトラブルやミスも許容しない国民性......などいくつも考えられます。いずれにせよ、誰もが完全に認める100点の方法などないのですから、欠点のあるチョイスを並べて、そのなかから何をどう組み合わせていくかを考える必要があるわけです。

 そうした複雑な状況下で、雄弁に接種計画の現状を語る河野大臣。僕が出演するテレビ番組に登場した際も、言えない点はうまくかわしながらも、質問から逃げているかのような言い方は決してせず、印象に残ったのは理路整然とした語り口でした。

 日本の政界では珍しく、アメリカの政治家基準のディベート能力を持った方だと思います。与野党間の「誰が感染拡大やワクチン遅れの"犯人"なのか」といった不毛な議論に飽き飽きした人々から支持を集めるのは自然なことかもしれません。

 河野氏は過去にも自民党に逆風が吹いた際、絶妙なポジションを取って注目されました。10年前の福島原発事故の後、原発推進派の自民党保守本流を批判し、反原発派の留飲を下げる言動を繰り返したのです。

 しかし周知のとおり、安倍政権で閣僚入りしてからはそうした発言をきっぱり自制。風が吹く方角を察知し、しっかり旗を立て、風がやむと静かに旗を降ろす――それを合理的な君子豹変と見るか、それとも風見鶏と見るかは人それぞれでしょう。

 ともあれ、仮にワクチン接種がうまくいけば、河野さんは危機的状況を救った英雄のひとりとなるでしょう。ワクチンは経済を元に戻す「パン」であると同時に、「あの惨状から巻き返した日本はやっぱりすごい」というナショナリズムをかき立てる「サーカス」にもなりえる存在です。

 1年以上にも及ぶ無為無策で国民に「自助」を押しつけたことも、五輪に異様に執着したことへの批判も押し流され、衆院選で高齢層からの"ワクチン感謝票"が自民党に集まることも容易に想像できます。

 そう考えると、自民党の新世代代表のような印象もある河野大臣ですが、実際のポジションは「体制維持のための"耐震補強工事"をハデにやる人」といったところでしょうか。ただ、変異株の流行で専門家からは「ワクチンだけでは安泰ではない」との指摘も出始めている。

 こうした意見や異論を「ツイッターでブロックする」ように黙殺し、後でこっそり軌道修正するのが河野大臣の得意技でしたが、今後はどうなるか。菅政権の十八番である「答えない」という選択とは別の対応ができれば、ヒーローへの花道はいよいよ整備されてくるのかもしれません。

 

モーリー・ロバートソン(Morley ROBERTSON)
  国際ジャーナリスト。1963年生まれ、米ニューヨーク出身。レギュラー出演中の『スッキリ』(日テレ系)、『報道ランナー』(関テレ)、『所さん!大変ですよ』(NHK総合)ほかメディア出演多数。NHK大河ドラマ『青天を衝け』にマシュー・ペリー役で出演し大きな話題に。
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 「エゴサーチ太郎」にはそんないい所はないよ。

 


「総辞職は時間の問題」という声も 虚ろな首相はもう限界

2021-05-20 | いろいろ


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「総辞職は時間の問題」という声も 虚ろな首相はもう限界  


 さすがに専門家たちもこれ以上、この政権の言いなりになっていたら、大変なことになると危機感を持ったのだろう。菅政権の“追認機関”になり下がっていた、新型コロナに関する「基本的対処方針分科会」が、14日ついに反旗を翻した。政府が用意した当初案にノーを突き付け、ひっくり返してみせた。

 政府は当初、北海道には「まん延防止等重点措置」の適用を継続し、新たに岡山と広島に「重点措置」を適用する方針だった。ところが、分科会のメンバーから異論が噴出。当初案が否定され、北海道、岡山、広島には、「重点措置」ではなく「緊急事態宣言」が適用されることになった。政府の諮問が分科会でひっくり返されるのは初めてのことだ。

  「分科会の反乱は、まったく予期せぬものでした。朝7時からスタートした会議の冒頭、コロナ担当の西村康稔大臣が政府案を説明しようとした途端、専門家が一斉に反発。日本医師会の釜萢常任理事が口火を切ると、『なぜ、北海道に緊急事態宣言を適用しないのか』の声が噴出した。分科会の尾身茂会長は、当初の諮問案でまとめようとしたが、異論が強すぎて抑えられなかったようです。西村大臣が退席し、菅総理と相談したうえで、政府案を撤回しています。“御用機関”だった分科会の反乱には衝撃が走っています」(政界関係者)

 分科会が反乱するのは当たり前だ。北海道も岡山も広島も感染拡大が止まらなくなっている。とくに北海道は13日、新規感染者が過去最多の712人も発生。いつ医療崩壊してもおかしくない状態である。「緊急宣言」を適用しない方が、どうかしている。

  「北海道について菅首相は、『重点措置の効果を見たい』などと悠長なことを言っていました。さすがに専門家は、あの一言に切れたのだと思う。今回決起した最大の理由は、菅首相に対する不信感でしょう。これだけ感染が広がり、大阪は医療崩壊しているのに現状を直視せず、現状を分かろうともしない菅首相の態度に堪忍袋の緒が切れたのだと思います」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 専門家は決起するのが遅すぎたくらいだ。

 

かつての宰相は物言う側近を重用した

 分科会がノーを突き付けるのも当然だ。もともと菅首相は中身のない空疎な男だが、最近は度を越している。言葉の軽さには国民ものけぞっているに違いない。

 13日に森田健作・前千葉県知事と官邸で昼食を共にした時の会話には呆れるしかない。

 「(五輪を)やるでしょ?」と聞かれると、菅は軽々しく「やるよ」と答えたという。

 この時期に不要不急の昼会食をやること自体が軽率だが、これほど新型コロナの感染が広がり、国民の多くが開催を不安視しているのに、よくもお気軽に「やるよ」と言えたものだ。この軽さは何なのか。

 「7月末までに終える予定」の高齢者へのワクチン接種を巡っても、間抜けぶりを露呈した。公明党の石井啓一幹事長との会談で「9月、10月までかかる自治体がある」と伝えられると「え、そんなに遅れるところあるの!」と驚いたというのだ。7月末に完了不能なのは大半の国民が分かっていることだ。なのに、初めて聞いたように驚くとは、国民の方こそビックリするというものだ。国民の多くが「バカか、こいつは」と思ったに違いない。

 菅はたたき上げを売り物にしているが、もはや正しい情報が入らない「裸の王様」になっているのではないか。政治評論家の森田実氏はこう言う。 

 「周囲に耳の痛いことを言う側近がいないと、権力者は世の中が見えなくなっていくものです。だから、かつての宰相はあえて厳しい意見を述べる人物を近くに置いた。池田勇人首相には大平正芳官房長官が厳しい意見をぶつけ続け、田中内閣でも、二階堂進官房長官が田中首相にしばしば詰め寄った。池田、田中両氏は側近の意見を聞いたからこそ、国民の思いに寄り添うことができたのです。しかし、菅首相は、進言する部下をドーカツし、意に沿わない官僚を閑職に飛ばしている。恐らく、いま周囲にいるのはゴマをすり、忖度する側近ばかりでしょう。マトモな情報が上がってくるわけがありません」

 


 周囲はトンデモ人物ばかり  

 実際、菅の周囲にいるのは“茶坊主”か常識外れの人物ばかりだ。

 最側近は“コネクト不倫疑惑”が騒がれた和泉洋人首相補佐官のうえ、官房副長官につけた子飼いの坂井学は、コロナ禍なのに官邸で昼食パーティーを開くような人物だ。さらに、首相が内閣官房参与に抜擢した高橋洋一氏は、コロナに感染して亡くなった人が1万人を超えているにもかかわらず、〈日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑〉とツイートするありさまだ。取り巻きがそんな輩ばかりでは「裸の王様」になるのも当然というものだ。

 「安倍前政権には曲がりなりにも、菅官房長官がいました。また、側近の今井尚哉・首相秘書官も安倍前首相に物申すこともあった。でも菅首相には、そうした人物がひとりもいない。それに安倍前首相は無知であることを自覚していたからか、それなりに専門家の意見にも耳を傾けていた。分科会の尾身会長の話も熱心に聞いていました。でも菅首相は人の話を聞かない。あれでは状況が見えなくなりますよ」(官邸事情通)

 前出の森田実氏はこう言う。

  「今回の緊急宣言適用には、知事たちから歓迎や評価するコメントが上がりました。いかに菅政権の当初案が地方の首長たちとズレているかが分かりました。分科会も全会一致で適用を了承した。政党に担がれて選挙に勝った知事や、専門家には、政府の意向に逆らわない“おとなしい”タイプが多い。ところが、さすがに現状の危機に声を上げざるを得なかったのでしょう。結局、危機感がないのは菅首相だけです」

 4月に内閣支持率が上がった際、菅は「俺も結構、人気があるんだ」と明るい表情で周囲に話したという。勘違いも甚だしい。

 

分科会が総辞職の引き金に

 もう、この男にコロナ対策を任せていたらダメだ。

 すでにコロナ死は1万人を突破。病床が空かないために、入院することもできずに亡くなる感染者も出ている。このままでは、どこまで犠牲者が増えるか分からない。

 菅政権の後手後手によって、とうとうインド株の市中感染まで見つかってしまった。あれだけ専門家が警告を発していたのに、水際対策を強化しなかったのだから、どうしようもない。

 どうして菅政権はこれほどまでに後手後手、失敗続きなのか。そもそも、本気でコロナと向き合っているのかも疑問だ。

 「恐らく菅首相は、いま日本が国家的な危機に直面しているという認識さえないのだと思う。大阪という大都市で1万人以上が入院できないのは異常なことですよ。分科会のメンバーが反旗を翻したのも、菅首相にコロナに立ち向かう覚悟が見えなかったからでしょう。菅首相から透けて見えるのは、コロナ対策も五輪開催も、すべて政権維持のためだということです。五輪開催に執着しているためにコロナ対策が後手に回っていますが、その五輪開催も、アスリートのためではなく、政権浮揚のためなのは明らかです。菅さんは、総理になってはいけなかったのだと思います」(五十嵐仁氏=前出)

 分科会が造反したことで、菅内閣の総辞職も時間の問題だという見方が強まっている。これまでは分科会を利用して、「専門家の意見に従い」などと、もっともらしいことを口にして勝手なことをしてきたが、分科会がアンコントロールになったからだ。この先、分科会は「緊急宣言」の解除も簡単に認めないだろう。となれば、オリンピックの開催はますます難しくなる。五輪中止なら、菅政権は即刻、退陣となる可能性が高い。
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「お前、バカなことを聞くな!」市民に激昂、前宮古島市長“収賄容疑で逮捕”の全貌

2021-05-20 | いろいろ


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「お前、バカなことを聞くな!」市民に激昂、
     前宮古島市長“収賄容疑で逮捕”の全貌

【独自】防衛省内部文書の中身とは


 

 防衛省が南西防衛の一環として進めた沖縄県宮古島市へのミサイル部隊配備は、当時の下地敏彦宮古島市長と防衛省側がひそかに通じていたことから実現した。

 下地前市長は2015年、赤字だったゴルフ場を部隊用地として購入するよう防衛省に求め、実現した見返りとしてゴルフ場経営者から650万円の賄賂を受け取った容疑で12日、沖縄県警に逮捕された。

 


 下地前市長から防衛省へ働き掛けがあった事実は、2015年のうちに明らかになっていたが、県警が強制捜査に踏み切ったのは6年後。ミサイル部隊はゴルフ場跡地で発足済みだ。国と市長との癒着を指摘し続けてきた宮古島の市民は「悔しくて涙が出る」と怒りの声を上げている。

 防衛省は2010年12月に策定した「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」で対中国を想定した「南西防衛」「島嶼防衛」を打ち出した。

 具体的には、日本の最西端にある与那国島に艦艇や航空機を監視する沿岸監視隊を発足させるのを皮切りに、鹿児島県の奄美大島、沖縄県の宮古島、石垣島の順にそれぞれ地対艦、地対空ミサイル部隊を新規編成する計画だ。

 宮古島の候補地は「大福牧場」と「千代田カントリークラブ(千代田CC)」の2カ所。大福牧場は沖縄大手の建設会社「大米建設」の創業者で、政党そうぞう代表の下地幹郎衆院議員の父、故下地米一氏が創業した。

 この計画に対し、下地市長は大福牧場のある福山地区が水の乏しい宮古島の飲料水、農業用水を供給する水源地にあたることから難色を示し、2016年6月、千代田CCに一本化することを条件に部隊配備を容認した。

 


流出した防衛省内部文書の中身  

 ところが、防衛省の内部文書が流出したことにより、下地市長は配備容認より1年以上も前から防衛省側と密会し、千代田CCを候補地とするよう求めていた事実が地元テレビ局の報道で発覚した。

 筆者が入手した内部文書によると、2015年1月15日、下地市長は自衛隊沖縄地方協力本部長と面談し、「千代田カントリークラブ(CC)を駐屯地用地として使用することについて検討をお願いしたい、と発言」とある。

 また同年2月3日には沖縄防衛局企画部長に対し、「千代田CCを中心に事業を進めてほしい」と要請、同年3月13日の同部長との面談では「千代田CCを全て取得してほしい。使用方法は防衛省に任せる」と千代田CCの買収を繰り返し求めている。

 

 

 この市長発言を受けて防衛省は「宮古島市長は自衛隊配備に関し賛成の立場であり、配備に向けた環境醸成(市議会での自衛隊配備に係る議案議決等)についても協力的」「千代田CCの使用方法については、防衛省の専管事項として委任された」として千代田CCを取得する前提で部隊配備の構想を描いた。

 下地市長は早くから「配備ありき」だったにも関わらず、表向きは容認をにおわせながらも「検討中」を繰り返し、市民をだましていた。

 


一私人の土地を国に売り込む異常さ  

 千代田CCは1994年、バイクサーキット場跡地に総事業費6億3000万円を投じ、会員制のゴルフクラブとして誕生した。経営者は今回、贈賄容疑で逮捕された下地藤康容疑者。同じ下地姓だが血縁関係はない。


 経営は赤字が続き、売却話も出る中、沖縄県が宮古島に建設予定の県営公園の候補地のひとつに指定したが、2016年9月、県は別の地区を整備することを決定した。

 この決定より前、上記15年1月15日の防衛省側との面談で下地市長は「(千代田CCの県営公園化の計画について)知事交代により、先行きが微妙な情勢」と県への売却は困難との見通しを示し、国への売り込みに転じたとみられる。

 もちろん千代田CCは、市有地でも下地市長の私有地でもない。市長が一私人の土地を国に売り込む執着ぶりは異常で、防衛省はその不自然さに気づかなかったはずがない。しかも下地市長は当時、宮古地区自衛隊協力会の会長であり、下地藤康容疑者は事務局長。自衛隊を応援する立場の人物から土地を購入すれば、不公正な取引を疑われる。

 現にその徴候はある。千代田CCは2015年6月から1年間、那覇地方裁判所平良支部によって1億6303万円の売却基準額が示されていたが、買い手が付かなかった。その土地を防衛省は5倍にあたる約8億円で購入している。

 2016年度のミサイル部隊の配備予算は、総額108億円。ふんだんな予算の中から大盤振る舞いしたのだろうか。

 


疑っていた市民たちは「やはり  

 防衛省が最初、候補地とした大福牧場は東シナ海に面する北東部に位置し、地対艦ミサイルの配備には最適だ。一方、千代田CCは島中央にあり、地対艦ミサイルを運用するには沿岸部などへ移動させる必要があり、適地とはいえない。

 

 千代田CCの周囲に住宅があることから弾薬庫を別の土地に確保する必要も生まれた。防衛省は今年4月、島の南東端にある保良地区に弾薬庫を開設したが、反対派住民の土地を買収できておらず、建物3棟のうち1棟は未着工のままだ。

 2016年9月、当時の若宮健嗣防衛副大臣が宮古島を訪れ、下地市長に千代田CCを駐屯地とする前提で施設配置案の説明をした。工事は2017年10月に始まり、19年3月に陸上自衛隊宮古島駐屯地として開庁した。

 しかし、防衛省の構想が明らかになった当時から島への自衛隊配備に反対する声は強く、今回、事件が明るみに出たことで下地市長と防衛省の関係を疑っていた市民たちの間から「やはり」との声が出ている。

 「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」の楚南有香子さんと石嶺香織さんらは2016年6月10日、市長室で下地市長と面談した。そのときの様子がYouTubeにアップされている。

 


「お前、ばかなことを聞くな!怒るよ!」  

楚南「ぜひこちらの方に基地を持ってくるように、というお願いを市長が防衛局にされているという報道もありますし……」

市長「そんなことやるわけないだろう」

楚南「記録が残ってますよね」

(中略)

楚南「市長はどなたかから仲介手数料をいただくことになっているんですか?」

市長「お前、ばかなことを聞くな!怒るよ!」

(中略)

市長「何を根拠に持ってそう言っているんですか!」

楚南「そうじゃなければ、あそこをわざわざ選んで、あそこに建てるようにという進言をする必要性がないと思います」

市長「ダメだ!あなたは人をね、そうやってね中傷するようなものを言ったらダメだよ」

楚南「中傷ではないです」

市長「何を根拠に言ってるの」

楚南「ないならないでいいじゃないですか」

市長「ほんとに何で言っているっていうんだよ!」

 

 

 冷静に話す楚南さんに対し、下地市長は激昂し、言葉を荒らげている。

 Facebookにこの動画を掲載した石嶺さんは「市長が逆ギレしたので、お金を受け取ったのだと私たちは確信しました」と書いている。

 


「落選後の逮捕では遅すぎる」  

 5年前、地元の女性2人が追及し、取り乱す様は沖縄県警に収賄容疑で逮捕された今日の姿を暗示している。下地市長はこの面談から10日後の6月20日、千代田CCへのミサイル部隊の配備を正式に容認する。

 下地市長は今年1月の宮古島市長選挙で、自民党と公明党の推薦を受けて4選を狙ったが、玉城デニー知事の率いるオール沖縄が支援した新人に破れた。

 元宮古島市議でもある石嶺さんは「落選後の逮捕では遅すぎる。なぜ宮古島駐屯地と保良弾薬庫が開設され、自衛隊配備が既成事実化された後に警察は動いたのか。くやしい思いで一杯です。不正の上に成り立った自衛隊基地は運用が許されるのか。市長も防衛省も『島を守るため』と言ってきたが、その言葉はとうてい信じられるもではない」と怒る。

 防衛省は土地を取得するまでの下地市長とのやり取りの詳細を公表し、用地取得に正当性があるのか明らかにするべきだろう。
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森永卓郎「何が何でも五輪」に危惧

2021-05-19 | いろいろ


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森永卓郎「何が何でも五輪」に危惧
 「日本の経済はガタガタ…」延期を希望


 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、世論調査やネット上では東京五輪・パラリンピックの中止を求める声が強まっている。AERA 2021年5月24日号では、経済アナリスト・森永卓郎さんに経済の専門家の立場から話してもらった。

 *  *  *

 何が何でも東京五輪・パラリンピックをやろうと国が進めてきた結果、日本の経済はガタガタになり、国民の命が危機にさらされることになりました。

 この間、先進国が行ってきた新型コロナウイルス対策はロックダウン、大規模PCR検査、ワクチン接種──この3本柱です。イギリスは三つを同時に行い、新規陽性者数を激減させることに成功しました。ところが、日本はいずれも行わなかったり後手後手に回ったりしています。

【写真】ワクチンを打たない意向を示し大きな反響を呼んでいる大御所芸人はこちら


 最大の「罪」は大規模PCR検査を行わなかったことです。例えば、東京都民全員を検査すれば1万人前後の陽性者が出ると考えられます。その人たちを治療したり隔離したりすれば、感染の拡大を止められます。しかし、「1万人」という大量の陽性者が明らかになれば、そんな都市で五輪は開催できなくなるので、大規模PCR検査は実施できないのです。

 なぜ、菅義偉首相は緊急事態宣言に消極的なのか。菅首相は経済損失を恐れているのだと思います。今年1月から3月期の国内総生産(GDP)はマイナス成長で、4月から6月期もほぼ確実。それぞれ2兆から3兆円規模の経済損失が出ると思われます。ただ、昨年4月から6月期は外出自粛などの影響でGDPはマイナス成長となり、11兆円近い経済損失が出ました。菅首相はそれを繰り返したくないのでしょう。しかし、ズルズル宣言を延長することで、被害は大きくなるばかり。これから中小企業はバタバタ倒れていくと思います。「生産性の向上」を掲げる菅政権の成長戦略を見ると、生産性の低い中小企業が倒産するのを狙っている可能性すらある、と思っています。

 五輪は国民の支持があって初めて成功します。国民の70%以上が中止や再延期を望んでいる以上、まずは中止を決めるべきです。それを言えるのは、小池百合子東京都知事です。菅首相は国会であれだけ中止を否定してきましたから、今さら言えない。7月に都議会議員選挙を控えているので、小池都知事が勇気を持って「中止します」と言えば、選挙で都民ファーストの会は大勝します。彼女は最後の最後で「ちゃぶ台返し」をするのではないか、と睨(にら)んでいます。

 いずれにしても、五輪は来年に延期し、まずはコロナを徹底的にたたくのが最も望ましい選択です。無観客で開催しても、テレビでしか見られないのなら日本で行う意味はありません。1年あれば、ワクチンの接種も進み感染を抑え込むことができていると思います。


(編集部・野村昌二)

※AERA 2021年5月24日号 
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 やっぱり経済アナリストは経済中心でしか考えられないんだな、国民の健康やアスリートのコンディションは関係ないんだね。

 


日米が合意した「台湾海峡への関与」のふたつのリスク

2021-05-18 | いろいろ


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日米が合意した「台湾海峡への関与」のふたつのリスク  


『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、日本の台湾海峡への関与表明でつきまとう、ふたつのリスクについて解説する。

(この記事は、5月10日発売の『週刊プレイボーイ21号』に掲載されたものです)  

  * * *

 菅 義偉首相とバイデン米大統領が互いを「ジョー」「ヨシ」と呼び合った先の日米首脳会談。その評価を聞いた世論調査(日本経済新聞・4月23~25日実施)の結果が気になっている。

 共同声明には「台湾海峡の平和と安定の重要性をあらためて認識した」と、52年ぶりに「台湾」というキーワードが盛り込まれた。海峡周辺では中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入するなど、軍事的挑発が繰り返されている。アメリカと共に日本もこの地域の安定に関与することを宣言した形だ。しかし、台湾を自国領土の一部と主張する中国の猛反発は確実だろう。

 そして先ほどの世論調査では、日本の台湾海峡への関与について74%が「賛成」と回答した。「反対」はわずか13%だった。注目すべき点は安保法制など自公政権の安全保障政策に批判的な野党支持層でも「賛成」が77%もあることだ。世代別、男女別のすべてで「賛成」が圧倒していることがわかる。

 ただ、私はこの結果に不安を覚える。この日米合意にはふたつのリスクがつきまとうからだ。

 ひとつ目は日本が米中の武力紛争に巻き込まれるリスクだ。デービッドソン米インド太平洋軍司令官は3月に米上院軍事委員会公聴会で「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と明言した。それを阻止しようと米軍が中国軍と衝突すれば、同盟国の日本はアメリカから軍事的な貢献を求められるだろう。日本が「存立危機事態」と認定すれば、安保法制に基づいて自衛隊を台湾海峡に「防衛出動」させることもありうる。そうなれば、日本は中国と戦争だ。

 ふたつ目のリスクは果てない軍拡である。台湾海峡への関与表明で、中国軍との紛争リスクが高まれば、当然、抑止力を高めるために軍備を増やそうとなるはずだ。実際、そうした声はすでに高まっている。島嶼(とうしょ)防衛力のさらなる強化、敵基地攻撃能力の保有を求める声などだ。

 日本だけでなく、バイデン政権も着々と準備を進めている。インド太平洋での中国への抑止力を強化するため、22年度から6年間で273億ドル(約2.9兆円)を投じ、対中ミサイル網の整備に乗り出すとぶち上げたのはこの3月のことだ。

 米軍はこのミサイルの地上配備を想定しており、その際、台湾海峡への関与を合意した日本は真っ先に地上基地の受け入れを思いやり予算の増額や米製兵器の追加購入などとセットで迫られるはずだ。台湾海峡への関与表明は、さらなる軍拡、武器ビジネスの横行をもたらすのだ。

 ただ、ひとつ目のリスクとして挙げた米中の武力紛争が簡単に起きるとは思えない。双方とも超大国同士が衝突する軍事的、経済的デメリットはわかっている。できるなら、ケンカは避けたいというのが本音だろう。

 日本政府もそんなことはわかった上でわざと台湾リスクを煽(あお)っている節がある。北朝鮮からミサイルが飛んでくると言って地上イージスを配備しようとしたときと同じ。つまり、ふたつ目の軍拡こそが差し迫ったリスクなのだ。アメリカの要求どおりに武器爆買いとなれば、国防族利権が拡大する一方、防衛費増大は納税者の負担に直結する。

 中国に圧迫される台湾を応援したい国民の心情は理解できる。ただ、台湾海峡への関与に高い支持率を得たからといって、政府がこれを悪用しないよう、厳しく監視しなければならない。

 

古賀茂明  (こが・しげあき) 
  1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。古賀茂明の最新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)が発売中。
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「分科会の乱」で見える菅政権のばたばたと政治の行方  (抄)

2021-05-18 | いろいろ


ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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「分科会の乱」で見える菅政権のばたばたと政治の行方


 画期的なことが起きたと大騒ぎである。14日に菅政権は前日に決めた新型コロナウイルス対策の方針を引っ込め、専門家でつくる分科会の意見に従って異なる対策を決定したからだ。

 方針を決めるのはあくまでも政府である。分科会はそれに意見を言うことはあるが、分科会の言う通りに政府が方針を変えることは通常あり得ない。なぜなら政府は方針を決める前に、あらかじめ専門家や地方自治体と調整を行い、根回しが終わった段階で方針を決定するからだ。

 ところが今回はそうではなかった。地方自治体とは調整済みであった決定事項が、分科会の専門家たちには了解を得られていなかった。そこが不思議だ。権力内部に何か不穏な動きがあるのではないかとまずフーテンは疑った。

 カギは北海道だった。13日の北海道は札幌市で499人、全道で712人と過去最多の感染者数を記録した。全道の感染者数も問題だが、その7割は札幌市で、広い北海道の中で札幌市の感染増が顕著であった。

 それを受けて鈴木道知事は13日の道議会で「緊急事態措置の地域を限定した運用について、札幌市の意向も踏まえ、国に求めて行きたい」と述べ、都道府県単位で出されている緊急事態宣言を札幌市限定で講じるよう国に求める考えを表明した。

 これに対し加藤官房長官は記者会見で、「緊急事態宣言は全国的かつ急速な蔓延の恐れがある時に公示される」とし、地域限定で緊急事態宣言を出すことは「趣旨から言って合理的なのか」と疑問を呈した。

 つまり政府は、緊急事態宣言は全国的な蔓延の恐れがある時に都道府県単位で出すことになっており、地域限定の感染対策は「蔓延防止等重点措置」の適用範囲と考えているのである。

 そうした論理で13日夜の会合では、北海道をはじめ岡山県や広島県も「蔓延防止等重点措置」の対象とされ、政府の方針が決定された。しかしこの会合で西村コロナ対策担当大臣は納得せず、緊急事態宣言の対象とするよう菅総理に訴え、議論は1時間ほど続いたという。最後に「14日の専門家の声によっては再考する」ことを確認して会合は終わった。

 ともかく決定された方針に基づき北海道も岡山県も広島県も「蔓延防止等重点措置」の準備に取りかかる。ところが一夜明けた分科会で、配布された資料には「ステージ4」の段階にある自治体として北海道、岡山県、広島県の数字に赤い丸印がつけられていた。

 そして分科会メンバーで日本医師会理事の釜萢敏氏が「北海道の医療状況は看過できないレベル」と発言すると、他の分科会メンバーからも政府の方針に異論が相次ぎ、北海道だけでなく赤い印がつけられていた岡山県や広島県も緊急事態宣言の対象として俎上に上った。

 分科会は「緊急事態宣言を出すべき」というムードが支配的になる。そこで西村大臣は閣議に出席するため中座し、閣議後に菅総理を交えて、加藤官房長官、田村厚労大臣と話し合った。

 西村大臣が「専門家は納得しない」と言うと、聞いていた菅総理は「専門家の意見を尊重する」と応じ、直ちに前夜の方針は撤回され、北海道、岡山県、広島県が「緊急事態宣言」の対象になることが決まる。

 それによって北海道も岡山県も広島県も地方自治体が大混乱に陥ったことは想像に難くない。「専門家の意見を尊重した」と言えば聞こえは良いが、統治機構にとって通常ならありえない前代未聞のことが起きた。それはフーテンに様々なことを想像させる。

 一つは、これで「緊急事態」と「蔓延防止等重点措置」の定義があやふやになった。専門家は「ステージ4」の段階になれば「緊急事態」を宣言すべきと考えている。一方、政府は加藤官房長官によれば全国規模でしかも急速な蔓延がある場合に限られると考えている。最後の切り札としての宣言だ。

 前者なら今後もあちこちで緊急事態宣言が出されることが想像される。しかし頻繁に緊急事態宣言が出されれば、国民はそれに慣れてしまい、効果がさほど高まらない恐れがある。

 だが今回の決定は、専門家の考えに軍配を上げたのだから、もはや政府の考える最後の切り札としての宣言は、全国を対象にする場合のみになった。そうなると宣言を発するのも解除するのも専門家が言うように「ステージ4」の指標が重要になる。これまで菅総理が言ってきた「総合的判断」で解除することは意味をなさなくなった。

 ということは5月31日までという期限も意味がなくなり、宣言解除は「ステージ4」を脱したことが条件になる。さらに言えば尾身会長が繰り返して言うように「ステージ2」に向かっていることが確認できるまで緊急事態宣言は解除されないことになる。

 それを菅総理は容認したのである。問題は果たして菅総理にその自覚があるのかどうかだ。菅総理がいったん決めた方針を撤回した背景には、支持率の低下があるからではないかとフーテンは思うからだ。

 以前のブログにも書いたが、自民党内に派閥を持たない菅総理は、世論の支持率が頼みの綱だ。昨年末にも支持率が急落すると、後ろ盾である二階幹事長の了解も得ず、「Go TO トラベル」を中止したことがある。

 ・・・・・。

 


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ワクチン接種 1%の確率を求めて…

2021-05-17 | いろいろ


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ワクチン接種 1%の確率を求めて…
   高齢者の予約リアル奮闘記  


(取材・文=有森隆/ジャーナリスト)

 高齢者接種はトラブル続きだ。5月12日にはシステム障害に見舞われた。そうでなくても予約窓口に「予約できない」老人が殺到する。高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの接種開始から1カ月が経ったが、2回目を完了した“幸運な人”は全体の1%にも満たない。「1日100万回、7月中に高齢者のワクチン接種を完了する」という菅義偉首相の目標が儚(はかな)い夢に終わることは、こうした数々の悲喜劇を見るまでもなく分かる。分かるから高齢者は静かな怒りに満ち満ちているのだ。

 筆者が住んでいる東京・新宿区では75歳以上を対象に、新宿区地域センターなど公共施設10カ所での接種の受付が5月6日(木)午前10時に始まった。筆者の妻のサイコさんは同じマンションの同じ階の1軒おいた隣に住んでいる。ウクレレ奏者のサイコさんが奮闘記の主役である。一人称形式で書くことにする。

 ◇  ◇  ◇

 9時半からスマホ、パソコン、電話を準備。5日のニュースで足立区の高齢者が「電話で予約は繋がらなかったが、孫がスマホで30分で予約を取ってくれた」と言うのを見ていたので、まず、パソコンで勝負することにした。スマホはQRコードでコールセンターの電話番号(0570・012・440)を読み取り、開始に備えた。

■電話は合計800回、スマホは予約画面に行きつかず

 10時になり、まずパソコン。10桁の接種券番号がIDである。生年月日のパスワードを入れてログイン。ところが「ID、パスワードが違っています」の赤字のコメント。間違えるわけはなく何度もやり直す。「そのうちこのページは開けません」のコメント。1回だけ次のパスワード更新まで行ったがその後、繋がらず。

 13時半になったら「パソコンの予約は予定数に達したので終了。次回は13日(木)に」というコメントが画面に出た。新宿区の臨時広報紙によると5月13日からは6月の予約のはず。「5月は取れないのか」と焦る。スマホは何度やっても予約の画面に行きつかない。電話に切り替える。

 スマホの履歴をタップする方法で600回ぐらいかけまくる。200回の数字が出るとその数字は更新されず。他の履歴の宛名は新宿コールセンターの番号だけになってしまった。「こちらはNTTです~」「新宿コロナワクチン接種コールセンターです~」など様々な声色で自動音声。

 どうやっても掛からない。「本当に予約できている人はいるんだろうか?」と疑問を持ち、新宿区役所の代表電話に掛けてみる。呼び出し音のみで繋がらない。

 この日は19時半になったところで「新型コロナワクチン接種コールセンターです」と繋がったと思ったら「本日の予約受付は夜7時で終了しました」のメッセージ。えっ、ではこの30分は何だったの? 時間のロス以外の何ものでもなかった。怒りがふつふつと湧いてきた。

 5月6日は13時半でネットが閉鎖してしまったので、スマホから電話。知らなかったが履歴の容量は200回だったのだ。200回の表示になった回数が6日は4回、合計800回掛けたことになる。

■おにぎりを準備し戦闘、電話1000回掛けけても玉砕

 5月7日(金)は8時半から戦闘開始。お昼は前もっておにぎりを作っておいた。トイレ以外は電話に張り付く。電話1本に絞って掛けまくる。スマホだから繋がらないのかという根拠のない疑問まで出てきて、自宅の固定電話でかけまくる。どちらも「混み合って」、「お掛け直し下さい」のメッセージばかり。夜になって「コールセンターです」のメッセージが聞けたがその後の言葉はやはり「混み合っているのでお掛け直し下さい」になってしまう。19時10分に玉砕。7日は朝からかけたので200×5=1000回以上かけた。8日土曜日も同様。

 8日は少し冷静になって電話料金が気になりネットで調べてみると、0570から始まるナビダイヤルの電話料金は発信者負担。携帯電話料金がかけ放題プランでも電話料金がかかるとのこと。ギョギョ。来月の電話料金が心底、心配になってきた。

■3日目の夕方、ようやく予約できた! でも電話代が心配

 5月8日(土)は8時にスタンバイ。おにぎり、飲み物を用意。8時半ぴったりに掛けるがもう繋がらない。自動音声のみ。たまにコールセンターに繋がると、「この電話はサービス向上のために録音されている、22.5秒に10円電話代がかかります」というメッセージ。その後はお定まりの「お掛け直し下さい」。怒りは腹の底にまでふり積もってきた。

 夕方コールセンターに繋がった。「番号を1か2か選べ」というメッセージ。やっとつながった! 相手は素人のような緊張感のない中年女性の声。10桁の番号と名前と生年月日と会場の希望を言って終了。ただ予約できた日にちは5月30日(日)、高田馬場周辺での接種である。指定できた会場は2カ所だけだった。

 ナビダイヤルをスマホからかけると無用なメッセージにも電話代がかさんだだろうな……と思うと腹が立った。NTTはどれだけ儲けたのか!

 NTTなど通信各社は、5月10日朝から新型コロナウイルスワクチン接種予約を受け付ける自治体の予約用電話への通話を制限した。そうでなくても混み合っているのだ。NTTにも言い分はあるのだろうが、どこもかしこもお役所仕事。これでも高齢者のワクチン接種がスムーズに回転していると、菅首相は強弁するのだろうか?

■どこにでも忖度がある。ニッポンはコネ社会

 愛知県西尾市で、スギ薬局の創業者夫妻のワクチンの優先予約が発覚した。東京都下の某市の元秘書課長だった女性に「上級国民は優遇されるのか」と聞いてみた。すると、驚くべき答えが返ってきた。

「西尾市はどうしてバレたのかしらね。新聞記者は取材して回っていたというから、多分内部告発ね。秘書が高圧的だったんでしょうね。健康福祉部の下っ端が反発してタレ込んだのと違う?」

 この元秘書課長氏(現在は退職)によると、「どこにでも忖度はある。現実のニッポンはコネ社会なんだからね。コロナ禍で『上級国民』は余計、声高に自己主張し始めている」。

 貧乏くじを引いたのはスギホールディングスの秘書ということなのだろう。多分、おそらく、杉浦広一会長(70)の意向を汲んで西尾市に“圧力”を掛け続けたのである。妻の昭子相談役(67)が肺がん患者だったため電話を何回もしたという言い訳をひねり出したのは、秘書より上の知恵者だったんだろうと思う。

「新宿区はないんでしょうね?」と吉住健一区長に聞いてみたい気もするが、通り一遍の返事しかなさそうである。

 茨城県城里町の42歳の上遠野修(かとうの・おさむ)町長がゴールデンウイークに入る前の4月28日に秘かに接種を受けていた。7年前の2014年、当時36歳で茨城県の最年少町長に当選して現在2期目である。

 兵庫県神河町の山名宗悟町長(62)が5月6日にワクチンを接種していた。2回目は5月27日午後に予約が入っている。このまま2回目の接種を受けるそうだが、強行するなら、かなりいい度胸だ。こういう手合いは住民が次の選挙で判断すべきだ。持続する怒りを持ちたいものだ。ご同輩?
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 これがスガ強権政治の姿、腹立つな~、自分は訪米だからとか言ってさっさとワクチン接種、その訪米では台湾問題に巻き込まれた。

 


新疆ウイグルの現地訪問

2021-05-17 | いろいろ


賀茂川耕助氏の「耕助のブログ」より

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新疆ウイグルの現地訪問


 3月30日から4月2日の4日間、イランやロシアなど21カ国の外交官や上海協力機構の事務総長などが中国新疆ウイグル自治区を視察した。

 米ポンペオ前国務長官は中国政府がウイグル人を「ジェノサイド」(集団虐殺)しているという声明を発表し、新疆ウイグル自治区では100万人を超えるウイグル人が強制的に収容され、女性には強制的な不妊手術が行われていると非難した。さらに新疆の綿花収穫でウイグル人が強制労働に動員されているという米シンクタンクの報告書をもとに、欧米各国が中国の当局者に制裁を発動するなど圧力を強めている。

 こうした「ジェノサイド」「強制労働」の批判を中国側は「ばかげている」と否定し、現地を訪問するよう呼び掛けていた。シンクタンクの報告は実際に新疆を訪れたことのない人物の論文やインターネット情報を元にしているにもかかわらず、欧米の主流メディアや米国の同盟国日本でも、それらがあたかも唯一真実のように報じられているからだ。スウェーデンの衣料品大手「H&M」は新疆産の綿花は使わないと発表して中国の通販プラットフォームから商品が取り下げられたりし、中国の消費者からの強い反発を受ける結果となっている。

 新疆ウイグル自治区を訪問して経済発展や宗教信仰の自由の保障などを実地踏査した21カ国は、米国が「ジェノサイド」と呼ぶ行為は、ウイグルでのテロと過激主義を取り締まるためであったという中国政府の説明を肯定し支持している国であり、イランやパキスタンなどはウイグル人と同じイスラム教の国でもある。

 さらに上海協力機構は「テロ、分離主義、過激主義」に共同で対処すること、経済や文化などの分野で協力強化を図ることを目的に作られた多国間協力組織で、中国とロシアが中心でイランをオブザーバーとする欧米主導のNATOに対抗するユーラシアの一大連合体ともいえる。その訪問団が目にしたのはウイグル人の平穏な暮らしぶりと現地社会の目覚ましい発展であったという。

 米国による執拗な中国たたきは、1980年代、対日貿易赤字拡大で米企業の業績が悪化する中での日米貿易摩擦を彷彿させる。当時米国は日本がハイテクや半導体産業で競争力を高めることを許さず、ダンピングしていると非難し、日本製品に100%の関税をかけ、プラザ合意と規制緩和で日本は「失われた30年」の道を突き進んだ。日本の失敗を教訓とする中国が米国に従うはずはない。

 中国の経済発展は米国企業が製造基盤を中国に移転したことから始まった。競争力が強くなりすぎると米国は中国に制裁関税や禁輸措置をとり、効果がなかったために今度は人権問題で打撃を与えようとしているのである。しかし皮肉にも、それは米国内でのアジア系に対するヘイトクライムを急増させた。

 米国政府が真剣に人権問題に取り組むなら、まずはアフガニスタンやシリアでの戦闘行為を止めることだが、軍産複合体に支配されているバイデン政権にそれは望めないだろう。
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ホテルで24時間監視、食事はカップ麺の「おもてなし」

2021-05-16 | いろいろ


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ホテルで24時間監視、食事はカップ麺の「おもてなし」
  欧州選手団がマジギレの東京五輪プレ大会


さかい もとみ(ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載

怒りの声が上がった飛び込みW杯  

市民の間では「東京五輪は中止せよ」の声が止まず、コロナの感染拡大は依然収まらない。そんな中、海外から選手を呼んで五輪最終予選とテスト大会を兼ねた水泳飛び込みのワールドカップ(W杯)が5月1日~6日、東京都内で実施された。

選手らは厳しいコロナ対策の中で大会に臨んだが、宿舎から出られず缶詰め状態、食事は全食が弁当支給と、おいしい日本食を期待してやってきた選手たちからは「なんだこの食事は!」と失望や不満が続発。東京五輪が標榜してきた「おもてなし」を発揮するべきはずが、全て吹き飛んでしまった。

コロナ禍の日本国内で行われる「多数の外国人選手が出場する最終予選」として、五輪本番前の最初で最後の機会だったこのプレ大会。運営側のチカラが試される場面でいったいどんなことが内部で起こっていたのか。怒りの声さえも上がる中、おもてなしどころか運営側のやる気すらも感じられなかった状況を詳報する。

 

緊急事態宣言の中、約250人が入国  

東京都に緊急事態宣言が発令され、小池百合子知事が他県在住者に「GWは東京に来ないで」と訴える中、海外の選手が同時期に「隔離免除で競技へ直行」という入国特例措置で東京入りし実施された、矛盾に満ちたこのイベント。日本政府がコロナ感染対策で外国人の入国を基本的に拒否しているにもかかわらず、46カ国の国と地域から225人の選手が参加した(主催者調べ)。

この大会をめぐっては、そもそも開催前から「ケチ」が付いていた。

主催者である国際水泳連盟(FINA)が、4月に予定されていた同大会を「日本政府による感染対策に不安あり」といった理由などで、一旦は「日本での競技会はムリだ」と一方的に中止を決定。しかし、プレ大会をなんとしても実施したい日本側が、FINAや国際オリンピック委員会(IOC)との話し合いを行い、日程を延期した上でようやく復活開催にこぎつけた経緯がある。

筆者は今回の飛び込みW杯実施に当たり、「入国時の水際対策」「宿泊施設での感染対策」「選手らへの供食状況」「会場での競技運営」の4つのポイントに注目した。

 

問題点1「空港内で選手をほったらかし」  

「どうして、大会のオフィシャル(運営スタッフ)がゲートまで迎えに来ないのでしょうか?」

選手など関係者は大会への参加に当たり、「隔離免除」という特例で日本に入国した。欧州から来たチーム役員のひとりは、飛行機を降りたところに運営側誘導役の姿が見当たらないことに「これはおかしい」と感じたという。

「コロナで入国ルールが普段と違うのに、誰もチームのケアをしないなんてどういうつもりなんでしょうね。本気で五輪をやる気があるのでしょうか?」

感染対策上、到着以降の空港内での動線は定まっているが、誘導のスタッフもいなければ、手続きの段取りを書いたペーパーも配られなかった。そうこうしているうちに、同じ便で着いた複数国の選手が混ざり合って手続きを受ける事態になっていた。それでなくても日本の検疫手続きは不合理なほどにチェックポイントが多い。

「われわれが特例ルールで入国すると分かっているのに、対応はおざなりだった」と指摘するチームスタッフのひとりは、「選手は隔離を済ませていないのに、迷子になったらどうするつもりだったのでしょうね」といぶかっている。

今回の大会のスケールを東京五輪本番と比べてみると、飛び込みは26ある実施競技(※)のひとつで、出場国数は五輪の約5分の1、選手数では20分の1程度となっている。それでもコロナ対策の検疫手続きから入国、税関検査を合計した所要時間は、飛行機を降りたってからおよそ3時間要したという。これが五輪本番で各国選手団が一気に押し寄せると、手続きにかかる時間はどれほどまで膨らむのだろうか。
※一部の類似競技を一括りにした総数
 

 

問題点2「24時間監視で心の余裕がない」  

次のポイントは宿泊施設での感染対策だ。選手らはホテルに泊まったが、外出はおろか、他の階にも行けない「缶詰め状態」に置かれたという。
   
「日本の規制がとても厳しいので、まったく心の余裕がない」
「せめてホテルの庭や駐車場を自由に歩く機会があればよかった」

ドイツ水泳協会飛び込みヘッドコーチのルッツ・ブシュコウ氏はこう嘆く。

エレベータ前には24時間の監視員つき。選手たちは競技参加どころか精神が病んでしまうような環境に押し込まれていたわけだ。

閉鎖空間にいるのがあまりにつらく、選手たちは規制つきでいいから外出させてくれ、と懇願していたという。コーチが見るに見かねて、「美しいトーキョーをこの目で見たいと言っている」と都内巡りのバスを出してほしいと運営側に訴えたが聞き入れられなかった。

競技会場に向かうシャトルバスの車窓から、人々が自由に行動しているのを見て、「外を歩きたい」と感じたのだろうか。

仮にコロナ感染が7月まで収まらず、それでも五輪本番に突入したら――選手村で選手らは連日、自室で3食をすべて弁当でまかない、行動範囲も競技会場や公式練習場と選手村との行き来だけとなる公算が高い。これで最大のパフォーマンスを出せという方が無理ではないか。

 

問題点3「揚げ物弁当とカップ麺ばかり」  

「炭水化物ばかりでお腹は膨れるが、フレッシュな野菜や果物が何もない。タンパク質もない」

チームスタッフが「東京にやっと着いた」というメッセージとともにInstagramに載せていた夕食の写真には、揚げ物ばかりの弁当とポテトサラダが写っていた。

いうまでもなくアスリートはコンディション維持のため、さまざまな食事制限や食べるべきものが決まっている。それにしてもこれではバランスが悪い。ところが運営側が「足りないならこれを」と持ってきたのはカップ麺。まったくピンボケな対応は選手らの怒りに火を注いだ。

その後も食事の供給をめぐっては、チームの希望と運営側の対応がチグハグな状態が続いた。納得できない選手らは自ら解決するため、慣れない日本語サイトを使って、外部から食料などを取り寄せたという。

「ビタミンが足りないので『選手用にフルーツジュースを』と頼んだら、届いたのは2日後だった」「弁当のラインナップに辟易した選手が、ウーバーイーツをホテルに呼んだ」「生のフルーツがほしいと言っているのに、シロップ漬けのパックが届いた」

それでも会期が後半に向かうにつれ、弁当の中身はずいぶん進化したようだ。しかし、途中からそうした「選手が納得できる弁当」を用意できたならば、どうしてそれを最初から用意できなかったのか。大会における飲食物の供給に関しては完全に失敗だったといってよいだろう。

 

問題点4「練習で"密"が生じたのは本当?」  

飲食物をめぐる「こじれ」に反して、競技会そのものは順調に行われた。大会では日本選手の活躍も目立った。中でも14歳の玉井陸斗選手が高飛び込みで五輪切符を手にしたのは、明るい話題となった。

一方、日本メディアの着目点には問題があったようだ。

大会初日の練習で選手らが間隔をほとんど空けないで飛び込み台に整列した状況を「選手が密」と伝えた。

しかしこの報道をめぐり、ある選手は「不愉快」という反応を示した。「日本側の徹底した感染防止措置のおかげで、私たちはコロナ禍以前と同じように練習ができると考えた。選手が密に並んでいたと批判されるのは心外です」

あるチームスタッフからもらった写真には、記者らが間を空けることなく取材にいそしむ様子が映っていた。おそらくメディアは「密」が生じた状況について、直接、選手に質問していないのだろう。「選手らのことを批判する前に、日本の記者の皆さんが密を是正すべきではないでしょうか」。このスタッフは皮肉まじりに指摘していた。

 

運営側のレベルが未熟としか言いようがない  

今回紹介した大会の状況について、2012年のロンドン五輪の際、「市民に公開されたプレ大会は全部行った」という60代女性に意見を求めてみた。

「プレ大会は本来、本大会と気候が同条件の1年前に行われるものですが、コロナの影響でそれは無理だった」と同情を寄せるものの、「すべての条件を本番とより近い形に高めて実施されるべき。会場が整備されている前提で、選手たちが本番に向けた微調整を行う機会だと思います。でも、主催者が飲食物で選手の足を引っ張るなんて、運営側のレベルが未熟としか言いようがないですね」と批判。

そしてこうも付け加えた。「もう開幕まで2カ月ほどしかないのに、食事の手配もきちんとできない人たちがどうやって本番をやるのでしょうか」

幸いにも大会に関係した438人のうち、コロナの陽性者は水際対策で見つかった1人でとどまり、表向きには成功裏に終了した。しかし、選手対応の最前線は多くの課題を残す結果となっている。

「きっと中止だろう」という"やってもムダ"という意識が、開催準備を進めるスタッフの心にブレーキをかけているように見えた今回の飛び込みW杯。五輪開幕まであと2カ月余り、選手らが安心できる形にこぎつけるにはかなりの追い込みが必要そうだが、果たしてどう決着を見るのだろうか。

さかい もとみ(さかい・もとみ)

ジャーナリスト
  1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。
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北海道の感染爆発は菅首相を忖度した鈴木知事が五輪テストを優先、要請を遅らせたせいだ!

2021-05-15 | いろいろ


より

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北海道の感染爆発は菅首相を忖度した鈴木知事が五輪テストを優先、要請を遅らせたせいだ!
  福岡にも菅官邸は「地元でできることをやれ」

 昨日12日、全国の新規感染者数が7000人を超え、さらには重症者数も過去最多の1214人となるなど、感染が全国に拡大している。とくに衝撃を与えたのが、本日の新規感染者数が712人となった北海道だ。

 この数字を受け、北海道の鈴木直道知事は本日、政府に札幌市限定で緊急事態宣言と同等の措置を求める考えを示したが、あまりにも遅すぎる判断と言わざるを得ない。いや、鈴木知事の判断がここまで後手に回り続けた背景には、菅義偉首相の意向があったことは明白だ。

 実際、4都府県の宣言延長と愛知・福岡の宣言追加を決定した7日におこなわれた政府の分科会では、専門家から北海道を宣言対象に追加することを求める声があがっていたが、これを政府は却下。その理由は、感染者の7割以上が札幌市に集中していることを踏まえて鈴木知事が「宣言だと全道になる。それはできない」と突き返したからだというが(北海道新聞8日付)、これは宣言対象地域を増やしたくない菅首相の意向を鈴木知事が汲んだものだ。

 本サイトでは繰り返し指摘してきたが、2019年の北海道知事選で鈴木氏を擁立したのは当時官房長官だった菅首相で、自民党の北海道連が推した国交省北海道局長を蹴って強引に鈴木氏を押し込んだのは有名な話だ。そもそも、わずか17日間と期限を区切った4都府県への最初の宣言発出の際も菅首相は「もっと短くしろ」と主張していたほどで、その後も恐ろしいことに〈4都府県への宣言を11日の期限通りに解除することに固執〉(同前)していた。つまり、菅首相は宣言対象地域を減らすことしか頭になく、鈴木知事はそのアシストに回ったのだ。

 鈴木知事の「菅ファースト」はこれだけではない。そもそも北海道は4月中旬から感染者数が右肩上がりとなっており、5月2日には326人と過去最多を更新。「このままでは医療崩壊が起こる」という声があがっていた。ところが、鈴木知事はすぐさま動こうとせず、5日午後になってようやく「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請した。だが、この鈴木知事が政府に要請をおこなった5日というのは、午前中に札幌市で東京五輪のマラソンのテスト大会が実施されたその日。ようするに、鈴木知事がテスト大会の開催を待って要請をおこなったのはミエミエで、道民の安全を守ることよりも東京五輪を強行開催したい菅首相を優先させたというわけだ。

 

福岡の感染拡大も放置した菅官邸 「大阪を想起させるような急激な増加だ」との専門家警告も無視  

 このように、菅首相の直系である知事によって対応が後手後手になり、新規感染者数700人超えにまで至ってしまった北海道。しかし、これは北海道だけの問題ではない。ここまで全国で感染拡大を招いているのは、「五輪優先」「経済優先」の菅首相の信じがたい対応のせいだからだ。

 それを象徴するのが、昨日、過去最多となる635人の新規感染者が確認された福岡の例だ。福岡は昨日12日から緊急事態宣言が適用されることとなったが、感染拡大は4月中旬から起こっており、現に4月16日の政府分科会では、日本感染症学会理事長の舘田一博・東邦大学教授が「大阪を想起させるような急激な増加だ」と指摘、尾身会長も「福岡については明らかに今、重点措置を打つ要件がそろっている」と言及していたことが公開された議事録からも判明している。

 しかし、西日本新聞の検証記事によると、〈首相側近や政府高官は、福岡県が飲食店などに対する営業時間短縮(時短)要請を行っていなかったことを非難し、異口同音に「福岡はやるべきことをやっていない」「まずは地元でできることをすべきだ」と繰り返していた〉。さらに、4月22日以降に福岡市や久留米市で時短要請がおこなわれても、官邸サイドは「まずは時短の効果を見てからだ」と述べていたというのである(西日本新聞11日付)。

 専門家から踏み込んだ指摘がおこなわれていたというのに、専門家の警告をまったく無視して放置しつづけた菅官邸。その結果、九州の中心都市である福岡から他県にも感染は広がり、福岡だけではなく長崎や大分、鹿児島でも病床使用率はもっとも深刻な「ステージ4」の基準を超えた。福岡赤十字病院の石丸敏之副院長が「このままでは『命の選別』をせざるを得なくなる」(西日本新聞13日付)と語っているように、“第2の大阪”となりかねない状況にまで追い込まれているのである。

 いや、これは福岡だけではない。感染が拡大中の茨城、徳島、石川の知事から重点措置の適用を要請されながらも、政府はこれを拒否。本日になって菅首相は関係閣僚と協議をおこない、岡山・群馬・熊本・石川・広島の5県に適用する方針を固めたというが、政府に要請をおこなっていた香川や長崎などは含まれておらず、なんと北海道への緊急事態宣言の追加適用も見送る方針だと伝えられている。この期に及んでも、いまだに出し渋っているのである。

 そして、菅政権がここまで頑なに重点措置の対象地域拡大を渋っているのも、やはり東京五輪開催のためだ。前述した西日本新聞の検証記事には、こうある。

〈関係者によると、政府は適用対象地域を追加すれば、時短に対する協力金など財政支援の国庫負担が増えることに加え、東京五輪・パラリンピックを控えてこれ以上、国内感染が悪化しているイメージを持たれたくないとの思惑があったとされる。〉

 

感染拡大で措置を求める地方に国庫負担をケチり「まずは地元でできることをすべき」と「自助」を要求する菅首相  

 さらに、官邸周辺の取材をおこなってきた西日本新聞の湯之前八州記者は、〈「福岡はやるべきことをやっていない」「まずは地元でできることをすべきだ」。繰り返しになるが、政府の動きを追う過程で何度となく耳にしてきた。首相が掲げる「自助」の理念にもつながるせりふと言える〉と指摘。ようするに、国庫負担が増えるのを嫌がりケチって自治体に「自助」を要求し、それによって東京五輪開催の足かせとなる重点措置・宣言の適用を控えようとしているのである。

 強い対策を打たなくては全国で大阪のような医療崩壊が起こり、救えるはずの命を救えないという事態に陥る危険が高まっているというのに、いまだに最優先されるのは東京五輪──。菅首相が内閣官房参与に登用した高橋洋一氏の〈日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑〉というツイートが物議を醸しているが、5月4日にもこの高橋参与と公邸で会談をおこなっていたように、菅首相の「危機意識」というのは、いまだにこの程度なのだ。
 
 だが、この国がいま置かれた状況は「さざ波」などではない。現に、韓国では昨日の新規感染者数が700人を超えて警戒が高まっているが、韓国の人口は日本の約半分。一方、この国は全国の新規感染者数が7000人を超えているのだ。さらに、全国知事会からはすでに全国での緊急事態宣言発令の可能性を考慮するよう求める緊急提言も出ている。全国レベルで待ったなしの状況なのだ。

 国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長について、米ワシントン・ポストは開催国を食い物にする「ぼったくり男爵」と名付けたが、東京五輪開催を第一命題にして国内の感染拡大状況を無視し、国庫負担を嫌がって対策を打ち出さない菅首相は「ドケチ疫病神」と呼ぶべきだ。そして、この疫病神によって、東京五輪の引き換えに国民が切り捨てられようとしているのである。


(編集部)
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デニー知事・中止命令を回避

2021-05-15 | いろいろ


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三上智恵の沖縄撮影日記 第102回:デニー知事・中止命令を回避~沖縄戦の遺骨を含む土砂採掘問題  


    

 ガマフヤー(「洞窟を掘る人」の意・遺骨収集ボランティアの団体名)の代表、具志堅隆松さんらが3月、沖縄県知事の決断を求めて那覇のど真ん中の県庁前でハンストを決行したことは前回ここでリポートしたが、「沖縄戦の犠牲者の遺骨が混じった土を埋め立てに使うな!」という県民の怒りは、このひと月で瞬く間に拡がった。そのうねりは久しぶりに保革を超え、年代を超え、立場も超えて静かな怒りとなって人々の心を掴んでいった。

 国会前で、高江で、豊見城市役所前で、ハンストや座り込みが始まったり、市町村議会が反対決議を上げたり、反対声明を出した若者らが連日のようにZoomを使ったシンポジウムを展開したりして、具志堅さんはひっぱりだこになった。紆余曲折はあったものの、沖縄県議会も15日、遺骨が混じった土砂を使わないとする意見書を全会一致で可決した。その翌日の16日が、知事の中止命令で問題の業者の採掘を止められる期限の最終日に当たっていた。県議会の決議に勇気づけられた具志堅さんは、あと一歩と知事の判断に期待をかけた。しかし——。

 懸案になっている糸満市米須の「魂魄の塔」付近の採掘業者に対し、県は自然公園法の基づく「中止命令」を出さないという見方が濃厚になっていた。それよりもゆるい「制限命令」や、いくつかの措置を義務付ける「措置命令」では、掘削自体は止められない。具志堅さんはじめ、ハンストに参加した人たちや遺族らは、あくまで「中止命令」を求める覚悟だったため、取り急ぎ知事が態度を表明する16日正午、県庁前で緊急集会を開いた。

 「中止という知事の言葉を聞くまでは、私たちは頑張っていきましょう! 玉城知事!聞こえますでしょうか? 遺族は怒っていますよ! 静かに眠っている英霊たちも怒り狂いますよ!」

 ある遺族の女性がマイクをもって叫んだ。平日の昼間で、急な呼びかけにもかかわらずおよそ70人の県民とメディア合わせて100人ほどがコロナに配慮して距離を保ちつつ県庁前広場に集まっていた。26歳の若者もこう訴えた。

 「デニーさんには勇気ある決断をして欲しいと思います。大丈夫です、民意がちゃんとついています!」

 13時半に県庁のロビーで知事が会見を開くという。参加者もそれを見守るべくほぼ全員が残っていたが、会見場は急遽会議室に変更になり、メディア以外は入れなくなった。

 「みんなの前で言えない内容なのか」

 一瞬で空気が重苦しくなった。県庁の廊下は人であふれ、急遽別室にモニターを用意するなど対応に追われて会見時刻は押した。

 翁長県政を引き継ぎ、辺野古反対、人情派で人気者の玉城デニー知事だが、当然反対してくれるだろうという大方の期待にもし今回、応えないとしたら、これは玉城県政はもちろん、オール沖縄体制にも、国と対峙してでも平和な暮らしを求める今の沖縄の姿勢にも大きな影を落としかねない。私は、具志堅さんという県民の信頼の厚い人物がハンストに入ると聞いたときから、こんな日が来ることを恐れていた。

 国が戦後処理を怠って遺族を悲しませているこの遺骨の問題は、一義的に国の責任であり、被害者は遺族で、責められるべきは国である。沖縄県知事でもなければ、個々の採石業者でもないはずだ。それなのに、自然公園法で状況を止めようとすれば、県知事の決断が必要で、踏み込んだ判断ができないとなれば矛先は知事に向けられてしまう。また県民同士が対立する構図にはまってしまうのではないか。その危惧した状況に今まさに近づいているようで、胃がキリキリと痛んだ。

 祈るようにこの日を迎えた具志堅さんの心労もいかばかりかと思う。3月頭のハンストからこの日まで、具志堅さんは寝る間を惜しんで現地に議員や市民を案内し、要請行動をし、シンポジウムに取材に時間を取られ、それでも本業と、遺骨収集も続けていた。私も3月末、問題の採石場を見学する勉強会に参加した。そこは多くの慰霊碑が並ぶ「祈りの丘」のような緑地帯になっている場所なのだが、今回前半の動画で紹介しているように、遠くから見ても無残に削り取られた斜面が痛々しい。

 具志堅さんはこの斜面から去年11月に遺骨を発掘している。それは歯のすり減った具合から、兵士よりは年齢が上とみられ、高齢の住民の可能性が高いという。しかし立ち入り禁止になってそれ以上掘ることができなくなってしまった。具志堅さんの手に抱きあげてもらうことを75年間も待っていたこの老人の遺骨は、すぐそばに娘がいます、孫がまだ眠っています、と訴えかけていたかもしれないのだ。そんな声を聴いてしまう具志堅さんが現場で見せた、やりきれない表情が胸に刺さった。

 問題の採石場の敷地内には「シーガーアブ」と呼ばれる大きな自然壕がある。その入り口には「有川中将以下将兵自決の壕」と書かれた慰霊碑が建つ。ここでは歩兵第64師団の幹部らが自決したとされているのだが、もともとは風葬に使われていた墓地であり、戦争中は地域の住民の避難壕だったところに、宜野湾市の嘉数高地の闘いなど激戦を経て南下してきた有川中将らが入り込んだという形だ。証言によると、住民7家族がシーガーアブに隠れていたが、なかなか投降に応じなかったためか、米軍にガソリンを大量に流し込まれて焼かれたということだ。その奥で自決していたのは有川中将か、または別の説もあるようだが、とにかく軍民混在の壕であったことは確かだ。それは今回、ひょんなことで私も中に入って遺品や遺骨を見たので間違いない。

 実は、沖縄戦のことを長くやっているのに、私は大の「骨恐怖症」である。小学生の時、理科と社会の教科書はまず姉に渡して頭蓋骨や骨の写真、イラストは最初にすべて切り取ってもらった。そうでなければ怖くて開けなかったからだ。博物館でミイラを見てしまった時は1週間眠れなかった。いまだにドクロのデザインの服を着ている人を見るのも苦手。ガマの取材も必要最小限にし、行く時はお守りや塩をもち、覚悟をしていくのだが、今回は鹿児島の新聞社の女性記者が取材に見えていて、急遽シーガーアブに入る流れになった。有川中将が鹿児島ゆかりの人物だからという。

 私は「この靴だと無理ですよね」とそろ~りと抜けようとしたが、具志堅さんが「三上さんのその靴で大丈夫ですよ」と言われ、引けなくなってしまった。この時期毛虫が、とか腰痛が、とか往生際の悪いことを呟きながら茂みをかき分け、ひんやりとした石がむき出しのガマの入り口まで降りていく。細い通路を5メートルも入ると、懐中電灯がなければ何も見えない。そこですぐに具志堅さんの声。

 「これは遺骨ですよ。これは日本軍のポンチョのハトメ(金具)。あ、歯があります」

 数分も置かずに足元の土から次々に見つかる骨や遺品。ここは何度か遺骨収集されて、測量もされている壕なのだが、それでも具志堅さんの目には小石と骨片の区別は瞬時に着くようで、それこそ「神の手」のように土をなぞりながらここで起きた出来事を読み解いた。

 茶碗やボタンの種類から、陸軍がいたこと。歯の形から、若い兵士がいたこと。木枠の一部から、防毒マスクがあったこと。高熱で焼かれたようにひしゃげたガラス片から、火炎放射器か黄燐弾を入れられ、焼き殺された可能性があること。住民の食器から、軍民混在の壕だったこと。そして奥に粉々の遺骨があることから、奥で自決した軍人がいたこと。7家族がガソリンで焼かれたという証言とこれらを結びつけて、奥にいる日本軍から捕虜になるなと圧をかけたために投降できないまま犠牲になってしまったであろうこと……。

 40年間、戦没者の遺骨を掘り続けてきた具志堅さんの手と目は、瞬時に時空を超えて、1945年この空間で展開された光景を翻訳する。私にはただ暗く冷たい、気味の悪い場所に過ぎず、カメラを回したってなにも映らない。でも、彼が来れば、着実に自分たちの生きた証と死にざまを本当に伝えたい相手に伝えてくれる、と、その瞬間を待ちわびている遺骨たちがいることを、私は肌で感じた。具志堅さんのような仕事をしている方々は、経験を積めば積むほど、死者たちの最後の望みを叶える存在として渇望されていることを自覚するのだろう。死者たちの思いを一手に引き受けて背負い、国とも、行政組織とも対峙する具志堅さんの強さの源を、ガマでは全くのヘナチョコな私ではあっても、そこに行ったから垣間見た気がした。今もまだ、一日千秋の思いで待っている人たちがいるのだ。死者も、遺族も。だからあきらめるなんてありえない。人道上やるべきことがなされていない、それをやるのみなのだと。

 県庁の記者会見場に現れた玉城デニー知事は、「ハイサイぐすーよう、ちゅううがなびら」といういつものにこやかな挨拶すらこわばっていた。たぶん会場にいた人すべてが、こんな伏目がちなデニーさんを初めて見た、と思ったのではないだろうか。用意した文書を早口で読み上げ、「措置命令」で、業者に対して遺骨の有無を関係機関と連携して確認することや戦没者の遺骨収集作業に支障がないような措置をとるよう求めるとした。中止命令を望む声が強まってはいるが、業者の鉱業権も尊重しなくてはならず、県としては最大限に踏み込んだ異例の判断だと説明した。数人の記者の質問に答えて早々に会見を切り上げた知事は、具志堅さんがいる方向に一礼し、「デニーさん、頑張ってよ!」という誰かの激励の声を背に足早に去っていった。

 脱力したように座っている具志堅さん。知事が去って開口一番「私に何か聞かれると思っていた」とつぶやいた。記者会見だから、記者があえて「ここにいる具志堅さんに何か一言」と促さない限りそういう場面は作れなかったと思うが、体を張ってハンストをし、多くの共感に背中を押されて此処にいる具志堅さんに対しては、そういう異例の質問をぶつける記者がいてもいいと私は思った。「置き去りにされた気がする……」と落胆の色を隠さなかった。ため息をつく姿は痛々しくさえあった。

 「残念を通り越して憤りを感じております」

 カメラが集まってくると、具志堅さんは背筋を伸ばしてマイクを握った。理路整然と何がおかしいのかを述べた。せめて、あの斜面だけでも手を付けないでという制限をかけて欲しかった、と、事前に落としどころを話し合うような機会も与えられなかったことを残念がった。そして、採石業者も含めて、うちなーんちゅは子どもたちの見本になるような生き方をして欲しいと呼びかけた。

 その呼びかけは、理想論に過ぎると言われそうだが、具志堅さんのまっすぐさ、ロマンチストと呼びたくなるくらいの純粋さはこんな時には強さになる。こんなに打ちのめされた日にまっとうなことが言える人はそうはいない。さらに、21日に防衛省に土砂採取計画の断念を求め、それでも止められなければ、6月23日の慰霊の日に向けて今度は摩文仁の丘でハンストをすると宣言した。全国から来る遺族に問題を知ってもらうためだという。さらに改まらなかった場合は、8月15日に東京の武道館の前でハンストをし、もっと多くの遺族の皆さんに訴えるという。小柄な具志堅さんの身体のどこにこんなエネルギーがあるのだろう。数分前の肩を落とした姿とは別人のようなこの変化に私は圧倒されていた。

 ところで、今回「措置命令」にとどまったことで、くだんの業者は自然公園法の上では翌日から砕石や伐採に着手できることになってしまう。しかし農地法や糸満市の景観の規制上、まだクリアされない問題があるため、すぐに動くことはなさそうだ。それにしても今回沖縄県は、法的な拘束力のない「留意事項」に、遺骨の混じった土砂は採取しないこと、などと書いているが、土砂の掘削自体は認めておいて、こんな一行を書き込んでも非現実的であり、責任回避のようにも感じられる。一方で、県は最終的には防衛省の設計変更を「承認しない」という形で、辺野古への土砂投入を止める長期戦の構えだと解釈する向きもある。他府県には不要でも沖縄には必要な「遺骨を救済するための条例」を整備する可能性に、会見で玉城デニー知事が触れていたことから、実はしっかり考えているのではないかという期待の声もある。

 知事の真意は今のところ私には推し量ることはできないが、これでは終わらないとする具志堅さんはじめ戦没者を大事に思う県民のエネルギーと、それに呼応する全国の人たちが、この渦をもっと大きく育てていく可能性はおおいに残っている。あの戦場に長年向き合い、血を吸った大地に根を張った人たちが組み上げていく平和運動は、どうやら簡単に崩れ去るようなものではなさそうだ。

 


   


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「ワクチン足りず、医療従事者用を回せ」国が高齢者接種の7月末完了で“脅し” 自治体が反発

2021-05-14 | いろいろ


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「ワクチン足りず、医療従事者用を回せ」国が高齢者接種の7月末完了で“脅し” 自治体が反発  


  総務省と厚生労働省は5月12日、全国の自治体を対象に実施した65歳以上の高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種の実態調査の結果を公表した。


 菅義偉首相が目標に掲げた7月末までに高齢者接種が完了する予定と回答したのは全国1741市区町村のうち1490自治体(85.6%)。都道府県別では、兵庫や京都など17府県が、全市町村で7月中に接種を終える見通しと回答した。「8月中」と答えたのは東京、大阪、愛知などの185自治体(10.6%)、「9月以降」としたのは北海道、福岡、沖縄などの66自治体(3.8%)だ。

 しかし、ワクチンが足りず、接種券を配布された高齢者が自治体の窓口に殺到したり、電話回線がパンクしたりとの騒ぎが連日、全国各地で起こっている。

「実はファイザーの都合で、今週中に高齢者用ワクチンが届かない市町村が相当数、発生します。しかし、ワクチン接種が順調にスタートした感を演出するため、『医療従事者用のワクチンを高齢者に当てるように』と総務省、厚労省が都道府県に内々に指示しています。85%の自治体が7月末までに高齢者への接種完了と答え、菅首相はご満悦ですが、実際は総務省が各県副知事への電話し、『7月末までに接種完了は難しい』と答えた市町村に対し、『公表するぞ』と脅した成果なのです」(政府関係者)

 AERAdot.編集部が入手した厚労省健康局健康課予防接種室が6日に各都道府県の衛生主管部に宛てたペーパーにはこう記されていた。

【独自】AERAdot.が入手した厚生省が地方自治体に出した指示書はこちら 

<市町村によっては5月10日の週にワクチンが納入されないことがあります>

 その対応策として<医療従事者向けに配送されたワクチンの一次的な融通等の検討と調整いただくなど、ワクチン接種が円滑かつ効率的に実施されるよう…>と指南してあった。

 高齢者向けのワクチン接種で各地で混乱が起きていることについて、河野太郎行政改革相は12日夜、TBSの報道番組で、「効率性よりは平等性の方を重んじる自治体が多かった。これは完全に僕の失敗です」と陳謝した。だが、自治体に責任転嫁するような発言に対し、怒る首長たちは多い。


兵庫県明石市の泉房穂市長はこう語る。

「兵庫県副知事が国からせっつかれているようです。周辺の自治体と意見交換しても、本音では大半の市長、町長は7月末までは難しいと言っている。ワクチンの打ち手を確保するために看護師、歯科医に頼めと国は言いますが、地元の医師会がOKしないと動けない。この説得で困っている。スムーズにいくよう国が調整するべきです。明石市に4月中に届いたワクチンはたった2箱(1000人分)です。高齢者は8万3千人いるのに。菅首相は7月末に高齢者ワクチン接種を完了せよと言いながら、ワクチン確保をきちんとできていない。ほんまに不誠実ですわ。どうしもて終わらせろと言うなら、まず、ごめんなさいと謝れと言いたいです」

 明石市は繁華街にも集団接種会場を確保するなどして7月末までに高齢者接種は終える予定だという。

 しかし、7月末までに難しいと回答した九州地方の市長は匿名でこう語る。

「医師会が『開業医は忙しい』と言うので、看護師、歯科医師にお願いしろと国は言いますが、勝手にやったら、次の選挙で落選ですよ。地方は医師会様なんです。国はわかっていながら、調整せずに自治体に押し付けている。本当におかしい。うちは打ち手不足で7月末どころか、8月末も難しいかもしれない。できないと自治体の名前を公表するぞと国が脅してきましたが、ワクチンを予定通り送って来ないのに、あまりに理不尽です」

 ある四国地方の首長もこう怒る。

「総務省から毎日、電話、メールが山のように来ました。状況を聞いて、2時間後にどうなったと質問されたりします。そもそも国がワクチン確保をできていないからこうなったんでしょう。それなのにも、県がしっかりやらないから市町村が困っているみたいなロジックで責任を押し付けてくる。国や総務省のそんな態度は本当の腹が立つ。あなたたちに責任やないのか、それをほおっかむりして、何を言うんだと言い返したいです」

 ワクチン接種を巡る騒動は当面、収まりそうにない。


(今西憲之、AERAdot.取材班)
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