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阪神間で暮らす 3

テレビを持たず、ラジオを聞きながら新聞を読んでます

猪瀬直樹氏に直撃 五輪は開催可能と本気で思っていますか

2021-06-23 | いろいろ


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猪瀬直樹氏に直撃 五輪は開催可能と本気で思っていますか  


猪瀬直樹(元東京都知事・作家)

 東京五輪開催まで1カ月あまり。世論の8割が今夏の開催中止・延期を求めているが、菅政権はなりふり構わず突き進む。8年前に招致活動の先頭に立った元都知事も、「予定通りの開催」を盛んに発信している。コロナ禍の強行に一体どんな意義があるというのか。市民置き去りは「平和の祭典」の名折れではないのか。疑問をぶつけた。


■「ファクトとロジックから言って『中止』はない」

 ――世論の動向をどう見ていますか。

 お祭りって、始まる前はみんなヤル気がないものですよ。祝祭空間とは何ぞや、ということ。阿波踊り、山笠。数日のためにみんな1年間働いている。五輪は100年以上続く4年に1度の祝祭空間。それを日本がやらせてもらうということなんです。招致活動が本格化する前も世間は無関心で、IOC(国際オリンピック委員会)が2012年5月に公表した世論調査では、支持は47%しかなかった。2カ月後にロンドン五輪が開幕して日本勢が金メダルを取り始めると、「日本選手はスゴイな!」と空気が変わり始め、東京・銀座の日本選手団パレードは大盛況。招致委員会が実施した国民支持率調査ではその間、支持がどんどん上がっていったんです。僕が都知事になったのが12年12月で、招致活動解禁が13年1月。その年の9月のIOC総会で東京開催が決定する直前には、支持は90%にも達していた。盛り上げていけば、そうなるんです。


 ――始まればみな大騒ぎだと。ですが、コロナ禍で日常生活は制約され、飲食店は半年以上もマトモに商売できない中、国内外の人流増加を招く五輪はなぜ特別扱いできるのでしょうか。感染拡大への懸念は払拭されません。

(IOCが)ワクチンを提供するって言ってますね。


 ――IOCは米ファイザーから出場選手を含む大会関係者向けに4万人分のワクチンを無償調達しましたが、選手の中からは接種に対する不安の声も聞かれます。副反応がどう出るか分からない、パフォーマンスに影響が出ないかと。

 影響は出ない。それは全く根拠なし、科学的じゃない。治験があるわけですから。根拠のないことを言っちゃダメ。これまでに接種してダメになった選手がいますか? 科学的なデータがないことを言ってはダメ。ファクトとエビデンスがない話はやめなさいよ。


 ――治験対象者を除けば、接種完了後1年経過した人はいません。選手は身体能力が秀でているだけに、ほんのわずかな違和感にも不安を感じるのは自然ではないでしょうか。

 そんなこと言ったら、ワクチンは危ない、で終わりじゃない。ワクチンは危ないって言って何になる? 打ちましょうという方向になっているんだから、それを否定したら科学の否定です。


■「万難排してやり抜く」が国際関係


 ――ワクチン問題もそうですが、コロナ禍でテスト大会への出場をあきらめざるを得ない選手もいます。フェアとは言えない環境で強行する意義はありますか。

 客観的なデータで考えれば分かることですが、ヨーロッパの人たち、世界の人たちから見たら「なんでやめるの?」という話です。データとロジックからすれば、そうなりますよ。人口100万人当たりの7日間新規感染者数は日本が120人ほど。米国は320人、英国600人、フランス720人、ドイツ210人。東京の人口10万人当たりが20人ほど。彼らより少ないのに「なぜ東京はやめるんですか」と、そういうふうに判断される。「工夫すればできるじゃないか」「あなた方は努力しないんですか」と。もうひとつは、招致をマドリード(スペイン)とイスタンブール(トルコ)の3者で奪い合いになったわけです。ぜひやらせてくださいと。中止にしたら、マドリードかイスタンブールにすればよかった、という話になってしまう。つまり、われわれ東京は選ばれたわけだから、他の都市を排斥して選ばれたわけだから、選ばれた責任がある。だからやり抜く。「万難排して開催する努力をいたします」というのが、国際関係として普通でしょう。

 

「IOCは超大国をも超越した存在なんです」


 ――そうでしょうか。

 できないのであれば、「あなた方は国際的イベントをやらない国、都市なんですね」って認定されますよね。W杯、あるいは冬季五輪なんかも、もういいですねと。IOCのバッハ会長の「われわれはいくつかの犠牲を払わなければならない」というスピーチを「日本人の犠牲を伴う」とすり替えた報道がありましたが、あれは誤訳。「われわれ五輪関係者の犠牲を伴う」と言っているわけで。付け加えると、IOCとの開催都市契約を「不平等条約じゃないか」って言う人もいるけど、それは間違い。IOCは国家主権を超越する存在なんです。09年のIOC総会の際、オバマ米大統領がプレゼンした。東京も立候補した16年開催に手を挙げていた地元シカゴを支援するためです。世界的なオバマブームの中、本人が乗り込んできたからもうダメだなあという雰囲気だったのに、IOCはオバマの政治力を拒否した。1回目の投票でシカゴが落選し、2回目の投票で東京も落選し、決選投票でリオデジャネイロ(ブラジル)に決まった。超大国の上にも立つのがIOC。不平等条約と言うのは、あまりにも認識不足だということです。


 ――五輪憲章で「政治的に中立でなければならない」とうたっているのですから、序列自体が存在しないのでは? コロナ禍による1年延長などを経て国が前面に出てきていますが、そもそもIOCのカウンターパートはどの組織ですか。

 IOCと契約したのは東京都とJOC(日本オリンピック委員会)。開催都市契約に署名したのはIOC会長、都知事の僕、JOC会長で、安倍首相はサインしていないんです。


 ――五輪返上論も浮上していますが、最終的な責任の所在はどこにあるんですか。

 何の責任? 五輪憲章を知らない人たちが騒ぎ過ぎなんです。メディアはその知識がない。2年延期なんてあり得ない。選手のことを考えてごらんなさいよ。僕が(都知事を)辞めた後、14年1月に組織委員会が発足してガバナンスがなくなっていった。森さん(森喜朗前会長)体制になって、不透明化して、何のアピールもない。だからこそ、いま国民の不信感が高まっている。当初のもくろみ通りにやっていれば、こんなことにはなっていなかった。


 ――医療法人徳洲会からの選挙資金提供問題で辞任に追い込まれなければ、都知事として五輪を迎えるつもりでしたか。

 新型コロナウイルス対策はもっとうまくいってたと思いますよ。いろんな工夫をしてメリハリをつけてやってましたね。今みたいなモタモタしたことはない、僕がやっていれば。


 ――具体的には?

 5年間の副知事時代に、NICU(新生児集中治療管理室)のベッド不足が問題になったので、すぐにプロジェクトチームを立ち上げたんです。コスト計算を職員に指示したところ、医療機器や医師・看護師の人件費などもろもろを計算すると、1床4000万円で回っていることが分かった。都が800万円ほど穴埋めすれば解決するということになり、実行したら病床が増え、たらい回しは解消されました。新型コロナの重症病床不足についても同じ発想で早く動けばよかった。経営の観点、マネジメントの観点からキチンと考えれば、解決策はあったはずなんです。いまカーボンニュートラルが注目されていますが、これももっと積極的に取り組んだと思います。


 ――五輪はどちらで観戦予定ですか。チケットは入手済みですか。

(チケットは)ありません。どういうふうになるかは今のところ……。


(聞き手=坂本千晶/日刊ゲンダイ)


猪瀬直樹(いのせ・なおき)
  1946年、長野県生まれ。信州大人文学部卒、明治大大学院政経研究科政治学専攻(日本政治思想史)修士課程修了。87年に「ミカドの肖像」で大宅壮一ノンフィクション賞。小泉政権下の2002年に道路公団民営化委員、石原都政下の07年に副知事就任。12年に都知事に就くも、13年に辞任。選挙資金をめぐり、14年に公選法違反(虚偽記入)の罪で罰金50万円の略式命令を受けた。15年から大阪府市特別顧問。「昭和16年夏の敗戦」「天皇の影法師」「道路の権力」「東京の敵」など著書多数。 
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 ファクトとロジックだとかファクトとエビデンスとか言っているけど結局は利権なんだろう、エビデンスとか言っても今回のワクチンは今までのワクチンと全く違うもの、選手が怖がってもおかしくないし死んだ人も多く出ている、IOCがワクチンを手配したと言っても大半の日本人はまだまだ接種は済んでいない、言ってることは矛盾だらけ、こんな人が東京都知事でなくてまだよかったのかも。15年から大阪府市の特別顧問って維新でしょ、大阪の死者は全国一、どう整合性をとるのだろう。維新こそIOCバッハ会長に負けないぼったくり集団じゃないですか。

 


大阪・見回り隊の“ズサンな仕事”に怒る府民。大阪府に問いただした

2021-06-22 | いろいろ


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大阪・見回り隊の“ズサンな仕事”に怒る府民。大阪府に問いただした  



吉村知事に怒りを覚える大阪府民


 今月1日、大阪府の吉村洋文知事は新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴う休業や営業時短要請に応じていない飲食店16店舗に休業命令を出すことを決定し、「5店舗は協力してくれるとの返答をもらった」ことを明かした。

 先月25日、ABCテレビの情報番組に生出演した際、緊急事態宣言の中でも休業要請に応じず酒類を提供する店舗に怒りをあらわにした吉村知事。この発言に対してネットでは「大阪府民のほうが怒り心頭」「休業に応じている店舗に休業補償金を先に払うのが先なのでは」などの指摘が上がっていた。

 つい先日も、見回り隊のバイト求人募集要項に「サクッと稼げるオイシイ仕事」と記載して炎上したり相変わらず世間を騒がせている大阪。その大阪で少し前から見回り隊の立入り調査が話題になっており、中には「1日に2回も来た」「チェックも全然せず目視しただけで帰っていった」など厳しいツッコミを受けている。

 

  
「何がしたいのかわからない」


 度重なる休業時短営業要請に、罰金覚悟のうえで店を開けることを決意した飲食店経営者は全国でも増えている。そんな中で「見回り隊の目的が分からない……」と話すのは大阪市内の商店街にある飲食店の従業員。

「うちの店では酒類の提供はなくしランチ、定食のみのの営業をしているのですが、商店街の中には堂々と『お酒飲めます』と謳っている飲食店が少なからずあります。そのせいなのか、店前でお弁当を売っていると『ここ、お酒飲めるんですか~?』とニヤニヤしながら近づいてくる人がいて、見回り隊なのか報道番組のテレビクルーなのかよく分からないんですよね。

『うちはお酒は出してないですね~』と答えると『あっちの店はお酒出してますよね?』とニヤニヤしながら聞いてくるんです。同じ商店街同士でチクるのも気まずいし『ちょっと分からないですね』と受け流しましたが……。見回り隊なのか知らないけれど聞くならコソコソせずに直接行け!、と思いましたね……」

 


見回り隊と知り合いだからOKと豪語するガールズバー


 休業時短営業に加えて世間からの厳しい監視。ストレスは溜まる一方だと語る飲食店従業員も多い中、大阪市内にあるガールズバーの店員からはこんな声も……。

「うちの店は普通にお酒を出して通常営業をしていますが、見回り隊が来たことは1度もないですね。キャッチ中に見回り隊に会ったことはあるのですが、スルーされます。

 どうやら、店のオーナーが見回り隊と知り合いで黙認されているという話を聞きました。見回り隊をやっている人が店に飲みに来たこともありますね(笑)」

 

  
大阪府に真意を問いただしてみた


 これは一体、どういうことなのか? 飲食店に対して見回り調査を実施している大阪府の『危機管理室災害対策課』に電話をして真意を問いただしてみたところ、たどたどしい口ぶりでこのような答えが返ってきた。

「……私達のほうでは『営業している飲食店を黙認する』という報告はないと認識しております。仮にもしその発言が真実だとしましたら、我々の責任としてそのようなことはないように指導していきたいと思います。府民の皆様からは見回り隊のバイト求人について、ご指摘された件もございますので……。今後、そのようなことはあってはならないと我々も履行していく次第であります」

 事実なのかは確認できなかったが、口ぶりからして恐らく同じような電話は何件かかかってきているようにも感じた。それよりも、「サクッと稼げるオイシイ仕事」の炎上は自覚があったんかい!と、思ったのはさておき……。

 要請に従わない飲食店を吊るし上げる吉村知事と「知り合いだから見回り隊が入らない」と豪語するガールズバー店員(あくまで噂だが)、見回り隊や吉村知事に対して怒りを超えて呆れる大阪府民。それぞれの意見が一致していないことは間違いないだろう。


〈取材・文/日刊SPA!編集部〉



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アメリカの子供に急増「MIS-C」、99%がコロナ感染 死に至ることも

2021-06-22 | いろいろ


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アメリカの子供に急増「MIS-C」、99%がコロナ感染 死に至ることも  

 

 新たに出現した新型コロナウイルスの変異型は、いとも簡単に子供たちの命を奪っていくかもしれない──。「子供はコロナにかかっても軽症」という前提が崩れ去ったとき、社会はどう変わるのだろうか。

 3月上旬から国内で新型コロナウイルスの「英国株」が広がり始めた。国立感染症研究所によると、5月9日時点で首都圏では新規感染者の約90%、大阪府、兵庫県ではほぼ100%が英国株に切り替わっているという。

 アメリカでは一足早く、日本のこの状況を予兆するかのように、英国株が子供たちの間で猛威を振るっていた。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の発表によると、4月30日〜5月6日までの1週間で、全患者数に占める子供の割合は24%。これは世界的なパンデミックが始まって以来、最も高い割合だ。

 さらに変異株の流行に伴って、アメリカで症例が急増しているのが「小児多系統炎症性症候群(MIS-C)」。MIS-Cは新型コロナ感染から2〜6週間の間に発症するとされる。心臓や肺、腎臓、胃腸などの臓器のほか、脳や皮膚、眼球など全身のさまざまな部位で炎症が起こり、下痢や発熱、発疹、心不全などの症状が起こる。最悪、死に至ることがある恐ろしい病気だ。最近、MIS-Cを発症した子供の99%が新型コロナにも感染していたという報告もあり、発症メカニズムの解明が急がれている。

 ミシガン州に住む10才の男児は、コロナの陽性反応が確認された後、MIS-Cを発症。心臓機能障害から手足の血液の流れが阻害されたため、最初に右脚、続いて左脚と両手の切断を余儀なくされてしまった。

 また、テキサス州の9才の男児は、腹痛のために入院治療を受けていたが、退院後に頭痛や喉の痛み、疲労感を訴えるようになり、コロナ感染が判明。それから1週間後には手足の震えや頭がボーッとするなどの症状が表れ始め、2週間後には歩くことも立つことも困難になったという。新型コロナの症状が長く続いている可能性から検査をするも、結果は陰性に変わっていた。つまり、男児の症状は新型コロナと関連したMIS-Cだとみられている。

 日本も例外ではない。ヒラハタクリニック院長の医師・平畑光一さんが警報を鳴らす。

「日本川崎病学会が2月25日に出した通達によると、日本でもMIS-Cの症例が数例あったことが報告されています。今後、子供のコロナ感染者が増えるにつれ、MIS-Cにも注意を払う必要があります」

 警戒が必要な変異株は英国株だけではない。すでに国内でも市中感染が確認されている「インド株」は、英国株に比べて感染力が1.3倍。重症化リスクは1.4倍と推定されている。インド株も子供や若年層に感染しやすく、1日あたりの死者数が世界最多を記録しているインドでは、新規感染者の65%が45才未満だ。

 英国株やインド株など、変異株の感染拡大によって、生活はどう変わるのだろうか。

「イギリスやイタリアでは、変異株の流行を受けて学級閉鎖が行われました。感染が広がれば日本でも同様の措置が取られる可能性があります。さらに子供を持つ医療従事者が離職し、医療体制が崩壊する恐れもある。

 アメリカでは13日から12~15才へのワクチン接種が開始され、ファイザーは11才以下を対象としたワクチンの臨床研究中です。日本でも、子供たちにもワクチンを行き渡らせるような体制を急ぐ必要があります」(国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さん)

 高齢者へのワクチン接種が始まったばかりの日本。子供への感染や重症化を防ぐための対策には、まだまだ追いついていない。


※女性セブン2021年6月3日号
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この五輪はただの丁半バクチだ 感染爆発ならば「菅退陣」

2021-06-21 | いろいろ


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この五輪はただの丁半バクチだ 感染爆発ならば「菅退陣」  


 現金なものだ。衆議院の解散を巡り「内閣不信任決議案で与野党攻防」とあれほど騒いでいた新聞・テレビが、不信任案が否決され、通常国会が予定通り閉会となると、今度は、東京オリンピック・パラリンピック後の「9月解散」のスケジュールを流し始めた。

 9月5日のパラ閉幕直後に臨時国会を開き、冒頭か、新たな経済対策を示した後に衆院を解散。投開票日は10月10日か17日を想定。9月末に迎える自民党総裁の任期切れについては、衆院解散を理由に選挙後にずらす。オリ・パラ成功と新型コロナのワクチン接種の進展が追い風になり、菅首相が衆院選を優位に進められれば、総裁選も無風で再選――。こんな政治日程である。

 衆院議員の任期が10月21日までのため、残された解散スケジュールは絞られるとはいえ、これはまさに、以前から語られてきた「菅再選必勝シナリオ」。大メディアは与党にとって都合のいい話を、ただただ垂れ流しているだけなのだ。

 「東京五輪が一定の成功を収め、国民にワクチン接種が進めば、秋に支持率は好転するはずだ」「ワクチンが行き渡れば選挙は有利になる」

 政権内にはいま、こうした期待感が広がっているらしい。しかし、そうは問屋が卸すだろうか。悲惨な結果となる公算が高いのではないか。

 

捕らぬ狸の皮算用  

 政府は17日、20日が期限の緊急事態宣言について、沖縄を除く9都道府県を解除し、東京や大阪など7都道府県を21日から「まん延防止等重点措置」に移行させることを決めた。新たな期限は7月11日まで。解除後のイベント観客数も「収容人数の50%以内なら1万人」に広げる。これは東京五輪の有観客開催を見越したもので、すべてが「五輪シフト」である。

 だが、専門家の見方は厳しい。異口同音に今後の感染再拡大を予測している。厚労省のアドバイザリーボードで示された試算では、20日の宣言解除後に都内で人出が増加し、インド型変異株の影響も受けると、7月前半には再宣言が必要になるという衝撃的なものだった。インド株の影響が少なく、人出を10%程度に抑えられたとしても、7月後半には再宣言が必要で、リバウンドによる「第5波」が避けられなくなる可能性があるのだ。

 東京都のモニタリング会議もきのう、都内の新規感染者数が下げ止まっているとして、「再拡大の危険性が高いと思われる」と分析している。実際、都内の新規感染者は、16日と17日の2日連続で前週の同じ曜日を上回った。

 専門家の意見に耳を傾ければ、五輪開催は間違いなく「一大感染イベント」であり、狂気の沙汰なのである。

 コロナ担当の西村経済再生相は五輪期間中でも「躊躇なく再宣言を発動したい」と予防線を張るが、五輪シフトで感染防止策を緩め、その結果の感染爆発なら、菅政権は持たないだろう。

 自民党内は「議員連盟」を舞台に、「3A(安倍前首相、麻生財務相、甘利税調会長)VS二階幹事長」の主導権争いが激化する政局にかまけている。焦点は次の人事での二階の幹事長ポスト交代とされ、菅がどう判断するのか、という話だが、それは「菅必勝シナリオ」が前提だ。五輪開催が感染爆発の悲劇を招けば、内閣支持率は暴落。「菅首相では選挙を戦えない」となり、一気に「菅降ろし」もあり得る。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏がこう言う。

 「自民党の下村政調会長が16日のBS番組で、『任期満了直前に解散し、11月選挙もあり得る』とコロナ次第で解散がずれ込む可能性に言及しています。現実を直視すれば、五輪後の政権浮揚というシナリオは甘い。大メディアは大本営発表ばかり伝えていますが、政権の思い通りにいくのでしょうか。捕らぬ狸の皮算用ですよ」

 

 


五輪開催なら感染拡大 大メディアの欺瞞と矛盾  

 「国民の命と健康より五輪」の無責任体質は、大メディアも同罪だ。

 17日の首相会見では、東京新聞や朝日新聞が「五輪開催によるリスク」を質問していたが、菅は人流抑制や大会組織委のガイドラインなど、「対策」について繰り返すのみで、真正面から答えない。会見場には緩い空気が流れ、他の記者は解散時期や内閣改造など人事について質問し、あっさり菅にかわされていた。

 繰り返すが、大メディアが垂れ流す与党の思惑だらけの「菅必勝シナリオ」は、感染再拡大や緊急事態の再宣言がなく、国民が五輪に熱狂して盛り上がることが前提だ。

 しかし一方で、大メディアは厚労省アドバイザリーボードなどの専門家の警鐘もしきりに報じている。五輪開催を後押ししている読売新聞でさえも、<インド型感染拡大なら 五輪中「再宣言レベル」>と伝えている。五輪で感染爆発なら、「菅再選シナリオ」は崩れるわけで、大メディアだってこのまま何事もなく、五輪が終わると確信してはいまい。

 ところが、朝日新聞が社説では「五輪中止」を求めながら、同日にホームページで「オフィシャルパートナーとしての活動と言論機関としての報道は一線を画します」とスポンサー継続の意思表明をしたように、五輪を巡っての大メディアの立ち位置は欺瞞と矛盾に満ちている。朝毎読日経が揃ってスポンサーであり、テレビはNHKと民放全局が五輪の放送をするから、どうにも曖昧なのである。

 政治評論家の森田実氏が言う。

 「新聞やテレビを見ていると、メディア全体が『五輪をやりたい』で足並みを揃えていることがよく分かります。それは国会が閉幕したら、一気に次は秋の総選挙というモードになったこと。その前に7月4日投開票の東京都議選があるのに、あまり報道せず、世論に関心を向けさせないようにしている。7月ですよ。対象は都民ですよ。つまり、五輪推進派が過半数を割るようなことがあれば、都民は『五輪NO』の意思を明確にしたことになるのです。本来ならメディアは都議選についてもっと論じるべきなのに、菅政権や五輪推進派が有利になるよう、避けているのです」

 

■ 「きっと大丈夫」の楽観論  

 IOC(国際オリンピック委員会)のコーツ調整委員長が既に来日し、米国内の五輪放映権を独占するNBCのCEOが「最も利益の高い五輪になる」と発言したことが報じられ、五輪開催への既成事実化とムード醸成が進む。

 テレビを筆頭に、大メディアは無批判五輪翼賛報道が全開。群馬県太田市で事前合宿中のソフトボール豪代表の練習を市民が観戦したとか、野球の日本代表が内定し<侍ジャパン 盤石の布陣>といった見出しが躍る。

 だが、感染爆発なら、飲食店は再び苦しみ、企業倒産もまた増える。その危険性から目を背け、政権もメディアもみな「きっと大丈夫」「ワクチンがある」の楽観論。

 「五輪中に感染が蔓延して衆院選になれば、自民は目も当てられない。逆に、ワクチン接種が成功して五輪も『感動した』となれば我々が苦しくなる。はっきり言ってギャンブルだ」と言った野党幹部がいたらしいが、その通りで、要は、この五輪はただの博打なのである。国民の命と暮らしは置き去り。バンザイ突撃ならぬバンザイ五輪だ。

 「『トム・ソーヤの冒険』で有名な作家、マーク・トウェーンの格言に『人間の一生に、賭けをしてはならない時が2度ある。それをする余裕のない時と余裕のある時である』があります。政治権力者は、国民の生命や安心を賭けの対象にしてはいけないのです」(森田実氏=前出)

 17日の会見で菅は、東京五輪について「世界が団結し、難局を乗り越えることを日本から世界に発信したい」と力を込めた。しかし、博打に負けて感染爆発で最悪の結果を招けば、日本という国の愚かさを発信するだけである。 
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ポスト菅をめぐる綱引きで隠れた争点になった「原発をどうするのか」問題

2021-06-21 | いろいろ


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ポスト菅をめぐる綱引きで隠れた争点になった「原発をどうするのか」問題  


 『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、温暖化ガス排出ゼロを目指す「グリーン成長戦略」から「原発活用」のフレーズが削除された裏事情を推測する。

 (この記事は、6月14日発売の『週刊プレイボーイ26号』に掲載されたものです)  

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 温暖化ガス削減に向けて菅政権が打ち出したグリーン成長戦略から、ある文言が削除されたことが波紋を呼んでいる。

 2050年に温暖化ガス排出ゼロを目指すこの戦略は昨年12月に取りまとめられ、今年6月中にもその改定案が公表される予定だった。そして6月2日に示されたその改定案を見ると、20年12月版にあった「(原発)を引き続き最大限活用していく」というフレーズがきれいさっぱりと削除されていた。

 今年4月に原発リプレース(建て替え)を推進する議員連盟が結成され、最高顧問に安倍晋三前首相が就任するなど、自民党や財界を中心に原発推進派が攻勢を強めてきた。グリーン成長戦略の策定を「渡りに船」とばかり、温暖化ガス削減のためにはCO2を排出しない原発を活用すべきとの大合唱が始まっているのだ。

 当然、誰もが改定案でも原発活用の方針は維持されると予想していた。なのに、なぜそのフレーズは消えたのか?

 報道によれば、フレーズの削除は再生可能エネルギーを重視する小泉進次郎環境大臣や河野太郎行政改革担当大臣らの意向が背景にあるとされている。ある官邸筋も、河野大臣は菅首相に削除を熱心に進言していたという。また、別の政府関係者によれば、小泉大臣も公明党の山口那津男代表を訪ね、脱原発の声を上げるべきと口説いたそうだ。

 その効果があったのか、公明は5月末に「将来的に原発に依存しない社会を目指すべき」という提言を菅内閣に提出している。与党である公明のこの提言が「原発活用」のフレーズ削減に大きく貢献したのは確かだ。

 ただ、実際にフレーズ削除に踏み切った主役は菅首相本人だったと私は考えている。自民党の正式機関である総合エネルギー戦略会議はすでに原発推進の大合唱を受け、原発のリプレースや新増設を進める提言を取りまとめている。それでもグリーン成長戦略にその要素が入らなかったのは、首相が自らの判断で原発の「最大限活用」というフレーズから距離を置こうとしたからと考えるべきだろう。

 その理由として私が考えていることがふたつある。一点は支持率の維持だ。原発ゼロを求める世論は根強い。もしここで原発推進を明確にすれば、さらに支持率が下落しかねない。総選挙を前に、不人気な原発推進政策をぶち上げるのは得策ではないと判断したのだろう。

 もう一点はポスト菅選びで主導権を握ろうと動きだしている「3A」(安倍前首相、麻生太郎副総理、甘利明党税調会長)への牽制(けんせい)だ。3Aは原発推進の中心にいる。菅首相はグリーン成長戦略に「原発活用」のフレーズを盛り込まないことで、3Aの求心力に水を差そうとしているのではないか? 

 今年11月にイギリスで開かれるCOP(国連気候変動枠組み条約締約国会議)に備え、今夏にはエネルギー基本計画も改定されると報じられている。日本のエネルギー政策、グリーン成長戦略はどうあるべきか。それを考える上で、「原発をどうするのか」を議論することは不可避だ。

 コロナ対応や五輪開催の陰に隠れて、自民党内の原発推進をめぐる綱引きは激化するが、推進派は、今は死んだふりをして選挙後に勝負をかける可能性もある。今後の政局と密接不可分になっている原発政策の行方に要注目である。


古賀茂明  (こが・しげあき) 
  1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。最新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)が発売中。
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耕論 新型コロナ ワクチン急加速の中で

2021-06-20 | いろいろ


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耕論 新型コロナ ワクチン急加速の中で  

五輪開幕を目前にして、政府の旗振りによリワクチン接種が急加速している。職域、学校、大規模会場での64歳以下…… 続々と対象が広がるなか、見えなくなつていることはないか。


打たない人への差別懸念

 新型コロナのワクチン接種が加速しています。できるだけ早く打たなければという雰囲気が社会にあるなか、私は、ワクチンを打たない人への差別が強まることを懸念しています。

 日本弁護士連合会で5月にワクチン接種に関する電話相談を行ったところ、2日間で200件以上が寄せられました。接種しない人に対する差別は予想以上に深刻です。 

 高齢者が「接種しなければ施設へ通所できない」と言われたケースや、介護施設で働く人が退職を求められたという相談もありました。

 ある医療従事者は「接種が嫌なら診断書を持ってくるように」と勤務先から迫られました。「接種しないと実習を受けさせられない」と言われた看護学生も。「非国民扱いをされるのではないか」。そ んな言葉を使うほど追い込まれている人もいました。

 打たない理由は様々です。ワクチンの安全性への懸念や重いアレルギー、持病などの事情で打ちたくても打てない人もいます。命や健康に関わる個人の状況や選択をないがしろにしてはいけません。

 ワクチンを職場で打つ「職域接種」が始まりました。接種を受けたい人には便利でしょうが、職場内で誰が打たないのか分かってしまい、実質的に選べない状況になることが心配です。また、学校での集団接種は適切ではないと考えます。未成年の新型コロナ感染症の重症化リスクは高くありません。ワクチンの長期的な安全性はまだ不明で副反応もあり、慎重な選択をしたい保護者もいます。打たないことがいじめの原因になる可能性もあります。

 新型コロナワクチンについて定めた改正予防接種法では、接種は「努力義務」とされています。つまり国は接種を勧めるが、最終的には本人の意思に委ねられ、強制力はない。かつて「義務」として強制された接種で健康被害が出ました。集団訴訟で国の責任が認められ、その反省を踏まえたものです。衆参両院の付帯決議でも「差別やいじめ、職場や学校での不利益な扱いは決して許されない」と周知することを国へ求めました。政府も、接種をしないことを理由に解雇や配置転換することを「適切ではない」と明示しています。

 政府は差別事例をきちんと把握し、専用の相談窓口を設けるべきです。なにより被害が生じる前に、許されない行為を企業や教育機関へ具体的に示さなければなりません。

 接種と引き換えに商品券を渡すなど、経済的利益で接種へ誘導する例もあります。しかし、控えるべきです。打った人だけを有利に扱うことは、打たない人への差別につながりかねない。行政だけでなく、今後は企業や教育機関にも慎重な配慮が求められます。

   (聞き手・富田洸平)

 

行き渡った未来を示して

 ワクチン接種では、一部で予約が殺到して混乱が起きた一方、枠が埋まらずがら空きの会場もでました。その背景には、政府や自治体が国民の心理を均一に見なしていることがあるように思います。

 「すぐに接種したい」という人は、高齢者や重い持病のある人を中心にかなり存在します。同時に「絶対に接種したくない」という人も一定数いるはずです。でも、最も多いのは「受けたいが、一刻も早くというほどではない」という中間層でしょう。

 「すぐに接種したい」人たちが予約に殺到するのは当然で、混乱が起きたのは、需要に対し供給が不十分だったからにすぎません。集合現象としてはパニックに見えても、個々人からすれば「つながらないから何度か電話した」程度の行動だつたと思います。

 一方で、最も多い中間層の特徴は、移ろいやすさです。ちょっとしたことで「受ける」「受けない」が変わる。接種した人から「腕が痛くなった」「熱が出た」というマイナスの情報は聞いても、「打ったら感染しなかった」というプラスの情報を個人から聞くことはないはずです。いつ「受けない」側に振れてもおかしくありません。

 中間層の接種者を増やしていくためには、政府や自治体は、何のためにワクチンを接種するのかという「画」を描いてみせるべきです。ワクチンが行き渡れば、また飲み会や旅行ができる。そうした具体的な未来を見せず、「1日100万回を目指す」と言うだけでは、あまり接種の後押しにならないでしょう。

 今後、打たない人への差別も懸念されるため、対策は必要です。ただ、排除の心理は概して少数派に対して生じる。ワクチンの場合、打たない人が少数派になるのは大半の人が接種した後で、そのころ多数派は感染リスクが低くなっているので、「打たない人のせいで感染が広がる」とはなりにくいとは思います。

 国民の間でワクチンに対する意識の違いが混在するなか、政府が接種率を上げようとするなら何をすべきなのか。必要なのは、国民の疑問に正面から向き合う姿勢であり、信頼の向上です。信頼を規定する要因には、有能さ、誠実さ、価値の共有などがある。有能でも不誠実であれば任せる気にはならず、どれが欠けてもだめです。

 「なぜ海外に比べて接種が遅れたのか」と疑間に思う人は多いはずですが、現政権は正面から答えていません。医療や薬事行政の根本的な問題には触れずに「ワクチンは確保した」と言っても、はぐらかしているようにしか見えない。接種者を増やすには、必要な情報をきちんと伝えて価値を共有し、国民の意見も聞くことで、信頼を回復する必要があります。

 (聞き手シエアエディター・尾沢智史)

 

接種「誰かのため」なの?

 ウイルス感染症である天然痘は、人類が根絶に成功した唯一のヒトの感染症です。効果をあげたのは、種痘と呼ばれるワクチン接種でした。西欧から日本に種痘が導入されたのは江戸時代の末期です。

 19世紀の江戸期から、日本政府が種痘事業を廃止した1976年までの間に、日本で何が起きたのか。私が歴史を調べ、知見の一端を著書として発表した直後、新型コロナウイルスが流行しました。

 人々に種痘を行ってもよいのか。ワクチンというものを初めて手にした江戸時代の医師たちは、激しく議論しています。ただ推進派も反対派も、副反応によって身体や命を傷つける行為は絶対に許されないと考える点は共通していました。背景には天命という価値観があったようです。寿命は天から定められたのだから、たとえ100人に1人であろうと予防接種という人為的な行為によって傷つけてはいけない、との考えです。

 しかし明治期に入ると、異なる見方が広がりました。種痘は国家の所管事業になり、国民の義務とされていく。社会防衛的な意味を持つ「衛生」という考え方が、西欧から導入されたのです。

 誰かに起きる副反応を「あってはならないもの」とする考えに代わって、「運が悪かった」という確率論的な見方や「特異体質のせいだ」という自己責任的な見方が前面に出るようになりました。ワクチンの必要性と有効性にだけ注目し、副反応は不間に付す傾向も見られました。

 時流が変わったのは戦後の1970年代です。後遺症や死亡例への注目が高まり、政府は予防接種の強制性を緩和しました。天然痘の制圧が進んでワクチンの必要性が弱まったとき、社会は副反応という論点を思い出したのです。

 国家による衛生事業では、社会全体の健康が重視されます。人々は集合的・統計的にとらえられ、感染者は「1」とカウントされる。今のコロナ禍も、実際には一つ一つの身体が苦しんでいるのに、第1波、第2波という「波」としてイメージされがちです。

 振り返ると江戸期の種痘では、接種される人(被接種者)と接種の利益を得る人(受益者)が一致していました。「受ける人が天命を全うできるよう」との考えで接種が進められたからです。

 しかしコロナ禍でのワクチン議論では、被接種者と受益者の間にズレが見えます。高齢者など重症化しやすい人のために、重症化リスクがそれほど高くない若者に、リスクのあるワクチン接種を受けさせる構図があるからです。自分ではない誰かのために接種する――それは必ずしも当たり前の話ではないはずです。

 ワクチン接種は誰のためか。歴史は、そうした議論の大事さを教えてくれます。

  (聞き手 編集委員・塩倉裕)
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ワクチン接種は慎重に

2021-06-20 | いろいろ


賀茂川耕助氏の「耕助のブログ」より

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ワクチン接種は慎重に


 No. 1314「コロナワクチンの危険性」で、警鐘を鳴らす医師や専門家が検閲や迫害を受けていることを例に、ワクチンやコロナ対策に関する政府の説明に健全な疑問を持つべきではないかということを書いた。

 こうした反ワクチン的な発言に対して、主流メディアは「陰謀論に気を付けて」という論調の記事を掲載している。「荒唐無稽な陰謀論」というが、政府や主流メディアは科学的に正しい情報を発信してきたのだろうか。昨年4月、厚生省専門家チームは、新型コロナは「対策しなければ最悪40万人以上が死亡する」という推計を発表した。重篤な患者は15歳から64歳で20万人、65歳以上は65万人に上るだろうとも言った。1年たった今、政府がGOTOトラベルを実施して旅行や外食を奨励したにもかかわらず、日本で最初にコロナによる死者が出た2020年2月から21年5月16日時点で、死者数は40万人どころか11,524人、感染者約68万人のうち約59万人が回復している。日本のインフルエンザ死者は年間1万人前後、毎シーズン1,000万人以上が感染しているが、新型コロナに関してだけ政府は自粛を要請し、メディアは恐怖をあおる報道を続けている。

 ワクチン開発は一般に十数年、最短のおたふくかぜワクチンでも4年かかっている。動物実験から人体への応用というのが普通だが、新型コロナは動物実験を省いてしまっている。昨年ワクチン開発が始まった頃には、免疫学者が「遺伝子ワクチン」という新しい手法では慎重な臨床試験が必要で、期間を短縮すると重大な副作用を見逃す恐れがあると警鐘を鳴らしていた。しかし1年もたたぬうちに開発され、米食品医薬品局の認可を受けることなく「緊急用」として許可されて接種が始まった。ワクチンで健康被害が出るなど問題が起きても、開発した製薬会社は賠償責任を免除されている。

 免疫学者の懸念通り、ワクチン接種の進む米国では健康被害が起きており、VAERS(ワクチン副作用報告システム)によれば、昨年12月から今年4月末までに米国では4,178人が死亡しているという。毎日30人がコロナワクチンで亡くなっている計算になる。日本でも政府発表の「ワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要」(5月12日)によると、ワクチン接種後これまで38名が翌日から数日後に死亡している。その中には接種4日後にクモ膜下出血で亡くなった20代の看護師の女性もいるが、ワクチンとの因果関係は38名すべてが評価不能とされている。ちなみに日本で新型コロナでは20代の女性は一人も死んではいない。

 私は反ワクチン派ではない。しかし人類初の「遺伝子ワクチン」である新型コロナワクチンに関しては、海外の記事を調べるほど疑念が膨らみ、接種の判断は慎重にするべきだと思っている。新型コロナのリスクとワクチンのリスクを判断できるように、政府やメディアは反ワクチンを陰謀論として黙らせるのではなく、国内および接種が進んでいる国のワクチン被害の状況も国民に正しく伝えるべきである。
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五輪のために国民犠牲 言葉を失う暴政に絶望と無力感

2021-06-19 | いろいろ


より

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五輪のために国民犠牲 言葉を失う暴政に絶望と無力感  


 「五輪で観客がいないと、コロナに負けた感じがする」――16日付の朝日新聞3面に聞き捨てならないコメントが掲載されていた。

 声の主は「首相側近」。空前絶後のパンデミックを引き起こしてきたウイルスに、いまだ「打ち勝ちたい」感覚に声を失う。こんな「側近」しか周りにいなければ、菅首相の新たなコロナ対策が「五輪シフト」に傾くのも当然である。

 16日の新型コロナ対策分科会で、政府が示した緊急事態宣言とまん延防止等重点措置解除後の大規模イベント観客制限の緩和策が、あっさり了承された。具体的には現行の「収容人数の50%を上限に最大5000人」から「収容人数の50%以内なら上限1万人」に引き上げられる。

 菅政権は期限となる20日に宣言解除し、東京や大阪で重点措置に切り替える方針を固めた。重点措置の期限は、7月23日の東京五輪の開幕をにらんで同月11日までとする方向で調整中だ。性懲りもなく「コロナに打ち勝った証し」として有観客の五輪に道筋をつけたい考えだから、正気とは思えない。

 東京新聞の試算によると、五輪競技会場に現行の「収容人数の50%」か「最大5000人」を当てはめた場合、観客数は延べ約310万人に上る。その規制を取り払って「1万人」に引き上げれば、単純に2倍近くに観客は増える。

 想像して欲しい。約1カ月後に日本中から数百万人の観客が東京に押し寄せ、人の流れが渦巻く光景を。あれだけ専門家から「人流」の増加が感染拡大につながると、口を酸っぱくして注意されても、菅とその側近の心には響かない。「コロナに負けたくない」という子どもじみた発想から抜け出せないのだ。

 居直ったのか、破れかぶれか、本当に成功すると思っているのか。観客の上限緩和をすんなり認めた分科会の尾身茂会長も含め、菅一派は完全にトチ狂っている。


戦後史上最も国民の命を軽視した政権  

 16日は京大ウイルス・再生医科学研究所の古瀬祐気・特定准教授と東北大、国立感染症研究所のグループが、6月から9月にかけての都内の感染状況に関するシミュレーションを厚労省の専門家会合に提出。「最も悲観的なシナリオ」はショッキングな推計だ。

 20日の宣言解除後に1カ月かけて人出が10~15%増加、五輪開催でさらに10%増えて、加えて感染力や病原性が非常に高い「インド株」への置き換えが進んだ場合、7月前半から中旬に新規感染者数が1日1000人を超す。この時点で宣言を再び出しても、8月中旬には2000人を突破するという。

 ただ、実際に五輪を強行すれば、この「悲観シナリオ」を超える惨状が待ち受ける可能性すらある。16日の都内の新規感染者数は501人。12日に続き、前週同曜日を上回った。前週の440人から61人増え、約14%アップ。とうとう新規感染が下げ止まったとみるのが妥当である。

 人出の増加も顕著で、GW後は4週連続で都内の主要繁華街の人出が増えていた。大型連休中と比べ昼間は26%増、夜間は32%増が感染下げ止まりのゆえんで、この先は増加に転じるのが目に見えている。つまり宣言解除の前から都内では既にリバウンドの兆候が見て取れるのだ。

 20日に重点措置に切り替えれば、3月の「早すぎる宣言解除」の二の舞い。しかも、一定の要件を満たせば酒類の提供を午後7時まで認めるというから、元のもくあみだ。

 16日の都内の新規感染者のうち、20代が152人と約3割を占め、10代も43人と見逃せない数だ。30、40代も加えると、実に約75%に達する。この世代は、ワクチン接種が行き届かない層と重なり、今後のリバウンドの中心となっていくのだろう。また、自粛生活で最も我慢を強いられてきた世代でもある。

 


運を天に任せた壮大な賭け  

 何せ、都民は今年に入って17日まで、緊急宣言が126日間、重点措置を加えると140日間と実に8割超の日々を自粛に次ぐ自粛に耐え忍んできた。宣言終了後は解放感に浸って出かける人も増えるし、ワイワイと騒ぎ出す若者も確実に増えるに決まっている。

 そして、おあつらえ向きに「世紀の祭典」が間もなく始まり、できるだけ観客を増やそうと菅一派は「悪だくみ」だ。五輪の観客が増えれば増えるほど、熱中症対策など医療従事者の負担も増えるが、無責任政権は「分かっちゃいるけど、やめられない」。

 たとえ人流増と感染拡大で医療体制が逼迫しても、五輪強行のためなら見て見ぬフリ。国民の不安など馬耳東風で、ひたすら「安心安全」のお題目を唱えれば疫病は退散すると信じ込んでいるとしか思えない。

 おまけに、大会組織委員会まで調子に乗っている。開催期間中はサーフィン競技会場の千葉・釣ケ崎海岸で“密フェス”を主催。7つの競技会場が集中する東京・お台場、有明一帯には聖火台をはじめ、大会スポンサーのパビリオンなどを設置する予定だ。組織委は「計画を見直す」とは言うものの、準備は着々と進んでいる。

 小池都知事を除いた各自治体の首長が「人流ができ密になり大声を出すため」(岐阜県の古田知事)と、五輪のパブリックビューイングを次々中止しても、菅政権と組織委は率先して「いらっしゃ~い!」と客を呼び込み、人流増の火に油を注いでいるのだから始末に負えない。東京五輪関連の著書がある作家の本間龍氏はこう言った。

 「専門家の指摘では7、8月に次の感染の大波が押し寄せるのは明らか。五輪に固執する菅政権は国民の犠牲を多少は払ってでも開催すると腹をくくっているのでしょう。国民にとって犠牲の代償はゼロに等しい。それなのに、組織委はスポンサー企業を喜ばせるため、菅政権はお祭りムードの中で総選挙に突入するためだけに『もう引き返せない』となし崩し的に五輪開催に邁進。まさに運を天に任せ、国民の命と健康を賭けた壮大なギャンブルです。75年に及ぶ戦後日本史上、これだけ国民の生命を軽く扱った政権は存在しません」


ご都合主義の二重基準こそ最大の特徴  

 こんな人命軽視のデタラメ政権が、取ってつけたような酒類規制をかけたところで、誰が言うことを聞くものか。全ては有観客開催で世界に「コロナに勝った」と見えを張るため。五輪命のポンコツ首相のせいで、この国の秩序は乱れるばかり。最も恐れていた五輪由来の新たな変異株が出現し、世界にパンデミックをまき散らす「人類史上最悪のシナリオ」へと一直線である。

 「東京五輪のコロナ対策と称して海外選手を宿泊施設に閉じ込め、唾液の抗原定量検査の30分前には『飯を食うな』『歯を磨くな』と行動制限。重大な違反があれば制裁金や国外退去措置を科すと脅しながら、観客を増やして感染リスクを高めるのは大いなる矛盾です。ご都合主義の二重基準こそが菅政権の最大の特徴で、自分勝手な解釈で法やルールを作り変え、やりたい放題。国会閉幕のドサクサ紛れの土地規制法の強行採決もその一環です。基地周辺や国境離島を外資の手から守るなんて建前に過ぎず、真の狙いは住民監視や住民運動の制限でしょう。あらゆる個人情報の収集や土地価格の下落など、プライバシー権や財産権の侵害を招く恐れがあり、憲法の規定を侵害する悪法です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 迷走を重ねた独裁政権の末期症状のごとく、菅政権は人権弾圧と取り締まりだけ強化の一途だ。暴政が加速化する狂った政治を、もう誰も止められないのか。五輪ありきの言葉を失うデタラメの連続に、国民が絶望と無力感にのみ込まれてしまったら、オシマイだ。 
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野党第一党の党首を枝野代表にやらせて良いのか  (抄)

2021-06-19 | いろいろ


ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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野党第一党の党首を枝野代表にやらせて良いのか


 野党4党が提出した菅内閣不信任案は、自民、公明、日本維新の会の反対多数で否決された。不信任案に賛成したのは衆議院議員456人中134人で3割に満たず、メディアの世論調査で軒並み不支持が支持を上回る菅政権は、国会では圧倒的に優勢であることが確認された。

 国民は菅政権のコロナ感染対策や五輪開催を巡る説明に納得しておらず、それが不支持が支持を上回る理由だが、しかし国民が野党に期待しているかと言えば、それもほとんど感じられない。そうした中での不信任案提出で、むしろ野党は自らの弱さを露呈したとフーテンには思えた。

 まず提出に至る過程で立憲民主党のだらしなさが目に付いた。最初に不信任案提出を口にしたのは安住国対委員長で、3月ごろだったと思うが、すると自民党の二階幹事長から「提出されれば総理に解散を進言する」と脅され、立憲民主党はぐらついた。

 急に不信任案提出を言わなくなり、様子見に転じたように見えた。それによって解散を恐れているのは立憲民主党ではないかと思わせた。つまりコロナ禍の中で解散を打てば菅総理は国民から批判を浴びる。だから解散しないだろうと甘く見て不信任案提出を口にしたが、「解散するぞ」と言われると途端に態度が変わった。

 大変に申し訳ないが、枝野代表や福山幹事長のキャラクターは、善人なのかもしれないが、言っていることが国民の目を意識した強がりにしか見えない。だから凄味がない。誰も見ていなくとも黙々とやる人間には凄味がある。しかし人の目を気にする人間に凄味がないのは世の道理だ。

 フーテンの目には野党の存在感が見えない。そして自民党内の菅―安倍―二階の権力闘争の方に興味が湧く。4月の日米首脳会談前に、二階幹事長は「無理だと思ったらスパッと五輪開催を中止」と言い出し、さらに河井克之・案里夫妻に提供された1億5千万円への関与を否定した。そして安倍前総理の責任に光を当てる「刺し違え」発言を行う。

 すると枝野代表が再び不信任案提出を言い出した。しかもコロナ禍であるのに「早期解散が望ましい」と言った。この急変ぶりにフーテンは、もしかして自民党内権力闘争と連動した発言かと勝手に想像した。

 権力を奪い取ろうとする野党なら、与党の権力闘争をただ眺めているのでは芸がない。介入して自分たちに有利な状況に導けなければ野党ではない。いよいよ立憲民主党も自民党の権力闘争に加担する野党になったのかと思ったが、それはフーテンの思い過ごしだったようだ。

 ついでに言うと「55年体制」の社会党、公明党、民社党は、大いに自民党の権力闘争に加担した。田中派の中で、田中角栄と金丸・竹下グループが分裂した時、田中の側に付いたのは社会党左派と公明党、金丸側は社会党右派だった。

 それが予算案審議を巡って裏で動き始める。予算案が通らなければ、金丸幹事長と竹下大蔵大臣は責任を問われると言われ、実際に田中を支持する野党の力で予算委員会は動かなくなった。「金丸は政治家として終わり」と言われ出した頃、突然田中が病に倒れ、すると野党の抵抗が消えて、予算は無事に成立した。

 政権交代のない「55年体制」だって、「万年与党」の内部に権力闘争が起これば、野党はそれに介入し、自分たちに有利な状況を作る努力をした。政権交代を狙う野党ならなおのこと与党内権力闘争に無関心で良いわけはない。

 その絶好の機会が訪れているとフーテンは思うが、「55年体制」は悪い政治の見本で真似してはいけないと子供のように思い込み、「55年体制」より程度の低い政治になっているのが現在の与党であり野党だとフーテンは思う。政治に対する真剣さがまるで違う。昨今の政治には軽薄さしか見えない。

 6月9日、2年ぶりに開かれた「党首討論」で、菅総理は火だるまになってもおかしくはなかった。それほど追及すべき材料はいくつもあった。しかし最も時間を与えられた枝野代表の追及は迫力に欠けた。自分の政権が出来た場合を話したかったようだ。

 いま国民は立憲民主党政権のことなどに関心はない。それより目の前のコロナ対策や東京五輪開催に関心がある。五輪開催では共産党の志位委員長、コロナ対策では国民民主党の玉木代表が1点に絞って追及したが、いかんせん時間が短い。それでも迫力不足の枝野代表に比べれば2人の方がましだった。

 野党4党を代表して内閣不信任案の趣旨を説明したのは枝野代表である。これが1時間半の長い演説で、我慢して聞いていたが1時間で眠くなった。心に響くものが何もなかったからだ。なぜなら菅内閣を不信任する趣旨ではなく、自分の内閣が出来たら何をやるかを述べたからだ。

 ・・・・・。

 

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平井デジタル相の「完全に干す」発言

2021-06-18 | いろいろ


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平井デジタル相の「完全に干す」発言 日本は独裁国家と同レベル!?  


  実に、6分47秒。菅義偉首相の問わず語りは「長いよ!」というヤジが飛んでも延々と続いた。

  6月9日、国会で2年ぶりに党首討論が開かれた。立憲民主党の枝野幸男代表に与えられた時間は30分。ヤジが飛んだのは、その約4分の1を菅首相が“強奪”したからだ。

 「57年前の東京オリンピック大会、高校生でしたけども、いまだに鮮明に記憶しています。例えば、東洋の魔女と言われたバレーの選手、回転レシーブっちゅうのがありました」(菅首相)

  入念に準備したのだろう。菅首相は時折、手元にある付箋(ふせん)が貼られた資料に目を落とす。マラソンのアベベ選手などの“思い出話”で、時間はむなしく過ぎていった。

  歴代の首相の発言スタイルを研究する米ユタ大学の東照二教授は言う。

 「スピーチに自らの物語を入れるのは悪いことではない。ただ、枝野氏との議論では二人とも相手の意見を引き込んで再質問し、論点を明確化させることをしなかった。これでは討論になりません」

  多くの国民が知りたいのは、大会期間中にどの程度まで感染者数を抑えるのかというシナリオだろう。ジャーナリストの二木啓孝氏は言う。

 「具体的な数字を聞いても、菅首相は『感染対策をしっかりやる』という『手段』しか説明しない。数字を設定すると、失敗した時に責任を問われるからです」

  無責任なのは菅首相だけではない。最近では、こんな暴言もあった。

 「ぐちぐち言ったら完全に干す」

  時代錯誤な発言の主は平井卓也デジタル改革担当相だ。今年4月、東京五輪・パラリンピックに向け国が開発したアプリの事業費削減のため、開発事業者を“脅す”よう内閣官房の職員に指示した。6月11日付の朝日新聞の報道で明らかになった。同紙の取材に平井氏は「国会で野党から、契約額が高いと迫られていた」と、野党に責任転嫁したという。コラムニストの小田嶋隆氏は言う。

 「巨大な公共事業である行政機関のデジタル化について、管轄する大臣の『完全に干す』という言葉は、『味方に恩恵を与え、敵は排除する』ということ。日本の行政機関が、独裁者が支配する国と同じレベルだと明らかになった」

 「行政の私物化」が頻繁に指摘されるようになったのは、2012年に発足した第2次安倍晋三政権からだ。たとえば、国有地が格安で払い下げられた森友学園問題。学園と財務省の交渉の過程で安倍晋三前首相と昭恵夫人が関わっていた疑惑が持ち上がった時、安倍氏は国会でこう言い放った。

 「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」


 この発言が、財務省を「公文書改ざん」という犯罪に走らせた。実行役を指示された財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんは、自死に追い込まれた。

 「第1次安倍政権は閣僚の不祥事が相次ぎ政権が崩壊した。それで第2次安倍政権では、不祥事があっても『認めない』という戦略に変えた。森友問題も、安倍氏が早い段階で間違いを認めれば、こんなことにはならなかったはずです」(小田嶋氏)


(本誌・西岡千史、松岡瑛理)


※週刊朝日  2021年6月25日号より抜粋 
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「帰ったら命が危険」「最後まで悩んだ」帰国拒否したミャンマー代表GKが明かした葛藤と舞台裏

2021-06-18 | いろいろ


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「帰ったら命が危険」「最後まで悩んだ」帰国拒否したミャンマー代表GKが明かした葛藤と舞台裏  

 


 W杯アジア2次予選の日本vsミャンマー戦の試合開始前、国歌演奏の際に、祖国で起きた軍事クーデターに抗議する意味を示す三本指を立てる行動を起こしたミャンマー代表の控えGK、ピエリアンアウン選手(27歳)が、6月16日夜、チームメイトと乗る予定であった帰国便に搭乗せず、日本に残る道を選択した。関西国際空港の大阪出入国在留管理局(以下、入管)に保護を求め、入管もこれを認めたのだ。

 一般市民に軍が銃口を向けて800人以上の犠牲者を出している祖国ミャンマーには、正義も公正も存在しない。ピエリアンアウン選手はテレビ中継で不服従のポーズをとった後も、その真実を世界に知らせて欲しいとして海外メディアの取材に応じていたものの、家族のために帰国を考えていたという。だが、このまま戻れば逮捕されてしまうのではないかという疑念と恐怖から、日々、気持ちが揺れ動いた。

 セントラル方式で行なわれたW杯2次予選の最後の試合、6月15日のタジキスタン戦の直後、亡命を決意したピエリアンアウン選手は、日本在住の支援者に保護を求めて宿泊先のホテルから脱出しようとしたが、警備が予想以上に厳しく断念。その後も外部とのコンタクトを携帯電話で取りながら、ロヒンギャ民族の難民認定などを熱心にしてきた空野佳弘弁護士を交えての深夜の話し合いが続いた。

 「ミャンマーサッカー協会のゾウゾウ会長から、帰国しても危害は加えないし、逮捕もしないから、帰って来いという電話をもらった。関係者にもお世話になったので心苦しい」「市民を殺している軍の現状は到底許せるものではない」「自分が逃げたら家族が心配だ」等々、葛藤は夜明けまで止まらなかった。

 それでも16日の13時過ぎ、空野弁護士にメールで「日本に残りたい」という意思を明確に伝えて来た。現在、日本政府は不安定なミャンマー情勢を鑑みて、ミャンマー人に対して、緊急避難措置として在留、就労を認める措置を打ち出しており、難民認定が下りなくとも在留や就労が可能である。

 6月16日から日付が変わった頃、大きな葛藤の末に決断を下したピエリアンアウン選手は、関西国際空港の到着出口から再び姿を現し、取材陣の質問に答えた。

 「自分の判断で日本に残ることを決めました。最後まで悩んだのは、私がこの行動を起こすことでチームメイトに迷惑をかけてしまわないかということです」

 「私は『私はミャンマーに帰りたくありません。ミャンマーに帰ったら命が危険なのです』という意味の文章を、英語と日本語で準備していました。空港で入管の職員にそれを見せて意思表示をしました」

 国家代表のアスリートという属性から、「サッカーを日本でも続けたいか?」という問いには「Jリーグのレベルが高すぎて私は日本ではプロとしてプレーできないと思う」と努めて冷静に分析していた。また、「自分が日本に残ることで何を日本に伝えたいか? 日本国民と日本政府は今のミャンマーの現状をご存じだと思います。将来、私は生まれ故郷に帰りたい。何をすべきか、考えて頂きたい。これからもミャンマーを助けて欲しいのです」とも語った。

 ヨーロッパでは古くはハンガリーのプスカシュ、ルーマニアのベロデディッチ、アルバニアのバタなど、サッカー選手の亡命は決して珍しくない。しかし、日本においては代表戦で来日し、そのまま政治亡命という形をとったサッカー選手は、筆者が知る限り、彼が初めてである。

 日本外交は莫大な投資でミャンマーの軍閥政治を支えて来た負の過去がある。いつか真の民主化を成しえたミャンマーにピエリアンアウン選手を帰国させられるその日まで、彼の身体と生活を守ることが少なからず日本社会の責務であろう。

 事態を知ったJ3加盟クラブ、YSCC横浜の吉野次郎代表は「『ボールで世界平和』を合言葉に様々な活動をしている我々のクラブの理念からすれば、ピエリアンアウン選手を受け入れることも十分考えている。環境面を整える必要があるが、ぜひ一緒にサッカーをやろうと彼に声をかけてあげたい」と語っている。


 取材・文・撮影/木村元彦(ジャーナリスト)
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 あの三本指のサインはミャンマー国軍への抗議であり、多分日本(政府及び日本人)へのサインだったんだろう、ミャンマー国民が困っている現状を知ってほしい、少しでも理解してほしいと

 


コロナ対策の税金の使い道に不満はないか?

2021-06-17 | いろいろ


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コロナ対策の税金の使い道に不満はないか?
  財政民主主義を守るためには  

掛貝祐太 (茨城大学講師)

 


 ワクチンの確保、PCR検査、休業中の業者への支援、GoToキャンペーン、あるいは布マスクや「会食用うちわ」を配るのにも……当たり前だが、コロナ対策にはお金が必要である。国際比較上、実は日本は、コロナ対策にかなりの巨額を割いている国であるといわれる。しかし、その使い道について、不満を持つ人もいるだろう。

 一方で、読者の中には「税や財政のことはよく分からないし、“偉い人”が決めてくれれば別に良い……」と感じる人もいるかもしれない。しかし、人々の意思を反映することなく、為政者が自由に現金(税)を徴収し、使い道も身内をひいきして自由に決定できるのであれば、それは近代以前の「領主支配」への退行だといえるだろう。

 税の使い道など、国民が財政について民主主義的にコントロールすることを、「財政民主主義」という。日本では、国会による予算議決権を定めた憲法第83条などで、財政民主主義を掲げている。ところが、今の日本で、財政民主主義が機能していると実感できるだろうか。コロナ対策で異例の歳出規模となった2020年度を例に、日本の財政民主主義について考えてみよう。

 

コロナ対策でどれだけの税金が使われたのか?  

 国家予算は前年度中の3月までに国民の代表機関である国会の承認を得て成立するのが原則だ( “当初”から決まっている予算なので、当初予算という)。しかし、コロナ対策に追われた2020年度は3回もの補正予算(前年度中に予測できなかった事態に対応するために追加で組まれる予算)が組まれ、累計額は約73兆円(一次補正予算25.7兆円、二次31.9兆円、三次は19.1兆円から減額分を加味し15.4兆円として概算)にのぼった。平成の30年間で組まれた補正予算累計額が143.3兆円だったので、その約半分がたった1年間のうちに組まれたわけである。

 少しずつ増大する歳出と低迷する歳入との差が年々緩やかに広がっていく日本の財政についての折れ線グラフは、横を向いて開いたワニの口になぞらえて「ワニ口グラフ」と長らく呼ばれてきた。しかし、今年の歳出の急激な上昇は、歳出の折れ線グラフを急な角度で上に曲げた。二次補正予算の時点で、もはや「ワニの上あごが完全に折れた」と表現していた財政学者もいたくらいである。

 しかし、予算総額はこれだけ拡大したのに、世論調査によると、有効な政策が打たれていないように感じている人の方が多い。共同通信が2021年5月に行った世論調査では、71.5%が「新型コロナウイルスをめぐる、政府の対応を評価しない」としている。

 この予算規模と納得感との乖離はなぜ生まれるのか。

 

額は大きいのになぜ納得感がないのか?  

 まず一つめの理由は、補正予算の優先順位が「経済>医療」となっていることからくる行政と市民との「価値観」の乖離である。

 例えば、新型コロナのワクチン関連の補正予算は、第一次で316億円(「国内におけるワクチン開発の支援」「国際的なワクチンの研究開発等」)、第二次で2055億円(「ワクチン・治療薬の開発等」)、第三次で5736億円(「新型コロナウイルスワクチンの接種体制の整備・接種の実施」)、予備費で7662億円(「ワクチンの確保」「ワクチンの確保等」)が計上されている。それらを概算として足し合わせると、約73兆円の補正予算のうちの1.6兆円程度である。これは経済重視のGoToキャンペーンの補正予算である3兆円程度をはるかに下回っている。

 これらを踏まえると、先進国の中で日本のワクチン接種がとりわけ遅れていることも頷けるだろう。このように予算には、何を重要視しているのかという国や自治体の価値観がダイレクトに数値で反映される。医療が重要視されていないことは一目瞭然だろう。

 しかし、医療よりも経済優先というのは、多数の人の価値観とはかけ離れているようだ。昨年12月の共同通信による世論調査では、政府は経済活動よりも感染防止を優先すべきだと答えた人が76.2%(「どちらかと言えば」との回答も含む)に達している。また、今年4月の読売新聞とNNNによる世論調査ではワクチン接種の遅れに不満を持っている人が7割に及んでいる。このように、民意と政府の方針には乖離があると言わざるを得ない。

 予算規模と納得感の乖離が起こる第二の理由は、「予備費」の急激な上昇によって、国民や議会がコントロールできない不透明性が高まったことである。前述の通り、予算は、財政民主主義を成り立たせるために、国会での事前承諾が必要だ。ところが、「予備費」という項目は、“柔軟な支出”を可能にするため、国会での事前承諾が必要とされていない。一応、使用後の事後承諾は国会で行うことになっているが、もし承諾が得られなかったとしても内閣に法的なペナルティは特にない。つまり、事実上の「内閣への白紙委任」であり、財政民主主義の観点からすると民意が反映されない問題のある「抜け穴」だ。

 この「予備費」に、2020年度補正予算約73兆円のうち約10兆円もまわされている。この規模はリーマンショックや東日本大震災の時に組まれた1.3兆円と比べても、ケタ違いである(図1)。なお、予備費の使途の内訳はオンラインで確認できる。
    


 第三の理由としては、コロナ対策と無関係で無駄に思える目的に予算が使われているという可能性があることである。予備費約10兆円の中で目立つものとして、約3.4兆円規模の「新型コロナウイルス対応地⽅創⽣臨時交付⾦」という長い名前の、地方自治体への補助金がある。この補助金の自治体の使途について、コロナ対策としては不適切なのではないか、と指摘する報道が相次いだ。

 例えば、石川県能登町では、同交付金によって、観光促進のために観光施設に巨大なイカのモニュメントを約3000万円かけて製造している。また、北海道遠軽町では、スキー場をライトアップする事業に約180万円支出するなどしている。

 このように補助金から経済振興目的で、コロナの流行抑制に直接は寄与しないものにも支出されている。経済対策も必要ではあるだろうが、「それ今必要か?」と言わざるを得ないものは多い。

 予算の目的と実態が乖離するというのは、今回のコロナ対策に限った話ではない。例えば、東日本大震災復興関連の予算の23%が、復興とは直接関係のない事業に使われていたことが後から分かったこともあった。

 

財政民主主義を機能させるために  

 ここまでコロナ対策の予算規模と納得感が乖離し、財政民主主義が機能しない要因についてみてきた。このように民意との乖離があっては、もはや財政民主主義は形骸化しているといえるのではないだろうか。

 

 財政学の教科書では、国民の代表である議会が財政についてコントロールを行うことによって「財政民主主義」が成立する、と捉えているものもある。しかし、国会議員などの“偉い人”にお任せするだけではなく、市民参加などの手段も含めて財政民主主義を国民が実感できるようにする必要があると筆者は考えている(詳細は拙稿「財政民主主義についてのサーベイと概念的多面化への試論 利害の多様性を前提とした財政民主主義へ」〔『生活経済政策』〕を参照)。

 では、財政民主主義を実質化するために、私たちには何ができるのだろうか?

 まずは政府や自治体による税の使い方に対して関心を持ち、ぜひ積極的に財政にまつわる情報を、実際の数値をみながら摂取してほしい。

 自分の自治体が先述のコロナ対応の交付金を目的通りに使っているのか気になった人は、ぜひ「地方創生図鑑」というHPをみてみるとよい。HPの「自治体について調べる」というメニューから各自治体を地図で選んで表示すると、同交付金のうちどれだけ医療目的なのか、どれだけ経済優先なのか、というのがグラフで視覚的に把握できる。国レベルの話はよく分からなくても、自分の自治体レベルなら肌感覚で分かるものも多いだろう。例えば、東京都では、医療関連(「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」)に使われているのは、わずか6%であり、経済振興策(「雇用の維持と事業の継続」「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」)が94%をしめる。
   
 また、たいてい自治体が全戸に配布する広報誌には、財政についての報告がある。多くの人がポストからゴミ箱にそのまま投げ捨てているかもしれないが、次はしっかり目を通してはどうだろう。

 もっとおすすめなのは、自治体の議事録である。ある程度の規模以上の自治体であれば、検索用のデータベースがあるので、関心のあるキーワードなどで調べてみてほしい。この地区は再開発してほしくない、程度の要望は誰にだってあるだろう。議事録を読むと「こんなに細かく予算の適正性を追及しているのか……」となることもあれば、「全然追及していないじゃないか……」となることもあるだろう。また、選挙の際に発表されるマニフェストで分からない部分の議員の実際の立ち位置も分かるので、選挙の際にも役立つだろう。

 

税金に口を出す権利は、みんなにある  

 では、税の使い方を知ったうえで何ができるか。請願、陳情、デモ、SNS上での発信なども手段の一つだ。だが、もっと簡単な手段の一つに、オンライン上での署名運動がある。既に知っている人も多いとは思うが、Change.orgはオンラインで署名活動への参加が可能なプラットフォームだ。最近でも「コロナで困窮する子どもたちを救おう!プロジェクト」や、ミニシアターへの経済支援など、コロナ対策に関係する財政政策についての署名が行われ、部分的に政策に反映されるなどしている。

 また、現在も五輪の開催の是非についても署名が集められ、反対派の署名は既に40万筆を超えている。国政レベルだけでなく、地方レベルでも同サイトは有用だ。コロナ関連ではないが、新潟の小学1年生(!)が立ち上げた地元へのスケートボード場建設をもとめる署名も、1万8000筆を超えている。こうした社会運動自体に日本では抵抗感が強い、とも言われているが、デモなどと比べるとネット上の署名運動は比較的ハードルが低いようである。

 さらに筆者がもっとも有効だと考えているのは、「部分的な直接民主主義の導入」である。

 スイスでは、5万筆の署名があれば、法的拘束力を持った国民投票を請求することができる。投票は年に3、4回の頻度で行われ、例えば2020年度には、戦闘機の購入や子育て世帯への減税などが国民投票にかけられた。コロナ対策についても、ロックダウンなど個人の自由を制限する議会の決定に反対する署名が集められ、6月に国民投票が行われる予定だ。こうした制度の下では民意から乖離した政府の決定は不可能だ。

 もしもこうした制度が日本にもあれば、世論調査で過半数以上が反対している五輪の年内開催なども、民意を無視しての強行は難しいであろう。実際にスイスでは、州の財政負担が問題となり、住民投票の結果、五輪招致を見送ったこともある。

 現代スイス財政について研究している筆者としては、さらにラディカルな直接民主主義的な方法だってありうると考えている。ただ、残念ながら、日本では国民投票は、憲法改正を目的に検討されており、自民党の改憲案では、より国民の権利を制限する方向で検討されているようだ。地方レベルでも住民投票の意向が無視されることすらしばしばある。だが、少なくとも地方レベルでは、もっと直接民主主義的な財政民主主義のあり方が重視されてもよいのではないか。例えば、鳥取県智頭町(ちづちょう)などでは、住民が予算配分の意思決定に直接参加する「住民参加型予算」なども存在する。

 

 もちろん財政民主主義に万能薬などはない。むしろ、現代は、財政民主主義や民主主義にとっては冬の時代かもしれない。経済学者の中にはコロナ禍において、民主主義的な国ほど人命への影響が大きく、経済への影響も甚大であった、とする主張すらある。従来から経済学が民主主義的決定に不信感を抱いていることを振り返れば、何ら不思議ではない。しかし、私たちが全体主義・権威主義体制を受け入れるのではない道を選択するのであれば、検討すべきは民主主義の放棄ではなく、財政民主主義の実質化ではないだろうか。

 日本では、学校教育の中で、納税の義務のみを強調し、税金を使う権利意識を育んでこなかった(詳しくは拙稿「申請主義と財政教育」〔『生活経済政策』〕を参照)。しかし、近代国家として財政民主主義を掲げている以上、私たちには税金を納める義務があるだけでなく、使い道に口を出す権利があるのである。

 ジュネーヴに生まれた哲学者のルソーは、当時のイギリス人を指して、かつてこう言った。「彼らが自由なのは、議員を選挙するあいだだけのことで、議員が選ばれてしまうと、彼らは奴隷となり、何ものでもなくなる」。ほぼ選挙でしか民意を示せないなら、なぜ我々が奴隷でないといえるだろうか。

 

※本稿の執筆には慶應義塾大学経済学部助教の髙橋涼太朗さんにご協力頂いた。
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インド型変異株(デルタ株)は従来株と症状が違うので要注意

2021-06-16 | いろいろ


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インド型変異株(デルタ株)は従来株と症状が違うので要注意  

アリストス・ジョージャウ

 


<イギリスの全面制限解除が1カ月延期される原因となったデルタ株は、感染力が従来の2倍であるうえ、いちばん多い症状が頭痛らしい>  

 インドで最初に確認された新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」が引き起こすおもな症状が、従来の系統のウイルスに感染した人とは異なる可能性があることが、研究により示唆された。

 「B.1.617.2」とも呼ばれるデルタ株とそのサブ系統は、これまでに70か国以上で見つかっており、一部の地域では急速に広がっている。たとえば英国では、いまや新規感染例の90%以上を占めるようになっている。

 症状に関する知見は、アプリを用いて新型コロナウイルス感染症の症状を調査し、感染の広がりを追跡している「ZOE COVID症状調査」で得られたものだ。このプロジェクトは、マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院、キングズ・カレッジ・ロンドン、スタンフォード大学医学部の研究者らが、ヘルスサイエンス企業ZOEと共同で立ち上げた。

 ZOE調査に携わっているキングズ・カレッジ・ロンドンのティム・スペクター教授によれば、このアプリによって英国で収集されたデータは、デルタ株のおもな症状が、従来の症状とは若干異なる可能性を示唆しているという。

 

最も多い症状は「頭痛」?  

 米疾病予防管理センター(CDC)によれば、新型コロナウイルス感染症でもっともよく見られる症状は、発熱、乾いたせき、疲労感とされている。

 だが、スペクターによれば、デルタ株が主流になっている英国では、頭痛、のどの痛み、鼻水がもっとも多くなっているようだという。

 「すべてのアプリユーザーのおもな症状を調べてきたが、認識すべききわめて重要な点は、5月はじめ以降の症状が以前と同じではなくなっていることだ。もっとも多い症状は頭痛で、のどの痛み、鼻水、発熱がそれに続いている」と、スペクターはZOEのビデオアップデートのなかで述べている。

 「咳は5番目で、比較的少ない。嗅覚の喪失はもはやトップ10にも入っていない。この変異株は、以前とは若干異なる挙動をするようだ」

 また若い人では、デルタ株の症状は「ひどい風邪」によく似ているという。

 「(そうした症状の変化は)世間では認識されていないし、政府の情報のなかでも伝えられていない。そのため、自分はなんらかの季節性の風邪をひいただけだと考えて、そのままパーティへ出かけ、感染を広めてしまうおそれがある」とスペクターはビデオのなかで述べている。

 デルタ株の感染力は従来株の2倍。「きわめて感染しやすい」とスペクターは言う。「とてもくっつきやすいウイルスだ。(ワクチン接種が進んでいることにより)実際に攻撃できる人が少なくなっているのに、短期間でこれほどの感染者が出ているのはそのためだ」

 報道によれば、ワクチンも1回だけの接種ではデルタ株に対しては効き目が落ちるという。しかし二度接種をした場合は、効き目はわずかに低下する程度だとスペンサーは言う。

 「(デルタ株でも)二度の接種をしていれば、リスクは少なくとも5分の1から10分の1になる。ZOEアプリのデータからわかっているかぎりでは、感染しても、(接種していない場合と比べて)はるかに軽く、短期間で治るため、入院する可能性は大幅に低くなる。これは、二度の接種を受ける十分な理由になる」


(翻訳:ガリレオ)


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「特定屋」に御用心!

2021-06-16 | いろいろ


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「特定屋」に御用心!
  SNSから個人情報を特定されないために気を付けることとは  


 最近、大手メディアで取り上げられて話題になっているのが「特定屋」の存在だ。まったく知らない人からSNSに連絡があったり、教えていないのに住所が何者かに把握されていたりすることがあるという。その背後で「特定屋」が動いている可能性がある。こうしたことは意外に身近にあるかもしれない。

 NHKや読売新聞の報道によると、「特定屋」とは依頼を受けて誰かの住所などの情報を割り出すことを請け負っている人たちのことだという。確かにツイッターで検索すると、特定を仕事にしているアカウントが見つかる。住所や電話番号、SNSのアカウントなどが特定の対象になっていた。相場は数千円と高くない。

 仕事にしていなくても特定を趣味にしている人はいる。アラフィフの男性会社員は「私はSNSを使って若い女性とよくつながるんです。私のプロフィルはオジサンの時もあれば男子高校生の時もあるし、女性に成りすますアカウントもあります。とにかく対象人物の投稿をよくチェックするのです」と話した。

 住所の特定につながるのは写真だ。「景色の特徴から自宅が分かったことがあります。特にインスタのストーリー機能は、消えちゃうからと油断して、うかつな写真を載せがちです」(前出の男性)。写真の背景やSNSの書き込み内容から普段の行動範囲も推定できるという。

 だいたいの住所が分かったら本人にそれとなく伝えて、自分優位の関係性に持っていく。「住所を知られているという負い目からか、こちらの言うことを聞いてくれます。何を聞くかですか? 私は個人的な趣味でエッチな質問をするのですが、ほかの女の子の情報も聞きます。特定は特定を生むんです。一人の女の子から、その子とSNSでつながっているほかの女の子の特定もできることがあります」(同)

 電車の中でスマホを操作している若い女性のスマホ画面を盗み見てSNSアカウントを把握し、特定していくこともあるという。「満員電車なら余裕でスマホをのぞけます」(同)というから気を付けねばならない。

 これらの話からどうすればいいのかを考えないといけない。よく言われるように自宅や居場所が分かるような写真をSNSにアップしないことが何よりも大事だろう。

 ITに詳しいライターは「あえてフェイク、ウソ情報を交ぜるのもいい。『近所のお店に来ました』とまったく近所ではないところの写真を載せるとか」と指摘した。

 現実社会で人の往来が激しい場所で「私の名前は〇〇です。今日はどこどこのお店でなになにを食べました」と大声で叫ぶ人はいないだろう。SNSで自分のプライベートを書き込むということは、ネット上でそのようなことをやっているに等しい。ネットは“公共の場所”だという意識が必要だ。
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 自宅マンションの前で自撮りを撮りSNSに投稿したら瞳に写っているマンションを特定された!と言う話も。写真の中の瞳だよ、恐ろしい。

 


樋口英明氏「耐震性に着目すれば全ての原発を止められる」

2021-06-15 | いろいろ

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樋口英明氏「耐震性に着目すれば全ての原発を止められる」  


樋口英明(元福井地裁裁判長)

 コロナ禍のドサクサ紛れに掟破りだ。福島第1原発事故の惨事を機に定めた「運転は40年まで」の原則が骨抜き。運転開始から40年を超える関西電力の老朽原発が23日にも再稼働する。この暴挙に、かつて原発運転を差し止めた元裁判長が「不都合な真実」を喝破する。「老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない」と――。

 ◇  ◇  ◇

 ――再稼働する美浜3号機の運転開始は1976年。45年も昔です。

 45年前の家電を今も使いますか? 大量生産の家電は壊れても最新技術の製品に買い替えればいいけど、原発は大量生産できない。技術は旧態依然で、1つの計器が故障しただけで原発の「止める・冷やす・閉じ込める」の安全3原則は綻び、重大事故が起きかねません。


 ――再稼働にあたり国は、1発電所につき25億円の新たな交付金を立地地域にぶら下げました。

 何を考えているのか、理解不能です。


 ――福井県知事の合意表明が4月28日。たった2カ月足らずのスピード再稼働にも驚きます。

 住民が差し止め訴訟を起こすにも、手続きには月単位の時間がかかる。それを見越した上での素早い動きでしょう。


 ――老朽原発が「高い安全性」を確保できるか否かが最大の危惧です。

 地震大国の日本で原発の高い安全性を担保するのは、信頼できる強度な耐震性に尽きます。原発の耐震設計基準を「基準地震動」と呼び、施設に大きな影響を及ぼす恐れがある揺れを意味します。美浜3号機の基準地震動は993ガル(揺れの強さを示す加速度の単位)。しかし、この国では1000ガル以上の地震が過去20年間で17回も起きているのです。


 ――具体的には?

 2008年の岩手・宮城内陸地震(M7.2)は最大4022ガル、11年の東日本大震災(M9)は最大2933ガルなどです。誤解して欲しくないのは「17カ所」で観測されたわけではないこと。東日本大震災では、震源地から離れた数多くの観測点で1000ガルを超えました。


「原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱」


 ――基準地震動を超える地震がいつ襲ってきてもおかしくはない、と。

 しかも、美浜3号機の基準地震動は建設当時の405ガルからカサ上げされています。建物の耐震性は老朽化すれば衰えるのに、原発だけは時を経るにつれて耐震性が上がるとは不可思議です。電力会社は「コンピューターシミュレーションで確認できた」と言い張りますが、計算式や入力する数値でどうにでも変わる。住宅メーカーの耐震実験は建物を実際に大きな鉄板の上で揺さぶります。その結果、三井ホームの住宅の耐震設計は5115ガル、住友林業は3406ガル。2社が飛び切り高いのではなく、改正後の建築基準法は一般住宅も震度6強から震度7にかけての地震に耐えられるよう義務づけています。ガルで言うと1500ガル程度の地震には耐えられます。一方、日本の原発の基準地震動は、ほぼ600ガルから1000ガル程度です。つまり、原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣るのです。


 ――衝撃です。

 政府は福島の原発事故後の新規制基準を「世界一厳しい」と自負していますが、耐震性に関しては当てはまりません。


 ――いつ、その事実に気づかれたのですか。

 2012年11月に福井県の住民が中心となって関西電力を相手に提訴した「大飯原発3、4号機の運転差し止め請求訴訟」を担当した際です。原発の耐震性に着目し、調べてみると、すぐ分かりました。当時は大飯原発を含め、大半の原発の基準地震動は700ガル程度。700ガル以上の地震は過去20年間で17回どころではなく30回に跳ね上がります。毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です。

 

電力会社の「地震は来ない」は虚妄


 ――それにしても、基準地震動の設定が低すぎませんか。

 地震学者の間では長年、関東大震災(震度7)でも400ガル程度との認識が主流で、地球の重力加速度(980ガル)以上の地震は来ないとも推測されていました。この考えに従い、昭和時代の原発は建設されたと思います。しかし、1995年の阪神・淡路大震災を契機に、2000年頃には全国の約5000カ所に地震計が設置され、観測網が整備されました。すると、震度7が1500ガル以上に相当することが科学的に判明したのです。


 ――震度の過小評価に気づけば、原発の運転は諦めるべきでは?

 そこで電力会社が「不都合な真実」を隠すのに持ち出すのが「地震予知」です。差し止め訴訟で「原発の敷地に700ガル以上の地震は来るんですか」と聞くと、関西電力は「まず来ません」と答えた。科学で一番難しいのは将来予測。中でも地震の予知は困難を極めます。考察に資するリソースも20年分しかない。「来ない」と断言できっこないのです。地震予知は「予言」に等しく、信じるか否かは「理性と良識」の問題です。だから速やかに差し止め判決を出せたのです。


 ――その2014年の福井地裁判決を、2018年には名古屋高裁金沢支部の控訴審判決が取り消しました。

 退官翌年です。あの確定した判決は、原審で指摘した危険性を認めながら突然、論旨を変えて「原発の是非は司法の役割を超えているので政治的判断に委ねる」と結論づけた。運転停止を求める住民に対して、さも「政治活動」をしているかのレッテルを貼り、論点をスリ替え、司法の役割を放棄したのです。こんな粗雑な判決を放置するわけにはいかないと思い、原発の危険性を広く訴えようと決意しました。


 ――元同僚の方々の反応は?

 特に悪い評判は聞きません。「裁判官は弁明せず」との格言を持ち出すような頭の固い人とは、あまり付き合ってこなかったからかなあ? 裁判官への政治圧力もないですよ。昔は政府方針に従わなかった裁判官が、ひどいドサ回りをさせられたのは事実。けれど、最近は露骨な左遷などありません。


学術論争の“魔法”から目を覚ませ


 ――福島の事故後も、原発の運転差し止めを認めた司法判断は必ず上級審で覆ります。その理由をどう考えますか。

 先例主義の悪弊です。裁判官が原発訴訟を扱うのは、まれです。滅多に当たらない訴訟を担当すると、裁判官はつい過去の判決を調べてしまう。いくら司法修習生の頃に「自分の頭で考えろ」と叩き込まれても、自分の頭で考えなくなる。判例に頼れば通常は大きな間違いをせずに済むし、何より楽ですから。その傾向は上級審の裁判官ほど強い。そして、ある“魔法”も効いています。


 ――魔法とは?

 1992年に確定した伊方原発訴訟の最高裁判例です。原発訴訟を「高度の専門技術訴訟」とし、今でも最高裁は原発差し止め訴訟を「複雑困難訴訟」と呼ぶ。あくまで一般論に過ぎないのに、最高裁に言われると、住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法”にかかってしまう。法廷は理解不能な専門用語が飛び交う学術論争の場となり、もともと文系の裁判官はロッカーいっぱいの専門資料にチンプンカンプン。だから、過去の判例を踏襲する判決を出しがちになるのです。


 ――困ったものです。

 裁判官を“魔法”から解き放つには、まず住民側の弁護士が目を覚まさなくてはいけない。熱意ある弁護士でも先例に縛られ、複雑な学術論争を繰り出すのが実情です。住民側弁護士が原発の危険性をシンプルかつ論理的に伝えれば、裁判官も認めざるを得ません。伊方最高裁判例には「原発の安全性の適否判断は規制基準に不合理な点があるかという観点から行うべき」と記してある。はたして地震予知を許す規制基準は合理的なのか。20年間の詳細な地震観測による新たな知見、すなわち「1000ガルを超える地震はいくらでも来ます」という動かしがたい事実に基づく判断こそが合理的であり、「真の科学」と言えます。


 ――なるほど。

 現在、広島地裁で係争中の伊方原発3号機の運転差し止め仮処分申し立て事件では、住民側の弁護団が耐震性に着目。四国電力の「南海トラフ地震が原発直下で起きても、伊方原発敷地には181ガル(震度5弱相当)しか来ない」との試算を追及し、原発訴訟にパラダイムシフトを起こすと宣言しました。あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます。


(聞き手=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)


樋口英明(ひぐち・ひであき)
   1952年生まれ、三重県出身。京大法学部卒。司法修習第35期。各地裁・家裁の判事補・判事を歴任。2006年に大阪高裁判事、09年に名古屋地家裁半田支部長を経て、12年から福井地裁判事部総括判事。14年5月に大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決を下した。17年8月、名古屋家裁部総括判事で定年退官。現在は原発の危険性を訴える講演活動にいそしむ。今年3月出版の「私が原発を止めた理由」(旬報社)がベストセラーに。 
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